有価証券報告書-第25期(平成30年10月1日-令和1年9月30日)

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2019/12/20 17:03
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注記事項-重要な会計方針、連結財務諸表(IFRS)

3.重要な会計方針
以下の会計方針は、他の記載がない限り、本連結財務諸表に記載されているすべての期間に適用しております。
(1) 連結の基礎
この連結財務諸表は、当社及び子会社の財務諸表並びに関連会社及び共同支配企業の持分相当額を含んでおります。
① 子会社
子会社とは当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループが投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、その企業を支配していると判断しております。子会社については、当社グループが支配を獲得した日を取得日とし、その日より当社グループが支配を喪失する日まで連結しております。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表の調整を行っております。
当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
子会社の包括利益については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させております。
② 関連会社及び共同支配企業
関連会社とは、当社グループが財務及び営業の方針に重要な影響力を有しているが支配はしていない企業であり、当社グループが重要な影響力を有することとなった日から喪失する日まで、持分法により処理しております。
共同支配企業とは、複数の当事者が共同支配により純資産に対する権利を有している企業であり、共同支配を獲得した日から喪失する日まで、持分法により処理しております。関連会社及び共同支配企業が適用する会計方針が当社グループにおいて適用する会計方針と異なる場合は、その関連会社及び共同支配企業の財務諸表の調整を行っております。
持分法の下では、投資額は当初は原価で測定し、それ以後は、関連会社及び共同支配企業の純資産に対する当社グループの持分の取得後の変動に応じて投資額を変動させております。その際、関連会社及び共同支配企業の純損益のうち当社グループの持分相当額は当社グループの純損益に計上しております。また、関連会社及び共同支配企業のその他の包括利益のうち当社グループの持分相当額は当社グループのその他の包括利益に計上しております。関連会社又は共同支配企業との取引から発生した未実現損益は、投資に加減算しております。
関連会社及び共同支配企業の、取得日に認識した資産、負債及び偶発負債の正味の公正価値に対する持分を取得対価が超える額はのれん相当額として計上し投資の帳簿価額に含めており、償却はしておりません。持分法適用会社への投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは、ほかの部分と区分せず、持分法適用会社に対する投資を一体の資産として、減損テストの対象としております。
関連会社及び共同支配企業への投資について重要な影響力又は共同支配を喪失した場合、利得又は損失を純損益で認識しております。重要な影響力又は共同支配を喪失後においても、当社グループが従前の関連会社及び共同支配企業に対する持分を保持する場合は、その持分は持分法を中止した日の公正価値で測定しております。
(2) 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な取り分を保有者に与えている非支配持分は、当初認識時に公正価値、または被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する非支配持分の比例的な取り分相当額によって測定されます。測定基礎の選択は取引単位で行われます。上記以外の非支配持分は、公正価値、または該当する場合には、他の基準書に特定されている測定方法によって測定されます。被取得企業において取得時に識別可能な資産及び負債を公正価値で認識し、既保有持分がある場合には取得時における公正価値で再測定したうえで、移転された対価、再測定後の既保有持分価額及び非支配持分の合計から識別可能な資産及び負債の公正価値の合計を差引いた結果、超過する場合は、連結財政状態計算書においてのれんとして計上しております。反対に下回る場合には、直ちに連結損益計算書において利得として計上しております。企業結合が生じた期間の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間において、暫定的な金額の修正を行います。発生した取得費用は費用として処理しております。なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しております。非支配持分の修正額と支払対価又は受取対価の公正価値との差額を、資本剰余金に直接認識しており、当該取引からのれんは認識しておりません。
IFRS第3号「企業結合」(以下、「IFRS第3号」という)に基づく認識の要件を満たす被取得企業の識別可能な資産、負債及び偶発負債は、以下を除いて、取得日の公正価値で測定しております。
・繰延税金資産及び繰延税金負債はIAS第12号「法人所得税」に、従業員給付契約に係る負債(または資産)はIAS第19号「従業員給付」に、また、株式報酬に係る負債はIFRS第2号「株式に基づく報酬」に準拠して、それぞれ認識及び測定しております。
・売却目的として分類される非流動資産または事業は、IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に準拠して測定しております。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における直物為替レートを適用することにより、機能通貨に換算しております。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しております。公正価値で測定される外貨建非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に換算しております 。
これら取引の決済から生じる外国為替差額並びに外貨建貨幣性資産及び負債を期末日の為替レートで換算することによって生じる為替差額は、純損益で認識しております。ただし、非貨幣性項目に係る利益または損失がその他の包括利益に計上される場合は、為替差額もその他の包括利益に計上しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については為替相場の著しい変動のない限り期中の平均為替レートを用いて日本円に換算しております。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額は、その他の包括利益で認識しております。
当該差額は「為替換算差額」として、その他の資本の構成要素に含めております。なお、在外営業活動体の持分全体の処分、及び支配、重要な影響力または共同支配の喪失を伴う持分の一部処分といった事実が発生した場合、当該換算差額を、処分損益の一部として純損益に振替えております。
(4) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(5) 金融商品
① 認識
金融資産及び金融負債は、金融商品の契約上の当事者になった時点で認識しております。
金融資産及び金融負債は当初認識時において公正価値で測定しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産(以下、「FVTPLの金融資産」という。)及び純損益を通じて公正価値で測定する金融負債(以下、「FVTPLの金融負債」という。)を除き、金融資産の取得及び金融負債の発行に直接起因する取引コストは、当初認識時において、金融資産の公正価値に加算または金融負債の公正価値から減算しております。FVTPLの金融資産及びFVTPLの金融負債の取得に直接起因する取引コストは純損益で認識しております。
② 非デリバティブ金融資産
非デリバティブ金融資産は、「償却原価で測定する金融資産」、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産(以下、「FVTOCIの負債性金融資産」という。)」、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産(以下、「FVTOCIの資本性金融資産」という。)」、「FVTPLの金融資産」に分類しております。この分類は、金融資産の性質と目的に応じて、当初認識時に決定しております。
通常の方法による全ての金融資産の売買は、約定日に認識及び認識の中止を行っております。通常の方法による売買とは、市場における規則または慣行により一般に認められている期間内での資産の引渡しを要求する契約による金融資産の購入または売却をいいます。
(ⅰ) 償却原価で測定する金融資産
以下の要件がともに満たされる場合に「償却原価で測定する金融資産」に分類しております。
(a) 契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている。
(b) 金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
当初認識後、償却原価で測定する金融資産は実効金利法による償却原価から必要な場合には減損損失を控除した金額で測定しております。実効金利法による利息収益は純損益で認識しております。
(ⅱ) FVTOCIの負債性金融資産
以下の要件がともに満たされる場合に「FVTOCIの負債性金融資産」に分類しております。
(a) 契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
(b) 金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
当初認識後、FVTOCIの負債性金融資産は公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる評価損益は、その他の包括利益で認識しております。その他の包括利益として認識した金額は、認識を中止した場合、その累計額を純損益に振替えております。FVTOCIの負債性金融資産に分類された貨幣性金融資産から生じる為替差損益、FVTOCIの負債性金融資産に係る実効金利法による利息収益は、純損益で認識しております。
(ⅲ) FVTOCIの資本性金融資産
資本性金融資産については、当初認識時に公正価値の変動を純損益ではなくその他の包括利益で認識するという取消不能な選択を行っている場合に「FVTOCIの資本性金融資産」に分類しております。当初認識後、FVTOCIの資本性金融資産は公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる評価損益は、その他の包括利益で認識しております。
認識を中止した場合、もしくは著しくまたは長期に公正価値が取得原価を下回る場合に、その他の包括利益を通じて認識された利得または損失の累計額を直接利益剰余金へ振替えております。なお、FTVOCIの資本性金融資産に係る受取配当金は、純損益で認識しております。
(ⅳ) FVTPLの金融資産
以下の要件のいずれかに該当する場合には、金融資産の性質に応じ、「FVTPLの負債性金融資産」又は「FVTPLの資本性金融資産」に分類しています。
(a) 売買目的保有の金融資産
(b) 「償却原価で測定する金融資産」、「FVTOCIの負債性金融資産」、「FVTOCIの資本性金融資産」のいずれにも分類しない場合
売買目的保有には、デリバティブ以外の金融資産で、主として短期的に売却する目的で取得した売却目的保有の金融資産を分類しています。なお、いずれの金融資産も、会計上のミスマッチを取り除くあるいは大幅に削減させるために純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定しておりません。
当初認識後、FVTPLの金融資産は公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる評価損益、配当収益及び利息収益は純損益で認識しております。
(ⅴ) 金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産、FVTOCIの負債性金融資産に係る予想信用損失について、貸倒引当金を認識しております。期末日毎に、金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しております。金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、金融資産に係る貸倒引当金を12か月の予想信用損失と同額で測定しております。一方、金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合、または信用減損金融資産については、金融資産に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。ただし、営業債権については常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
予想信用損失は、以下のものを反映する方法で見積もっております。
(a) 一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
(b) 貨幣の時間価値
(c) 過去の事象、現在の状況、将来の経済状況の予測についての、報告日において過大なコスト労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
当該測定に係る貸倒引当金の繰入額及びその後の期間において、貸倒引当金を減額する事象が発生した場合は、貸倒引当金戻入額を純損益で認識しております。
金融資産の全体または一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、当該金額を貸倒引当金と相殺して帳簿価額を直接減額しております。
(ⅵ) 金融資産の認識の中止
当社は、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、または金融資産を譲渡し、その金融資産の所有に係るリスクと経済価値を実質的に全て移転した場合に、当該金融資産の認識を中止しております。
③ 非デリバティブ金融負債
非デリバティブ金融負債は、「FVTPLの金融負債」または「償却原価で測定する金融負債」に分類し、当初認識時に分類を決定しております。
FVTPLの金融負債は当初認識後、公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる評価損益及び利息費用は純損益で認識しております。
償却原価で測定する金融負債は当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。
金融負債は義務を履行した場合、もしくは債務が免責、取消しまたは失効となった場合に認識を中止しております。
④ デリバティブ金融資産及び金融負債
デリバティブは、デリバティブ取引契約が締結された日の公正価値で当初認識しております。当初認識後は、各四半期末の公正価値で測定しております。デリバティブの公正価値の変動額は、直ちに純損益で認識しております。
デリバティブ金融資産は「FVTPLの金融資産」に、デリバティブ金融負債は「FVTPLの金融負債」にそれぞれ分類しております。
⑤ 金融資産及び金融負債の相殺
金融資産及び金融負債は、認識された金額を相殺する法的に強制力のある権利を有し、かつ純額で決済するかまたは資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しております。
IAS第39号に基づく当初の測定区分とIFRS第9号に基づく新たな測定区分は以下のとおりです。IFRS第9号の適用開始日における金融資産の分類変更から生じる帳簿価額への影響はありません。また、金融負債の分類変更及び測定区分の変更はありません。
(単位:千円)
測定区分帳簿価額
旧基準
(IAS第39号)
新基準
(IFRS第9号)
旧基準
(IAS第39号)
新基準
(IFRS第9号)
金融資産
売掛金及びその他の短期債権貸付金及び債権償却原価4,577,1934,577,193
その他の短期金融資産貸付金及び債権償却原価230,000230,000
その他の長期金融資産売却可能金融資産FVTOCI(資本性)512,907512,907
貸付金及び債権償却原価780,801780,801

本基準書の適用による当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であります。
(6) 有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、除去及び原状回復費用を含めております。
土地等の償却を行わない資産を除き、各資産はそれぞれの見積耐用年数にわたって定額法で減価償却を行っております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は、以下のとおりであります。
・建物 : 8~10年
・工具、器具及び備品:4~15年
なお、見積耐用年数及び減価償却方法等は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
有形固定資産は、処分時、又は継続的な使用又は処分から将来の経済的便益が期待されなくなった時に認識を中止しております。
(7) のれん
のれんは取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
のれんは償却を行わず、関連する資金生成単位に配分し、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は連結損益計算書において認識され、その後の戻入れは行っておりません。
(8) 無形資産
個別に取得した耐用年数を確定できる無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。個別に取得した耐用年数を確定できない無形資産は、取得原価から減損損失累計額を控除した額で計上しております。
企業結合により取得し、のれんとは区別して認識された無形資産は、取得日の公正価値で当初認識されます。当初認識後、企業結合により取得した無形資産は、個別に取得した無形資産と同様に、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上されます。
研究段階で発生した支出は、発生した期間の費用として計上しております。開発段階で発生した自己創設無形資産は、資産計上の要件をすべて満たした日から、開発完了までに発生した支出の合計額で認識しております。当初認識後、自己創設無形資産は、個別に取得した無形資産と同様に、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。
償却費は、見積耐用年数にわたって定額法で計上しております。
主要な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・ソフトウェア 5年
・商標権 5年
・顧客関連資産 6年~11年
なお、見積耐用年数及び償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(9) 非金融資産の減損
当社グループは各報告期間の末日において、各資産についての減損の兆候の有無の判定を行い、何らかの兆候が存在する場合又は毎年減損テストが要求されている場合、その資産の回収可能価額を見積っております。個々の資産について回収可能価額を見積ることができない場合には、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積っております。回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値とその使用価値のうち高い方の金額で算定しております。資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える場合は、その資産について減損を認識し、回収可能価額まで評価減しております。また、使用価値の評価における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値に関する現在の市場評価及び当該資産に固有のリスク等を反映した税引前割引率を使用して、現在価値まで割引いております。処分コスト控除後の公正価値の算定にあたっては、利用可能な公正価値指標に裏付けられた適切な評価モデルを使用しております。
のれんは、企業結合のシナジーから便益を享受できると期待される資金生成単位に配分し、その資金生成単位に減損の兆候がある場合及び、減損の兆候の有無にかかわらず各年度の一定時期に、減損テストを実施しています。
のれん以外の資産に関しては、過年度に認識された減損損失について、その回収可能価額の算定に使用した想定事項に変更が生じた場合等、損失の減少又は消滅の可能性を示す兆候が存在しているかどうかについて各報告期間の末日において評価を行っております。そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されていなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻入れております。
(10) 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しております。なお、賞与については、それらを支払うべき現在の推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
(11) 株式に基づく報酬
当社グループは、持分決済型の株式に基づく報酬制度として、ストック・オプション制度を採用しております。ストック・オプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたって費用として連結損益計算書において認識し、同額を連結財政状態計算書において資本の増加として認識しております。
(12) 引当金
当社グループが過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、かつ、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に、引当金を認識しております。
引当金は、現時点の貨幣の時間価値の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、債務の決済に必要とされると見込まれる支出の現在価値として測定しております。時の経過による引当金の増加は金融費用として認識しております。
当社グループは引当金として、資産除去債務を認識しております。資産除去債務は、賃借事務所・建物等に対する原状回復義務に備え、過去の原状回復実績及び事務所等に施した内部造作の耐用年数を考慮して決定した使用見込期間等を基礎として、各物件の状況を個別具体的に勘案して見積り、認識及び測定しております。
(13) 資本
① 普通株式
当社が発行した普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合は、直接取引費用を含む税効果考慮後の支払対価を、資本の控除項目として認識しております。自己株式を売却した場合は、帳簿価額と売却時の対価の差額を資本剰余金として認識しております。
(14) 収益
IFRS第15号の適用に伴い、以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しております。
ステップ1― 顧客との契約を識別する。
ステップ2― 契約における履行義務を識別する。
ステップ3― 取引価格を算定する。
ステップ4― 取引価格を契約における履行義務へ配分する。
ステップ5― 履行義務を充足した時点で(または充足するに応じて)収益を認識する。
当社グループのセグメント毎における主要な収益認識基準は、以下のとおりであります。なお、収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き等控除した金額で測定しております。
(ⅰ) 収益の主要な区分ごとの収益認識基準及び履行義務の充足時の収益認識
① HOME'S関連事業
HOME'S関連事業では、「LIFULL HOME'S」等の不動産情報サイトを用いて、物件情報掲載のためのプラットフォーム、広告掲載、メール・電話での問合せをしたユーザーについて顧客であるクライアントへの送客、業務支援ツール等のプラットフォームの提供及び広告販売、並びに不動産及び不動産周辺事業者向けにインターネット・マーケティング、システム開発、プロモーション・制作等の業務支援におけるコンサルティングサービスを提供しております。これらのうち、プラットフォームの提供、一定期間にわたる広告掲載やサービスの役務提供を行うものについては、サービス等に関する履行義務が継続して充足されるため、当該期間にわたって定額で収益を認識しております。ユーザーからの問合せに対するクライアントへの送客については、メール・電話にてユーザーがクライアントに問い合わせをした時点で履行義務が充足されるため、問い合わせ実績に基づき収益を認識しております。またWeb制作等、制作業務に係る収益は、制作物を顧客に引き渡す義務を負っており、制作物が完成し顧客に引き渡される時点で履行義務が充足されるため、当該時点で収益を認識しております。
② 海外事業
海外事業では、不動産・住宅、中古車、求人等のアグリゲーションサイトを用いて、世界中のユーザーとコンテンツパートナーをつなげ、情報のマッチングサービスを提供しております。主な収益は検索連動型広告、広告掲載等になります。検索連動型広告は、ユーザーが検索連動型広告をクリックすることにより顧客のサイトに送客するという義務を負っております。よって、ユーザーが広告をクリックした時点で履行義務が充足されるため、当該時点において収益を認識しております。広告掲載については、広告を一定期間にわたってサイト上に掲載する義務を負っております。サービスが継続して提供され、掲載期間にわたり履行義務が充足されるため、当該期間にわたり定額で収益を認識しております。
③ その他事業
その他事業では、老人ホーム・介護施設の検索サイト「LIFULL 介護」、保険ショップ検索・予約サイト「LIFULL保険相談」、損害保険代理店事業、引越し見積り・予約サイト「LIFULL引越し」、レンタル収納スペース情報検索サイト「LIFULLトランクルーム」、インテリアECサイト「LIFULLインテリア」等の情報掲載に係るサービスを提供しております。これらは、一定期間にわたってプラットフォームの継続提供や、情報掲載を行う義務を負っております。サービスが継続して提供されることから、契約期間にわたり履行義務が充足されるため、当該期間にわたって定額で収益を認識しております。
収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き等控除した金額で測定しております。
当社グループは、経過措置に従って遡及適用し、適用開始の累積的影響を適用開始日に認識する方法を採用していますが、本基準の適用開始日における累積的影響額に重要性はありません。
(15) リース
リースは、所有に伴うリスクと経済価値が実質的にすべて当社グループに移転する場合には、ファイナンス・リースに分類し、それ以外の場合にはオペレーティング・リースとして分類しております。
ファイナンス・リース取引におけるリース資産は、リース開始日に算定したリース物件の公正価値と最低リース料総額の現在価値のいずれか低い金額で当初認識しております。当初認識後は、リース契約の満了までに当社グループが所有権を獲得することが合理的に確実な場合を除き、リース期間又は経済的耐用年数のいずれか短い期間で定額法にて償却しています。
オペレーティング・リース取引においては、リース料は連結損益計算書において、リース期間にわたって定額法により費用として認識しております。また、変動リース料は、発生した期間の費用として認識しております。
契約がリースであるか否か、又は契約にリースが含まれているか否かについては、法的にはリースの形態をとらないものであっても、IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」に従い、契約の実質に基づき判断しております。
(16) 法人所得税
連結損益計算書上の法人所得税費用は、当期法人所得税と繰延法人所得税の合計として表示しております。
当期法人所得税は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、決算日までに制定又は実質的に制定されたものであります。当期法人所得税は、その他の包括利益又は資本において直接認識される項目から生じる税金及び企業結合から生じる税金を除き、損益として認識しております。
繰延法人所得税は、決算日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産又は負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から生じる場合
・企業結合でない取引で、かつ取引時に会計上の利益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引における資産又は負債の当初認識から生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が高くない場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、決算日までに制定又は実質的に制定されている税率に基づいて、当該資産が実現される又は負債が決済される年度の税率を見積り、算定しております 。
また、繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、又は異なる納税主体に課されているものの、これらの納税主体が当期税金資産及び負債を純額ベースで決済することを意図している場合、もしくはこれら税金資産及び負債が同時に実現する予定である場合に相殺しております。
(17) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。なお、希薄化後1株当たり当期利益は、潜在株式が存在しないため基本的1株当たり当期利益と同額であります。