有価証券報告書-第6期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/26 12:42
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事業等のリスク

以下において、当行グループ(当行並びにその連結子会社)の事業その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当行は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において当行グループが判断したものであります。
(1)日本政府の政策が当行組織の在り方に及ぼす影響について
当行は、平成18年5月に国会において成立した「行政改革推進法」及び政策金融の抜本的な改革の一環として、平成19年6月6日に国会において成立した「新DBJ法」に基づき、旧DBJの財産の全部(新DBJ法附則第15条第2項の規定により国が承継する資産を除く。)を現物出資により引継ぎ、また同法附則第15条第1項の規定に基づき、旧DBJの一切の権利及び義務(新DBJ法附則第15条第2項の規定により国が承継する資産を除く。)を承継して平成20年10月1日に設立されました。
なお、現在、当行株式の100%を政府が保有しているため、当行の業務及び財政状態は政府の政策の影響を受ける可能性があります。
また、行政改革推進法では、政府が当行の株式処分を行うことにより、既発行債券の保有者が不当に侵害されないようにする旨を規定しております。
他方、平成23年5月2日に国会において成立した「財特法」の特例により、「東日本大震災」による被害に対処するために当行が行う危機対応業務の円滑な実施のために行われる増資等については、対象期間が「平成27年3月末日まで」延長されることとなっております。
当初、新DBJ法においては、当行設立後おおむね5~7年後を目途として政府保有株式の全部を処分することとなっていましたが、平成21年6月26日に国会において成立した「新DBJ法改正法」及び財特法による新DBJ法の一部改正により、政府保有株式の処分は上記増資等対象期間終了後おおむね5~7年後を目途として行うこととされました。また、政府は、平成26年度末を目途として、政府による株式の保有の在り方を含めた当行の組織の在り方等を見直し、必要な措置を講ずることとされ、それまでの間においては、政府はその保有する当行の株式を処分しないものとされております。これらにより、当行業務及び組織は影響を受ける可能性があります。
(参考1)新DBJ法附則(新DBJ法改正法による改正後及び財特法による改正・読み替え後)
(政府保有株式の処分)
第二条 政府は、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成十八年法律第四十七
号)第六条第二項の規定に基づき、その保有する会社の株式(次項及び附則第三条において「政府保有株式」と
いう。)について、市場の動向を踏まえつつその縮減を図り、平成二十七年四月一日から起算しておおむね五年
後から七年後を目途として、その全部を処分するものとする。
(政府の出資)
第二条の二 政府は、平成二十七年三月三十一日までの間、危機対応業務の円滑な実施のために必要があると認め
るときは、予算で定める金額の範囲内において、会社に出資することができる。
(国債の交付)
第二条の三 政府は、平成二十七年三月三十一日までの間、株式会社日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五十
七号)第二条第五号に規定する危機対応業務(以下「危機対応業務」という。)を行う上で会社の財務内容の健
全性を確保するため必要となる資本の確保に用いるため、国債を発行することができる。
2 政府は、前項の規定により、予算で定める金額の範囲内において、国債を発行し、これを会社に交付するもの
とする。
(国債の償還等)
第二条の四 会社は、その行う危機対応業務(平成二十七年三月三十一日までに行うものに限る。)に係る資産の
増加に応じて必要となる資本の額として財務省令で定めるところにより計算した金額を限り、前条第二項の規定
により交付された国債の償還の請求をすることができる。
(参考2)新DBJ法改正法附則(財特法による改正後)
(検討等)
第二条 政府は、平成二十六年度末を目途として、この法律による改正後の株式会社日本政策投資銀行法附則第二
条の二(東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成二十三年法律第四十号)第
三十六条において読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づく株式会社日本政策投資銀行(以下「会社」
という。)に対する出資の状況、この法律による改正後の株式会社日本政策投資銀行法附則第二条の四第二項の
規定に基づく国債の償還の状況、会社による危機対応業務(株式会社日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五
十七号)第二条第五号に規定する危機対応業務をいう。以下同じ。)の実施の状況、社会経済情勢の変化等を勘
案し、会社による危機対応業務の適確な実施を確保するため、政府が常時会社の発行済株式の総数の三分の一を
超える株式を保有する等会社に対し国が一定の関与を行うとの観点から、会社による危機対応業務の在り方及び
これを踏まえた政府による会社の株式の保有の在り方を含めた会社の組織の在り方を見直し、必要な措置を講ず
るものとする。
2 政府は、前項の措置が講ぜられるまでの間、次条の規定による改正後の簡素で効率的な政府を実現するための
行政改革の推進に関する法律(平成十八年法律第四十七号)第六条第二項及びこの法律による改正後の株式会社
日本政策投資銀行法附則第二条第一項の規定にかかわらず、その保有する会社の株式を処分しないものとする。
(参考3)行政改革推進法(新DBJ法改正法による改正後及び財特法による改正後)
(商工組合中央金庫及び日本政策投資銀行の在り方)
第六条 商工組合中央金庫及び日本政策投資銀行は、完全民営化するものとし、平成二十年度において、これらに
対する国の関与を縮小して経営の自主性を確保する措置を講ずるものとする。
2 商工組合中央金庫及び日本政策投資銀行に対する政府の出資については、市場の動向を踏まえつつその縮減を
図り、平成二十七年四月一日から起算しておおむね五年後から七年後を目途として、その全部を処分するものと
する。
3 政府は、第一項の完全民営化に当たっては、商工組合中央金庫及び日本政策投資銀行の円滑な運営に必要な財
政基盤を確保するための措置を講ずるとともに、商工組合中央金庫の有する中小企業等協同組合その他の中小企
業者を構成員とする団体及びその構成員に対する金融機能並びに日本政策投資銀行の有する長期の事業資金に係
る投融資機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。
(2) 危機対応業務の遂行に伴う当行業績への影響について
危機対応業務は内外の金融秩序の混乱、大規模災害等の危機発生時において、政府が指定する金融機関(指定金融機関)が株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号。その後の改正を含む。)に基づき、日本公庫からのリスク補完等を受け、危機に対処するために必要な資金を供給する業務として、平成20年10月1日より開始されているものです。
平成20年秋以降の世界的な金融・経済危機による企業の資金繰りの悪化に対する対応策として、政府は同年10月30日に策定された経済対策「生活対策」において「商工中金、政投銀による金融危機対応業務の発動」を掲げ、同年12月11日には「国際的な金融秩序の混乱に関する事案」の危機認定を行っています。
さらに平成20年12月19日に策定された経済対策「生活防衛のための緊急対策」において予算枠の拡充・CP(コマーシャルペーパー)購入業務の追加等を含む「日本政策金融公庫の危機対応業務を活用した中堅・大企業の資金繰り対策」が掲げられました。これを受け、平成21年1月27日には平成20年度二次補正予算が成立し予算枠が拡充された他、同年1月30日にはCP購入業務の追加等を含む政省令の改正等が行われました。
加えて、同年4月10日に公表された「経済危機対策」において、中堅・大企業向け危機対応業務として計15兆円という大規模な危機対応業務が具体的施策として掲げられました。さらにその後、同年5月29日には平成21年度補正予算が成立し、同年6月26日に国会において成立した新DBJ法改正法においては、政府出資による当行の財務基盤強化(出資対象期間は平成24年3月末日まで)により、危機対応業務の円滑な実施が可能となるよう対策が講じられました。
これを受け、同年9月24日には、措置された政府出資枠3,500億円及び交付国債1兆3,500億円のうち、政府出資枠3,500億円の一部として、同年6月末日までの危機対応業務の実績に対応する分について、株主割当の方法により普通株式2,064,640株を1株当たり払込金額5万円(払込金額総額1,032億3,200万円)で発行したことに加え、以降の危機対応業務の実績等に対応する分についても、平成22年3月23日に株主割当の方法により普通株式1,559,240株を1株当たり払込金額5万円(払込金額総額779億6,200万円)で発行しております。発行した株式については、全部を政府に割り当てており、全額を資本金としております。
当該業務として実施した中堅・大企業向け融資及びCP購入に関して生じる恐れのある損失の一部については、日本公庫との損害担保取引により補填される枠組みも措置されておりますので、当行としては、この損害担保取引
の枠組みを適切に活用していく所存です。しかしながら、当該損害担保取引は損失の全額を補填するものではないこと等から、投融資先の予期せぬ業績の悪化及び倒産等、想定外の事由が発生した場合には、当行の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、平成23年3月11日に発生した「東日本大震災」による被害に係るものにつきまして、政府により同年3月12日付で危機対応業務の対象に追加されております。当該対象の追加に係る通知にて、危機対応業務の実施期間は再延長されております(一方で、「国際的な金融秩序の混乱に関する事案」等の実施期間については、平成23年3月末日までにて終了しております)。
併せて、財特法の特例により、「東日本大震災」による被害に対処するために当行が行う危機対応業務の円滑な実施のために行われる増資等については、対象期間が「平成27年3月末日まで」と読み替えられ適用されることとなっております。
新DBJ法改正法及び平成21年度補正予算に基づき措置された交付国債1兆3,500億円について、「東日本大震災」に係るものを含む危機対応業務の実施状況を踏まえ、新DBJ法の規定に基づき、平成23年12月7日に交付国債61億7,000万円、平成24年6月6日に同105億2,800万円、平成24年12月6日に同86億3,700万円の償還が行われ、交付国債の額面金額が同額ずつ減少するとともに、当行の資本金が同額ずつ増加しております。
また、上記とは別に、平成24年3月23日に震災復興に係るリスクマネー供給の円滑な実施のために必要な財務基盤を確保する目的で、株主割当による増資を行った結果、資本金が4億2,400万円増加しております。
今後についても、「東日本大震災」による被害に対処するため等の危機対応業務の遂行による与信残高の増加、それに伴う総資産の増加及び交付国債の償還による当行の財務基盤強化等が、当行の自己資本比率をはじめとする各経営指標にも影響を及ぼす可能性があります。
(3)金利の変動によるリスクについて
当行は、その収益の大半を貸出金、有価証券及びその他の利息収入を生む資産等に係る受取利息・配当金と債
券・社債、借入金及びその他の有利子負債に係る支払利息との差額から得ております。当行の貸出資産等と有利子負債の満期及び価格決定方法は異なるため、金利の変動により貸出資産等からの受取利息及び有利子負債からの支払利息に生じる変動は同等とはなりません。よって当行が金利の変動に迅速に対応できない場合は、その収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。当行が実施している金利リスクに関連するヘッジは、かかるリスクの一部のみをカバーするだけに留まる可能性があります。
また、金利の上昇により、変動金利融資をしている貸出先の一部は、増加した利息支払に応じることができない
可能性があり、当行において貸出需要の減少又は不良債権の増加を招く可能性があります。かかる事態の進展は、当行の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)外国為替相場の変動によるリスクについて
旧DBJ及び当行が発行した債券・社債の大半は円建てではありますが、一部の債券・社債は外貨建てとなっております。よって旧DBJが発行した債券に基づく債務の全部を承継した当行は、当行が発行した外貨建て債券・社債を含め、外貨建ての資金調達及び投融資から生ずる為替リスクも負っています。
当行は、外国為替レートの変動による影響を抑えるために、為替スワップ取引の実施により為替ヘッジ活動を行っておりますが、かかる方法が有効であるという保証はなく、より長期的な為替レートの変動は、当行の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、外国為替決済に関するタイムラグが存在する場合には、決済リスクも負っています。外国為替決済リスクについては、当行が一般的に許容される程度以上の決済リスクを負わないよう十分留意して取引を執行し、又は契約等を締結することをリスク管理方針に定めておりますが、かかるリスクの一部のみをカバーするだけに留まる可能性があります。そのため当該リスクにより、当行の業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
(5)流動性リスクについて
流動性リスクは、資金流動性リスクと市場流動性リスクに大別されます。
当行は、資金の回収と当行の返済債務との間の回収・返済ギャップが過大となり資金調達に困難が生じたり、又
は資金繰りの中で突発的な事象が発生する可能性若しくは緊急時に十分な資金を調達できず資金繰りが破綻する可
能性がある資金流動性リスクを負っています。
旧DBJは、政策金融機関として国の財政投融資計画に基づく安定的な資金調達基盤を有しておりました。また当行は、今後も完全民営化までの移行期間中については、政府保証債の発行や財政融資資金借入が可能となる措置がなされております。
当行は、これまでも綿密な資金収支予定管理、手元流動性の確保、多数の市中金融機関との間で設定した当座貸
越枠設定等の対応を行っておりますが、不測の事態等において資金調達費用が増加する等の可能性があります。
一方、市場商品又は将来市場において売却等を想定する商品については、市場流動性リスクを負っています。こ
れらの取り扱いについて、当行はそのリスクについて十分な認識の上、投融資の取り組みを行い、また取得した商
品の管理を行うことをリスク管理方針に定めておりますが、かかるリスクの一部のみをカバーするだけに留まる可
能性があります。そのため当該リスクにより、当行の業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
(6)景気変動によるリスクについて
金利・株価の変動を含む世界の経済状況、地政学的リスク及び日本国内の景気動向や不動産価格の変動等に影響を与えるその他の要因により景気が悪化した場合、当行業務の特性並びに貸出金及び有価証券ポートフォリオの信用力の悪化により、当行の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)信用リスクについて
当行は、景気の動向や不動産価格の変動等を背景に、投融資先の経営状況が悪化して資産の価値が減少ないし消
滅する可能性がある信用リスクを負っています。これまでも貸倒引当金の適正な計上、不良債権のオフバランス化
をはじめ、不良債権への対応を着実に進めてきましたが、以下のような場合又は想定外の事由が発生した場合に
は、より資産価値が劣化する可能性があります。
・国内外の景気の悪化
・不動産価格又は株価の下落
・企業の倒産又は自己破産の増加
・当行からの借入人が破産した場合又は経済的な困難に直面した場合に、その債務に関して債務免除又はその他
の救済措置が必要となった場合
・ローン・ポートフォリオの内容が予想以上に悪影響を受けた場合
・大口融資先の信用力に関する問題が表面化した場合
平成26年3月末時点における連結ベースでのリスク管理債権残高の総貸出金残高に対する比率は0.99%となっております。なお、リスク管理債権に対する保全率は引き続き高水準を堅持しております。
(8)貸倒引当金が将来の損失を十分に補えない可能性について
当行の貸倒引当金は、過去の貸倒れの経験並びにそのローン・ポートフォリオの特徴、内容及び実績、担保、保
証、並びにその他の適切な指標に基づいて設定されております。しかしながら実際の貸倒れが現時点の予想を上回
った場合、現時点の貸倒引当金は不十分となる可能性があります。
国内、国外を問わず景気が悪化した場合、さらには当行が保有する担保の価値が下落した場合、法令、監査基準若しくはその他の変更に伴い、当行が貸倒引当金を設定する基準を改訂した場合、又はその他の要因により予想以上に悪影響を受けた場合、当行は追加の貸倒引当金を必要とする可能性があり、当行の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)投資が期待する利益を生まない可能性について
当行は、随時、自ら直接的に又はシンジケート若しくはコンソーシアムの構成員として間接的に株式投資及び融
資を含む様々な形態の投資を行っております。当行は、利益を得ることができると考える場合に投資を行っており
ますが、実際の結果は当行の期待よりも著しく低い可能性があり、投資の元本を失う可能性があります。
(10)第三セクターの業績悪化による影響の可能性について
当行の貸出金及び投資ポートフォリオには、公共のプロジェクト及び「第三セクター」と呼ばれる地方公共団体
等の出資を受けている先が貸出及び投資対象として含まれております。
第三セクターの事業は、高い公共性を有し、回収に長期間が必要であるため、当該セクターのリスク管理債権比
率は他の貸出先よりも高いものとなっております。
第三セクターの業績に著しい悪化があった場合又は担保の価値が減少した場合、当行のクレジットコストは増加
する可能性があります。当該コストの増加は、当行の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)リスク管理方針及び手続が特定されていないリスク又は予期されていないリスクに十分に対応できない可能性
について
当行は、信用リスク、市場リスク及び流動性リスクを含むあらゆるリスクに対応するためのリスク管理方針及び
手続を策定し、実施してきております。それにもかかわらずリスクを特定、監視及び管理するための方針・手続は、十分に効果的ではない可能性があります。
これらのリスクを管理する際、適切に記録し、膨大な数の取引及び事象を検証する必要がありますが、かかる方
針及び手続は一定の状況下では十分に有効ではない可能性があり、全ての予期されないリスクを管理するには十分
に効果的ではない可能性があります。当行のリスク管理システムが不適切又は不十分である場合、当行は、信用リ
スク、市場リスク、流動性リスク及びその他のリスクの影響を受ける可能性があります。
(12)金融機関に適用される法令を含むあらゆる法令の規制を受ける可能性について
当行は、銀行法の適用を受ける金融機関ではありません。しかしながら、現状において金融機関として、多くの規則に服し、また規制監督を受けております。当行は、有効な規制及び関連する規制リスク(法令、規制、政策、会計基準及び自主的行動規範の変更による影響を含む。)並びにその解釈及びその施行の影響を受け、業務を行っております。
法令、規制、政策、会計基準、自主的行動規範又は財務上若しくはその他の方針の将来における進展又は変更及
びそれらの影響は、完全には予測不可能であり、当行により制御しきれるものではなく、それらの影響を排除する
ことはできないものであります。上記のいずれの変更も、当行の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありま
す。
(13)格付低下及び市場関係者の当行に対する認識の変化に伴うリスクについて
格付けの低下や否定的な報道等により市場関係者の当行に対する認識が悪化した場合には、資金調達コストの上
昇や資金調達の困難化、既存取引の解約等を通じて、当行の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性がありま
す。なお、格付けの水準は、当行から格付機関に提供する情報の他、格付機関が独自に収集した情報に基づいてお
り、常に格付機関による見直し・停止・取下げが行われる可能性があります。
(14)システムリスクについて
当行の情報システムの容量及び信頼性は日々の事業において必要不可欠なものとなっております。これらのシス
テム並びに当行のハードウェア及びソフトウェアは、人為的ミス、事故、停電、妨害行為、ハッキング、コンピュ
ーター・ウィルス及び類似の事象によるシステムダウン又は誤作動等に加え、通信事業者及びインターネット・プ
ロバイダー等の第三者からの支援サービス喪失の影響を受ける可能性があります。不測の事態等においては、それ
に応じた損失が発生する可能性があります。
さらに、他の企業と同様、当行の本支店、事務所及びその他の設備は、地震及びその他の自然災害のリスクも負
っています。当行の非常時における対策はその事業の重大な途絶を防ぐために十分ではない可能性があり、非常事
態計画は重大な途絶が発生した場合に全ての不測の事態に対応できない可能性があります。これらのシステムの障
害及び途絶は、予期せぬ損失を生み、当行の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)事務リスクについて
当行は、役職員が正確な事務を怠るか、又は事故・不正等が発生することにより損失を被る事務リスクを負って
おります。これまでも事務手続における相互チェックの徹底、教育・研修の実施をはじめ、事務リスクの軽減・防
止に努めてきましたが、不測の事態等においてそれに応じた損失が発生する可能性があります。
(16)業務範囲の拡大に伴うリスクについて
当行は、旧DBJの財産の全部(新DBJ法附則第15条第2項の規定により国が承継する資産を除く。)を現物出資により引継ぎ、また同法附則第15条第1項に基づき、旧DBJの一切の権利及び義務(新DBJ法附則第15条第2項の規定により国が承継する資産を除く。)を承継しているため、当行の業務範囲は基本的に旧DBJのそれを引継いでおります。
一方で当行は、新DBJ法第3条に定める範囲内において、旧DBJではこれまで担ってこなかった業務を新たに手がけることが可能であります。しかしながら、新たに拡大した業務で発生するリスクについては、当行は限定された知識・経験しか有しておらず、予期せぬリスクが生じた場合には十分な対応策を講じることができない可能性があります。その結果、当行が当該業務範囲において事前に予想していた成果を達成できず、当行の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
例えば、平成26年度から平成28年度を対象とした第3次中期経営計画においても日本経済・産業・企業のグローバル化への対応として、海外業務への取り組みを掲げており、同業務への取り組みにより外貨建資産・負債に係る金利及び為替リスク、現地の税制・規制の変更リスク、社会・政治・経済情勢が変化するリスク、海外業務に精通した従業員の確保・育成に伴う時間的な制約のリスク等に直面する可能性があります。
その結果、事前に想定していた成果を達成することができない可能性があります。
(17)金融市場における競合・競争について
当行は、これまでの「一般金融機関が行う金融等を補完し、又は奨励すること」という旧DBJの目的とは異な
り、「出資と融資を一体的に行う手法その他高度な金融上の手法を用いることにより、長期の事業資金に係る投融
資機能を発揮し、長期の事業資金を必要とするお客様に対する資金供給の円滑化及び金融機能の高度化に寄与する
こと」という目的を掲げております。
現在、一般金融機関は、シニアローン等を中心に提供する商業銀行と、メザニン・エクイティを提供するプライベート・エクイティ・ファンドや一部投資銀行などに二分化されております。
当行は、両者の提供するサービスを一体的かつ相応の規模をもって提供できることが差別化要因であり、またシニアローンを中心とした銀行とは適切なリスクシェアを行うことができるモデルであることから、メガバンク等との競争に巻き込まれにくいビジネスモデルを標榜しております。
しかしながら、国内、国外を問わず金融サービス市場は極めて競争の激しいものとなっており、資産、お取引先数、支店数、及び従業員数という面では、当行より比較優位に立つ金融機関もあります。
そのため、これまでの一般金融機関の補完という役割ではなく、一般金融機関との競合・競争の関係も生じる可
能性も出てきております。
今後、当行業務にかかる競合・競争は大きくなっていくことが見込まれ、当行が現在及び将来の競合・競争先と
差別化要因をもって競合・競争できない可能性があります。