有価証券報告書-第12期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 16:02
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【項目】
119項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、政府の経済政策や日銀の金融政策を背景に企業収益や雇用情勢の改善が見られる等、緩やかな回復基調が続きました。米国経済は堅調に景気回復が続いておりますが、金融政策正常化に向けた動きの影響等に留意が必要な状況にあります。
当社グループの主力事業であるeディスカバリ(電子証拠開示)事業の市場は、データ量の飛躍的拡大とも相まって堅調に推移しております。また、アジアのグローバル企業が米国において特許・知財・製品安全・価格カルテル・連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)等に関する訴訟に巻き込まれるという状況は依然として増え続けております。
このような市場環境の中で当社グループは、米国での販売チャネルの構築や認知度向上を目的とし、昨年8月にテックロー・ソリューションズ社(TechLaw Solutions,Inc.)を買収し事業基盤の更なる強化を図りました。また、世界最大規模のリーガルテクノロジー関連展示会『Legal Tech New York 2015』にテックロー・ソリューションズ社と共同参加し、当社グループの技術力の高さに加え営業及びサービス力が拡充していることを伝えることができました。このように当連結会計年度において米国市場での事業基盤の拡大について積極的に展開してまいりました。
並行して当社グループでは、当社独自の人工知能技術を応用した新たなテクノロジー「VDS(バーチャルデータサイエンティスト)」を開発し、eディスカバリ事業を始めとして、様々な分野での活用と連携が始まっております。具体的には当社独自の人工知能VDSを搭載したeメール監査ツール「Lit i View EMAIL AUDITOR」(リット・アイ・ビュー・イーメール・オーディター 以下、EMAIL AUDITORといいます。)がアジアの大手企業及び日本の大手製造メーカー数社へ導入されたことや、トヨタテクニカルディベロップメント株式会社との知財VDSの共同開発に着手したことが挙げられます。医療分野においては、NTT東日本関東病院と予測困難な有害事象の防止をめざして、転倒・転落防止システムの共同開発を実施し、一定の評価を得ました。これは、転倒・転落の予兆行動が記載された患者の電子カルテを教師データとして用い、膨大なテキストデータから分析に必要なデータを的確に発見する技術においてUBICの人工知能を使用し、入院患者の転倒・転落の予兆を察知しようとするものであります。当社グループの人工知能は現実にビジネスで活用されている事例として、様々なメディアで多数取り上げられ、注目を集めました。グローバルにおいて人工知能におけるビッグデータ解析事業は、今後成長が見込まれる有望な市場であり、当社は積極的に研究開発及びパートナー戦略の推進、他分野への活用を通して事業化を進めてまいります。
以上のような状況下において、当連結会計年度の連結業績は、売上高が6,274,460千円(前期比50.4%増)、営業利益は266,069千円(前期比864,687千円増)、経常利益は434,061千円(前期比1,063,935千円増)、当期純利益は260,310千円(前期比864,668千円増)となりました。すべての事業において前年比で売上高は増加し、損益面においてもテックロー・ソリューションズ社の株式の取得関連費用が87,803千円発生しているものの前年同期比で営業利益は増益となりました。また、急激な円安による為替差益201,668千円の影響もあり、経常利益、当期純利益ともに増益となっております。
各事業の概況は以下のとおりです。
① eディスカバリ事業
eディスカバリサービス及びeディスカバリソリューションの2つのサービスを提供しております。
eディスカバリ事業につきましては、カルテル案件を含む大型案件を獲得したことや、北米にて新規大型顧客を獲得できたこと、及び、テックロー・ソリューションズ社を買収し、連結子会社化したことが寄与し、eディスカバリサービスの売上高は2,635,199千円(前期比62.1%増)、eディスカバリソリューションの売上高は3,197,841千円(前期比49.1%増)となりました。
以上の結果、eディスカバリ事業の売上高は5,833,040千円(前期比54.7%増)となりました。
② リーガル/コンプライアンスプロフェッショナルサービス(LCPS)事業
この事業は、フォレンジックサービス、フォレンジックツール販売・サポート,フォレンジックトレーニングサービス、コンプライアンス支援の4つの事業から構成されています。
フォレンジックサービスにつきましては、eディスカバリ事業で培った技術をフォレンジックサービスに応用した案件を獲得することができ、売上高は299,094千円(前期比24.2%増)となりました。
フォレンジックツール販売・サポートにつきましては、前期の大規模な売上に比べ、案件数は安定していたものの小規模な案件の引き合いが多く、売上高は46,270千円(前期比26.1%減)となりました。
フォレンジックトレーニングサービスにつきましては、官公庁へのトレーニング案件の多くが終了したため、売上高は6,324千円(前期比78.1%減)となりました。
コンプライアンス支援につきましては、前連結会計年度にあった案件が終了したことに伴い、売上高は4,300千円(前期比50.6%減)となりました。
以上の結果、リーガル/コンプライアンスプロフェッショナルサービス(LCPS)事業の売上高は355,990千円(前期比4.4%増)となりました。
③ その他の事業
その他の事業につきましては、テックロー・ソリューションズ社におけるソフトウェア販売の売上が加わったことにより売上高85,429千円(前期比40.8%増)となりました。
また、下半期には医療、マーケティング、知財分析やSNSの分野での専門的な知見を持つパートナーと協業し、当社人工知能を活用した新規事業分野でプロジェクトを開始しています。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,718,259千円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,022,576千円(前期比995,656千円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は1,417,182千円(前期比763,709千円の増加)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出891,575千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は1,679,696千円(前期比922,808千円の増加)となりました。これは主に株式の発行による収入1,155,600千円、長期借入金の借入による収入800,000千円によるものであります。