有価証券報告書-第18期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/20 15:08
【資料】
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【項目】
61項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、弱さもみられるものの、緩やかな回復基調が続きました。一方先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、緩やかな回復にむかうことが期待されるものの、中国をはじめとするアジア新興国等の景気の下振れ等が国内景気を下押しするリスクとなっております。
このような状況の下、当社グループは、当連結会計年度をグローバルインターネットプレイヤーとして企業価値を持続的に向上させる事業基盤を強化する年度と位置付け、コスト管理の徹底を図りながら、主力のゲーム事業では競争優位性を一層高める取り組みを推進し、また、中長期的な成長が見込める構造的強みを持つ事業の創出及び育成を進めております。
売上収益は、前連結会計年度比で増加いたしました。利益率の高い国内ゲーム事業は前連結会計年度比で減収となった一方、中国のゲーム事業や新規事業、横浜DeNAベイスターズが主体のスポーツ事業等が増収となりました。
売上原価並びに販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比で増加いたしました。アプリ市場向けタイトルの開発・提供の進捗に従い、ゲーム内課金の決済関連費用等の支払手数料や人件費等が増加しました。
その他の収益には、第2四半期連結会計期間において、BtoB向けマーケットプレイス事業を譲渡したことに伴う売却益を計上しております。また、第4四半期連結会計期間において、株式会社横浜スタジアムを公開買付けにより連結子会社化したことに伴う負ののれん発生益を計上しております。その他の費用には、第1四半期連結会計期間に実施した欧米における体制及びゲームポートフォリオの見直しに伴う一時的な費用を含め、無形資産の除却費用等を計上しております。
以上の結果、当社グループの売上収益は143,709百万円(前連結会計年度比0.9%増)、営業利益は19,816百万円(同20.0%減)、税引前当期利益は20,853百万円(同26.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は11,325百万円(同24.2%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度よりセグメント区分を変更しており、セグメント別業績の比較・分析は、変更後のセグメント区分に組み替えて行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。
また、本項目において記載しているセグメントごとの売上収益については、従来はセグメント間の取引を調整後の外部顧客からの売上収益の金額を用いておりましたが、当連結会計年度よりセグメント間の売上収益を含んだ金額に変更しております。これに伴い、前連結会計年度のセグメントごとの売上収益についても組み替えて比較・分析を行っております。
① ゲーム事業
ゲーム事業の売上収益は109,640百万円(前連結会計年度比3.0%減)、セグメント利益は25,900百万円(同13.3%減)となりました。
主力の国内市場でのゲーム内仮想通貨(コイン)消費高は1,469億円(同1.4%減)となりました。ブラウザ市場向けのコイン消費は緩やかに減少しましたが、国内及び海外アプリ市場向けでは、主力タイトルのコイン消費が引き続き堅調に推移したほか、新規タイトルの開発・提供も進みました。当連結会計年度のアプリ市場向けタイトルにおけるコイン消費高は、国内では475億円(同113.7%増)、海外では187億円(同1.1%減)となりました。
なお、任天堂株式会社との業務・資本提携における協業タイトルの第1弾「Miitomo」につきましては、平成28年3月に配信を開始しました。
② EC事業
EC事業の売上収益は19,891百万円(前連結会計年度比1.7%減)、セグメント利益は2,643百万円(同12.6%増)となりました。
注力分野の一つである旅行に関しては、株式会社DeNAトラベルにおける取扱高が順調に成長しました。ショッピング、決済代行の各サービスも概ね安定して推移しましたが、有料会員数の減少によりオークションサービスは減収となりました。 なお、第2四半期連結会計期間よりBtoB向けマーケットプレイス事業はEC事業の売上収益及びセグメント利益に含まれておりません。
③ スポーツ事業
スポーツ事業の売上収益は9,892百万円(前連結会計年度比27.4%増)、セグメント損失は1,003百万円(前連結会計年度は1,389百万円の損失)となりました。株式会社横浜DeNAベイスターズは、2015年シーズンの主催試合の入場者数が増加し、好調に推移しました。なお、第4四半期連結会計期間中に株式会社横浜スタジアムが連結子会社となりました。
④ 新規事業・その他
新規事業・その他の売上収益は5,742百万円(前連結会計年度比84.0%増)、セグメント損失は4,706百万円(前連結会計年度は4,091百万円の損失)となりました。
当区分には、IP(知的財産)やコンテンツを構造的に生み出すことを目指すIP創出プラットフォーム事業、キュレーションプラットフォーム事業(注1)、ヘルスケア事業、オートモーティブ事業(注2)等を含んでおります。中でも、キュレーションプラットフォーム事業では各サービスの利用者数が増加基調で、広告収入等が徐々に立ち上がり始めるなどの成果が見られました。
コスト管理の徹底や投資の見極めを適切に行いつつ、中長期的な成長を見込める構造的強みを持つ事業を創出するべく、複数の領域で取り組みを進めてまいります。
(注1)キュレーションプラットフォームとは、インターネット上に散在する情報を、独自の観点で目利きするキュレーターと呼ばれる人たちが、各自が興味をもつテーマについてひとつの記事にまとめあげて公開できるウェブサイトまたはアプリのことです。
(注2)自動運転技術を活用したロボットタクシー等、自動車領域における事業です。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,445百万円増加し、75,169百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は26,707百万円(前連結会計年度は27,892百万円の収入)となりました。主な収入要因は税引前当期利益20,853百万円、減価償却費及び償却費11,286百万円であり、主な支出要因は法人所得税支払額7,765百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は39,986百万円(前連結会計年度は21,296百万円の支出)となりました。主な支出要因は有価証券及び投資有価証券の取得のための支出23,106百万円、無形資産の取得12,814百万円、子会社又はその他の事業の取得による支出6,098百万円であり、主な収入要因は有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入2,084百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は20,128百万円(前連結会計年度は3,803百万円の支出)となりました。主な収入要因は自己株式の処分による収入22,161百万円であります。
(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(のれんの償却に関する事項)
日本基準において、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日(平成23年4月1日)以降の償却を停止しております。
(ソーシャルゲームの開発費に関する事項)
日本基準において、ソーシャルゲームの開発費のうち製品マスター完成時点までに発生したものについては発生した会計期間の費用として計上しておりますが、IFRSではソーシャルゲームの開発費のうち要件を満たすものについては自己創設無形資産として資産計上しております。