有価証券報告書-第19期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/26 15:25
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事業等のリスク

以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社グループでは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 事業環境に関するリスク
①インターネット関連業界の変化及び新しい技術への対応について
インターネットの利用は現在、特にモバイル端末で活発さを増しており、多種多様な分野でのインターネットサービスが日々生み出されています。また、当社主力事業が属するモバイルゲーム市場も有意な規模に育っております。
当社グループは、特にモバイル向けインターネットサービスに強みを持ち、スマートフォン等のモバイル端末向けを中心に、ゲームをはじめ、各種サービスを展開していますが、当社グループが提供するサービスに関連した市場における新規参入によるシェアの急変や新たなビジネスモデルの登場等による市場の構造変化が、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、広告収入は一般的に、景気動向や季節的な要因による広告主の広告支出需要の変動の影響を受けやすい面があります。さらに、インターネットを活用したサービスの市場の拡大が進んだ場合であっても、当社グループが必ずしも同様のペースで順調に成長しない可能性があります。
また、インターネット関連の新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、エンジニアの人材確保ができない、または人材育成が図れない等により新技術に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、新技術に対応するために多大な支出が必要となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②モバイル端末のOS提供事業者への対応について
当社グループは、AndroidやiOSといったOS(オペレーティングシステム)を搭載したモバイル端末向けに事業を展開しておりますが、当該OSに関する事故等によってサービスが提供できなくなった場合、または当該OS上でサービスを提供する際にOS提供事業者より課される条件・ルール等の大幅な変更により従来どおりのサービスが提供できなくなった場合もしくは当該条件・ルール等の変更に対応するために多大な支出が必要となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③他社との競合について
当社グループは、最適なユーザビリティを追求したサイト等の構築、特色あるサービスの提供や商品の品揃え、取引の安全性の確保やカスタマーサポートの充実等に取り組み、競争力の向上を図っております。しかしながら、当社グループと同様にモバイル端末やPC向けにサービスを提供している企業や新規参入者との競争が激化することにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2) 各事業に関するリスク
①ゲームその他ソーシャルメディア事業について
ソーシャルゲームに代表される、コンテンツを用いた事業においては、ユーザの嗜好の移り変わりが激しく、ユーザニーズの的確な把握や、ニーズに対応するコンテンツの提供が何らかの要因によりできない場合には、ユーザへの訴求力が低下する可能性があります。
また、継続してコンテンツの拡充を図っていく必要がありますが、計画どおり進まない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループや外部デベロッパーの提供するコンテンツ及び業務委託先企業を含む外部パートナー企業が重大なトラブルを引き起こした場合、規約や約款の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があり、法的責任を問われない場合においても、ブランドイメージの悪化等により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②EC事業について
当社グループが運営するECサイトでは、原則として取引の場を提供するのみで売買の当事者とはなっておりませんが、取引の場を提供する立場から、法令に違反した商品や偽ブランド商品等の出品及び詐欺行為等の違法行為が行われないように、出品の監視等を行っております。また、当社グループの規約においては、出品された商品等に関する一切の事項や落札後の取引等について、当社グループが何らの責任を負わない旨、明記されております。さらに、当社グループは、通信販売業者による広告を規制する「特定商取引に関する法律」に基づき、かかる広告の掲載に関する独自の基準を設定して自主規制を行っております。加えて、通信販売業者との約款において、広告内容に関する責任の所在が通信販売業者にあることを確認しております。
しかしながら、当社グループが運営するECサイトで会員やその他利用者の間に重大なトラブルが発生した場合、規約や約款の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を負わない場合においても、ブランドイメージの悪化等により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③インターネット広告について
当社グループは、インターネットメディアを複数運営しております。今後、インターネット広告市場全体の動きや他社サービスとの競合の結果、広告商品単価が低下する等の可能性があるほか、広告代理店等に対する販売手数料及び広告主獲得のための費用の増加等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
その他広告主、媒体が、当社グループが提供する広告商品の利用にあたり、違法行為等の重大なトラブルを生じさせた場合、規約や約款の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。
④決済代行サービスについて
株式会社ペイジェントが提供する決済代行サービスにおいては、当サービスを利用する加盟事業者へ立替払いを実施する場合があるため、当該立替分を回収するまでの間の資金調達が必要となります。サービスの普及スピードが想定するペースを大幅に上回る場合、必要資金を適切なコストで調達できず、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
株式会社ペイジェントは、当サービスを利用する加盟事業者に対する管理責任を有しており、事前審査等による加盟事業者の信用情報等の取得に努めております。しかしながら、事前に想定することが困難な加盟事業者の責任による何らかの問題が明らかになった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、株式会社ペイジェントではクレジットカード情報保護における国際基準「PCI DSS」に準拠し、情報セキュリティマネジメントシステムの適合性評価制度である「ISO/IEC 27001:2005(JIS Q 27001:2006)(通称:ISMS)」を認証取得する等、国際基準を満たすセキュリティマネジメントに努めておりますが、当該基準で事前に想定することが困難な何らかの問題が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
今後、決済代行サービスに関する法規制等が定められ、当社グループの事業が制約を受ける場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤旅行代理店事業及び保険代理店事業について
当社グループは、旅行代理店事業及び保険代理店事業を行っておりますが、景気動向や地震等の予期せぬ災害、天候、その他国内外の情勢や消費者の嗜好等市場環境の変化、同業他社との競争激化等により、当該事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、当該事業に係る公的規制や「旅行業法」等の関係法令を遵守し事業を運営しておりますが、不測の事態により、万が一当該規制等に抵触しているとして旅行業登録取消の行政処分等を受けた場合、さらに、今後これらの法令等が強化され、もしくは新たな法令等が定められ、当社グループの事業展開が何らかの制約を受ける場合及び追加費用の発生等の事態が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
保険代理店事業につきましては、「保険業法」の他、「金融商品の販売等に関する法律」等の関係法令を遵守する必要があります。今後、これらの法令や規制が変更された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑥ヘルスケア事業について
当社グループは、ヘルスケア事業を行っております。当該事業においては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「医師法」その他の法規制に抵触しないようサービスを構築し、また研究開発を進めていますが、今後、当該事業分野あるいは取り扱う機器等に関して認定制度の適用や関連する法規制等の改正等、同事業が何らかの制約を受ける場合及び追加費用の発生等の事態が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。さらに、当該事業では、個人の健診情報、遺伝情報等機微性の高い情報を大量に取り扱うため、万一、情報漏洩や取り扱いの不備が生じた場合、当社グループへの多額の損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。
また、当該事業における遺伝子検査サービスに関連する市場は技術革新のスピードが速く、競争も激化することが予想されております。また、当社グループのサービスか否かに関わらず社会的・倫理的問題が提起される事態が発生する等の市場環境の変化が生じた場合または協業先の変更等が生じた場合、当該事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、遺伝子検査サービスにおいて、検査過誤が生じた場合、不測の事態により適切な環境下で検査が実施できない場合、または事業に必要な検査機器等に不足、不具合等が生じた場合等は、サービス提供の中止、販売製品の回収及び多額の損害賠償請求並びに当社グループに対する信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑦オートモーティブ事業について
当社グループは、モバイル端末を用いたカーシェアリングサービスや自動運転技術を用いたタクシー・貨物自動車運送等の実用化に向けた研究開発等を内容とするオートモーティブ事業を行っております。
当該事業においては、「道路交通法」、「道路運送法」その他の法規制に抵触しないようサービスを構築し、また研究開発を進めてまいりますが、関連する法規制等の改正等により同事業が何らかの制約を受ける場合及び追加費用の発生等の事態が生じた場合、並びに事業化に必要な法規制等の改正等がなされない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、当該事業分野においては、人身事故や物損事故等の交通事故が発生する可能性、利用者間または利用者と第三者との間に重大なトラブルが発生する可能性等があり、その直接的または間接的な原因が当社グループのサービス等にあるとされた場合、サービス等の提供の中止及び多額の損害賠償請求並びに当社グループに対する信用及びブランドイメージの低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。さらに、同分野は新技術の開発が継続して行われており、新技術に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、新技術に対応するために多大な支出が必要となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑧スポーツ事業について
当社グループでは、プロ野球球団「横浜DeNAベイスターズ」の運営をはじめとするスポーツ事業を行っております。
当該事業においては、対象となるスポーツ業界の動向の変化が、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、運営するチームの競技成績が観客動員数及び収益等に影響を与える可能性があり、さらに、競技成績の向上のためのチームの補強や設備投資等による支出が、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。さらに、当社グループでは「横浜スタジアム」の所有者である横浜市と、プロ野球等興行開催の優先的使用等を内容とする契約を締結した上で、当該スタジアム施設の運営を行っておりますが、当該契約に定める条件が充足できない場合または利用条件の変更等があった場合には、当該スタジアム施設の利用ができなくなったり、利用に制約が生じたりする等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨新規事業について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も引き続き、積極的に新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えであります。これによりシステム投資、広告宣伝費、開発に要する人件費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービス、新規事業を開始した際には、そのサービス、事業固有のリスク要因が加わると共に、予測とは異なる状況が発生する等により新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑩投資育成について
当社グループは、高い成長力を持つ企業を早期から育成・支援することを目的にベンチャー投資及び投資事業有限責任組合(ファンド)への出資を実行しております。当該出資等の対象とする未公開企業は、市場環境の変化並びに開発能力及び経営管理能力の不足等、将来性において不確定要素を多数抱えており、期待した成果を上げることができず業績が悪化した場合には、これらの投資が回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑪海外事業について
当社グループは、海外での事業展開と強化に経営資源を積極的に投入しております。しかしながら、グローバルな事業展開を行っていく上で、各国の法令、制度、政治・経済・社会情勢、文化・宗教・ユーザ嗜好・商慣習の違い、為替等をはじめとした様々な潜在的リスクが存在し、それらのリスクに対処できないこと等により事業推進が困難となった場合には、投資回収が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。事業の展開等が計画どおりに進まない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、海外子会社の財務諸表は現地通貨にて作成されるため、連結財務諸表作成時に円換算されることになり、為替相場の変動による円換算時の為替レートの変動が当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
今後、外貨建ての取引が増加し、当初想定した為替レートと実勢レートに著しい乖離が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑫不特定多数の個人を対象とする事業について
当社グループが運営する「Mobage」をはじめとした不特定多数の個人ユーザを顧客とするサイト等におきましては、有料課金サービスの利用により発生するユーザに対する売上債権は、その多数を小口債権が占めております。携帯電話事業者その他決済事業者の回収代行サービスを利用していること等により、未回収債権が発生する割合は限定的ではありますが、サービス利用者の拡大に伴い、未回収となる小口債権が急増した場合には、その債権回収コスト及び未回収債権が増加し、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、ユーザ間で行われるコミュニケーション機能等を提供するサービスにおいては、他人の所有権、知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等の侵害行為や法令違反行為等、不適切な行為が生じる可能性があります。
当社グループにおいては、監視体制の維持強化等に継続して取り組んでおりますが、ユーザによるサイト等内の行為を完全に把握することは困難であり、ユーザの不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合には、会員規約や約款の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、ブランドイメージの悪化等により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(3) 業務提携、M&A等に関するリスク
①他社との業務・資本提携等について
当社グループでは、業務・資本提携、合弁等を通じた事業の拡大に取り組んでおります。当社グループと提携先・合弁先の持つ事業運営ノウハウ等を融合することにより、大きなシナジー効果を発揮することを目指しておりますが、当初見込んだ効果が発揮されない場合、またはこれらの提携等が解消された場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、資本提携等に伴い取得した株式等の有価証券について、発行会社の業績や金融市場の動向その他の要因により有価証券の資産価値が変動した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
②M&A(企業買収等)による事業拡大について
当社グループは、事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、M&Aを有効に活用してまいる方針です。M&Aにあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスクを吟味した上で決定しておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、事業の展開等が計画どおりに進まない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、企業買収等により、当社グループが従来行っていない新規事業が加わる際には、その事業固有のリスク要因が加わります。
(4) 通信ネットワークやコンピュータシステムに関するリスク
当社グループの事業は、モバイル端末やPC等のコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに全面的に依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績は深刻な影響を受けます。
また、当社はデータセンターの分散化等の対策を行っておりますが、当社グループの運営する各サイト等へのアクセスの急激な増加や電力供給の停止等の予測不可能な様々な要因によってコンピュータシステムがダウンした場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループのコンピュータシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう努めておりますが、不正アクセス等による情報漏洩等が生じた場合や、コンピュータウイルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(5) 経営体制に関するリスク
①人的資源について
当社グループは、近年ゲーム分野を中心に急速に事業領域を拡大してまいりましたが、今後もさらなる業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、グループ内の各部門において人材の強化が必要となると考えられます。しかしながら、事業規模の拡大に応じた人材育成や外部からの人材採用等が計画どおりに進まず、適正な人材配置がなされない場合には、競争力の低下や業容拡大の制約要因となり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②内部管理体制について
当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しております。
当社は、コンプライアンス・リスク管理部門が内部統制報告制度(J-SOX)に対応するほか、内部監査を担当する専任部門や監査役支援を担当する専任部門を設置する等、内部管理体制の充実に努めております。
しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③災害復旧対策等について
当社グループの主要な事業所は首都圏に集中しており、同所において、地震・台風等の自然災害や、新型インフルエンザ等の感染症の流行その他の事業活動の継続に支障をきたす事象が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(6) コンプライアンスに関するリスク
①サイト等の健全性の維持について
当社グループの提供する「Mobage」やオークションサービス等は、不特定多数の個人ユーザが、各ユーザ間において独自にコミュニケーションを取ることを前提としております。
当社グループは、健全なコミュニティを育成するため、ユーザに対し、利用規約において社会的問題へと発展する可能性のある不適切な利用の禁止を明示しております。例えば、出会いを目的とする行為や他人の権利を侵害する行為または他人の権利侵害へと発展する可能性のある行為等を禁止しております。その他ユーザ間のコミュニケーション等のモニタリングを随時行い、規約に違反したユーザに対しては、改善の要請や退会等の措置を講じる等の対応を行っております。
加えて、当社内に設けられた代表取締役社長を議長とする「健全コミュニティー促進委員会」において、コミュニティを維持発展させ健全性を保つための手段を即時に講じうる体制を整えております。さらに、適切なサービス利用を促進させるためにサイト等を利用する上でのマナーや注意事項等をより一層明確に表示し、若年層におけるコミュニケーションの機能等を制限するとともに、モニタリングシステムの強化やサイトパトロール等のための人員体制の増強等、システム面、人員面双方において監視体制を継続的に強化し、健全性維持の取り組みを継続しております。
なお、「Mobage」におきましては、一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)よりサイト等の運営体制が一定以上の水準にあることを客観的に示す、「モバイルコンテンツ運用管理体制認定基準」適合サイトとして認定を受けております。
しかしながら、ユーザのサイト等における行為を完全に把握することは困難であり、ユーザの不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合には、会員規約や約款の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、ブランドイメージの悪化等により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
今後も、事業規模の拡大に伴い、サイト等の健全性の維持、向上のために必要な対策を講じていく方針でありますが、これに伴うシステム対応や体制強化の遅延が生じた場合や、対応のために想定以上に費用が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②ソーシャルゲームの利用環境向上について
当社グループは、コンピュータエンターテインメント産業の振興を推進すべく、プラットフォーム事業者各社、ゲーム提供会社らが参加する一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)等と連携を取りながら、ユーザによる適正利用の促進と利用環境向上のための様々な取り組みを推進しております。今後も必要な施策を実施してまいりますが、これに伴うシステム対応や体制整備に遅延等が発生した場合や、整備に想定以上の費用が発生した場合、あるいは規制強化等により提供するサービスに何らかの大きな制約が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③法的規制等について
当社グループが運営するサービスは、「消費者契約法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「個人情報の保護に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の法的規制を受けております。そのほか、当社グループのうち、電気通信事業を行う事業者は「電気通信事業法」における電気通信事業者として同法の適用を受けております。
「Mobage」等のSNS機能を提供しているサービスは、ユーザ間の健全なコミュニケーションを前提としたサービスであり、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」に定義される「インターネット異性紹介事業」には該当しないものと認識しております。さらには、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」では、携帯電話事業者等によるフィルタリングサービス提供義務等が定められております。当社グループは、前述のとおりサイト等の健全性維持の取り組み強化を継続して実施しており、フィルタリングサービス利用時においてもユーザがアクセス可能な状態を最大限達成することを目指しております。
「資金決済に関する法律」に関し、「Mobage」内のゲーム内専用仮想通貨「モバコイン」等が適用の対象となります。当社グループは、その法律に沿った運用を行っております。
当社グループは、システム開発やコンテンツ制作等を外注している場合があり、それらの取引の一部は「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の適用対象となります。当社グループでは、下請法について従業員に対し定期的に研修を実施しております。
また、当社グループの提供するサービスの事業規模・市場の状況等によっては当社グループが行う施策の実施、またはその根拠となる規約の内容等につき「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)に留意が必要です。加えて、当社グループが海外事業を展開する上では商取引、広告、景品、個人情報、プライバシー、未成年保護、独占禁止、知的財産権、消費者保護、仮想通貨等に関する法規制並びに事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可等諸外国・地域の法規制が適用されます。
当社グループは、日本及び諸外国・地域の上記を含む各種法的規制等について誠実な対応をしておりますが、不測の事態等により、万が一当該規制等に抵触しているとして契約等の効力が否定された場合、当社グループが何らかの行政処分等を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化・改正され、もしくは新たな法令等が定められ、当社グループの事業が制約を受ける場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
なお、法的規制につきましては、(2)②④⑤⑥⑦及び(6)④もご参照ください。
④個人情報保護について
当社グループ国内各社は、サービスの提供にあたり、会員情報やクレジットカード情報等の個人情報を取得し利用しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課されております。個人情報については、社長を委員長とする「個人情報管理委員会」のもと、個人情報管理規程及びガイドラインを制定し、個人情報の取り扱いに関する業務フローを定めて厳格に管理しております。
しかしながら、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社グループに対する信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤第三者との係争について
当社グループは、コンプライアンス研修の推進等、役員、従業員の法令違反等の低減努力を実施しています。しかしながら、当社グループ及び役員、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、ユーザ、取引先、従業員その他第三者との予期せぬトラブル、訴訟等が発生する可能性があります。また、特許権等の知的財産権による訴訟についても後述のとおり訴訟のリスクがあるものと考えております。
かかる訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生やブランドイメージの悪化等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(7) 知的財産権に関するリスク
当社グループは、運営するサイト等及びサービスの名称について必要に応じ商標登録をしております。また、当社グループが独自開発するシステムやビジネスモデルに関しても、特許権等の対象となるものについては、必要に応じその知的財産権を取得する等、権利保護に取り組んでおります。しかしながら、第三者が保有する知的財産権等の内容によっては、当社グループへの訴訟等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
一方、第三者の知的財産権を侵害することのないよう、コンプライアンス研修の実施や監査・管理部門によるチェック体制強化等を推進しておりますが、当社グループが運営する各サービスのシステム、ビジネスモデル及びサイトに掲載する画像・テキスト等に関して知的財産権の侵害等を理由とする第三者からの訴訟等が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(8) キュレーションプラットフォーム事業に関連する問題の影響
当社グループは、「新規事業・その他」のセグメント区分に属するキュレーションプラットフォーム事業(以下「本件事業」という。)において、「著作権法」等法令に違反する可能性がある記事及び内容が不適切な記事が作成・公開されているという指摘を受け、平成28年12月7日までに、本件事業における記事の公開を停止いたしました。当社は、当該問題に関し、詳細な事実関係の調査及び原因の究明並びに改善策の検討等が必要であると判断し、同年12月15日、当社との利害関係を有しない独立した委員のみで構成する第三者委員会を設置し、平成29年3月11日に第三者委員会から調査報告書を受領し、同年3月13日に公表いたしました。
当社は、第三者委員会の調査結果及び提言等も踏まえ、再発防止のための抜本的な改革として、コーポレート・ガバナンス及び内部統制(リスク管理、コンプライアンス、グループ会社管理を含む)の体制を見直し、強化を図るとともに、当社グループ全役職員の意識改革に取り組み、当社の企業イメージや信用の回復にも努めてまいりますが、当該問題に関しては以下の可能性があり、その結果、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
・本件事業を再開する場合における、本件事業の運営プロセスの抜本的見直しや再構築
・当社ブランド及び信用の毀損による当社グループの商品・サービスの販売不振及び当社グループにとって重要な取引・提携等の見直しや解消等
・本件事業のユーザ、取引先、提携先及び権利者等からの補償等の請求等に伴う費用・損失の発生
・本件事業において「著作権法」等の法令違反があったと判断された場合における、刑事罰や行政処分の発生