半期報告書-第24期(平成27年4月1日-平成27年9月30日)

【提出】
2015/12/15 15:12
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【項目】
57項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積もり
当社の中間財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。また、当社は、中間財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積もりを行っており、これらの見積もりは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積もりと異なることがあり、結果として中間財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
①金融商品の評価
当社では、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって中間貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として中間損益計算書に計上しております。評価に用いる時価は、市場で取引が行われている有価証券やデリバティブ取引については当中間会計期間末時点の市場価格を、市場価格のない有価証券やデリバティブ取引については理論価格を、それぞれ使用しております。理論価格を算出する際には、対象となる商品や取引について最も適切と考えられるモデルを採用しております。
②有価証券の減損
当社では、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当中間会計期間末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理を行っております。
③固定資産の減損
当社では、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④繰延税金資産の回収可能性
当社では、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(2)当中間会計期間の経営成績の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。
(3)当中間会計期間の財政状態の分析
<資産の部>当中間会計期間末の総資産は12兆4,593億円(前事業年度末比3,913億円増)となりました。内訳は流動資産が12兆3,585億円(同3,893億円増)であり、このうち現金・預金が1兆402億円(同2,030億円増)、トレーディング商品が5兆8,105億円(同747億円減)、有価証券担保貸付金が4兆355億円(同919億円増)となっております。固定資産は1,007億円(同19億円増)となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は11兆7,085億円(同3,412億円増)となりました。内訳は流動負債が10兆5,598億円(同2,622億円増)であり、このうちトレーディング商品が4兆5,165億円(同1,907億円増)、有価証券担保借入金が3兆4,333億円(同180億円減)、短期借入金が1兆2,330億円(同740億円増)となっております。固定負債は1兆1,449億円(同790億円増)であり、このうち社債が6,096億円(同305億円減)、長期借入金が5,018億円(同1,091億円増)となっております。
純資産合計は、中間純利益500億円を計上したことなどから、7,507億円(同500億円増)となりました。
(4)当中間会計期間のキャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(5)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当中間会計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は、増勢に陰りが見られました。先進国経済は底堅い推移を示したものの、新興国経済の減速が足かせとなりました。平成27年4-6月期にはギリシャの債務返済が延滞となり、中国では株価の急速な下落が発生するなど、金融市場での混乱が相次ぎましたが、さらに7-9月期には、中国人民銀行が人民元の基準値を引き下げたことを契機に、世界的にリスク回避の動きが加速したことで株価が下落するなど、金融市場では不安定な動きが見られました。
米国経済は平成27年1-3月期には、輸出の減少を主因に成長ペースが急速に鈍化したものの、4-6月期に入り堅調な推移を示しました。個人消費が加速したことに加え、住宅販売が堅調な推移を示すなど、家計部門が強さを取り戻しました。一方、企業部門に関しては、7-9月期に入り生産に底入れの動きが見られました。金融面では引き続き緩和的な状況が続いています。ただし、雇用環境を中心とした米国国内の景気回復を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は年内の利上げ方針を明らかにしています。
欧州経済は、緩やかな回復が続きました。原油価格下落と金利の低下に加えて、就業者数の増加や賃金の伸び率の加速も個人消費を下支えしました。大幅なユーロ安の進行にもかかわらず平成27年1-3月期に伸び悩んだ輸出も、4-6月期には勢いを取り戻しました。一方で、総固定資本形成が減少に転じたことや在庫がマイナスに寄与したことで、4-6月期のユーロ圏の実質GDP成長率は1-3月期比+0.4%に留まりました。物価面では、消費者物価指数に見るインフレ率は前年同月比ゼロ%近辺での推移が続いており、ECB(欧州中央銀行)の目標とする水準には遠く及ばず、ECBは平成27年1月に決定した量的緩和政策を継続しています。緩和的な金融環境であるものの、ギリシャ問題が再発したことは市場に大きな影響を与えました。ギリシャ政府案と債権団案の折り合いがつかず、6月30日に予定されていた、IMFへの資金返済が延滞となりました。このような状況に直面したギリシャは銀行窓口の封鎖や資本規制を実施し、資金の海外流出の防止を図った結果、同国の実体経済・金融市場は大きな打撃を受けました。ギリシャで7月に実施された緊縮策受け入れの是非を問う国民投票では、緊縮反対派が多数を占める結果となりましたが、最終的にはギリシャ政府が債権団の提案を受け入れ、事態は一応収束に向かうこととなりました。政治面では中東情勢の混乱を受けて急増した難民への対処がユーロ圏の大きな課題として浮き彫りになっています。
新興国では減速傾向が強まっています。中国経済の不振が各国に伝播したことが、新興国全体の景気の足取りが鈍くなっている最大の要因です。中国経済は平成27年4-6月期の実質GDP成長率が前年同四半期比+7.0%となり、政府目標通りの結果となりました。中国人民銀行が昨年末以降相次いで利下げを行ったことが景気を下支えしました。ただし6月以降、中国の代表的な株価指標である上海総合指数は急速に下落し、金融市場には緊張が走りました。このような株価の急落を受けて中国政府はIPOを抑制する方針を固めただけでなく、中国の大手証券会社がETFへ投資するように指導するなど、総力を挙げて株価の下支えを行いました。さらに、8月に入り、中国人民銀行による人民元の基準値の引き下げや追加の金融緩和の決定など、金融面を中心とした景気対策が相次いで発表されました。中国景気の減速懸念が急速に意識された結果、世界的に株価が下落しましたが、その後、中国人民銀行によって人民元相場を安定させる方針が示されたことで、中国経済に対する懸念は幾分緩和されました。
<日本の状況>日本経済はこれまでの緩やかな回復が一巡し、景気後退へ陥るリスクが高まっています。足下で大きく在庫が積み上がっていることや輸出の減少を主因として、鉱工業生産は減産傾向が鮮明となりました。一方、非製造業の活動を示す第三次活動指数は今年度に入り低下が続いていたものの、足下では非常に緩やかながらも持ち直しの動きに転じています。
GDPに占めるウエイトの大きい個人消費は力強さに欠ける動きとなっています。労働需給のタイト化に伴う賃金上昇圧力に加えて、企業収益の改善に伴うベースアップや賞与の増加など、所得環境は良好である一方、平成27年4-6月期の後半以降は天候不順が個人消費の下押し要因として働きました。このような下押し要因は7-9月期には解消されたものの、食料品価格の値上げなどを背景とした消費者マインドの悪化などから、個人消費は依然足取りが鈍い状態となっています。住宅投資に関しては、持ち直しの動きが続いています。所得環境が良好であることに加えて、住宅ローン金利が低水準で推移していることが住宅投資の増加を支援する材料となっています。
企業の設備投資は平成27年1-3月期に急増した反動もあり、4-6月期には小幅の減少に転じましたが、日銀短観9月調査を見ると、製造業では設備の過剰感の解消、非製造業では不足感の強まりが顕著になっています。特に非製造業が強気の設備投資計画を示しており、設備投資意欲の高まりがみられます。公共投資についてはこれまでの増加傾向が一巡し、緩やかな減少局面を迎えています。ただし、これまでの経済対策の影響が残存しているため、水準でみると高い位置を保っています。
外需に目を向けると、輸出数量の減少を主因に輸出金額は減少傾向となっています。地域別に輸出の動向をみると、米国向け輸出の弱さが目立ちます。さらに、6月以降はアジア向け輸出も減少に転じており、中国経済減速の影響を確認することができます。また、輸入金額は5月以降増加に転じており、この結果、貿易収支は小幅の赤字が定着しています。
金融面では、日本銀行による「量的・質的金融緩和」の下で、強力な金融緩和が続いています。日本銀行による大量の長期国債の購入によって債券需給がひっ迫しているため、長期金利は水準としては低位で推移しています。為替レートの動きをみると、米ドル対円では5月後半から米国経済の改善が明確化してきたことなどを背景にドル高円安が進行しましたが、その後ユーロ圏や中国における金融市場での混乱に伴うリスク回避の動きにより、一旦円高へ戻されました。このような円高への動きは一時的に収まったものの、8月に入ると中国株の急落を契機とした世界的なリスク回避の動きが再び進行したことで、再び円高が進みました。
平成27年9月末の日経平均株価は17,388円15銭(同年3月末比1,818円84銭安)、10年国債利回りは0.350%(同0.050ポイントの低下)、為替は1ドル120円03銭(同0円18銭の円高)となりました。
(6)資本の財源及び流動性に係る情報
①流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社は、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社の資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、事業の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めております。特に近年においては、世界的金融危機及び信用危機による不測の事態に備え、市場からの資金調達、金融機関からの借入等により、手元流動性の更なる積み増しを行っております。同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
また、当社は、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理体制を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、複数のストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを毎日確認しております。
なお、当中間会計期間末における当社の短期無担保調達資金及び流動性ポートフォリオ等の状況は次のとおりです。
(単位:億円)
銀行等からの短期借入金4,450
その他の短期借入金3,308
コマーシャル・ペーパー4,069
1年内償還予定の社債833
短期無担保調達資金合計12,661
現金・預金10,402
国債・政府保証債等1,625
流動性ポートフォリオ12,028
その他の債券4,827
上場株式等4,680
その他100
補完的流動性ポートフォリオ9,608
流動性ポートフォリオ等合計21,636

当中間会計期間末における当社の流動性ポートフォリオの合計額は、1兆2,028億円であります。また、補完的流動性ポートフォリオを含めた合計額は2兆1,636億円であり、この金額は当中間会計期間末の短期無担保調達資金の合計額の170.9%に相当します。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社は、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社は機動的な対応により流動性を確保する体制を整備しております。
当社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
②株主資本
当社が株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、証券担保ローン等の有価証券関連業務を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。
当中間会計期間末の株主資本は、7,428億円(前事業年度末比500億円増)となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,499億円であり、利益剰余金は中間純利益500億円を計上した結果、2,929億円となりました。