内部統制報告書-第16期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/07/01 16:01
【資料】
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財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項

代表取締役社長 守本正宏及び取締役 管理本部長 上杉知弘は、当社グループ(当社及び連結子会社)の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
なお、財務報告に係る内部統制は、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合や当初予定していなかった組織内外の環境の変化には必ずしも対応しない場合があるなど、固有の限界を有するため、財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。

評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項

財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日で2019年3月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定いたしました。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社グループについて、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定いたしました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しており、当社及び連結子会社6社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定いたしました。なお、上記以外の連結子会社2社については、金額的及び質的影響の重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲に含めておりません。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の売上高(連結会社間取引消去後)の金額が高い拠点から合算していき連結売上高の概ね2/3に達している2事業拠点を「重要な事業拠点」と選定いたしました。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として「売上高」、「売掛金」及びこれらに直接関連する「売上原価」に至る業務プロセスを評価の対象といたしました。さらに、選定した事業拠点にかかわらず、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして個別に評価対象に追加いたしました。

評価結果に関する事項

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

当社の米国子会社であるFRONTEO USA, Inc.(以下、「FUSA」という)において、2016年3月期から開示すべき重要な不備が発生しています。2019年3月期においても引き続き改善に努めましたが、監査人より、売上高に関連する会計処理を中心として多数の監査指摘を受け、引き続き問題が改善されていないとの指摘を受けました。本指摘の原因を分析したところ、(1) 見積りや判断が必要な売上高に関連する決算整理事項について、経理部門の理解不足及びチェック体制が不十分であったこと、(2) 営業部門、ビジネスオペレーション部門、請求書作成部門等のいわゆる上流部門と経理部門の連携が不十分であり、処理すべき項目に対し漏れが生じるなど、処理誤りが発生したこと、(3) 上流部門において、必ずしも正確な処理・対応がなされていなかったこと等の課題が認識されました。このことから、売上高に関連して設定されたコントロールが、必ずしも確実には機能しておらず、内部統制の運用が不十分であり、当事業年度日末時点において、販売に係る業務プロセスに関し、改善中の開示すべき重要な不備が残っていると判断しました。また、IT基盤に関する全社的な統制の不備が解消しきれなかったこと、結果として多額な監査修正が発生したことから、全社的な内部統制及び売上高に関連する処理を中心とした決算・財務報告プロセスにも、改善中の開示すべき重要な不備が残っていると判断しました。
なお、上記開示すべき重要な不備に起因した必要な修正は連結財務諸表に反映しております。
当社はFUSAにおける当該事実を真摯に受けとめ、2020年3月期において、以下の改善施策を着実に実行致します。これにより、決算財務報告体制の拡充とスキルアップを図るとともに、決算業務に関するモニタリングを強化し、適切な内部統制を整備・運用する方針であります。
① 経理部門の強化
売上高に関連する部門の人員に関し、米国での収益認識基準に精通した要員を3名増強すべく、採用活動を開始しております。加えて、外部コンサルタントを通年契約にて確保した上で、特に見積りや判断が必要な売上高に関連する会計処理に関し、詳細な業務手順書及びチェックリストを作成し、運用していきます。
② 部門間連携とチェック機能の強化
契約管理や請求管理等を行う営業管理人員を増員し、上流部門と経理部門との連携を強化するとともに、上記①記載の業務手順書及びチェックリストを整備することで、漏れのない部門間の連携を推進します。次に、請求書チェック機能については、一定の改善は見られたものの、更なる強化施策として、チェック対象範囲の拡大、経理部門が記帳した内容を営業管理部門が確認するプロセスの設定等を通じてチェック機能を強化します。また、エラー内容の原因部門へのフィードバックを徹底し再発防止に努めます。
③ 関係部門(上流部門)での正確な処理の強化
売上計上される案件数及び少額の請求書数が多いことが正確な処理が徹底されない一つの要因になっており、少額案件を選別し管理工数を削減し、正確な処理が徹底できる業務量にしていきます。また、各ITシステム間の自動連携がなされておらず、手動処理が発生していることが上流部門での処理誤りの一因になっているため、特に請求書作成関連の自動処理が可能となるようにシステム改修を行います。