臨時報告書

【提出】
2020/04/30 15:51
【資料】
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提出理由

当社は、令和2年2月25日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)38,800株を1株に併合する株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする令和2年3月25日開催予定の当社の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

株式の併合を目的とする株主総会の招集の決定

1.株式併合の目的
当社は1992年の創業時よりアニメーションの企画・制作、及びライセンス事業を行ってまいりました。2004年11月には東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしたものの、2009年7月には債務超過状態の継続により上場廃止となりました。その後、2016年9月28日には株式会社アサツーディ・ケイ(現株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ(以下「ADKMS」といいます。))による公開買い付けを経て、株式会社ADKホールディングス(以下「ADKHD」といいます。)並びにADKHDを頂点とする子会社及び関連会社グループ(以下、個別に又は総称して「ADKグループ」又は単に「ADK」といいます。)傘下においてグループ各社とのシナジーを実現させるべく努力するとともに、経営管理体制の強化を図るなど、経営再建を推進してまいりました。
事業上の取り組みとしましては、当社が保有するアニメーションに係る権利(以下「IP」といいます。)の海外展開、ADKグループにおける動画配信事業者との流通チャネルを利用した当社保有IPの拡販、当社の遊技機メーカーとの販路を利用したADK関連IPの二次利用の開発、ADK関連IPにつき当社が制作受託することによる制作利益の拡大などの協同を目指してまいりました。また、経営管理体制につきましては、ADKグループから4~5名の役員派遣を受け入れ、業績管理体制の整備、経営意思決定の高度化を図ったことに加え、制作管理部門、経理部門にADKグループから従業員3名の専任出向を受け入れることにより管理部門を中心とした強化を図ってまいりました。このほか、ADKグループのネットワークを活用することで、外部よりアニメ制作に精通した人材の登用を行うことで、アニメ制作部門の抜本的な改革にも着手しました。
その結果、制作業務の進捗状況の適時把握、出資タイトルの収益見通しの透明性向上、過去作品のライセンス営業体制の整備といった採算管理の強化、及びADKの投資審査を経ることによる投資意思決定の精緻化を実現いたしました。また、ADKグループ参画以前の不適切会計により有価証券報告書の訂正に至ったことの反省から経理体制を強化し、会計監査人変更後においても無限定適正意見を継続的に取得できる体制に改善させるなど、一定の成果を見ることができました。
一方、事業シナジーではADKが保有する流通チャネルの相互利用による拡販にも限界が見え、また、ADKからの制作案件の受託についても想定水準を大幅に下回る状況となりました。この結果、当初企図していたシナジーは依然として実現に至っておらず、今後も事業機会を創出する見通しは立っておりません。
当社の社業であったアニメ制作事業は、近年の制作需要の増加に起因した外注クリエイター及び外部スタジオに関するコスト等の調達コスト増を背景に赤字傾向が続くとともに、二次利用収入の伸び悩みにより製作委員会への出資金の回収が未達に留まるなど資金繰りを圧迫し、かつ、収益の悪化の主因となっておりました。増加する運転資金については、ADKからの総額28億円に上る借入れにより手当てを行うとともに、返済期限、及び金利の支払いの猶予を得ることにより事業を継続して参りましたが、未だ利益構造の抜本的な改善には至っておりません。
このような状況を踏まえ、当社は令和元年8月1日を効力発生日とする吸収分割により、アニメ制作事業及び一部の作品に係るIPの管理・運用事業に関して有する権利義務を、ADKHDの子会社であるADKエモーションズ(以下「ADKEM」といいます。)の子会社である株式会社スタジオKAIに承継させることで、当社は従来から保有する過去作品に係るIPの管理・運用を行うライセンス事業を中心としたビジネスに移行し、保有するIPの成長及び収益の拡大化に努めることといたしました。
吸収分割により、アニメ制作事業及び一部作品に係るIPの管理・運用事業に関して有する権利義務を承継させた結果、当社の資金繰りは安定化し、運転資金のための借入金の増加を抑えることができました。しかしながら、当社事業の主たる収益は過去作品に係るIPからもたらされる権利収入に依存するところ、かかる権利収入は短期的には安定を与えつつも、当該IPの価値は時間の経過と共に毀損していくことから、中長期的には権利収入は減衰するものと想定されます。これに加え、有価証券報告書の作成、会計監査人による財務諸表監査、株主総会の開催など、法令を遵守するための上場会社並みの管理コスト負担が生じており、当該コスト負担の継続が収益の減衰と重なった場合、事業継続の不確実性を高める原因となり得るものとの問題意識を持っております。
したがって、当社はライセンス事業を主軸に据えながらも周辺事業への進出による事業の多軸化、又は過去作品に係るIPの積極的な営業活動及びリメイク等のリプロデュースを図るなどの施策により、ベース収益の下支えとなる新たな柱を構築することが急務であると認識しておりますが、当社が取り扱う青年向けアニメを中心としたIPに対し、幼少年向けアニメを得意とするADKグループが主導する事業開発には限界があるものと認識しております。
なお、第21期事業年度における当社の経営成績は、売上高941百万円、売上総利益277百万円、営業利益48百万円、経常利益19百万円、当期純利益341百万円となりました。ただし、アニメ制作事業を株式会社スタジオKAIへ吸収分割した際の特別利益、及び過去の決算修正に伴う法人税の還付による影響を除いた場合、当期純利益28百万円となります。また、当社の財政状態としては、総資産138百万円、負債合計3,284百万円、純資産▲3,147百万円となりました。
このような状況下において、ADKHDでは、当社の経営再建について検討し、当社の経営再建のひとつの手段としてADKMSが保有する当社株式及びADKグループが当社に対して有する債権の売却について検討を開始し、外部のM&Aアドバイザーの助言、提案も受け入れながら、取引の公正性を担保するべく、当社とのシナジーの創出が見込まれる複数社に対し、ADKMSが保有する当社株式及び当社への債権の買付けについて打診を行ったとのことです。
しかしながら、早期に明確な事業シナジーの創出が見込めないこと等の理由により、買付けを希望する者は現れなかったため、当社がADKグループに属する以前に当社取締役社長を務め、現在も当社取締役である石川真一郎氏(以下「石川氏」といいます。)に買付の意向の有無について確認を行ったところ、石川氏から当社の親会社であるADKHDに対し、ADKHDの子会社であり当社の直接親会社であるADKMSが保有する当社株式及びADKグループが当社に対して有する債権を買入れる旨の意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を受領するに至ったとのことです。
ADKHD及び石川氏は、当社との間において、石川氏以外の者による当社株式の取得が不当に制限されることのないよう、当社がADKMS及び石川氏以外の対抗的買収提案者と接触することを禁止するような合意を一切行っておりません。
本意向表明書を提示した石川氏によれば、石川氏は動画配信事業者、放送局、遊技機メーカー等のライセンシー企業のほか、最先端技術・ビジネスに取り組む企業等に広範なリレーションを有しており、当社の株式を取得した後、これらのリレーションを活用したプロデュース事業・新規事業の展開を図っていくとともに、当社が保有する過去作品のIPのリメイク等のリプロデュースを手掛けることにより、中長期的には減衰することが予想される収益源の底上げを図っていく方針とのことです。また、ADKMSと石川氏が締結する契約において、少なくとも3年間は議決権の過半数を維持し、当社の倒産申し立てを行わないこと、石川氏は自ら経営に携わり当社の企業価値向上を図ることとし、同時に買い入れる債権の弁済によって自己の利益を図ることを目的として、当該買入れに先立ち、株式併合の方法により当社をADKMSの完全子会社とした上で当社発行済株式の全てを石川氏がADKMSより買入れる旨の取引(以下「本件取引」といいます。)を行うものではないことを表明しているとのことです。
石川氏は、ADKグループへの参画以前から当社の取締役として経営に携わっており、当社のアニメ作品に精通し、当社保有IPの大宗を占める青年向け作品のプロデュース能力に優れていることから、当社は石川氏がオーナーシップを持って改革を進めることは当社の企業価値向上にとっても望ましいと考えております。
さらに、上場会社に相当する水準の管理コストは、現状においても過大な負担でありながら、有価証券報告書等の財務報告に係る開示情報を充実させる動きや、我が国の会計基準の変更(企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」の強制適用開始)による経理フローやシステム改修、及び厳格な内部統制への対応など、今後増大化することが予想され、事業規模に比して必要以上の経営負担となる可能性があると考えております。
以上を踏まえて、当社は、当社の事業規模、財政状態に照らし、過大な管理コストの流出を可及的速やかに抑止することはすべての利害関係者の利益に資するものと判断するとともに、株主の皆様に対して事業再構築に係るリスク負担を回避しつつ、中長期的な視点から戦略的な事業運営を行っていくためにも、本件取引を実行することこそが最良の手段であるという結論に至りました。また、当社は債務超過の状態が継続し相応の期間に亘り利益配当が望めない状況にあることに加え、上場廃止により株式の流動性を喪失し、投下資本回収の機会を失った株主の皆様にとっても、石川氏への株式譲渡の前提としての本株式併合の実施による1株未満の端数が生じる場合の処理(端数処理)により金銭の交付を受けることは現金化の機会を与えるものであり、石川氏が当社株式を取得する方法としては公開買い付けの方法も考えられるところ、株式併合の方法であれば公開買い付けの場合に比べ実施費用がかからないことからも、本件取引は株主の皆様の利益に適うものと考えております。
2.本株式併合の割合
当社株式について、38,800株を1株に併合いたします。
3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1) 1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、ADKMS以外の株主の皆様が所有する当社普通株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株に満たない端数につきましては、その合計数(会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を売却し、売却によって得られた代金を、株主の皆様に、その端数に応じて交付いたします。当該売却について、当社は、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て、当該端数の合計数に相当する当社普通株式をADKMSに売却することを予定しております。
この場合の売却価格につきましては、上記裁判所の許可が予定どおり得られた場合、株主の皆様が所有する当社普通株式の数に、石川氏がADKMSより当社株式を買入れる際の買付価格の総額を本株式併合の効力発生前における当社の発行済株式総数で除した金額(以下「本買付価格」といいます。)と同額である100円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。
(2) 当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額は、上記「(1) 1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」に記載のとおり、株主の皆様が所有する当社普通株式の数に、本買付価格と同額である100円を乗じた金額となる予定です。
本買付価格につきましては、(ⅰ)株式会社赤坂国際会計(以下「赤坂国際会計」といいます。)から取得した株式価値算定書におけるDCF法及び純資産価額法による算定結果を上回っていること、(ⅱ)債務超過状態にある当社の財政状態において、本買付価格は流動性を喪失した当社株式の価値を十分に上回る価格であること、(ⅲ)第三者委員会からの答申書において本買付価格は妥当であると認められるとされていること、(ⅳ)下記「(3) 本件取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本件取引の公正性を担保するための措置が採られており、少数株主の皆様の利益への配慮がなされていると認められることなどから、妥当なものであり本買付価格は当社の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断しました。
以上より、当社は、端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当と判断しております。
(3) 本件取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、端数処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額を決定するにあたり、公正性を担保するための措置として、石川氏及びADKグループから独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関である赤坂国際会計から、後記のとおり、株式価値算定書を取得しています。なお、赤坂国際会計は、石川氏及びADKグループの関連当事者には該当しません。
当社は、当社普通株式の価値算定を赤坂国際会計に依頼し、令和2年1月24日付で株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)を取得しております。赤坂国際会計による当社普通株式の株式価値の算定結果は、以下のとおりであります。
DCF法 :1株当たり株式価値 0円
純資産価額法:1株当たり株式価値 0円
DCF法は、企業が生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、リスクを考慮した適切な割引率によって現在価値に還元したものを事業価値とし、これに事業外資産や有利子負債等を考慮することにより企業価値及び株式価値を算定する手法であり、継続企業の評価においては最も理論的であると言われていることから、赤坂国際会計はこれを採用し、令和2年1月24日を基準日として、当社が作成した2020年12月期から2022年12月期までの事業計画、当社に対するインタビュー、直近までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮した当社の将来の収益予想、当社を取り巻く事業環境等を踏まえた当社経営陣による中長期的な見通しに基づき、企業価値や株式価値を分析し、当社普通株式1株当たりの株式価値を0円と算定しております。
純資産価額法は、事業継続を前提とした算定結果を提供するものではなく、企業の解散価値を検討する際に客観性の面で相対的に優れた算定結果を提供し得る手法であると考えられていることから、赤坂国際会計はこれを採用し、本株式価値算定書では、当社の2019年12月期の期末時点における純資産価額▲3,147百万円に対して、含み損益は検出されず、同額の時価純資産額を基礎として、当社普通株式1株当たりの純資産価額を0円と算定しております。なお、参考情報としてADKグループに対する債務2,909百万円を除外し、相当の債務免除益を考慮した場合の純資産価額は▲657百万円と算定されております。
② 当社における独立した外部の法律事務所からの助言
当社は、当社の取締役会における意思決定の公正性及び適正性を担保するため、石川氏及びADKグループから独立した法務アドバイザーとして、新幸総合法律事務所を選任し、同事務所の法的助言を得て、本件取引に関する当社の取締役会の意思決定の方法及び過程等について慎重に検討いたしました。
③ 当社における独立した第三者委員会の設置及び検討
当社の取締役会は、本件取引に関する当社の意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保することを目的として、令和2年1月16日、石川氏及びADKグループから独立した委員によって構成される第三者委員会(第三者委員会の委員としては、外部の有識者である西山宏氏(弁護士 桜川綜合法律事務所)、角野里奈氏(公認会計士)、奈良真氏(公認会計士)を選定しております。)を設置しました。
そして、当社は第三者委員会に対し、(A)本件取引の目的が正当性・合理性を有するか、(B)本件取引に係る手続きの公正性が担保されているか、(C)本件取引の取引条件の公正性・妥当性が担保されているか、(D)本件取引を行うことが当社の少数株主にとって不利益ではないか、以上について諮問し、これらの点についての答申書(以下「本答申書」といいます。)を当社取締役会に提出することを令和2年1月16日に委嘱しました。
第三者委員会は、令和2年1月22日から令和2年2月14日まで合計5回開催され、上記諮問事項について、慎重に検討及び協議を行いました。具体的には、ADKMSの親会社であるADKHDから、ADKHDが当社に提案した本件取引の内容、提案に至った経緯、株式譲渡先の探索の経緯、株式譲渡先として石川氏を選定した理由、本件取引の意義等について説明を受けました。また、当社代表取締役の勝村良一氏らから、当社の事業内容、業績、事業環境、経営課題、事業計画、ADKHDが提案した本件取引について説明を受けました。さらに、石川氏からは、本件取引を行う目的、本件取引後の当社事業の経営方針等について説明を受けました。
また、第三者委員会が本件における当社の財務アドバイザーとして承認した外部の独立の第三者算定機関である赤坂国際会計から当社株式の株式価値の算定方法及び結果に関する説明を受け、質疑応答を行うほか、第三者委員会が本件における当社の法務アドバイザーとして承認した外部の独立の法務アドバイザーである新幸総合法律事務所から本件取引の手続面における公正性を担保するための措置、並びに本件取引に係る当社の取締役会の意思決定の方法及び過程その他の利益相反を回避するための措置の内容について質疑応答を行いました。
これらの質疑応答に加えて、第三者委員会は、提供された資料等を検討することにより、上記諮問事項について協議・検討を行いました。
第三者委員会は、このように上記諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、令和2年2月17日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しました。
(ア) (ⅰ)本件取引により、有価証券報告書の作成、会計監査人による財務諸表監査、多数の株主による株主総会の開催など、法令を遵守するための上場会社並みの管理コストの削減を図ることは、当社が継続的に収益を確保し、事業を存続していく上で必要かつ合理的なものと考えられること、(ⅱ)石川氏は当社株式について取得の申し出があった唯一の先であるが、石川氏は以前から当社の経営に携わっており当社事業に精通すること、ライツの管理・運営が主たる事業となる当社においてADKグループより青年向けアニメ作品のプロデュース能力に優れた石川氏が経営者として当社の改革を進めることは当社の企業価値の向上にとっても望ましいと考えることには合理性があると考えられ、石川氏を譲渡先として選定したことは合理的と考えられること、(ⅲ)当社は、ADKHDらに対する多額の債務により大幅な債務超過状態にあり、本件取引は当社株式とADKHDらの当社に対する債権を、額面を大幅に下回る価格で譲渡することが一体となった取引であるところ、ADKHDグループの当社に対する一連の支援を総合的に考えれば、本件取引は、単なる株式の譲渡ではなく、本件取引後、当社が収益を確保し存続していくための前提を整えた上での株式譲渡であって、当社にとって合理性のあるものと考えられること、(ⅳ)石川氏が当社に差し入れた誓約書によれば、石川氏は、本譲渡取引の完了後、動画配信事業者、放送局、遊戯機メーカー等のライセンシー企業のほか、最先端技術・ビジネスに取り組む企業等とのリレーションを活用したプロデュース事業・新規事業の展開を図っていくとともに、当社が保有する過去作品のIPのリメイク等のリプロデュースを手掛けることにより、中長期的には減衰することが予想される当社の収益源の底上げを図っていく方針であるとのこと、(ⅴ)石川氏は同誓約書において、自ら代表取締役として当社を経営することにより当社の企業価値を向上させることを目的としており、本債権譲渡によって譲り受けた債権の弁済によって自己の利益を図ることを目的として本譲渡取引を行うものではないことを表明し、また、本譲渡取引の実施後3年間は、当社の議決権の過半数を維持し、その間当社の倒産手続の申立てを行わないことを誓約していることからすれば、本件取引は、当社の将来的な企業価値の維持・向上に資するものと考えられ、本件取引の目的は正当性・合理性を有するものと認められる。
(イ) (ⅰ)本件取引の提案についての審議に慎重を期し、審議の公正性・客観性を担保するため、本件取引の検討のための当社取締役会の諮問機関として、石川氏及びADKグループから独立し、利害関係のない弁護士1名・公認会計士2名から構成されている第三者委員会を設置していること、(ⅱ)石川氏及びADKグループから独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関として赤坂国際会計を選任し、第三者委員会の承認を受けており、同算定機関による当社株式の評価に基づき本件取引の検討を行っていること、(ⅲ)石川氏及びADKグループから独立した外部の法務アドバイザーとして、新幸総合法律事務所を選任し、第三者委員会の承認を受けており、本件取引の意思決定過程等における透明性及び合理性を確保するため、本件取引に係る意思決定過程、意思決定方法その他意思決定にあたっての留意点について法的助言を受けつつ本件取引を進めていること、(ⅳ)本株式併合に関する取締役会においては、利益相反の可能性を排除する観点から、貴社の取締役4名の内、本件取引における最終的な株式譲受人である石川氏、ADKHDの役職員を兼務する2名の取締役を除いた1名の取締役により審議及び決議を行うこととしていることなどからすれば取締役会決議に関する手続きの公正性は確保されているものと思料することから、本件取引においては、公正な手続を通じて当社株主の利益への十分な配慮がなされていると思料する。
(ウ) (ⅰ)ADKHDはADKMSが保有する当社株式を第三者に売却することを目指し、12社にコンタクトを行って検討を依頼し、この内、7社からはNDA(Non-disclosure agreement)の差し入れを受けて交渉を開始したが、買付けを希望する先は現れず、その後、石川氏からの前記の買受申出があったものであること、(ⅱ)当社は過大債務の状況にあり、本株式価値算定書によれば純資産価額法においても債務超過により株式価値は0円であり、DCF法においても事業価値を大きく上回る純有利子負債により株式価値は0円であるところ、石川氏が提示した価格と同額とした本買付価格は、公正かつ妥当であると判断することから、本件取引においては、買取条件(本件株式買取価格を含む。)の妥当性が確保されていると思料する。
(エ) 本株式併合の結果、ADKMS以外の株主から株主の地位を強制的に奪うことにはなるが、本件取引に係る手続並びに取引条件の公正性・妥当性が確保されている本件においては、本件取引は、株主に対して投下資本の回収の機会を保証するものとして、株主にとって不利益とはいえないと思料する。
④ 当社における利害関係のない取締役全員の承認
当社は、新幸総合法律事務所による法的助言を受けつつ、上記第三者委員会の本答申書の内容、赤坂国際会計から取得した本株式価値算定書の内容等を踏まえ、慎重に協議・検討し、(ⅰ)当社の事業規模、財政状態に照らし、過大な管理コストの流出を可及的速やかに抑止することはすべての利害関係者の利益に資するものと判断すること、(ⅱ)株主の皆様に対して事業再構築に係るリスク負担を回避しつつ、中長期的な視点から戦略的な事業運営を行っていくためにも、本件取引を実行することこそが最良の手段であると考えられること、(ⅲ)当社は債務超過の状態が継続し相応の期間に亘り利益配当が望めない状況にあることに加え、上場廃止により株式の流動性を喪失し、投下資本回収の機会を失った株主の皆様にとっても、石川氏への株式譲渡の前提としての本株式併合の実施による1株未満の端数が生じる場合の処理(端数処理)により金銭の交付を受けることは現金化の機会を与えるものであり、合理的であると考えられること、(ⅳ)石川氏が当社株式を取得する方法としては公開買い付けの方法も考えられるところ、株式併合の方法であれば公開買い付けの場合に比べ実施費用がかからないことからも、本件取引は株主利益に適うものと考えられること、(ⅴ)本買付価格は、赤坂国際会計から取得した本株式価値算定書におけるDCF法及び純資産価額法による算定結果を上回っていること、(ⅵ)債務超過状態にある当社の財務状況において、本買付価格は流動性を喪失した当社株式の価値を十分に上回る価格であること、(ⅶ)本「(3) 本件取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本件取引の公正性を担保するための措置が採られており、少数株主の皆様の利益への配慮がなされていると認められることなどから、本買付価格は妥当なものであり、本買付価格は当社の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断しました。
そこで、令和2年2月25日開催の取締役会において、本件取引を実行することこそが最良と判断し、本株式併合を本臨時株主総会に付議することを決議いたしました。
令和2年2月25日開催の取締役会においては、当社取締役のうち、石川氏が本件取引の当事者であること、野田孝寛氏がADKHDの執行役員を兼任していること、羽田正貴氏がADKHDの従業員を兼務していることに鑑み、利益相反の可能性を排除する観点から、まず、これらの取締役3名以外の1名の取締役において審議の上、その全員一致で本株式併合を本臨時株主総会に付議することを決議した後、さらに、会社法第369条に定める取締役会の定足数を確保する観点から、野田孝寛氏及び羽田正貴氏を加えた3名の取締役の全員一致で本株式併合を本臨時株主総会に付議する決議を行うという二段階の手続きを経ております。
なお、利益相反防止の観点から、当社取締役のうち、石川氏、野田孝寛氏及び羽田正貴氏は、令和2年1月16日開催の取締役会及び令和2年2月25日開催の取締役会を含む本件取引に係る当社取締役会の審議及び決議には参加しておらず、かつ、上記3名は、当社の立場で本件取引の協議及び交渉に参加しておりません。
4.本株式併合の効力が生ずる日
令和2年3月30日(月)
以 上