有価証券報告書-第13期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 16:00
【資料】
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【項目】
130項目

事業内容

当社グループは株式会社UBIC及び連結子会社11社(平成28年3月31日現在)で構成されており、電子データ中心の調査を行うコンピュータフォレンジック調査サービス、法的紛争・訴訟の際の電子データや書類の証拠保全及び調査・分析を行い証拠開示支援をする海外訴訟対策支援(ディスカバリ支援サービス)を提供するリーガルテクノロジー関連事業を行っております。また、ヘルスケア、デジタルマーケティング、ビジネスインテリジェンス分野において、当社独自の人工知能技術「KIBIT」を利用した情報解析事業を行っております。
コンピュータフォレンジックとは、インシデント・レスポンス(※)や法的紛争・訴訟に際し、電子データの証拠保全及び調査・分析を行い、電子データの改ざん、毀損等についての分析・情報収集等を行う一連の科学的調査手法・技術をいいます。
※ インシデント・レスポンス
コンピュータやネットワーク等の資源及び環境の不正使用、サービス妨害行為、データの破壊、意図しない情報の開示、並びにそれらに至るための行為(事象)等への事後対応等をいう。
なお、当社グループの事業内容は次のとおりであります。
(1) eディスカバリ
eディスカバリ事業は、eディスカバリサービス及びeディスカバリソリューションの2つのサービスを提供しております。
① eディスカバリサービス
当社グループのeディスカバリサービスとは、米国の訴訟において、裁判の審理の前にお互いが証拠を開示して、争点の整理を行う際に、顧客や弁護士から依頼を受け、証拠となりうる電子データや書類を適切な手続きに則り、裁判上の決められた期日までに提出できるように支援を行うサービスです。電子データを取り扱う開示作業を特にeディスカバリと呼びます。
このeディスカバリは米国民事訴訟で要求される審理前の証拠開示(ディスカバリ)作業で、膨大なデータ量の中から訴訟に関係のあるデータを抽出しますが、企業における情報の90%以上が電子データとして保有されているため、米国では平成18年12月米国連邦民事訴訟規則(FRCP)が改正になりました。ディスカバリにおいては、電子データの証拠開示が義務付けられ、日本企業の中で米国に進出している企業は、訴訟に対して電子データの証拠開示を対応せざるを得ない事態が急激に増加しています。一方、米国の訴訟環境においては、パテント・トロールと呼ばれる特許管理会社により特許侵害訴訟等で訴えられる事例の急増や、PL訴訟などで見られるクラス・アクションによる多額の賠償金の発生、政府からの独占禁止法違反(カルテル)調査など様々な状況で訴訟に巻き込まれるリスクが存在しています。日本企業は、多額の賠償金や和解金を余儀なくされ深刻なリスクとなっています。
証拠開示は、限られたスケジュールの中で適切に、且つ、効率的に行うことが求められており、特に電子データの開示作業においては特殊な技術が要求され、且つ、日本語に対しては特別な取り扱いが必要になります。適切な技術・経験に基づくキーワードの選定とそれらを組み合わせた絞り込み検索等のノウハウ、大量の電子データを安全な環境で処理することが可能なフォレンジックラボ設備の保持等が必須です。また、証拠閲覧作業(レビュー)においても日本語という言語環境での適切な作業が必要となります。もし、要求された証拠データを開示できなかったり不必要なデータまでを開示してしまった場合、企業にとって訴訟上不利な状況を生みだすことに繋がります。このように米国の訴訟において、顧客が不利益を被ることのないよう、当社グループが顧客のデータの証拠開示に対応します。
② eディスカバリソリューション
昨今の情報化社会の中で、企業が取扱う電子情報は膨大で、国際訴訟に巻き込まれた際の電子証拠開示では、その膨大なデータ量の中から訴訟に必要な情報の場所、容量を早急、且つ、正確に把握し、証拠保全を行なわなければなりません。そのため米国では現在、事前に情報の場所や容量を把握できるeディスカバリソリューションを導入する企業が増えております。欧米企業とは異なり、アジア企業では個々の企業で使用しているメールソフトや地域特有のアプリケーション等、独自のシステム構成、多様な文字コードにより、欧米で使用しているツールでは対応できず、人手が必要となるため、時間やコストが多く発生しているケースが見られます。
当社が独自に開発した「Lit i View」を利用し、365日いつでも世界中のどこでもデータ解析を行うことで、低コストで機密性を維持したまま、複雑な国際訴訟において適切な情報開示を実現いたします。
(2) リーガル/コンプライアンスプロフェッショナルサービス
リーガル/コンプライアンスプロフェッショナルサービスは、主にフォレンジックサービスとフォレンジックツール販売、フォレンジックトレーニングサービス、ソフトウェア販売を提供しております。
① フォレンジックサービス
フォレンジックサービスとは、情報漏洩や内部不正等の問題が生じた際に、顧客からの依頼を受けて提供されたパソコン等を、いつ、誰が、どのようなことをしたのか不正調査の観点から調査し、調査結果を顧客へ提供するサービスです。端末PCからサーバーに至るまでさまざまなデジタルデバイスの中にある膨大なデータの中から証拠として必要なデータを限られた時間の中で抽出し調査することで、顧客はインシデントの全容を把握し、情報開示によるステークホルダーに対する説明責任を迅速、且つ、正確に果たすことが可能となります。
また、調査結果は原因となった対象者の処分の検討材料や、捜査や訴訟における証拠データとしても使用することが可能となります。
内部統制の重要性が増している今、情報流出をはじめとするインシデントが発生した場合には、迅速、且つ、正確な調査と結果報告が求められています。時間効率性、費用対効果、第三者的公正性等、様々な要素において専門機関へ依頼するメリットが大きく、このニーズに応えうるのが当社のフォレンジックサービスです。
② フォレンジックツール販売・サポート
当社では、顧客がコンピュータフォレンジック調査を行う上で必要なハードウェア及びソフトウェアを販売しており、コンピュータフォレンジックに関する、証拠取得・解析・フォレンジックラボ設置までの様々なニーズに対応可能な各種フォレンジックツールを提供しています。当社が販売するフォレンジックツールは、PC内の証拠保全のためのハードウェアを米国Intelligent Computer Solutions,Inc.から、モバイル解析用システムをスウェーデンMSAB,Inc.から、解析用ワークステーションやPCを米国Digital Intelligence,Inc.からそれぞれ輸入し、販売しております。
③ フォレンジックトレーニングサービス
コンピュータフォレンジックを行うには、実践的な知識と技術の習得が必要です。そのため、顧客がこれを自社で行う場合は、コンピュータフォレンジックに関するトレーニングが必要になります。当社は、国際標準基準規格の資格を有する当社調査士が、コンピュータフォレンジックを行うための基礎知識から、実際の証拠取得・解析・フォレンジックラボ運用に至るまで、コンピュータフォレンジック技術者を養成するための各種トレーニングを提供しております。
④ ソフトウェア販売
当社独自の人工知能「KIBIT」を搭載した自社開発ソフトウェアの販売を行っております。電子メール自動監査システム「Lit i View EMAIL AUDITOR(リット・アイ・ビュー イーメール・オーディター)」、日本発のデジタルフォレンジックソフトウェア「Lit i View XAMINER(リット・アイ・ビュー エグザミナー)」、官公庁向けSNS監視システム「Lit i View SNS MONITORING(リット・アイ・ビュー エスエヌエスモニタリング)」等ビジネスの様々なシーンにおいて活用可能なソリューション展開をしております。
(3) 情報解析事業
① ヘルスケア分野における事業
医療機関や民間企業をサポートすることを目的とした子会社である、株式会社UBIC MEDICALを中心に、電子カルテ内のテキストデータを解析し、入院患者の転倒・転落の予兆を察知する「転倒・転落防止システム」の開発や、国立研究開発法人医療研究開発機構(AMED)の公募事業における研究開発、その他電子カルテの解析を通じた、各種ソフトウェア製品の開発、また、人間ドック予約サイトの運営を行っております。
② デジタルマーケティング分野における事業
マーケティング事業に特化した子会社であるRappa株式会社を中心に、当社独自の人工知能「KIBIT」を搭載したコミュニケーションロボット「Kibiro(キビロ)」の開発、また、人工知能「KIBIT」が消費者一人ひとりの嗜好にあったお店や商品などを提案する「デジタルキュレーションサービス」の提供、その他人工知能技術「KIBIT」を活用したコミュニティサイトの運営を行っております。
③ ビジネスインテリジェンス分野における事業
ビジネスインテリジェンス分野においては、特許調査・分析システム「Lit i View PATENT EXPLORER(リット・アイ・ビュー パテントエクスプローラ)」、ビジネスデータ分析システム「Lit i View AI助太刀侍」等のソフトウェア販売、運営サポートをはじめ、企業内データ解析を様々な角度から行っております。
(4) その他
当社は、人工知能を活用した新規事業を立ち上げ、医療、マーケティング、知財分析やSNS分野において研究開発を開始しております。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。