有価証券報告書-第21期(平成27年5月1日-平成28年4月30日)

【提出】
2016/07/25 10:23
【資料】
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【項目】
83項目

業績等の概要

(1) 業績
当事業年度における我が国経済は、企業収益に改善が見られ、安定した雇用情勢を背景に個人消費が堅調に推移するなど、景気は緩やかな回復基調で推移してまいりましたが、足元の急激な円高や新興国を中心とした海外景気の下振れ懸念などを要因として、先行きが不透明な状況となっております。
景気動向に左右されにくい葬祭市場に対し、遺影写真等画像映像のデジタル加工や通信出力サービスを主に提供するメモリアルデザインサービス事業、1冊から本格的写真集という新しい写真のアウトプット手法を提案するチャレンジングなビジネスであるパーソナルパブリッシングサービス事業、空中結像という今までにないユニークな技術で、新しい市場を創造し、夢の実現を目指すエアリアルイメージング事業、それぞれに位置づけや特色が異なる三つの事業を展開してまいりました。
平成27年7月は当社設立20周年にあたり、これまでお世話になった方々へ感謝の記念行事を開催いたしました。
前事業年度にリリースしました「ギフトネットコム」は、想定どおりにはサービスの受け入れが進まず、残念ながら平成27年10月末をもってサービスを終了いたしました。
セグメント別の概況を示すと、次のとおりであります。各セグメントの業績数値にはセグメント間の内部売上を含んでおります。
① メモリアルデザインサービス事業
当事業におきましては、引き続き画像処理の高い技術力や充実した自社サポート体制という強みを生かし、着実に新規顧客を獲得するとともに、既存顧客には、葬儀演出用ツールや額などの商材、Eコマースサービスなどを紹介し、その浸透を図ってまいりました。
新規顧客は堅調に獲得しましたものの、暖冬の影響により葬儀施工件数が例年より減少したため、遺影写真加工収入が微増にとどまりました。一方、サイネージなどの葬儀演出ツールや、額・サプライ品の売上は順調に推移いたしました。
利益面におきましては、経費の適切なコントロールに努めてまいりましたが、相対的に利益率の高い遺影写真加工収入が伸び悩んだため、セグメント利益は想定を下回り、前期比微増にとどまりました。
以上の結果、売上高は2,332,106千円(前期比102.2%)、セグメント利益は764,553千円(前期比101.0%)となりました。
② パーソナルパブリッシングサービス事業
当事業では、国内プロフェッショナル写真市場は「アスカブック」、海外プロフェッショナル写真市場では「AsukaBook」、国内一般消費者市場は「マイブック」ブランドで展開しております。
国内プロフェッショナル写真市場では、自社営業による顧客獲得に加え、展示会の出展や全国デジタルフォトセミナーの開催などにより市場へのさらなる浸透を図ってまいりました。その結果、主力製品である「ZENレイフラット」を中心に売上は堅調に推移いたしました。
国内一般消費者市場では、競争環境が厳しい中、各種キャンペーンやイベント、フォトコンテストなどの企画を積極的に行い、写真愛好家層などデザインや品質を重要視する層を中心に囲い込みに注力してまいりました。また、展示会「CP+」に出展し、サービスの浸透を図ってまいりました。
本事業年度にはOEM供給を本格的に開始し、売上は想定を下回りましたものの、注文は増加しており、一定の成果を上げてまいりました。さらに、平成28年2月には、スマホやタブレットから気軽に発注できる「MYBOOK LIFE」をリリースいたしました。
利益面におきましては、生産効率が向上し、経費も適切にコントロールしたことに加え、会計方針を変更した影響により減価償却費が減少したため、立ち上がり時期のOEM供給についてはまだ採算があっていないものの、セグメント利益は順調に伸長しました。
以上の結果、売上高は2,781,445千円(前期比105.4%)、セグメント利益は543,161千円(前期比110.6%)となりました。
③ エアリアルイメージング事業
当事業は、空中結像技術を用いた新しい画像・映像表現により市場を創造することを目指し、平成23年3月に開始しました事業であります。
当事業におきましては、空中結像を可能にするAIプレートの量産化を最重要課題として取り組んでおります。
ガラス製プレートにつきましては、ある程度確立している量産体制における品質の改善、歩留まりの向上、大型プレートの製作に取り組んでまいりました。また、複数の生産ルートを確立すべく試作を進めました。
樹脂製プレートにつきましては、新製法とガラス製の生産方式と同様の手法の双方でトライを継続しております。ガラス製の生産方式と同様の手法での試作品は、小型プレートにはなりますが、品質は向上しており、サンプル販売を開始しております。一方、新製法につきましては、依然として、最大の課題であります鏡面加工(蒸着)の工程におきまして、技術的な解決をしておりません。解決に向けて、さまざまな手法でトライしているところですが、想定以上の時間を要しているのが現実であり、遅くとも平成29年4月期中には、新製法か、ガラス製の生産方式と同様の手法かのどちらかに絞り込む方針であります。
マーケティング面におきましては、平成27年10月に出展したCEATEC以降多くの反響をいただき、さらに約60の企業等への納品をしておりますが、価格面で充分にマッチしていないことや、大型プレートへの要望などにより、限られた用途での売上や小ロットでの売上に留まっております。今後は、これまで引き合いのあった企業への営業を継続するほか、平成28年6月にはデジタルサイネージジャパンに出展し、サイネージ用途でのマーケティングに注力し、中ロットでの受注につなげてまいりたいと考えております。
研究面におきましては、従来より開発に取り組んでおりました再帰反射による視野角拡大型プレートの初期試作が完成し、まだ開発途上ではありますが、デジタルサイネージジャパンに参考出品いたします。また、積極的に特許の申請、取得を進めており、平成28年3月にはパイオニア株式会社より、空中結像に関する特許を取得いたしました。
以上の結果、売上高は58,336千円(前期比103.5%)、セグメント損失は88,845千円(前期は82,108千円の損失)となりました。
④ その他
「ギフトネットコム」は平成27年10月末をもってサービスを終了いたしました。
その結果、粗利ベースでの手数料収入は1,607千円(前期比140.9%)、セグメント損失は16,176千円(前期は94,822千円の損失)となりました。
以上の結果、売上高は5,173,363千円(前期比103.9%)となり、利益面につきましては、OEM供給に伴う先行費用が発生したものの、前事業年度計上しましたギフトネットコムの損失の減少、会計方針の変更に伴う減価償却費の減少等により、経常利益は776,468千円(前期比120.7%)、当期純利益は547,006千円(前期比128.7%)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、設備投資、ソフトウェア開発投資を行うとともに、自己株式の取得を行った一方、確実な利益の計上により営業活動からの資金を順調に獲得した結果、前事業年度末に比べ、207,606千円増加し、1,313,143千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、765,127千円(前事業年度は757,933千円の獲得)となりました。これは主に税引前当期純利益771,665千円、減価償却費273,401千円を計上した一方、法人税等の支払額として185,452千円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、357,110千円(前事業年度は680,353千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得249,857千円、無形固定資産の取得106,499千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、200,401千円(前事業年度は278,063千円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払132,606千円、自己株式の取得91,068千円によるものであります。