有価証券報告書-第16期(平成26年7月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/09/28 15:34
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【項目】
103項目

事業等のリスク

以下については、当社グループの将来的な事業展開その他に関し、リスクとして具体化する可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスクの可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努める方針であります。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(平成27年6月30日)現在において判断したものであります。
1 当社の事業について
(1) 当社の事業について
①ソーシャルメディア事業
当事業では「OKWAVE」のほか、Q&Aに紐づく様々なサービスを運営し、バナー広告やテキスト広告等による収入を得ています。当社では、互い助け合いの場を提供するサービスの展開を行うことで、利用者数の増加に努めておりますが、インターネット広告市場の環境の変化によっては、当事業の業績に影響が出る可能性があります。また、Q&Aサイト市場の競争激化による市場環境の変化が、当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。
②エンタープライズソリューション事業
当事業では、Q&Aコミュニティの運営ノウハウやシステムを各クライアント企業へ、特にカスタマーリレーションを目的として提供することで収入を得ております。Q&Aコミュニティを長年運営してきた当社グループならではのソリューションにより、他社との差別化に取り組んでおりますが、CRM市場の動向や競合他社との価格競争等によっては当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。
③ナレッジマーケット事業
当事業では、著名人が利用者の質問に答える月額制の携帯電話・スマートフォン向けサイト及び専門家や企業が利用者の質問に答えるQ&Aコミュニティを運営しております。当社グループでは、顧客データを分析・活用し利用価値のあるコンテンツの提供に努めておりますが、利用者にとって魅力的かつ有益なコンテンツを適時に提供できない場合には、利用者数の減少を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、技術における変化の激しい携帯電話・スマートフォン向けのサービスであるため、新たな端末の機能に当社が適時適切に対応できなくなった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。加えて、当事業では一部サイトをキャリアが運営するスマートフォン向けのサービスに提供することで、集客促進を行っておりますが、これらキャリアの今後の方針や動向によっては、当社の業績に影響をもたらす可能性があります。
④多言語CRM事業
当事業では、24時間365日稼働の多言語コンタクトセンターを運営しております。当事業のサービスは通訳、翻訳など人的リソースを基盤としているため、今後何らかの理由により必要なバイリンガル人材の確保が計画通りに進まなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当事業は電話通信を基盤としており、当社グループは安定的な運用のためのシステム強化に努めておりますが、ウイルスの侵入、自然災害、長期的な大規模停電、事故等によりシステムがダウンした場合、当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。
⑤営業アウトソーシング事業
当事業につきましては、当連結会計年度にて終了しました。
(2) 情報の提供について
当社グループが運営するQ&Aコミュニティ「OKWAVE」に提供される質問・回答、商品、サービスに関する評価情報等は、全てコミュニティの利用者から提供される情報です。当社グループは、より健全で質の高いコミュニティ運営を実現させるため、利用者の投稿度合いに応じたポイントの付与や期間限定のキャンペーン、投稿タイミングに応じた投稿誘因メールの利用者自動送付等による参加意欲の醸成を図っておりますが、利用者に質問・回答を提供してもらうよう強制することはできません。
また、他のWebサイトと同様、コミュニティには有用で好意的な回答だけでなく、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答も寄せられる可能性があります。
何らかの原因によりコミュニティ利用者からの質問・回答等が提供されない状況が続いた場合や、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答が続いた場合、サイトの利用価値が薄れ、利用者からの信頼を失い当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 特定事業に対する依存について
当社グループの売上高及び利益は、エンタープライズソリューション事業への依存度が高くなっております。同事業における競合他社との競争の激化や、クライアント企業におけるアウトソーシングニーズの低下等があり同事業の売上高が減少した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 新規事業への取り組みにともなうリスクの増大について
当社グループでは、収益基盤をさらに拡大するために、今後も新規事業への取り組みを進めていく方針ですが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。このため、当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当社グループの目論見どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 技術革新への対応について
当社グループが運営するサービスはインターネット関連技術を基盤としております。当社は多様化する顧客ニーズに対応できるよう、最新の技術への迅速な対応及び情報の蓄積・分析に努めます。
しかしながら、今後の技術革新や顧客ニーズの変化によって即座に対応できなくなった場合、今後の事業展開に悪影響が出る可能性があります。
(6) 法的規制について
当社の事業は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダー責任制限法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」等の制約を受けますが、当社グループでは遵法精神のもと各法に従って業務を遂行しております。
しかしながら、今後、各省庁等における現行の法解釈に何らかの変化が生じた場合、または、新たにインターネット関連業者を対象とした法的規制等が制定された場合、当社グループの業務の一部が制約を受ける可能性や、新たな対応を余儀なくされる可能性があります。このような場合には、当社グループの業績、及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(7) 個人情報の取り扱いについて
当社が保有する利用者等の個人情報及び顧客企業に関する情報の取り扱いについては、個人情報保護法の施行に先駆け、平成17年1月にISMS(現ISO27001(※))を取得し、厳重に社内管理並びに委託先管理を行っております。
しかしながら、不正アクセス者等からの侵入や委託先管理不備により、上記の情報が外部に漏洩し、不正使用される可能性が完全に排除されているとはいえません。また、不正使用等に備え、当社は個人情報漏洩に対応する保険に加入しておりますが、すべての損失を完全に補てんするとは限りません。
したがってこのような事態が起こった場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社情報セキュリティマネジメントに対する信用の失墜により、当社グループの事業推進及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(※)ISO27001:企業等の組織が情報を適切に管理し機密を守るための包括的な枠組みの国際規格。
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)適合性認証制度がISO27001に移行されました。
(8) システムトラブルによるリスクについて
当社グループの事業はインターネットを中心にした通信ネットワークに依存しており、当社グループは安定的な運用のためのシステム強化、セキュリティ強化、負荷分散、ディザスタ・リカバリー(災害時におけるシステム障害からの復旧、修復体制)等、通信環境安定化に努めております。
しかしながら、ウイルスの侵入、自然災害、長期的な大規模停電、事故等によりネットワークが切断された場合、または事業所の損壊やその他の理由により業務継続が困難になった場合は、Webサイト運営に支障が生じ、当社グループの経営に大きな影響を与えます。また、外部からの不正アクセスやウイルスの攻撃等による犯罪、職員の過失等によりデータの書き換え、データの消去や不正流出の恐れがあります。
これらの障害が発生した場合には、当社グループに直接損害が生じるほか、当社グループシステムへの信頼が低下し当社グループの事業、業績並びに企業としての社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。
(9)知的財産権について
① 特許権
当社はQ&Aシステム、ヘルプデスクシステム等について、特許を複数出願し、うち一部は特許権を取得しておりますが、その他の特許取得の可否及び時期についてはまだ明らかになっておりません。Q&Aコミュニティシステム、ヘルプデスクシステムに関する特許出願は他社によっても複数行われており、当社は充分に調査を行ってはおりますが、当社が実施済みの技術について、もし競合他社が当社よりも先に特許権を取得した場合、当社は他社の特許を侵害するおそれがあります。さらに、他社から訴訟を提起される等により当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 商標権
当社はインターネット上で質問と回答を交換するQ&Aコミュニティのブランドとして「OKWAVE」を商標として用いており、当該商標をはじめ、当社のサービスに関連する商標権を数十件取得しております。当該ブランドは、商標権の取得により法的に保護されているとはいえ、他の事業者または個人等により無断で商標を使用された場合には、当社ブランドの信頼性が揺らぐ危険性があり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社はブランドも事業活動における重要な財産と認識しており、現在取得済みの商標権以外にも、積極的に取得する方針であります。しかしながら、当社が使用している商標について競合他社が先に権利を取得した場合、当社の競争力の減退や、当社への訴訟が発生することが考えられ、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 著作権
当社は、当社が運営するQ&Aコミュニティ「OKWAVE」上の投稿内容の著作権を有しております。「OKWAVE」上の投稿内容が当社の許可なく第三者によって使用されている事実が発覚した場合、著作権の価値の低下に止まらず、「OKWAVE」のユーザーや当社の取引先からの、当社管理体制に対する信用の低下を引き起こす可能性があります。
(10)訴訟リスクについて
① Q&Aコミュニティ「OKWAVE」の運営に関する訴訟リスク
当社が運営するQ&Aコミュニティ「OKWAVE」においては、サイト閲覧者が自由に質問・回答、及び商品、サービスに関する様々な評価を書き込み、他の閲覧者に情報発信が出来る仕組みになっており、他のWebサイト同様、コミュニティには質問に対する有用で好意的な回答だけでなく、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の書き込みも寄せられる可能性があります。
当社におきましては、コミュニティサイト内の情報等については何等の責任を負わない旨を当該サイト内で明示するとともに、システムにより24時間365日体制で自動的にチェックしております。更には社内に専任の投稿監視担当者を配置し、当該担当者は目視でサイト内の書き込み内容を監視し、明らかに誤った内容のものや、誹謗中傷等に該当するような書き込み、第三者の権利侵害の可能性のある書き込みを発見した場合は当該部分を削除します。併せてユーザーが、不適切な投稿を当社に通知できる仕組みも導入することで、より健全で質の高いコミュニティの運営が遂行できるよう努めております。
しかしながら、サイト閲覧者により誹謗中傷や明らかに間違った回答等の書き込みがなされ、当社がそれを発見できなかった場合、発見が遅れた場合、もしくは当社の判断では妥当な回答であると判断して削除しなかった場合には、「OKWAVE」に対するユーザー等の信頼性が低下し、Webサイト運営者として当社の責任が問われ訴訟を提起される可能性があります。
② エンタープライズソリューション事業および多言語CRM事業に関する訴訟リスク
エンタープライズソリューション事業におけるASPサービスでは、多数のクライアント企業に対し共有サーバによる運用を原則行っていることから、当社の責めに帰すべき事由によるシステムの障害や不正アクセス等により多数のクライアント企業に対し損害を被らせる事態が生じた場合、多数のクライアント企業から同時期に訴訟を提起される可能性があります。その結果として、多数のクライアント企業に同時期に損害賠償義務を負うことになった場合、多額の損害賠償金の支払いが発生し、当社グループの事業及び業績に大きな影響を与える可能性があります。
また、多言語CRM事業におけるコンタクトセンター業務においても、多数のクライアント企業に対し、共通のシステムを利用して業務を行っていることから、前記のエンタープライズソリューション事業と同様の訴訟リスクが想定されます。
(11)グローバル化に伴うリスクについて
グローバルな事業展開を行っていくうえでは、各国の法令、制度、政治・経済・社会情勢、文化、商慣習、為替等様々な潜在的リスクが存在し、これらのリスクに対処できないことなどにより事業推進が困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(12)資本業務提携及びM&Aについて
当社は、リソースの強化及び収益獲得機会の拡大を目的に企業買収や業務提携を実施しております。対象となる企業については十分な審査によるリスクの把握に努めておりますが、買収後に不測の債務などが発生した場合や業績が悪化した場合、買収時に想定した当社事業との相乗効果が十分に得られなかった場合、当社グループの業績、または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)内部統制について
当社は、グループを通じて内部統制強化のための連携を行い、当社グループに属する企業への監視や助言を継続的に行っておりますが、事業の急速な拡大等、何らかの事情により当社が子会社の状況を十分に把握できない場合や、内部管理体制の構築が追い付かないという状況が生じた場合、社会的信用を失墜させ、当社グループの業績、または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2 当社グループの経営について
(1) 代表者への依存について
当社を設立した兼元謙任は設立以来代表取締役社長に就き、当社グループの経営方針及び経営戦略全般の決定、その遂行において重要な役割を果たしております。また、取締役副社長である福田道夫は兼元を補佐し当社グループの事業実現の原動力となっております。
当社グループでは、取締役会等の経営組織の整備、経営幹部役職員の育成及び権限移譲による業務執行体制の構築等により、両氏に過度に依存しない体制の構築を図っておりますが、何らかの理由により両氏が業務を執行できない事態となった場合、当社グループの事業戦略及び業績その他に重要な影響を与える可能性があります。
(2) 開発体制について
当社グループは今後も、新機能追加によるサービスの強化や、コミュニティサイトの運営により蓄積された様々なコンテンツ、運営ノウハウ、システムノウハウをサービス化して販売するための新たなシステム開発を進めていく方針であります。
今後の事業成長を確たるものにするためには、優秀な人材を十分に確保し、育成することが重要であると考えておりますが、これらの体制構築が順調に進まない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 大株主について
楽天株式会社は、平成27年6月30日現在、当社発行済株式総数の18.3%を保有しており、当社の主要株主であります。当社は同社に対しサービスを提供しております。また、当社は経営に関する総合的な助言を得るため、同社の執行役員を務める濱野斗百礼氏を社外取締役として招聘しております。
MICROSOFT CORPORATIONは、平成27年6月30日現在、当社発行済株式総数の10.3%を保有しており、当社の主要株主であります。
株式会社インプレスホールディングスは、平成27年6月30日現在、当社発行済株式総数の5.0%を保有しており、当社の大株主であります。当社は同社子会社に対しサービスを提供しております。
これら株主の意向によっては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(4) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化
当社グループは、役員、従業員及び社外の協力者に対し、ストック・オプション制度を採用しております。今後につきましてもストック・オプション制度の利用を検討する可能性があり、現在付与している新株予約権に加えて、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在における新株予約権による潜在株式数は220,600株であり、発行済株式総数8,703,000株の2.5%に相当します。