有価証券報告書-第114期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度の日本経済は、企業収益が高水準を維持し、雇用・所得環境の改善が続く等、アベノミクス以前には見られなかった局面にあるものの、回復感の乏しい状況が続きました。家計の節約姿勢の強まりを背景に個人消費は低迷が続き、中国を中心にアジア新興国全般で景気が減速し、輸出の伸びが抑制されました。こうした内外需の動向を背景に景気は足踏み状態が続きました。
このような経済環境の下、国内の株価につきましては、年度始は高水準で推移しましたが、8月下旬に中国経済の先行き不透明感を背景に急落しました。その後一旦は持ち直したものの、12月以降は世界的なリスク回避姿勢の高まりにより株価は大幅に下落し、4年ぶりに前年度末比で下落となりました。国内の長期金利は、日本銀行の国債買入れ等を背景に低位で推移し、1月には日本銀行がマイナス金利政策に踏み切ったことを受けて、ゼロ%を割り込みマイナスになりました。
当社グループが事業を展開している地域の経済につきましては、米国では、内需を支えに景気が緩やかな改善基調を辿る中、連邦準備制度理事会(FRB)は12月に9年半ぶりとなる利上げを実施、ゼロ金利政策が解除されました。一方で、アジア新興国では、構造転換を模索し減速傾向にある中国経済の影響やそれを受けた資源価格の下落を背景に景気停滞感が強まりました。
また、国内の生命保険業界におきましては、生命保険への加入経路が多様化したことを受けて、お客さまが保険にご加入される際の適切な意向の把握や保険商品等に関する情報提供の義務等を定めた改正保険業法が2016年5月に施行されることに伴い、業界全体として、お客さま保護に向けた態勢整備を進めました。
このような事業環境の中、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
経常収益については保険料等収入5兆5,860億円(前期比2.8%増)、資産運用収益1兆3,448億円(同6.9%減)、その他経常収益4,030億円(同7.3%増)を合計した結果、7兆3,339億円(同1.1%増)となりました。
一方、経常費用については保険金等支払金3兆8,309億円(同13.3%増)、責任準備金等繰入額1兆4,963億円(同34.1%減)、資産運用費用5,240億円(同210.2%増)、事業費6,613億円(同18.2%増)、その他経常費用4,030億円(同13.3%減)を合計した結果、6兆9,157億円(同1.0%増)となりました。
この結果、経常利益は4,181億円(同2.8%増)となりました。また、経常利益に特別利益、特別損失、契約者配当準備金繰入額、法人税等合計、非支配株主に帰属する当期純利益を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、1,785億円(同25.3%増)となりました。
以下、事業部門別の業績として、保険事業及び保険関連事業のうち主たる事業である保険事業について記載いたします。なお、資産運用関連事業及び総務関連・その他事業については、業績に与える影響が僅少であるため、記載を省略しております。
[保険引受業務]
当社及び第一フロンティア生命保険株式会社を合算した主要業績は以下のとおりとなりました。
個人保険・個人年金保険を合わせた新契約高は、前連結会計年度に比べて1兆4,507億円減少し、5兆597億円となりました(前期比22.3%減)。個人保険・個人年金保険を合わせた保有契約高は、前連結会計年度末に比べて4兆9,494億円減少し、130兆9,024億円(同3.6%減)となりました。
個人保険・個人年金保険を合わせた新契約年換算保険料は、前連結会計年度に比べて151億円減少し、2,944億円(同4.9%減)となりました。なお、保有契約年換算保険料は、前連結会計年度末に比べて1,413億円増加し、2兆6,308億円(同5.7%増)となりました。
医療保障・生存給付保障等の第三分野の新契約年換算保険料は、前連結会計年度に比べて36億円増加し、512億円(同7.7%増)となりました。第三分野の保有契約年換算保険料は、前連結会計年度末に比べて203億円増加し、5,765億円(同3.7%増)となりました。
団体保険の保有契約高は、前連結会計年度末に比べて720億円減少し、48兆202億円(同0.1%減)となりました。団体年金保険の保有契約高は前連結会計年度末に比べて3,331億円減少し、6兆642億円(同5.2%減)となりました。
保険料等収入については、当社における一時払終身保険の販売が減少したこと等により、前連結会計年度より4,264億円減少し、4兆7,396億円(同8.3%減)となりました。また、保険金等支払金については、当社において保険金の支払が減少したこと等により、前連結会計年度より372億円減少し、3兆1,771億円(同1.2%減)となりました。
① 保有契約高明細表 (単位:億円)
区分 | 前連結会計年度末 (2015年3月31日) | 当連結会計年度末 (2016年3月31日) |
個人保険 | 1,230,162 | 1,169,051 |
個人年金保険 | 128,356 | 139,972 |
個人保険+個人年金保険 | 1,358,519 | 1,309,024 |
団体保険 | 480,922 | 480,202 |
団体年金保険 | 63,974 | 60,642 |
(注)1 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額の合計であります。
2 団体年金保険の金額は、責任準備金額であります。
② 新契約高明細表 (単位:億円)
区分 | 前連結会計年度 (自 2014年4月1日 至 2015年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) |
個人保険 | 44,116 | 31,054 |
個人年金保険 | 20,988 | 19,542 |
個人保険+個人年金保険 | 65,105 | 50,597 |
団体保険 | 4,147 | 1,624 |
団体年金保険 | 1 | 2 |
(注)1 個人保険及び個人年金保険は、転換による純増加を含みます。
2 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
3 団体年金保険の金額は、第1回収入保険料であります。
③ 保有契約年換算保険料明細表 (単位:億円)
区分 | 前連結会計年度末 (2015年3月31日) | 当連結会計年度末 (2016年3月31日) |
個人保険 | 17,453 | 17,941 |
個人年金保険 | 7,442 | 8,367 |
合計 | 24,895 | 26,308 |
うち医療保障・生前給付保障等 | 5,561 | 5,765 |
(注)1 年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間で除した金額)。
2 医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障害を事由とするものは除く。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含む。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
④ 新契約年換算保険料明細表 (単位:億円)
区分 | 前連結会計年度 (自 2014年4月1日 至 2015年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) |
個人保険 | 1,694 | 1,660 |
個人年金保険 | 1,401 | 1,283 |
合計 | 3,096 | 2,944 |
うち医療保障・生前給付保障等 | 475 | 512 |
(注) 転換による純増加を含みます。
⑤ 保険料等収入明細表 (単位:億円)
区分 | 前連結会計年度 (自 2014年4月1日 至 2015年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) |
個人保険 | 25,661 | 23,968 |
個人年金保険 | 13,110 | 12,058 |
団体保険 | 1,480 | 1,492 |
団体年金保険 | 9,216 | 7,592 |
その他 | 345 | 336 |
小計 | 49,813 | 45,449 |
再保険収入 | 1,847 | 1,946 |
合計 | 51,661 | 47,396 |
(注) その他は、財形保険、財形年金保険、医療保障保険、就業不能保障保険、受再保険の合計であります。
⑥ 保険金等支払金明細表
前連結会計年度(自 2014年4月1日 至 2015年3月31日) (単位:億円)
区分 | 保険金 | 年金 | 給付金 | 解約返戻金 | その他返戻金 | 再保険料 | 合計 |
個人保険 | 6,862 | 334 | 1,550 | 3,956 | 338 | - | 13,041 |
個人年金保険 | 1 | 2,804 | 518 | 2,891 | 96 | - | 6,313 |
団体保険 | 702 | 9 | 1 | 1 | 0 | - | 715 |
団体年金保険 | 16 | 3,490 | 2,364 | 760 | 3,525 | - | 10,156 |
その他 | 46 | 81 | 27 | 286 | 0 | - | 442 |
小計 | 7,628 | 6,720 | 4,462 | 7,896 | 3,962 | - | 30,669 |
再保険 | - | - | - | - | - | 1,474 | 1,474 |
合計 | 7,628 | 6,720 | 4,462 | 7,896 | 3,962 | 1,474 | 32,144 |
(注) その他は、財形保険、財形年金保険、医療保障保険、就業不能保障保険、受再保険の合計であります。
当連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) (単位:億円)
区分 | 保険金 | 年金 | 給付金 | 解約返戻金 | その他返戻金 | 再保険料 | 合計 |
個人保険 | 6,534 | 291 | 1,590 | 3,848 | 379 | - | 12,644 |
個人年金保険 | 2 | 2,696 | 482 | 2,076 | 57 | - | 5,315 |
団体保険 | 678 | 9 | 1 | 0 | - | - | 689 |
団体年金保険 | 64 | 3,033 | 2,157 | 1,541 | 3,732 | - | 10,529 |
その他 | 44 | 80 | 25 | 289 | 1 | - | 440 |
小計 | 7,323 | 6,112 | 4,257 | 7,757 | 4,170 | - | 29,620 |
再保険 | - | - | - | - | - | 2,151 | 2,151 |
合計 | 7,323 | 6,112 | 4,257 | 7,757 | 4,170 | 2,151 | 31,771 |
(注) その他は、財形保険、財形年金保険、医療保障保険、就業不能保障保険、受再保険の合計であります。
[資産運用業務]
当連結会計年度は、中長期の資産運用方針に基づき、公社債等の確定利付資産中心の運用を継続しましたが、低金利環境の継続を受けて超長期国債を中心とした責任準備金対応債券の積増しについては抑制しました。また、確定利付資産内の運用効率向上の観点から、為替ヘッジ付外債への投資を積極化し、資産・負債総合管理(Asset Liability Management)の推進及び収益力の向上を図りました。また、分散投資による収益力向上を主眼に組み入れている国内株式や外国証券等のリスク性資産については、市場動向に留意しつつ、機動的な資金配分を行いました。
資産運用収益は、前連結会計年度より991億円減少し、1兆3,448億円(前期比6.9%減)となりました。主な要因は、特別勘定資産運用益が減少したことであります。
資産運用費用は、前連結会計年度より3,551億円増加し、5,240億円(同210.2%増)となりました。主な要因は、為替差損が前連結会計年度より1,122億円増加して1,804億円(同164.7%増)となったことであります。
以上の結果、当連結会計年度の資産運用関係収支(資産運用収益と資産運用費用の差額)は、8,208億円(前連結会計年度は1兆2,750億円)となりました。
① 資産運用収益 (単位:億円)
区分 | 前連結会計年度 (自 2014年4月1日 至 2015年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) |
利息及び配当金等収入 | 8,565 | 10,753 |
金銭の信託運用益 | 32 | - |
売買目的有価証券運用益 | 264 | - |
有価証券売却益 | 1,621 | 2,224 |
有価証券償還益 | 246 | 455 |
貸倒引当金戻入額 | 4 | 8 |
投資損失引当金戻入額 | 2 | - |
その他運用収益 | 6 | 6 |
特別勘定資産運用益 | 3,697 | - |
合計 | 14,440 | 13,448 |
② 資産運用費用 (単位:億円)
区分 | 前連結会計年度 (自 2014年4月1日 至 2015年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) |
支払利息 | 169 | 295 |
金銭の信託運用損 | - | 17 |
売買目的有価証券運用損 | - | 369 |
有価証券売却損 | 242 | 642 |
有価証券評価損 | 4 | 41 |
有価証券償還損 | 3 | 12 |
金融派生商品費用 | 55 | 538 |
為替差損 | 681 | 1,804 |
投資損失引当金繰入額 | - | 4 |
貸付金償却 | 0 | 2 |
賃貸用不動産等減価償却費 | 146 | 141 |
その他運用費用 | 385 | 407 |
特別勘定資産運用損 | - | 961 |
合計 | 1,689 | 5,240 |
(2) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に利息及び配当金等の受取額が増加したことにより、前期と比べて1,381億円収入増の2兆138億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の取得による支出が増加したことにより、前期と比べて2,335億円支出増の2兆2,656億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に自己株式の取得による支出により、前期と比べて3,829億円支出増の334億円の支出となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首から2,935億円減少し、9,612億円(前連結会計年度末は1兆2,547億円)となりました。