有価証券報告書-第13期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 16:00
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【項目】
130項目

業績等の概要

(1) 業績
当社グループは、当連結会計年度において、M&Aを活用した既存分野(eディスカバリ・リーガル事業)の事業拡大をすすめるとともに、独自開発の人工知能を核とした新規分野への事業展開に取り組んでまいりました。
eディスカバリ事業においては、主力市場である米国において、平成26年8月に実行したテックロー・ソリューションズ社(TechLaw Solutions, Inc.(米国))に続き、平成27年7月にエヴォルヴ・ディスカバリー社(EvD, Inc.(米国))を買収いたしました。これらの買収の相乗効果が、米国での新たな顧客の獲得につながった結果、米国での売上がグループ全体の約6割を占めるとともに、当連結会計年度において過去最高の売上高を達成いたしました。また、グループの投資効率向上のため、米国子会社3社がそれぞれに有するデータセンターやオフィスの統廃合に取り組んだ一方、今後のレビュービジネス分野の強化拡充に向けてワシントンDCとニューヨークにレビューセンターを新設いたしました。これらの組織再編と強化により、大型案件の獲得や顧客への安定したサポートが可能となりました。
人工知能技術を活用した新規事業では、当社が独自開発をした人工知能エンジン「KIBIT」(※)を活用したソリューションをデジタルマーケティング、ヘルスケア、ビジネスインテリジェンスの3つの分野で展開いたしました。デジタルマーケティング分野では、Rappa株式会社を設立しKIBIT搭載のロボット「Kibiro(キビロ)」の開発や当社初の一般消費者向けのサービスとなるコミュニティサイト「健康じまん.com」の開設などを行いました。ヘルスケア分野では、株式会社UBIC MEDICALを設立し、日本医療研究機構(AMED)の公募事業委託先に選定され、その研究開発プロジェクトに参加する一方、病院内で入院患者の転倒転落を予防するシステムの開発等、医療分野における人工知能を活用したビッグデータ解析事業に取り組みました。ビジネスインテリジェンス分野では、企業の事業戦略支援を目的としたビジネスデータ分析システム「Lit i View AI助太刀侍」、膨大な特許関連情報の解析を目的とした知財戦略支援システム「Lit i View PATENT EXPLORER」の提供と販売を開始し、グローバルに展開している日本の金融機関、製造業、小売業などの企業で活用されております。
※KIBITとは、当社が独自開発した人工知能エンジンです。学習と評価を行う独自の人工知能関連技術(当社ではLandscapingと呼びます)と、データ分析の現場を通して集積・体系化された大規模な知識を備えており、非定型のテキストデータを解析します。そして、わずかな教師データから、それを選んだ人間の機微(人間が個人的に持つ暗黙知・判断の仕組み・感覚)を理解することができます。
以上のような状況下において、当連結会計年度の連結業績は、売上高が10,553,007千円(前期比68.2%増)、営業利益は69,123千円(前期比74.0%減)、経常利益は23,210千円(前期比94.7%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は196,752千円(前期は260,310千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となり、前年比で増収ながら減益になりました。
これは、EvD, Inc.を買収した効果により大幅に増収となった一方で、同社の買収関連費用254,884千円とのれん及び顧客関連資産の償却費用182,995千円が発生したこと、人工知能技術の開発とマーケティング体制構築のための新規事業関連費用840,593千円を計上したこと、更に急激な円高による為替差損35,818千円の発生、第4四半期において利益率の低いレビューの売上の大幅な増加の一方、利益率の高いプロセス等の売上が次期にずれこむ等の要因により、売上の増加を上回る費用の増加となったためであります。
各事業の概況は以下のとおりです。
① eディスカバリ事業
eディスカバリサービス及びeディスカバリソリューションの2つのサービスを提供しております。
eディスカバリ事業につきましては、EvD, Inc.の既存案件が追加されたことが大きく影響し、eディスカバリサービスの売上高は4,699,547千円(前期比78.3%増)、eディスカバリソリューションの売上高は5,297,203千円(前期比65.6%増)となりました。
以上の結果、eディスカバリ事業の売上高は9,996,751千円(前期比71.4%増)となりました。
② リーガル/コンプライアンスプロフェッショナルサービス(LCPS)事業
この事業は、フォレンジックサービス、ソフトウェア販売、フォレンジックツール販売・サポート、フォレンジックトレーニングサービス、コンプライアンス支援の5つの事業から構成されています。
フォレンジックサービスにつきましては、ペイメントカードのフォレンジック調査が前年度の倍近くに増え、増収に貢献いたしましたが、その他の調査案件についても受注件数は増加したものの、前年に比べて大規模な調査が少なかった結果、売上高は283,957千円(前期比5.1%減)となりました。
ソフトウェア販売につきましては、当社開発の人工知能「Kibit」を搭載したソフトウェア製品の提供が軌道に乗り始めました。まず、前期に販売を開始したeメール自動監査システム「Lit i View EMAIL AUDITOR」が日本の大手メーカー数社へ導入されサービスの提供が本格的なものとなりました。また、当期発売を開始した特許調査・分析システム「Lit i View PATENT EXPLORER」、ビジネスデータ分析システム「Lit i View AI助太刀侍」も既に導入が始まり実績を上げています。これらの結果ソフトウェア販売の売上高は159,968千円(前期比557.1%増)となりました。
フォレンジックツール販売・サポートにつきましては、捜査機関へのフォレンジックツールの売上が増加したことにより、売上高は41,793千円(前期比90.6%増)となりました。
フォレンジックトレーニングサービスにつきましては、、売上高は9,989千円(前期比57.9%増)となりました。
コンプライアンス支援につきましては、事業の縮小により売上高は453千円(前期比89.4%減)となりました。
以上の結果、リーガル/コンプライアンスプロフェッショナルサービス(LCPS)事業の売上高は496,163千円(前期比39.4%増)となりました。
③ その他の事業
その他の事業につきましては、テックロー・ソリューションズ社におけるソフトウェア販売の売上が好調に推移したものの、パテントサービスの事業縮小が影響したことにより売上高60,091千円(前期比29.7%減)となりました。
なお、上述した今までの事業分類ではなく、2で述べたリーガル/コンプライアンスプロフェッショナルサービス事業に含まれている人工知能技術を活用した新規事業(デジタルマーケティング、ヘルスケア、ビジネスインテリジェンス事業)だけを抜き出してみると、売上高は103,418千円、営業損失が737,174千円となっております。この新規事業はまだ研究開発などの先行投資段階であることは否めません。逆に、リーガル関連の既存事業は売上高は10,449,588千円、営業利益は806,297千円となり、安定的に利益を計上していると言えます。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,795,958千円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は616,566千円(前期比406,009千円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の減少、売上債権の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は4,711,455千円(前期比3,294,272千円の増加)となりました。これは主に新規連結子会社の取得による支出3,433,114千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は3,213,624千円(前期比1,533,927千円の増加)となりました。これは主に長期借入れによる収入3,761,545千円によるものであります。