四半期報告書-第15期第2四半期(平成27年4月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/08/12 16:06
【資料】
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【項目】
30項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間(平成27年1月1日から平成27年6月30日まで)において、当社グループは前連結会計年度から引き続き、製薬会社として、中国で上市した特発性肺線維症治療薬アイスーリュイ(中国語:艾思瑞、英語:Etuary)(以下、「アイスーリュイ」という)の拡販と当社グループ保有の複数パイプラインの治験等の加速を重要な経営課題として、鋭意活動しております。
当社グループの主な創薬候補物(パイプライン)等の状況は下記の通りであります。
■アイスーリュイ(特発性肺線維症・放射線性肺炎等治療薬)
中国において、アイスーリュイについては、特発性肺線維症(IPF)、放射線性肺炎(RP)及び糖尿病腎症(DN)、結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)という4つの適応症があります。
① 特発性肺線維症(IPF)治療薬において平成25年12月に製造販売許可を取得致しました。(平成26年1月6日に提出したIR資料をご参照下さい。)アイスーリュイは当社完全子会社である上海ジェノミクス有限公司が長期にわたり自己開発を続け、中国において治療法がなかった疾病に対する新薬(クラス1.1)として中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)が承認をした唯一のIPF治療薬です。また、製造を担当する子会社・北京コンチネント薬業有限公司において本薬剤の商品名の登録が完了し(平成26年1月14日に提出したIR資料をご参照下さい。)、さらに、中国におけるアイスーリュイの販売網につきましても販売代理企業等との契約締結の上、平成26年2月27日より当該薬の製造販売を開始致しました。(平成26年2月27日に提出したIR資料をご参照下さい。)なお、当薬剤の輸出に関しては、AFT Pharmaceuticals Limitedと、平成25年12月、ライセンス契約を締結しており、アジア各国、CIS等での製造販売も視野に入れ、同社は各国で許認可取得の準備も順次行って参ります。また、当社子会社の北京コンチネント薬業有限公司が、中国ベスーン基金とともに、アイスーリュイの新たな患者助成プログラムを開始致しました。(平成27年5月1日に提出したIR資料をご参照下さい。)
② 放射線性肺炎(RP)治療薬については、アイスーリュイの製造販売開始及び資金調達によって開発に必要な資金を確保できたことから、RP治療薬としてのパイロット試験を行った後に第3相臨床試験を開始することとしており(平成26年5月9日に提出したIR資料をご参照下さい。)、平成27年7月4日より第3相臨床試験に先行し、パイロット試験を開始しております。(平成27年7月3日に提出したIR資料をご参照下さい。)
③ 追加適応症としては、糖尿病腎症(DN)治療薬の治験許可(IND)申請書を平成25年1月に提出し、審査及び現場視察が行われております。(追加適応症であるため、第1相臨床試験が省略される可能性があり、臨床試験の申請段階(フェーズ)を第2相臨床試験または第3相臨床試験から開始できる可能性があることを追記致しました。平成26年8月19日に行われた当社会社説明会資料をご参照下さい。)
④ さらなる追加適応症として、結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)治療薬の治験許可(IND)申請書を平成26年12月に提出致しました。CTD-ILDは世界で承認された治療薬剤がなく、新たな適応症のため、CFDAは本臨床試験実施申請(IND)をクラス1.6類に分類しました。既にアイスーリュイは特発性肺線維症(IPF)治療薬として承認されており、追加適応症であるため、第1相臨床試験(安全性等)が免除される可能性がありますが、これは、CFDAが決定します。(平成26年12月12日に提出したIR資料をご参照下さい。)
■F351(肝線維症等治療薬)
F351は、イーピーエス株式会社(4282東証一部上場企業)と当社グループが保有する技術、知的財産、ノウハウ等を共有し、肝線維症等の分野での新しい医薬品や医療技術の早期開発を目的として設立致しました合弁会社であるGNI-EPS Pharmaceuticals, Inc.にて第2相臨床試験を行うべく、平成25年6月に中国において肝線維症治療薬F351の第2相臨床試験申請書を提出しておりましたところ、平成26年7月第2相臨床試験について許可を取得致しました。(平成26年7月1日に提出したIR資料をご参照下さい。)また、平成27年6月10日に中国において第2相臨床試験を開始致しました。(平成27年6月10日に提出したIR資料をご参照下さい。)
この他、肝線維症と類似する腎線維症は、最終的に腎不全へとつながる疾患であり、効果的な治療薬の開発が早急に望まれる疾患であります。この腎線維症についてもF351の有効性を確認するための各種動物実験を行い、F351は肝線維症及び腎線維症に対し、優れた特徴を示しており、将来有望な新薬となることを期待しているところであります。なお、当社グループは中国、豪州、カナダ、米国、日本、欧州及びインドでF351の特許権を取得しております。また、米国において、治験(IND)申請の準備を進めております。
■F573(急性肝不全・慢性肝不全急性化(ACLF)治療薬)
急性肝不全・慢性肝不全急性化(ACLF)治療薬F573は、前述のアイスーリュイ並びにF351に続く3つ目の新薬候補物であります。F573は、強力な肝細胞死阻害剤として米国企業EpiCept社(現Immune Pharmaceuticals Inc.)が開発したジペプチド化合物であります。中国では、B型肝炎ウイルスが原因で、世界的に見ても肝疾患の患者が多く存在しています。重症肝炎の最終ステージにおいて、大規模な肝細胞死が発生する可能性がありますが、現存する抗ウイルス剤以外、残された選択肢である肝臓移植は大変高価な最終手段であり、早急な新薬の開発が望まれるところであります。
当社グループは、F573の合成について経済的な製法を確立し、これをもって体系的に前臨床試験を行って参りました。その結果、様々な肝不全動物モデルにおいて、F573が強力に細胞死の阻害並びに生存率改善を示したことを受け、平成23年7月に上海食品薬品監督管理局(上海FDA)に対し、新薬治験許可(IND)申請書を提出致しました。
■ タミバロテン(急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬)
タミバロテンは、平成17年に東光薬品工業株式会社が日本において承認を得た急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬です。急性前骨髄球性白血病は、15番染色体と17番染色体が転座することにより形成されたPML-RARαキメラ遺伝子によって、前骨髄球の分化が阻害され、がん化した前骨髄球が増殖することにより発症します。ここに、タミバロテンが作用するとPML-RARαの変異性質が解除され、PML及びRARαの機能が正常化することにより骨髄球系の分化誘導が起こるものと考えられています。また、タミバロテンはトレチノインに反応しなくなった急性前骨髄球性白血病症例に対しても効果があるとの報告があります。中国において、東光薬品工業株式会社並びにイーピーエス株式会社が開発しておりましたが、平成25年に当社子会社のGNI-EPS (HONG KONG) Holdings Ltd.が、イーピーエス株式会社より開発等の権利を譲り受け、現在、中国において同社と東光薬品工業株式会社にて、輸入薬承認申請手続の準備をしております。
■その他
以上のパイプラインの他、前臨床等段階の候補物も保有しており、それらも、一歩一歩着実に、研究開発中であります。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期より340,291千円増加し、487,601千円、営業損失は、前年同四半期より50,123千円減少し、244,235千円、経常損失は、前年同四半期より3,239千円減小し、290,121千円となりました。四半期純損失は、前年同四半期より32,573千円増加し、290,396千円となりました。なお、当第2四半期連結累計期間の売上高に占める特発性肺線維症治療薬・艾思瑞(アイスーリュイ)の売上高は366,291千円で、前年同四半期(前期は2月末の発売開始より6月末までの実質4か月間)より311,870千円増加となりました。
販売費及び一般管理費として、主にその他支払手数料189,315千円と試験研究費124,630千円を計上しております。営業外収益に計上した補助金収入2,510千円は、連結子会社北京コンチネント薬業有限公司から発生したものであり、為替差益10,679千円は主に当社及び連結子会社の外貨建て預金に伴って生じたものであります。営業外費用に計上した支払利息9,278千円は、連結子会社である北京コンチネント薬業有限公司及び上海ジェノミクス有限公司による金融機関からの借入金に伴い発生したものであります。特別損失に計上した固定資産除売却損1,136千円は、連結子会社上海ジェノミクス有限公司が固定資産を売却したことで生じた損失であります。
日本セグメントにおきましては、当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期より3,309千円増加し、12,542千円、セグメント損失は、前年同四半期より2,864千円増加し、164,960千円となりました。
中国セグメントにおきましては、当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期より337,475千円増加し、484,040千円、セグメント損失は、前年同四半期より54,914千円減少し、72,421千円になりました。
米国セグメントにおきましては、セグメント損失は、2,985千円になりました。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて7,237千円増加し、6,769,417千円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べて251,587千円増加し、1,227,302千円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べて244,349千円減少し、5,542,115千円となりました。純資産の増減は、主に290,396千円の四半期純損失を計上したことによる減少及び新株予約権のうち未行使の新株予約権が行使されたことにともない資本金及び資本準備金が合計で44,305千円増加したことによります。
(3) キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローにつきましては、当第2四半期連結累計期間において、営業活動による資金の減少は、323,586千円(前年同四半期は316,505千円の減少)となりました。主要な減少項目は税金等調整前四半期純損失291,258千円であり、主要な増加項目は、持分法による投資損益50,844千円と減価償却費27,983千円であります。投資活動による資金の減少は、967,244千円(前年同四半期は11,252千円の減少)となりました。減少項目は主に投資有価証券の取得に伴う741,951千円と、有形固定資産購入に伴う227,479千円の支出であります。財務活動による資金の増加は233,389千円(前年同四半期は1,821,661千円の増加)となりました。主要な変動原因は、長期借入れによる収入として232,320千円の増加であります。
この結果、当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,063,611千円減少し、3,397,809千円となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。また新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は124,630千円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況の重要な変更はありません。
(臨床開発)
当社グループでは、中国においてアイスーリュイ、F351、F573、タミバロテン等を開発しております。
アイスーリュイについては、(1)放射線性肺炎(RP)、(2)糖尿病腎症(DN)、(3)結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)適応薬として開発中にて、(1)については平成27年7月に第3相臨床試験前のパイロット試験を開始、(2)及び(3)に関しては、平成25年1月、平成26年12月に夫々、新薬治験許可(IND)申請書を提出致しました。
F351は肝線維症治療薬として平成26年7月に第2相臨床試験開始許可を取得、平成27年6月に第2相臨床試験を開始致しました。また、米国において、治験(IND)申請の準備を進めております。
F573は急性肝不全・慢性肝不全急性化(ACLF)治療薬として平成23年7月に新薬治験許可(IND)申請書を提出致し、タミバロテンは急性前骨髄球性白血病治療薬(APL)として、輸入薬承認申請の準備を行っております。