有価証券報告書-第21期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/23 15:04
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の財政政策及び日銀の金融政策を背景に、企業収益は堅調に推移しており、雇用情勢も改善が見られ、緩やかな回復基調が続いておりました。その一方で、中国をはじめとするアジア新興国の景気減速懸念、原油価格の動向に対する懸念から株式市場が乱高下するなど、わが国経済における先行きの不確実性は高まりつつあります。
当社グループが属する業界におきましては、平成27年2月より、NTT東日本とNTT西日本から「光コラボレーション」が開始されました。「光コラボレーション」とは、NTT東西が提供している「フレッツ光」に付加価値を付けて提供出来る自社サービスになります。また、マイナンバー制度(社会保障と税の共通番号制度)も平成28年1月から利用が開始され、いよいよ中堅・中小企業においても「セキュリティ強化」などの対応が求められる時期に入っております。
このような事業環境のもと、当連結会計年度における当社グループでは、引き続き、新卒社員70名を増員し、ストック収益の向上、プル型による市場・顧客開拓力の向上、資本・業務提携などによるグループの強化に取り組んでまいりました。
これら取り組みの一環として、当社では、平成27年7月22日より光コラボレーションモデルの光回線『スターティア光』とインターネット接続サービス(ISP)をセットにしたインターネット接続プランを開始し、新規顧客獲得もさることながら、当社の既存顧客への重ね売りを重要視しており、新人育成のひとつの商材として活用しております。また、毎月安定した収益計上ができることに加え、顧客の囲い込みにもきわめて有効であると考えております。
また中堅・中小企業へマイナンバー制度の対策である「ネットワークセキュリティ強化」の需要が増加すると見込み、関連するセミナー等を積極的に開催し集客を行い、マイナンバー対策に役立つセキュリティ機能がセットになったファイルサーバーや法人向けオンラインストレージサービス「セキュアSAMBA(セキュア サンバ)」を活用したマイナンバー制度に対応した新プランの提供を行っております。
当社グループでは、電子ブック作成ソフトを中心としたWEBアプリケーションと、クラウドソリューションを始めとした ITインフラの提供による情報の集約と収益化をサポートするITソリューションベンダーとして事業規模拡大に努めてまいりました。更にスマートフォンの急速な普及に伴うソーシャルメディアの利用者の拡大で、O2O(オンライントゥオフライン)関連事業にも注目が集まっておりますが、この領域に関連した新サービスを投入して商材拡充にも努めてまいりました。
また当社では、第1四半期連結会計期間よりその他事業を付け加えております。主な事業内容は、キャピタルゲインの獲得を目的としたベンチャー企業への投資事業となっております。平成26年8月20日に発表いたしました『新・中期3ヵ年利益計画』に則し、中長期に亘っての当社グループの成長を、これまで同様に揺るぎないものとするために、2年目となる当連結会計年度も引き続き、今後の成長に必要不可欠な先行投資を積極的に行いました。
しかしながら、ウェブソリューション関連商材の販売の低迷により、第3四半期連結累計期間において計画しておりました営業利益を下回った状況や、資本・業務提携先において、当初目論んでいた業績と乖離した結果となっているところも存在する状況を鑑み、平成28年1月29日に通期業績予想の修正の発表を行いました。
当第4四半期連結会計期間におきましては、これまで培った顧客管理データの蓄積により効果的及び効率的な営業活動を実施できたこと、さらには直販部門の営業社員の成長向上により収益が改善した結果、当第4四半期連結会計期間では第3四半期連結累計期間までと比べて、営業利益が回復いたしました。また、為替市場において急激な円高が進み、保有している外国通貨に対する為替差損が生じたものの、当社の持分法適用関連会社の業績は好調に推移いたしました。
その結果、当連結会計年度における業績は、売上高10,171,029千円(前期比17.1%増)、営業利益503,522千円(前期比32.6%減)、経常利益544,653千円(前期比38.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益253,046千円(前期比57.3%減)となりました。
セグメント別の業績を示すと、次の通りであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、コーポレートベンチャーキャピタル事業を開始しております。当該事業の開始により報告セグメントに「その他事業」を追加しております。
また、第1四半期連結会計期間からネットワークソリューション関連事業に属していた「Digit@Link ネットレスQ(デジタリンク ネットレスキュー)」の販売を行っている小規模ネットワーク部門を、顧客ターゲット層が同じであるOA機器との双方向の重ね売りの活性化を目的としてビジネスソリューション関連事業に組織移動を行ったため、報告セグメントの区分をネットワークソリューション関連事業からビジネスソリューション関連事業へ変更しております。以下の前期比較につきましては、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(ウェブソリューション関連事業)
当連結会計年度におけるウェブソリューション関連事業は、以下の通りであります。
ウェブソリューション関連事業におきましては、「ActiBook(アクティブック)」や、「ActiBook AR COCOAR(アクティブックエーアールココアル)」(以下「COCOAR」といいます)、「App Goose(アップグース)」、「CMS Blue Monkey(シーエムエスブルーモンキー)」、「Plusdb(プラスディービー)」を始めとしたWebアプリケーションの企画、開発、販売に留まらず、Web制作やアクセスアップコンサルティング、システムの受託開発・カスタマイズといった顧客の売上増大や業務効率アップを目的としたWebアプリケーションに関するトータルソリューションを提供しております。
COCOARにつきましては、当第4四半期連結会計期間は第3四半期連結会計期間と比較して売上高を伸ばすことが出来ましたが、第3四半期連結累計期間までに生じた遅れを取り戻すまでには至らず、当連結会計年度における予算比及び前連結会計年度比では引き続き低調な推移となりました。しかしながら、イベント(テレビ東京のイベント「ナナナ展」での活用)やキャンペーン企画(江崎グリコ『アーモンドピーク』とコロプラ『黒猫のウィズ』および『白猫プロジェクト』のキャンペーン)などクライアントの有効活用が進んだ結果、アプリのダウンロード数は伸びており80万ダウンロードを突破しております。また、営業部門が当連結会計年度において取り組んでまいりました営業手法が浸透してきたことにより、採用企業数も増加しCOCOARの広告価値が向上しております。
ActiBookにつきましては、当第4四半期連結会計期間においても販売の苦戦は続いております。主な要因といたしましては、第3四半期連結累計期間と同様に、企画から開発まで請け負うカスタマイズ案件の増加が見られなかったことや、営業ターゲットの変化に対する対応が遅れているためであります。しかしながら、ActiBookアプリのダウンロード数は第3四半期連結会計期間時点での予測通り202万ダウンロードまで伸ばすことが出来ております。
AppGooseにつきましては、引き続き販売数が堅調に推移しております。平成28年2月にAppGooseのオプションサービスのスマートフォンサイト制作支援ソフト「creca(クリカ)」をリリースしており、店舗アプリ制作から幅広い業界への提案が可能になっております。
CMS Blue Monkeyにつきましては、フロー売上高としては当第4四半期連結会計期間と第3四半期連結会計期間を比較して132%と、年度末の需要の高まりにより増加しております。ストック売上高としては前連結会計年度比の160%という結果となっており、当サービスの課題であったストック売上高が改善されてきております。これはCMS Blue Monkeyの新プランとして独自ドメインSSLなどのセキュリティを強化した上位のプランの販売が順調に推移していることが要因であります。
その結果、ウェブソリューション関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高1,837,792千円(前期比10.0%減)、セグメント利益(営業利益)12,700千円(前期比96.5%減)となりました。
(ネットワークソリューション関連事業)
当連結会計年度におけるネットワークソリューション関連事業は、以下の通りであります。
ネットワークソリューション関連事業におきましては、中規模・中小企業向けのマネージドサービス及び、既存顧客へのインテグレーションサービスが好調に推移し、第3四半期連結会計期間に引き続き、前第4四半期連結会計期間を大きく上回る結果となりました。
マネージドサービスには、ゲートウェイ周りのソリューションである「Digit@Link マネージドゲート(デジタリンクマネージドゲート)」や「Gate Care(ゲートケア)」などが好調に推移いたしました。また、平成28年1月から利用が開始されたマイナンバー制度の影響を受け、多くの企業がセキュリティに関する対策の検討を始めました。当社ではそれにさきがけ、平成27年9月よりマイナンバー専用サービスである「セキュアMyNUMBER(セキュアマイナンバー)」の販売を開始いたしました。セキュアMyNUMBERの特徴は、個人番号の収集業務をクラウド(インターネット)経由で行うため、通常は対面・メール・郵送で収集を行う作業に比べ安全かつ、収集を行う企業とマイナンバーを提出する従業員の双方における作業負担を大幅に軽減できることから、社員数の多い中堅企業を中心にニーズが高まっており、商談数も順調に伸びております。
インテグレーションサービスにつきましては、顧客のインフラサーバの老朽化に伴う入れ替えや、ネットワーク環境の高速化による全体的な更改などの要望に加え、クラウド環境への全面的な移行など幅広いニーズに応えることができております。また、アマゾン・データ・サービス・ジャパンのアマゾンウェブサービス上に、ネットワークシステムの管理と情報漏洩対策用のサーバー構築を行うサービスを開始いたしました。インテグレーションサービスは、中小企業においても、クラウド利用の有効性が認知されてきており、今後のニーズの高まりに対応できる体制を構築していく計画であります。
その結果、ネットワークソリューション関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高2,549,034千円(前期比24.2%増)、セグメント利益(営業利益)183,967千円(前期比13.9%減)となりました。
(ビジネスソリューション関連事業)
当連結会計年度におけるビジネスソリューション関連事業は、以下の通りであります。
ビジネスソリューション関連事業におきましては、NTT東日本・NTT西日本から「光コラボレーション」が開始されたのを受け、東日本エリアは平成27年4月中旬、西日本エリアは同年5月初旬より新サービス「スターティア光」の提供を開始し、顧客基盤の拡大と新たなストック収益の柱として営業展開を行いました。主に既存顧客に対して順調に販売数を伸ばしており、フック商材としても一定の効果が得られております。また、新卒社員研修機関であるキャリアプロデュース営業部により、新規顧客数も順調に伸ばしております。
OA機器販売におきましては、MFP(MultiFunctionPrinter 複合機と同称)販売を重点商材として営業展開を行いました。前連結会計年度に引き続きカラー複合機に重点を置き、地域密着型の営業活動によりメンテナンスの更なる強化を行うことで顧客満足度を向上させた結果、堅調に推移し、さらにビジネスホンの重ね売りができたことにより販売も堅調に推移いたしました。また、平成27年10月1日に鹿児島県鹿児島市を中心として、MFPのリース販売・レンタルサービス、およびカウンターサービスを中心に提供している株式会社エヌオーエスを株式取得による子会社化を行い、南九州地域における新規顧客の獲得、クロスセルによる新規顧客との取引拡大により、既存ビジネスのスケールメリットを図っております。
また、昨今のセキュリティインシデントに対しての対策意識が高まっていることや平成28年1月より利用開始されたマイナンバー制度も影響し、セキュリティ関連商材の重ね売りが活発化したことおよび第1四半期連結会計期間から小規模ネットワーク部門をビジネスソリューション関連事業に組織移動を行ったことにより、MFPと絡めた付加価値のある複合提案を行うことで好調に推移いたしました。
ソフトバンク株式会社が提供する電話サービスであるおとくラインの受付案内、登録作業、現地調査等の加入に必要な手続きを同社に代わって行う回線接続受付におきましては、営業人員を減少させ、一人あたりの生産性を高めることに注力いたしました。
その結果、ビジネスソリューション関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高5,784,202千円(前期比26.1%増)、セグメント利益(営業利益)452,962千円(前期比103.9%増)となりました。
(その他事業)
当連結会計年度におけるその他事業は、以下の通りであります。
その他事業におきましては、第1四半期連結会計期間から開始いたしましたコーポレートベンチャーキャピタル事業を行っております。
当該事業は、キャピタルゲインの獲得を目的としたベンチャー企業への投資事業を専門に行うために平成26年11月1日にコーポレートベンチャーキャピタル室(平成27年4月1日付けでコーポレートベンチャーキャピタル事業推進室に名称変更。以下CVC室)を新設いたしました。CVC室では、斬新なアイデアや革新的なテクノロジーによって新しいビジネスの開拓に挑むITベンチャー企業に出資をすると同時に、当社グループの顧客基盤やITソリューション力といった経営資源を活用することで、投資先企業の成長をサポートする事業を行っております。同時に、そうした投資先との資本を通した連携により当社グループ内にイノベーションを誘発し、新たな企業価値を生み出すことを目指しております。当連結会計年度におきましては、平成27年6月に勉強ノートまとめ共有アプリ「Clear(クリア)」を開発、運営しているアルクテラス株式会社にリードインベスターとして出資を行いました。また、平成28年1月に児童創作物の共有サイトを開発、運営しているCreatubblesへ出資を行いました。
その結果、その他事業の当連結会計年度における売上高はなく、セグメント損失(営業損失)66,942千円(前年実績なし)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は2,620,183千円(前期比12.2%増)となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下の通りです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは366,738千円の収入となりました(前連結会計年度は768,840千円の収入)。その主な内容は、税金等調整前当期純利益510,756千円や減価償却費418,277千円の計上がありましたが、その一方で、法人税等の支払額286,744千円や未払消費税等の減少55,166千円、未払金の減少40,853千円によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは762,919千円の支出となりました(前連結会計年度は595,933千円の支出)。その主な内容は、事業譲渡による収入40,000千円がありましたが、その一方で、固定資産の取得による支出510,947千円、投資有価証券の取得による支出190,919千円、営業譲受による支出105,500千円があったことなどによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは705,957千円の収入となりました(前連結会計年度は82,119千円の支出)。その主な内容は、長期借入れによる収入1,022,000千円がありましたが、その一方で、長期借入金の返済による支出198,176千円や配当金の支払額117,253千円があったことなどによるものであります。