有価証券報告書-第24期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/12/18 14:51
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営方針
当社グループは「哀悼と感動のセレモニー」を経営理念とし、物売りでもなく、押し売りでもなく「儀式を尊厳する形と洗練された心の追求」を忘れない姿勢で取り組む事とデスケアを通じて社会貢献する事を事業の基本理念とし、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指し、1997年に創業いたしました。
(2)経営環境及び経営戦略
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、葬儀に関する潜在的需要は人口動態を背景に年々増加するものと推計されておりますが、葬儀単価におきましては、核家族化や葬祭規模の縮小等により減少傾向が続いております。また、葬儀業界の新たな潮流としましては、「高齢化や核家族化による葬祭規模の縮小と葬儀単価の低下」「大手葬儀社の営業エリア拡大と異業種からの業界参入による競争激化」「高齢世帯の更なる高齢化と高齢者独居率の上昇等、社会インフラとしての葬儀社の役割」といった課題が顕在化しております。
当社グループは、「明瞭な価格体系による葬儀費用の明確化」「徹底した人財教育によるサービスの向上」「ドミナント出店による利便性の向上」を戦略の基本方針とし、直営・フランチャイズ出店による徹底した差別化戦略を展開しております。「ドミナント出店による利便性の向上」では名古屋市内に1号店となる「ティア中川」を開設し、その後も中部地区で積極的なドミナント出店を行うとともに、関東地区・関西地区への進出やフランチャイズによる多店舗化を推進しております。これにより2020年9月末現在、直営74店舗(会館店舗64店舗・葬儀相談サロン10店舗)・フランチャイズ53店舗の合計127店舗となりました。
また、「明瞭な価格体系による葬儀費用の明確化」では創業当時より一貫して葬儀価格の透明性に努めており、当社独自の会員制度「ティアの会」を中心に、明瞭な価格体系による葬儀を提供しております。さらに、「徹底した人財教育によるサービスの向上」では葬儀に関する知識や技術的な教育のみならず、ビジネスマナーや徳育的な観点による人材教育を積極的に手掛け、サービス業としての質的向上にも努めてまいりました。これらの取り組みにより、ご利用されるお客様の支持を獲得し、2020年9月末現在、会員数は41万人を超え、年間の葬儀施行件数は16,000件(直営、フランチャイズ合計)を超えるまでに業容は拡大しております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは中長期目標であります会館数200店舗体制の実現とその後の持続的な成長を目指すべく、中部地区で新規出店を継続し経営基盤の更なる強化を図るとともに、関東地区、関西地区で収益力を高める取り組みが必要であると判断しております。また、直営・フランチャイズによる中長期の出店方針に加え、「外部環境の変化に伴う課題の認識と対応方針」「内部体制の更なる強化と中長期を見据えた施策」「計画的な人材確保と教育体制の充実により強い組織集団の実現」「倫理・コンプライアンス体制の確立」を推進しなければならないと考えております。さらに、企業価値を高め、株主共同の利益を確保・向上させる取り組みも必要であると判断しております。
そこで、当社グループといたしましては、「新生ティア」のスローガンのもと、以下の4項目のテーマに取り組んでまいります。
① 直営会館の出店継続とフランチャイズにおける計画的な出店の推進
当社グループの中長期目標であります会館数200店舗体制とその後の持続的な成長の実現に向けて、中部地区では名古屋市内シェア向上に向けた家族葬ホールの出店継続、関東地区・関西地区では葬儀会館及び葬儀相談サロンの出店エリアでの収益力の向上に取り組んでまいります。フランチャイズでは、既存クライアントの複数出店提案及び、新規クライアントへの提案営業を積極的に推進するとともに、既存会館の持続的な成長とFCグループの体制構築に取り組んでまいります。
② 既存会館の機動的な契約更新対応とWEBプロモーションの精度向上の推進
既存会館において、開設から20年以上が経過し契約期間満了となる会館も増えることから、契約更新に係るマネジメント体制の構築及び条件交渉において機動的な対応を推進してまいります。また、WEBマーケティングでは、複数の施策をPDCAサイクルで運用し、WEBによる会員獲得、葬儀受注の増加を目指してまいります。さらに、PR・IR活動におきましても継続的に実施し、葬儀業界の現状をより深く理解し、当社グループに対して興味をもって頂く内容の情報発信に努めてまいります。
③ 環境変化への迅速な対応と葬儀付帯業務の内製化拡大の推進
国内外の環境変化へ対応すべく商品調達方法の多様化と、新たな価値を創造する商品開発を推進してまいります。また、葬儀付帯業務の更なる内製化拡大を推進すべく、湯灌関連サービスの内容強化と外部販売、セレモニーアシスタントの社内派遣、生花事業の取り扱い拡大、石材販売の立ち上げと販路開拓等に取り組んでまいります。
④ 高いスキルを持った組織集団と新常態に対応した仕組みの構築の推進
当社グループは、高いスキルを持った組織集団の構築を目指し、既存社員向け研修内容の充実及びウェビナーを活用した研修を実施してまいります。また、PDCAサイクルに則った新卒採用プログラムの実践と、新入社員の早期育成を目指した新卒教育プログラムを運用してまいります。さらに、従業員のエンゲージメントを向上させるべく、福利厚生制度の充実にも努めてまいります。
ICTにおきましては、ハード・ソフトの充実による多様な働き方への対応と、次世代基幹システム構築の準備に取り組んでまいります。また、ICTにおける脅威への対応として、ハード、ソフト、人材面において対策を講じてまいります。
(4)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは次期事業年度の業績予想及び中期経営計画の三カ年利益計画を公表しており、次期事業年度の業績予想の達成状況ならびに三カ年利益計画の進捗状況を経営指標としております。
(5)経営方針、経営環境及び対処すべき課題における新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外経済の混乱が生じております。また、葬儀業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う葬祭規模の縮小及び法要料理の販売減により、葬儀単価が大きく低下しております。
この現状を鑑み、2021年9月期を計画初年度とする三カ年利益計画の公表は投資判断に対して混乱を生じさせてしまう可能性があると判断し、中期経営計画の公表を延期させていただくことといたしました。なお、新型コロナウイルス感染症による葬儀業界への影響及び当社グループの状況を踏まえ、必要な検討を行い確定でき次第、速やかに開示いたします。
次期の業績予想(2021年9月期)及びその前提条件につきましては、2020年11月8日付で公表いたしました「2020年9月期 決算短信[日本基準](連結)」をご参照ください。