有価証券報告書-第22期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/20 12:40
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策及び日銀の金融政策の影響により、企業雇用や所得において若干の改善が見られたものの、一方で急激に進んだ円安も国内企業の輸出増加には十分につながらず、逆に原材料、エネルギーのコストの高騰から貿易収支は過去最大の赤字となりました。また、海外経済において中国をはじめとする新興国市場を中心とした景況感の悪化、テロ紛争問題等、今後の先行きについて不透明な状況の中で推移してまいりました。
当社グループの事業分野であるインターネットサービス市場においては、Internet of Things(IoT、モノのインターネット)(※)の概念が急速に拡がっております。あらゆるモノがインターネットに繋がるためには、安定、信頼性の高いセキュアなインターネットインフラが不可欠となります。当社グループは、インターネットインフラに関わる事業者として、これらの時代の変化を見据え、「安定、信頼性の高いクラウド・ホスティングサービス」、「安全な通信を実現するためのセキュリティ認証」、そして「複数のアイデンティティ情報と、それぞれに異なるアクセス権限の一元管理」を事業の柱として、市場の期待に応えながら、IoT社会の拡大に貢献してまいります。
このような事業環境の中、当社は平成26年10月に東京証券取引所マザーズ市場から同取引所市場第一部に変更いたしました。クラウドサービスの会員数が堅調に伸長していること、またセキュリティサービスにおいても、海外を中心に順調に業績を伸ばしていることから、更なる成長に向けての市場変更となります。この度の市場変更を機に、インターネットインフラ事業者として、より一層信頼されるサービスを提供してまいります。
クラウド・ホスティング事業は、他社クラウドとの「互換性」と「拡張性」を特徴とする新クラウドサービス「GMOクラウドALTUS(アルタス)」を発表いたしました。当該サービスにより、技術要求レベルの高いユーザー層までターゲットを拡げるとともに、これまでに無いサービスの提供が可能となりました。また、長年培ったITインフラ企業としてのノウハウを活かし、平成27年より開始した新規事業であるエネルギーマネジメント事業商材への開発投資を行ってまいりました。
セキュリティ事業は、海外を中心に大手クライアントに対する電子証明書を一定数まで自由に発行できるライセンスディールの販売が増加、また円安が急激に進んだことで為替の影響を受けました。
第4四半期より新たに開始したIAM事業は、海外においては、認知向上のため展示会への参加、国内においては平成27年より営業活動を開始するにあたり、パートナー研修等を通し販売体制構築を進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高10,490,260千円(前年同期比4.8%増)、営業利益850,498千円(同10.2%減)、経常利益920,388千円(同1.5%増)、及び当期純利益500,154千円(同5.7%減)となりました。
(※)IoTとは、Internet of Thingsの略で、パソコンやサーバ、プリンタなどの情報通信機器だけでなく、様々なモノに通信機能を持たせ、インターネットへの接続や相互通信を可能にすること
セグメント別の概況は以下のとおりであります。
(クラウド・ホスティング事業)
市場環境の変化により、共用、専用サーバーの価格及び会員数低下による売上減少、そして固定費率の相対的な増加による利益低下が依然として続く厳しい状況の中で推移してまいりました。一方で、「GMOクラウドPublic」サービスは、第1四半期より単月で営業利益黒字化を達成し、利益を積み上げていく状況になりました。
当期においては、現行のパブリッククラウドサービスの後継として、「GMOクラウドALTUS(アルタス)」を発表いたしました。「GMOクラウドALTUS(アルタス)」は、業務システムに最適な「Isolate(アイソレート)シリーズ」、Webページに最適な「Basic(ベーシック)シリーズ」、そしてクラウドストレージサービスの「オブジェクトストレージ」の3つのシリーズからなっております。これにより当社のこれまでのクラウドサービスには無かった他社クラウドサービスや専用サーバーとの「互換性」、「拡張性」を特長とするサービス提供が可能となりました。
また新規事業として、エネルギーマネジメント事業へ進出するための準備を進めてまいりました。太陽光発電による電力データをサーバー上に蓄積し、スマートフォン等のデバイスで発電状況等を確認できる「エナジーモニター」を開発し、平成27年より提供を開始いたしました。今後もオンラインゲーム開発エンジン「Photon REALTIME」のように成長性のある特定分野に特化した付加価値の高いサービスを提供することで他社サービスとの差別化を図ってまいります。
以上の結果、当連結会計年度におけるクラウド・ホスティング事業の売上高は6,026,862千円(前年同期比6.2%減)、セグメント利益は179,526千円(同60.3%減)となりました。
(セキュリティ事業)
セキュリティ事業においては、データセキュリティやプライバシー関連事業を行うOnline Trust Alliance より、信頼性の高いWebサイトを表彰する「オンライントラスト栄誉賞」を4年連続で受賞いたしました。この受賞は、全世界におけるサイバー犯罪の脅威からモバイルや相互接続環境を保護するセキュリティ技術に加え、IoTの概念が広まるにつれ注目度を増しているアイデンティティ(ID)管理や、セキュリティへの取り組みなどを高く評価いただいた結果となります。
事業の進捗については、国内においては、販売代理店件数の拡大を図りながら、SSL証明書の発行枚数を積み上げると同時に、大企業に対しては、既に海外で販売し、好評を得ているAuto Enrollment Gateway(AEG)を6月に投入し営業強化を図ってまいりました。
海外においても証明書の発行枚数は堅調に推移し、大手顧客を中心に電子証明書を一定数まで自由に発行できるライセンスディールの売上も順調に増加してまいりました。また円安が急激に進んだことで為替の影響を受けました。
以上の結果、当連結会計年度におけるセキュリティ事業の売上高は3,644,116千円(前年同期比28.7%増)、セグメント利益は769,257千円(同76.5%増)となりました。
(IAM事業)
Internet of Things(IoT、モノのインターネット)の概念が普及し、全てのモノがインターネットに接続される時代が既に始まっています。この機を捉え、IoT社会に欠かせない複数のアイデンティティ(ID)情報と、それぞれに異なるアクセス権限の一元管理を実現することでユーザー負担を軽減するIAMソフトウェアサービスを10月より提供開始いたしました。
国内においては、平成27年1月からのIAMサービス提供のために営業パートナー研修を実施する等、本格稼動に向けての準備活動を行ってまいりました。また、既に数社から引き合いが来る等本格稼動に向け順調に推移しております。
海外においては、日本と比較しIAM市場は成熟しており、IAMソフトウェアに対する引き合いは堅調であります。フィンランドにおいては、ユビセキュア社のクラウド対応のシングルサインオン(ID一元管理)ソフトウェア(※)を販売し、米国においては、ラスベガスの展示会に参加し、シングルサインオン等のユビセキュア社の提供するサービスを紹介いたしました。
以上の結果、当連結会計年度のIAM事業の売上高は77,115千円、セグメント損失は39,184千円となりました。
(※)シングルサインオン(ID一元管理)ソフトウェアとは、一度の利用認証で連携する複数のシステムにアクセスできるソフトウェア
(ソリューション事業)
ホームページ制作等を行うWEBソリューションサービスにおいては、ホームページ制作の内製化を進めることで利益率向上に努めてまいりましたが、営業人員の不足等から当初の計画通りの受注獲得には至りませんでした。一方で、新規サービスとしてスマートフォン向けアプリ制作サービス「BizPaletteアプリby GMO」の提供を中小企業向けに開始いたしました。近年、インターネット上(オンライン)からリアル店舗(オフライン)へ消費者の購買行動を促すO2O(オーツーオー:Online to Offline)が活発化しており、タイムリーなクーポンの配信やプッシュ通知など、スマートフォン向け集客支援型アプリの活用に注目が集まっています。同サービスによって、中小企業でも簡単に店舗専用アプリを導入し、低価格・短期間でオリジナルデザインのアプリをオーダーメイドで制作することができます。
スピード翻訳サービスにおいては、引き続き大学関連の翻訳や論文校正を行っているコンシェルジュ翻訳に力を入れてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度におけるソリューション事業の売上高は899,335千円(前年同期比3.4%増)、セグメント利益は10,061千円(同45.7%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、期首残高に比べ635,500千円減少し、当連結会計年度末には2,633,080千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は1,380,852千円となりました。これは主に法人税等の支払が298,871千円あったものの、税金等調整前当期純利益が801,398千円、減価償却費が579,772千円及びのれん償却額263,989千円を計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は1,599,131千円となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,035,298千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は475,956千円となりました。これは主にファイナンス・リース債務の返済による支出212,660千円及び配当金の支払額221,604千円によるものです。