有価証券報告書-第32期(平成26年12月1日-平成27年11月30日)

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2016/02/25 14:24
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業績等の概要

(1)業績
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢に改善が見られるなど緩やかな回復をつづけております。
当社が属する情報通信関連市場は光ファイバーや4Gなどの通信インフラが普及し、ブロードバンドの世帯カバー率もほぼ100%となっています。音声通信はIP化がなされつつあり、IPv6*1の導入も徐々に始まっております。その上でネットワーク上では様々な「SaaS」が進展、情報発信を行うためスマートフォンやタブレット端末といった「スマートデバイス」への普及が世代を超えて進んでおり、さらにはウェアラブル端末*2などの新しい差別化商品が市場に登場するなど、新たな局面を迎えております。その一方でM2M分野*3においては、急速な市場拡大が見込まれており、市場規模は2013年に約2,300億円であったものが、2018年には1兆円を超える試算があるなど、引き続き非常に関心が高まっております。また2015年の情報通信白書によると、M2Mの上位概念であり、機器だけではなく、様々なモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)は爆発的に拡大、データ流通量も急速に増加、アルゴリズムの高度化による人工知能の進化などが予測される中で急増するビッグデータの流通を可能とするネットワーク技術の構築、多様なIoT端末が自立的に動くためのプラットフォームの構築、社会全体のICT化に対応したセキュリティ、耐災害性の強化などが課題として挙げられており、そこから新たな市場が創出されようとしています。
*1 「IPv6」とは、インターネットの基礎となる通信規約(プロトコル)であるインターネットプロトコルの仕様の一つ。現在広く使われているIPv4(IP version 4)からの置き換えが予定されている新しい規格。
*2 「ウェアラブル端末」とは、腕や頭部など、身体に装着して利用することを想定した端末です。
*3 「M2M」とは、ネットワークにつながれた機器同士が相互に情報を交換し、様々な制御を自動的に行うシステムで、人手を介することなく相互に情報交換できることが大きなメリットです。そのため、パソコンやサーバーだけではなく、車両運転管理システムとの融合による運転状況の管理、自動販売機の在庫管理や故障等のモニタリング、エレベーターやATMの遠隔監視や故障等のモニタリング、電気・ガスのメーターの遠隔検針やセキュリティ対策など、多種多様な分野で導入されています。
このような事業環境において、当社は、新規市場への取組みとして、2015年1月に株式会社ZMP(以下、「ZMP」といいます。)と自動車テレマティクス*4分野での共同マーケティングを開始しました。ZMPが保有する車両情報を解析する技術と、当社の通信モジュール及び通信技術を組み合わせることで、車両の状態監視、走行時の音声や画像データなどの送信、新たな機能の追加におけるソフトウェアの自動アップデートなどの実現や、子会社の株式会社ネクス・ソリューションズ(以下「ネクス・ソリューションズ」といいます。)で、走行情報等から収集したデータを蓄積するサーバーや、そのデータを活用し役立てる為のアプリケーションの開発を行うなどの検討をしてまいります。
*4 「テレマティクス (Telematics)」 とは、テレコミュニケーション(Telecommunication=通信)とインフォマ ティクス(Informatics=情報工学)から作られた造語で、移動体に携帯電話などの移動体通信システムを利用してサービスを提供することの総称。
また、2015年4月1日には商号を「株式会社ネクスグループ」に変更致しました。そして、当社のデバイス事業を会社分割し、新たに設立する当社100%子会社「株式会社ネクス」に承継させ、当社は持株会社体制に移行致しました。持株会社体制へ移行することで当社はグループ経営に特化し、新たなビジネスの優先度や規模に応じた人員・資金配分を行うことで、グループ最適経営を実践します。また事業会社には事業執行上の権限を大幅に委譲することで、それぞれの市場の状況にあわせた柔軟でスピーディーな意思決定をすることが可能となります。さらに成長施策として有力な選択肢であるM&Aを迅速・円滑に実施する上でも、持株会社体制の持つ機動性、グループ内に上下関係をつくらない経営スタイルが大いに寄与することで、成長のスピードが格段に上がると考えております。
6月には、株式会社SJI(以下「SJI」といいます。)と資本業務提携契約の締結を行い、第三者割当増資、新株予約権の引き受けにより同社を子会社化致しました。子会社である、高付加価値の通信機器デバイスを製造する株式会社ネクス、ネクス・ソリューションズと共に、デバイス製品のハードの提供だけに留まらず、サーバーアプリケーションや、その他のアプリケーションサービスなどのM2Mソリューションサービスを提供することで、成長を続けるM2M市場に対してバリューチェーンの垂直統合を進め①ワンストップサービスによるメリット提供、②バリューチェーン全体での利益の最大化を目指します。
0102010_001.pngSJIを含めた、当グループ体制について
農業ICT事業(NCXX FARM)は、今まで3年にわたり特長である、特許農法(多段式ポット栽培)による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」の検証を行うとともに、ミニトマトの栽培ノウハウの蓄積・データ解析を行い、高品質の作物を安定的に生産できるようシステムの改善を行ってまいりました。その結果、収穫量につきましては、多段式ポット栽培により単位面積あたりの収穫量が慣行農法の1.5〜2倍となることが、当社実績から実証することが出来ました。また、ICTシステムを用いた環境管理については、農業設備の自動制御並びに自動潅水などによる作業の効率化を実現すると共に、栽培品質の安定化についてもデータを蓄積し、今後のシステム商品として有効に活用できるものとなりました。
また、生産したトマトは、「IT野菜」として産直やレストラン、eコマースなどにより販売を行う一方で、各種加工品の開発など、6次産業化に向けた取り組みも行ってまいりました。他にも、2013年11月に発売を開始したお土産品「黄いろのトマト」は岩手県花巻市の「ふるさと納税記念品」に採用されるなど地域に密着した取り組みを引き続き進めております。
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お土産品「黄いろのトマト」 上段「IT野菜 ミニトマトMIX」
下段「黄いろのトマト/ラスクセット」
今までの3年間の研究開発の集大成として、来期より圃場の規模を現在の140坪から、総面積1,640坪まで拡大し、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」の事業拡大を進めてまいります。また、NCXX FARMの特長である、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」に、あらたに製品の「販売サポートシステム」と「生産物の全量買取保証」を加えた、一連のシステムのパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」を開始し、新たな事業の柱となる様に拡大してまいります。
M2M分野のドメイン拡大の領域の1つとして、参入しました介護ロボット事業に関しましては、2014年4月からロボット関連製品のメーカーであるヴイストン株式会社と介護ロボットの共同開発を行っております。現状は、高齢者とのコミュニケーションにフォーカスしたロボットの試作機を開発し、提携施設での試験導入を行っており、現場の意見をフィードバックしながら試作機の改良を繰り返しております。引き続き開発を行い、早期に製品化できる様に進めてまいります。
次に、各子会社の状況につきましては、2015年4月より会社分割により、デバイス事業を承継した株式会社ネクス(以下、「ネクス」といいます。)では、今後の成長が期待される自動車テレマティクス分野への取り組みとして、2015年5月にOBDⅡ型自動車テレマティクスデータ収集ユニット、「GX410NC」を開発し、販売を開始しております。当社OBDⅡ型データ収集ユニットの特長としては、業界最高レベルの車種対応数(900車種以上)とデータ取得数を実現しており、今後より多くのデータ取得を目的とするビッグデータビジネスのニーズに十分応えられる製品となっております。また、モバイルの特長を最大限に生かし、車種追加をソフトウェアアップデートで実現しますので、毎年リリースされる新型車種、特定用途の車両についても、お客様のご要望により順次ソフトウェアのアップデートを行う事ができ、製品としての価値を継続して高めてまいります。
また、2015年9月には株式会社ブレインパッドと、「GX410NC」を利用した、コネクテッドカー・プラットフォーム構築のための協業を開始し、自動車テレマティクスサービスを指向する事業者をワンストップでサポートするプラットフォーム化を進めてまいります。
0102010_005.png 0102010_006.pngOBDⅡ型データ収集ユニットで実現できるサービス
既存デバイスの販売として、2014年より販売を開始致しました、4つの周波数帯全てに対応するQuad-band LTE−USB型データ通信端末、「UX302NC」「UX312NC」は、音声データや高画質な映像データなどの大容量データのやり取りのニーズの増加から、順調に販売を伸ばしております。
また、既存デバイス製品である3G対応USB型データ通信端末については、その性能を評価いただき、車載器機メーカー大手のクラリオン株式会社のカーナビ(UA-1138A)へ2015年4月に採用となり、出荷を開始致しました。UA-1138Aは、当社3G対応USB型データ通信端末を接続する事でIP無線機として利用することも可能となります。

0102010_007.png0102010_008.pngUA-1138A(クラリオン製車載端末) UX102NC(ネクス製 USB通信モジュール)
2015年6月には、当社パートナー企業であるビッグローブ株式会社の「M2M向けモバイル通信サービス」のサイトにも掲載いただいたことをはじめ、機器を無線により管理するM2M向の市場の需要は年々高まっており、監視カメラ、サイネージ、カーナビゲーションなどを中心に導入が広がっていく見込みです。
ネクス・ソリューションズに関しましては、既存の継続した案件の安定した受注に加えて新たにスタートした「地銀システム再構築」、大手メーカーの「社内システム(人事・給与・生産管理システム)再構築」の大型案件の受注及び「エネルギーの自由化に伴うシステム開発」の受注が順調に伸び増収となりました。中部、関西、九州の事業所に加えて関東事業部も本格稼働し、さらに事業拡大を進めてまいります。
グループ会社との連携と致しましては、2015年6月に、親会社である株式会社フィスコに提供している、無料スマートフォンアプリ「FISCO (FISCOアプリ)」のPCブラウザ版「FISCO(FISCOウェブ)」を開発しサービスをスタートさせました。
0102010_009.pngFISCOウェブ( https://web.fisco.jp/ )
また、2015年7月には、昨年に引き続き「WINNER Z-TECH & NCXX Group」として、鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦をし、ネクスの通信機器に対応した「トラッキングアプリ」で走行中のバイクのデータ収集の試験を行い製品化に向けた取り組みを進めてまいりました。
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)サービスの1つの取り組みとして、前述したネクスのOBDⅡ型データ収集ユニット「GX410NC」を使用したテレマティクスサービスシステム開発に取り組んでおります。
さらに、「農業ICT」に関しましても株式会社ネクスグループの農業ビジネス拡大に伴い機能拡充のバージョンアップを進めております。
このように、既存の受託システム開発ビジネスに加えて、自社開発によるサービスビジネスの拡大に向け積極的に取り組んでおります。
SJIにつきましては、第三者割当による募集株式及び新株予約権のそれぞれの発行が承認可決され、募集株式の払込手続きが完了致しました。その後、当社による新株予約権の一部行使により、財務面において資本増強を実現しました。
新生SJIとして、取締役をはじめとする経営体制の大幅な刷新を行い、様々な取り組みに着手しております。中でもグループ会社間の人材の相互交流に注力しており、こうした交流の中から営業促進の連携を進めております。グループ会社の顧客に対し、SJIが営業活動を行うことにより、新たな顧客層の開拓や、これまでにはないニーズの掘り起こしを行っております。具体的には、金融分野での開発のノウハウを活かし、注目されるフィンテック分野などにも積極的に取り組んでまいります。また、日本企業向けシステム開発の豊富な経験と、創業以来行っておりますハイレベルな日・中の技術者による中国オフショア開発委託、長年の経験による高品質で納期厳守のプロジェクト運営が顧客より高い評価を得ております。なお、営業利益においては、2015年9月以降、単月黒字を継続しております。
上記をもとに、来期の連結業績については、売上高 6,300百万円、営業利益424百万円、経常利益 371百万円、親会社株主に帰属する当期純利益 377百万円を想定しております。
また現在、特設注意市場銘柄指定を受けておりますが、公正で適正かつ透明性のある組織風土づくり、ガバナンス・コンプライアンス体制の強化にむけてグループ会社一丸となって、指定の解除に取り組んでおります。今後の予定としましては、2016年2月25日に内部管理体制確認書を提出し、特設注意市場銘柄指定の解除審査に入ります。審査後に結果を公表されますが、万が一特設注意市場銘柄指定を継続された場合は、6ケ月後の2016年8月25日に再度、内部管理体制確認書を提出し審査を行います。当社は、SJIが2016年2月25日の内部管理体制確認書提出後の解除審査で指定の解除がされる様、万全の体制で審査に挑める様に準備を致します。
株式会社ケア・ダイナミクス(2015年1月19日に株式会社ケアオンラインより商号変更。)では、介護事業者向けASPシステムの提供を行い、既に400以上の介護施設にシステムの導入実績が有りますが、新たに介護ロボットの導入支援や介護ICTの提供などのサービスを開始し「総合介護事業支援企業」へと進化致しました。2015年4月には当社とCYBERDYNE株式会社との間でロボットスーツHAL®販売取次店業務に関する契約を締結し、都内の介護施設へ導入支援を致しました。今後も、歩行支援や移乗支援を行うもの、遠隔での見守りシステム、など様々な種類の介護ロボットの提供や、ウェアラブル端末や通信機器を利用したICTサービスの提供などを行い、介護事業者の支援を行ってまいります。
インターネット旅行事業のイー旅ネットグループでは、氾濫する旅行商材と多様化・高度化する消費者ニーズに対応でき、多くのお客様から満足度の高いコメントを多数いただいております。その背景には、厳選された経験豊富な「トラベルコンシェルジュ」(旅行コンサルタント)が登録されている、日本で唯一のインターネットによるオーダーメイド旅行会社としての体制を構築できたことに他なりません。
2015年6月には、外国人向けの専用サイトをオープンするなど、広くグローバルな視点から、訪日外国人旅行者向けに商品を企画することで、今までのアウトバウンド事業だけでなく、今後オリンピックに向けて増加していくインバウンド*5事業に着手してまいりました。2015年11月には中国青旅假日(福建)国際旅行社有限公司と業務提携を行い、中国からの訪日旅行者の積極的な取り込みと、中国への渡航者へのサービスの拡充を図っております。今後も、インバウンド事業の拡大に積極的に取り組んでまいります。
*5 「インバウンド」とは、訪日外国人の事で、訪日外国人旅行者数は2014年度で約1,400万人となり、2015年度は1,600万人を超える勢いとなっており、今後この傾向は5年以上継続するものと予想され、入国者数が出国者数を上回ることは間違いないと言われています。
また、トラベルコンシェルジュも順調に登録数が推移し、昨年の300名から現在では380名となっております。
2015年7月には株式会社ソウ・ツーと業務提携を行い、トラベルコンシェルジュの優位性を生かし、代官山の蔦屋書店内にあるTトラベルの旅行カウンターへ方面別専門家を毎週派遣し、専門知識を生かした集客方法のテストケースとして一翼を担っております。今後、大阪の枚方駅前開発が2016年5月に完了し、蔦屋書店の「枚方Tサイト」オープン時には、代官山同様にコンシェルジュの派遣を行い、協業の推進を図ってまいります。
トラベルコンシェルジュが中心となり企画した「こだわる人の旅」では、毎月新しい「こだわりの旅」を発表しています。2015年10月には最近再燃したフィリピンのビーチを取り上げ『憧れのビーチリゾート』を、11月にはイタリア料理の日本における第一人者カルミネ・コッツオリーノ氏が手がけるフィレンツェの料理学校で学ぶ『イタリア・トスカーナで本格イタリアンの料理教室を体験』をリリース致しました。これからも継続してこだわりの旅をご案内してまいります。
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連結業績につきましては、デバイス事業において、当初より当期及び来期以降の当社売上に大きく寄与する自動車テレマティクス分野の新製品2機種の販売を予定しておりましたが、下記理由により売上が大きく減少致しました。また、当該新製品は非常に利益率が高かった事から、営業利益も大幅に減少致しました。
新製品の内の1種「OBDⅡ型データ収集ユニット」の販売において、大手自動車関連企業に対しODM生産を行い製品の提供を行う予定でしたが、顧客からの仕様変更の要求が有り追加開発を行い販売計画が大きく遅れ、顧客都合によりさらに販売計画が延期のうえ頓挫致しました。そのため、今期の売上予定から約19億円の売上減となりました。「OBDⅡ型データ収集ユニット」につきましては自社ブランドでの販売も開始しており多くの引き合いが来ております。また、今般のODM開発により、顧客ごとの細かな要求に対応しカスタマイズしていくノウハウも蓄積されたため、今期の売上減少分につきましては、来期に自社ブランド製品及び、カスタマイズ品の販売により需要の取り込みを行ってまいります。
また、もう1種の新製品においては顧客より仕様追加の要求が有り、追加開発を行ったため販売開始が大幅に遅れ、今期の売上の一部が来期にずれ込んだ結果、約13億円分の売上減となりました。こちらにつきましては、当該第4四半期より販売を開始しております。販売が遅れた事による機会損失の懸念はありますが来期中に全ての受注を目指します。
6月30日に連結子会社化したSJIにつきましては、7月から10月までの業績を取り込んでおります。7月より経費削減に取り組んでまいりましたが、今期の業績には十分に寄与しませんでした。また、株式取得に関するのれん償却額として164百万円を計上した事と、SJIの海外子会社である、恒星信息(香港)有限公司の円建て負債の為替換算の影響により、営業外費用283百万円を計上したため、営業損失、経常損失を計上する結果となりました。
業績につきましては、すでに単月黒字化となった事と、特設注意市場銘柄指定による、受注の影響を最小限にとどめるべく、随時顧客への説明を行い、信頼回復への努力を続けたことで、来期以降は業績への貢献が期待できます。
上記の結果、売上高においては、7,416百万円(対前期比16.3%増)となりました。営業損失は529百万円(前期は営業利益82百万円)、経常損失は810百万円(前期は経常利益692百万円)、税金等調整前当期純利益はイー旅グループの株式売却による特別利益などの影響で23百万円(前期は742百万円)、最終損益は45百万円の当期純損失(前期は当期純利益630百万円)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は以下のとおりであります。
(デバイス事業)
当社の既存主力製品であるQuad-band LTE に対応した USB 型データ通信端末及び、3G通信に対応したUSB型データ通信端末が監視カメラ、業務機器、カーナビ向け等へ販売が進捗しましたが、新製品2機種の販売予定が遅延したことにより、大幅に売上減となっております。
また、今期より連結子会社化したSJIは、7月より経費削減に取り組み、9月より単月黒字化になりましたが、今期業績においては営業損失を計上しており、さらにSJIの株式取得に関するのれん償却額として164百万円を計上したため、大きく営業損失を計上する結果となりました。
ネクス・ソリューションズ、ケア・ダイナミクスにつきましては、概ね予定通りに推移しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は5,739百万円(対前期比24.4%増)、営業損失は392百万円(前期は営業利益183百万円)となりました。
(インターネット旅行事業)
当連結会計年度の売上高は、昨年から続くイスラム国によるテロの影響がかなり長く尾をひいており、特に旅行単価が高く収益率の良いヨーロッパが大きな影響を受けております。大手旅行会社では売上が30%も落ち込んでおります。イー旅グループも影響を受け、80百万円(年間売上の5%)のキャンセルが出ました。未受注分(旅行を検討中のお客様の見合わせ等)も含めると、その影響額は約200百万円になると思われます。その後収益改善に取り組み、業界トレンドを上回る収益改善に取り組みましたが、十分なカバーには至りませんでした。売上構成としては、イタリア、スペイン、フランス方面のハネムーンを中心とした海外旅行事業売上が1,547百万円、国内旅行事業売上が130百万円、合計1,677百万円(対前期比4.8%減)となりました。一方で営業利益は、継続した経費節減策が功を奏し販売管理費比率が0.6%減少し、40百万円(対前期比8.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して1,025百万円減少し、2,905百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した資金は1,090百万円(前期は1,448百万円の資金獲得)となりました。これは主に、資金の増加要因として未収入金の減少額1,103百万円、資金の減少要因として売上債権の増加額220百万円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は844百万円(前期は851百万円の資金支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出385百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出206百万円、短期貸付けによる支出2,920百万円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は829百万円(前期は2,072百万円の資金獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入2,583百万円、新株予約権付社債の発行による収入1,157百円があったものの、短期借入金の純減少額1,905百万円及び長期借入金の返済による支出1,895万円があったことによります。