有価証券報告書-第6期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/26 15:12
【資料】
PDFをみる
【項目】
128項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、政府の積極的な財政・金融政策等を背景として、個人消費、鉱工業生産等が牽引し、緩やかな景気回復の動きが強まりを見せました。また、平成26年3月調査の日銀短観において当年度のソフトウェア投資計画(金融機関を含む全産業)が前年度比8.6%増となる等の見通しが発表されました。
当社グループの属する情報サービス産業においても、上期には金融機関をはじめとする一部顧客にとどまっていたIT投資意欲の高まりが、下期には産業分野においても感じられるようになるなど、事業環境は改善傾向にありました。
このような状況の中、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高346,647百万円(前期比2.6%増)、営業利益19,510百万円(同7.4%増)、経常利益18,971百万円(同8.8%増)、当期純利益7,913百万円(同34.9%増)となりました。
売上高については、顧客のIT投資ニーズを的確に捉えた結果、ITインフラストラクチャーサービス、金融ITサービス及び産業ITサービスの主要3セグメントの全てにおいて前期比増収となる等、全体的に好調に推移しました。営業利益及び経常利益については販売費の増加や不採算案件の影響等はあったものの、増収効果やコスト削減等により前期を上回り、当期純利益については前述の要因に加えて特別損失が減少したこと等により前期を上回ることができました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。なお、各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含んでいます。
①ITインフラストラクチャーサービス
当連結会計年度の売上高は115,360百万円(前期比2.4%増)、営業利益は7,652百万円(同7.8%増)となりました。売上高はデータセンター事業における利用拡大や少額投資非課税制度関連の対応を含めたBPO事業が好調に推移したこと等から、前期比増収増益となりました。
②金融ITサービス
当連結会計年度の売上高は75,148百万円(前期比5.1%増)、営業利益は6,385百万円(同6.0%増)となりました。クレジットカード、銀行、保険の主要顧客における緩やかなIT投資拡大の動き等により、前期比増収増益となりました。
③産業ITサービス
当連結会計年度の売上高は158,234百万円(前期比1.6%増)、営業利益は4,687百万円(同6.1%減)となりました。売上高は前期の製造業顧客向けの大型開発案件に係る反動減の影響を全体的な需要増の取込みでカバーしたこと等により前期を上回りました。営業利益については、営業体制強化に向けた販売費増加や不採算案件の影響等により、前期を下回りました。
④その他
当連結会計年度の売上高は16,498百万円(前期比1.6%増)、営業利益は2,152百万円(同0.1%減)となりました。
当社グループは、グループが一体となって変革を成し遂げるIT企業グループを目指し、「トップライン重視」、「as One Company」、「進取果敢」を基本コンセプトとする第2次中期経営計画(平成25年3月期~平成27年3月期)を前期よりスタートさせ、経営課題に取り組んでいます。
2年目の当連結会計年度は、前期までの実績や施策の取り組み状況を踏まえ、第2次中期経営計画の基本コンセプトに基づくグループ経営方針として「業績回復を確実にすべく、トップラインを「成長軌道」に乗せる」、「グループコミュニケーション基盤の更なる強化とオープン&ダイナミックな風土を醸成する」及び「サービス化・グローバル化の拡大を図る」を掲げ、グループを挙げて諸施策を推進しました。
また、当社は、平成25年6月より新経営体制へ移行し、グループ主要会社の代表取締役5名を当社の非常勤取締役と兼任させる等、グループ全体最適に向けた推進体制を強化しました。これに合わせて、第2次中期経営計画の達成を確実なものとするため、新経営体制における重点施策を以下のとおりと定めました。
1.グループコミュニケーション基盤の強固化
2.特長ある明確な強み(成長エンジン)の構築と事業領域単位での連携
3.サービス化・グローバル化への取り組みの深化
4.バックオフィスの効率化とグループ共通ITシステムの導入
第2次中期経営計画の当連結会計年度における進捗状況は以下のとおりです。
「トップライン重視」においては、成長分野への資源集中の観点から、特長ある明確な強み(成長エンジン)の構築と強みの連携のため、グル―プ事業各社の位置付け・役割の明確化を行い、グループとしての力をよりいっそう発揮できる体制を整備しました。また、コア事業及び成長分野に注力できる体制構築を推進するため、TISリース株式会社については、リース事業全体の動向や経営資源の一層の効率化の視点からリース資産を売却し、リース事業から撤退しました。
「as One Company」においては、グループ一体経営の実現に向けて、一体感の醸成及びブランドの強化が重要であるとの認識のもと議論を重ねた結果、グループブランドを統一することとしました。また、コーポレート機能の集約の観点からは、グループ共通システムの導入、シェアードサービスの活用拡大、グループ各社の事業拠点の集約等に向けた検討や準備を行いました。
「進取果敢」においては、ASEAN地域を中心としたグローバル化への取り組みとして、現地拠点を開設するとともに、現地企業との合弁会社設立や資本・業務提携を行い、事業規模の拡大やグローバルサポート体制の充実を推進しました。また、サービス化への取り組みにおいては、これまでに培ってきたノウハウや技術を活かして顧客ニーズを見据えた企画・提案型のメニューを拡充する等により、事業規模を拡大しました。
決済手段の多様化や利用場面の広がり等を背景にキャッシュレス市場の成長が見込まれる中、新たな決済手段として国際ブランドのデビットカード及びプリペイドカードの発行・運営等をワンストップで提供するサービス「DebitCube+(デビットキューブプラス)」、「PrepaidCube+(プリペイドキューブプラス)」は、多くの引合いがあり、受注実績が着実に積み上がってきています。
地方銀行向けに高いシェアを持つ統合型CRMシステム「F3(エフキューブ)」については、クラウド型での提供を開始することで新たな顧客層の開拓を推進し、複数の地方銀行から受注を獲得しました。
また、組立系製造向けには、生産管理からアフターマーケットの領域に対し、クラウド型サービス品揃えが進み、新たに予防保全支援システム「CareQube(ケアキューブ)」を提供開始しました。なお、「CareQube」は、水道メーター情報を活用した高齢者見守りシステムの実証実験に応用される等、幅広い分野における活用が見込まれています。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて14,708百万円増加し、当連結会計年度末には43,142百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は25,770百万円(前年同期は21,515百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益16,435百万円に、資金の増加として、減価償却費12,454百万円などがあった一方で、資金の減少として、売上債権の増加1,597百万円、法人税等の支払額5,602百万円などがあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は5,334百万円(前年同期は14,391百万円の使用)となりました。これは主に、資金の増加として、事業譲渡による収入4,920百万円などがあった一方で、資金の減少として、有形固定資産の取得による支出6,220百万円、無形固定資産の取得による支出5,409百万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は5,872百万円(前年同期は19,883百万円の使用)となりました。これは主に、資金の増加として、長期借入れによる収入30,850百万円などがあった一方で、資金の減少として、長期借入金の返済による支出32,664百万円、配当金の支払額1,930百万円などがあったことによるものです。