有価証券報告書-第18期(平成28年12月1日-平成29年11月30日)

【提出】
2018/02/28 11:19
【資料】
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【項目】
107項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項の全ての財務情報は、本書に記載している連結財務諸表及び財務諸表に基づいております。また、本項に記載した将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。
(2)財政状態
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末から426,590千円増加し、2,969,027千円となりました。売上の増加に伴って、売掛金が300,562千円増加した他、営業キャッシュ・フローの増加を主要因として、現金及び預金が165,573千円増加しております。
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末から349,812千円増加し、1,524,651千円となりました。障がい者雇用支援サービスのニーズの高まりに対応するため、株式会社エスプールプラスにて既存農園の増設と新農園の建設が進んだこと等により、有形固定資産が277,132千円増加しました。また、ロジスティクスアウトソーシングの既存倉庫の増床及び新倉庫借入及び人材ソリューション事業の新拠点開設により敷金及び保証金が58,920千円増加しました。
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末から418,352千円増加し、2,695,826千円となりました。業容の拡大に伴って、未払給与を中心とした未払費用が212,074千円、未払消費税等が63,046千円、未払法人税等が50,318千円、それぞれ増加しております。
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末から74,092千円減少し、324,106千円となりました。株式会社エスプールプラスの農園の拡大に伴い、同施設に係る資産除去債務が63,857千円増加したものの、約定弁済により長期借入金が141,936千円減少しております。
当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益により423,383千円増加し、一方、第17期期末配当により30,033千円減少し、1,473,745千円となりました。また、有利子負債自己資本比率は78.5%でありました。
前連結会計年度当連結会計年度
自己資本比率27.8%32.5%
有利子負債自己資本比率116.5%78.5%

(3)経営成績
当連結会計年度における売上高は11,696,248千円(前連結会計年度比2,460,232千円増)、売上総利益は3,342,814千円(前連結会計年度比657,318千円増)、販売費及び一般管理費は2,668,284千円(前連結会計年度比490,614千円増)、営業利益は674,529千円(前連結会計年度比166,703千円増)、経常利益は687,548千円(前連結会計年度比190,925千円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は423,383千円(前連結会計年度比15,376千円増)となっております。
① 売上高
事業別の外部顧客に対する売上高の増減は以下のとおりです。
前連結会計年度(千円)構成比(%)当連結会計年度(千円)構成比(%)増減(千円)前連結会計年度比(%)
ビジネスソリューション事業3,422,98237.13,991,11034.1568,127116.6
人材ソリューション事業5,813,03362.97,705,13865.91,892,105132.5
合計9,236,016100.011,696,248100.02,460,232126.6

事業別でみると、ビジネスソリューション事業、人材ソリューション事業ともに、前連結会計年度比で二桁成長を達成しました。人材ソリューション事業に至っては、前連結会計年度比32.5%増加と、2期連続で増加率30%超という結果でした。ビジネスソリューション事業では、スマートメーター設置業務が平成29年4月の契約更新により計画工事数が縮小し、前連結会計年度比で3割近い減収となりました。しかし、主力の障がい者雇用支援サービスが大きく拡大し、これにロジスティクスアウトソーシングとセールスプロモーションの売上増加が加わって、ビジネスソリューション事業全体では16.6%の増収となりました。障がい者雇用支援サービスでは、既存農園の増設の他に新たに柏農園を開設し、51社の新規参画企業を受け入れました。稼働農園数は8農園、農園で働く障がい者の人数は600名を超え、その退職率は5%以内で安定的に推移しております。
一方、人材ソリューション事業は、主力のコールセンター向けの派遣が大きく増加しました。有効求人倍率が高止まる中、企業の人材ニーズは高水準で推移し、特にコールセンターにおいて、当社グループの社員を現場配置し教育や定着化支援を行うグループ型派遣が拡大しました。このグループ型派遣を行っている案件は、前連結会計年度末の62案件から当連結会計年度末には92案件に、現場配置している社員は125名から162名に増加しています。また、人材需要の拡大に対応するために、当連結会計年度には新宿及び福岡で新規拠点の開設を行っておりますが、複数拠点を展開している新宿、福岡、札幌の3地域での売上増加が顕著でありました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比2,460,232千円増の11,696,248千円と増収を達成することができました。
② 売上総利益
売上総利益率は、前連結会計年度から0.5ポイント悪化して28.6%となりました。ビジネスソリューション事業においては、相対的に利益率の高い障がい者雇用支援サービスの売上占有率が増加したことにより、売上高総利益率が2.2ポイント改善しております。一方、人材ソリューション事業においては、需給のひっ迫により請求単価は上昇したものの、業務の長期化に伴い派遣社員の社会保険料・雇用保険料負担が増加しており、売上高総利益率は前連結会計年度から1.2ポイント低下しております。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から490,614千円増加し、2,668,284千円となりました。主な費目別の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度
(千円)
売上に対する比率(%)当連結会計年度
(千円)
売上に対する比率(%)前連結会計年度比
(%)
人件費1,198,92813.01,432,90312.3119.5
地代家賃148,9681.6169,5291.4113.8
減価償却費43,0140.551,6270.4120.0
登録スタッフ募集費182,6102.0214,9781.8117.7
その他604,1486.5799,2466.8132.3
合計2,177,67023.62,668,28422.8122.5

前連結会計年度と比較して、販売費及び一般管理費は490,614千円増加しておりますが、その主な要因は、事業拡大に向けた人員の積極的な採用であり、人件費の増加だけで233,974千円と増加額のおよそ半分を占めます。その他、採用市場の需給逼迫の影響を受けた人材ソリューション事業の登録スタッフ募集費や、拠点の移転・新設に伴う地代家賃や減価償却費、保守修繕費、仲介手数料、什器備品費等が増加しております。また、業容の拡大を進めるために外部リソースを積極的に活用しており、新規事業育成や新規顧客・市場の開拓、PR・IR支援等の業務委託費が増加しております。事業別の販売費及び一般管理費の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度
(千円)
当連結会計年度
(千円)
前連結会計年度比
(%)
ビジネスソリューション事業821,778993,823120.9
人材ソリューション事業772,713951,100123.1
調整額583,178723,360124.0
合計2,177,6702,668,284122.5

以上の結果、営業利益は前連結会計年度比166,703千円増の674,529千円となりました。
④ 営業外損益等
営業外損益項目では、宮崎県に開設した採用代行支援サービスのコールセンターに係る助成金19,817千円を営業外収益に計上しており、経常利益は前連結会計年度比190,925千円増の687,548千円となりました。また、受注キャンセルに伴う違約金収入27,300千円を特別利益に、請負契約に基づく損害賠償金41,755千円、固定資産除却損11,201千円を特別損失に計上しており、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比15,376千円増の423,383千円となりました。
⑤ 次期の見通し
次期の経済環境は、海外経済の不確実性に留意する必要性はあるものの、緩やかな景気回復傾向のもと、雇用環境や所得環境の改善が続くものと見込んでおります。その一方で、少子高齢化に伴う労働力人口の減少により、人材確保はますます難しくなっているだけでなく、政府が主導する「働き方改革の推進」によって、人材派遣サービスやアウトソーシングサービスの利用を検討する企業が大幅に増加しております。
このような環境の下、当社グループは、①安定収益の確保、②新たな収益機会の獲得、③多様な働き方と生産性向上の実現に取り組み、グループの持続的な成長を目指してまいります。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが801,467千円の収入(前連結会計年度は725,792千円の収入)となりました。売上高はビジネスソリューション事業、人材ソリューション事業、ともに伸張したものの、未払費用や未払消費税等、未払法人税等の増加等により運転資本の増加は18,051千円にとどまっております。これに加えて、障がい者雇用支援サービスの運営する農園の減価償却費等もあり、営業キャッシュ・フローが大幅な収入となっております。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、障がい者雇用支援サービスを中心に積極投資を行い577,287千円の支出(前連結会計年度は480,153千円の支出)となりました。当連結会計年度においては、上述の営業キャッシュ・フローにより、これらの投資資金を賄うことができました。
財務活動によるキャッシュ・フローは58,607千円の支出(前連結会計年度は138,079千円の収入)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローが投資活動によるキャッシュ・フローを上回っている状況であったため、短期借入金の純増加額を長期借入金の約定弁済額以下に抑えております。その結果、有利子負債残高は前連結会計年度末比59,836千円減少し、1,145,722千円となりました。
当連結会計年度末時点での現金及び現金同等物の残高は1,240,337千円であります。今後も、積極的な事業拡大を計画しておりますが、コミットメントライン契約の借入未実行残高も含め、本書提出日現在ではこの計画遂行に必要な流動性が確保されていると考えております。
(5)資金の源泉について
当社グループの資金需要の主なものは、事業投資資金と経常運転資金の2つであります。事業投資資金には、障がい者雇用支援サービスのための農園建設資金、事業買収に係る資金、拠点開設や移転・増床のための資金及びサーバーやソフトウエア等のIT関連投資資金があります。これらのうち、前者の事業投資資金については、自己資金及び長期借入金による調達を基本としております。一方、後者の経常運転資金については、自己資金を基本としつつ必要に応じて銀行からの短期借入金により調達しております。