有価証券報告書-第16期(平成26年12月1日-平成27年11月30日)

【提出】
2016/02/26 10:19
【資料】
PDFをみる
【項目】
98項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項の全ての財務情報は、本書に記載している連結財務諸表及び財務諸表に基づいております。また、本項に記載した将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 [連結財務諸表等]」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。
(2)財政状態
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末から171,831千円増加し、1,911,599千円となりました。売上の増加に伴って、売掛金が253,433千円増加した一方で、この売掛金の増加を主要因とする運転資本の増加により現金及び預金が128,243千円減少しております。
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末から337,103千円増加し、752,861千円となりました。障がい者雇用支援サービスのニーズの高まりに対応するため、株式会社エスプールプラスにて既存農園の増設と新農園の建設が進んだことに加え、本社を移転したこと等により、有形固定資産が278,926千円増加しました。また、本社移転に伴い、敷金及び保証金が55,428千円増加しました。
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末から259,167千円増加し、1,515,993千円となりました。成長資金確保のため積極的に銀行借入を行った結果、短期借入金が160,000千円、1年内返済予定の長期借入金が86,906千円、それぞれ増加しました。また、業容の拡大に伴って、未払給与を中心とした未払費用が97,612千円増加しております。一方、未払消費税等は45,058千円減少しております。
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末から342,159千円増加し、484,575千円となりました。新規の長期借入により、長期借入金が296,128千円増加した他、株式会社エスプールプラスの農園の拡大に伴い、同施設に係る資産除去債務が36,338千円増加しております。
当連結会計年度末の純資産は、当期純損失により68,663千円、第15期期末配当により30,033千円、それぞれ減少し、663,892千円となりました。また、有利子負債自己資本比率は158.0%でありました。
前連結会計年度当連結会計年度
自己資本比率35.1%24.7%
有利子負債自己資本比率65.5%158.0%

(3)経営成績
当連結会計年度における売上高は7,267,934千円(前連結会計年度比662,988千円増)、売上総利益は1,836,736千円(前連結会計年度比198,095千円増)、販売費及び一般管理費は1,777,213千円(前連結会計年度比345,628千円増)、営業利益は59,523千円(前連結会計年度比147,532千円減)、経常利益は49,551千円(前連結会計年度比142,316千円減)、当期純損失は68,663千円(前連結会計年度比234,097千円減 前連結会計年度は165,434千円の当期純利益)となっております。
① 売上高
事業別の外部顧客に対する売上高の増減は以下のとおりです。
前連結会計年度(千円)構成比(%)当連結会計年度(千円)構成比(%)増減(千円)前連結会計年度比(%)
ビジネスソリューション事業2,684,27940.62,985,17941.1300,899111.2
人材ソリューション事業3,920,66559.44,282,75458.9362,089109.2
合計6,604,945100.07,267,934100.0662,988110.0

事業別でみると、ビジネスソリューション事業、人材ソリューション事業ともに、前連結会計年度比で10%前後の増加率を達成しました。ビジネスソリューション事業では、主力の障がい者雇用支援サービスと複数の子会社で手がけていた事業を集約したセールスサポート業務が拡大しました。障がい者雇用支援サービスでは、新たに3つの農園を開設し、23社の新規参画企業を受け入れました。これに伴い、新たに107名の障がい者と37名のシルバー人材の雇用創出を支援しました。本サービスは事業開始からおよそ5年が経過しておりますが、未だに取引終了企業がなく、障がい者の退職率も3%以内で安定的に推移しております。また、セールスサポート業務では、前述の事業の集約効果と株式会社フルキャストホールディングスとの人材供給面での業務提携効果等により、大型調査案件が増加しました。
一方、人材ソリューション事業は、主力のコールセンター向けの派遣が大きく増加しました。有効求人倍率が高止まる中、企業の人材ニーズは高水準で推移し、特に地方のコールセンターにおいて、当社グループの社員を現場配置し教育や定着化支援を行うグループ型派遣が拡大しました。また、企業の採用難の広がりにより、人材紹介サービスも伸張しております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比662,988千円増の7,267,934千円と増収を達成することができました。
② 売上総利益
売上総利益率は、前連結会計年度から0.5ポイント改善して25.3%となりました。ビジネスソリューション事業において、売上が順調に拡大した障がい者雇用支援サービスの影響により、売上高総利益率が1.3ポイント改善しております。一方、人材ソリューション事業においては、業務の長期化に伴い派遣社員の社会保険料負担が増加しておりますが、人材紹介サービスの売上が増加したため、前連結会計年度並みの23.0%を維持しております。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から345,628千円増加し、1,777,213千円となりました。主な費目別の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度
(千円)
売上に対する比率(%)当連結会計年度
(千円)
売上に対する比率(%)前連結会計年度比
(%)
人件費808,15212.2987,03413.6122.1
地代家賃101,6701.5120,1371.7118.2
減価償却費20,6820.331,9010.4154.2
登録スタッフ募集費112,6641.7137,8591.9122.4
その他388,4145.9500,2806.9128.8
合計1,431,58521.71,777,21324.5124.1

前連結会計年度と比較して、販売費及び一般管理費は345,628千円増加しておりますが、その主な要因は、事業拡大に向けた人員の積極的な採用であり、人件費の増加だけで178,881千円と増加額のおよそ半分を占めます。人件費の増加は、ビジネスソリューション事業で顕著であります。その他、採用市場の需給逼迫の影響を受けた人材ソリューション事業の登録スタッフ募集費や、本社移転や拠点新設の影響により地代家賃や減価償却費、事務用消耗品費等が増加しております。事業別の販売費及び一般管理費の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度
(千円)
当連結会計年度
(千円)
前連結会計年度比
(%)
ビジネスソリューション事業457,648694,504151.8
人材ソリューション事業603,373629,087104.3
調整額370,563453,621122.4
合計1,431,5851,777,213124.1

以上の結果、営業利益は前連結会計年度比147,532千円減の59,523千円となりました。
④ 営業外損益等
営業外損益項目に特筆すべきものはなく、経常利益は前連結会計年度比142,316千円減の49,551千円となりました。平成27年8月に実施した本社移転による本社移転費用40,071千円を特別損失に計上し、また、繰延税金資産の取崩等があったため、当期純損失は68,663千円(前連結会計年度は165,434千円の当期純利益)となりました。
⑤ 次期の見通し
次期の経済環境は、中国を始めとするアジア新興国等の景気下振れのリスクや地政学的リスクによる金融市場の混乱等の不安要素はあるものの、緩やかな景気回復傾向のもと、雇用環境や所得環境の改善が続くものと見込んでおります。このような環境の下、当社グループでは、平成27年11月期よりスタートさせた中期経営計画の2期目を迎えます。
現中期経営計画では、外部環境の変化に対応し、継続的に成長できる経営基盤を構築することを目標としております。次期においては、継続的な収益の確保が期待できるストック型サービスの比率を高めるとともに、低収益事業については、収益構造の抜本的な改善を図ってまいる所存であります。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが253,546千円の支出(前連結会計年度は291,978千円の収入)となりました。売上高はビジネスソリューション事業、人材ソリューション事業、ともに伸張しており、特に期末近くに売上が大きく拡大したため、売上債権増を主要因として運転資本が一時的に増加しております。この運転資本増に、前連結会計年度の所得に係る法人税等の確定納付及びそれらを基にした中間納付が加わり、営業キャッシュ・フローが大幅な支出となっております。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、障がい者雇用支援サービスを中心に積極投資を行い388,130千円の支出(前連結会計年度は188,814千円の支出)となりました。後述の長期借入れをこれらの投資の財源としております。
財務活動によるキャッシュ・フローは513,433千円の収入(前連結会計年度は229,698千円の収入)となりました。長期金利が低位な水準にあったため、新規の長期借入れを積極的に行いました。また、短期借入金の借り増しを行い、前述の運転資本の増加に対応しております。これらの長短借入金の増加を受け、有利子負債残高は前連結会計年度末比543,034千円増加し、1,037,734千円となりました。
当連結会計年度末時点での現金及び現金同等物の残高は691,045千円であります。今後、積極的な事業拡大を計画しておりますが、コミットメントライン契約の借入未実行残高も含め、本書提出日現在ではこの計画遂行に必要な流動性が確保されていると考えております。
(5)資金の源泉について
当社グループの資金需要の主なものは、事業投資資金と経常運転資金の2つであります。事業投資資金には、障がい者雇用支援サービスのための農園建設資金、事業買収に係る資金、拠点開設や移転・増床のための資金及びサーバーやソフトウエア等のIT関連投資資金があります。これらのうち、前者の事業投資資金については、自己資金及び長期借入金による調達を基本としております。一方、後者の経常運転資金については、自己資金を基本としつつ必要に応じて銀行からの短期借入金により調達しております。