有価証券報告書-第40期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/30 9:11
【資料】
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【項目】
107項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また当社グループでコントロールできない外部要因や必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。当社グループでは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、その発生の予防及び発生時の対応に努力する方針ですが、本株式に関する投資判断、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。
また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。
(1) 非臨床試験事業固有のリスクについて
① 法的規制について
当社グループの事業は、現在、「薬事法」、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」及びそれに関連する厚生労働省令等による諸規制を受けております。実験動物の調達にあたっては、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」及び「感染症の病原体を媒介するおそれのある動物輸入に関する規制」等の諸規制を受け、試験実施施設はGLPに基づくGLP適合性確認のための調査の対象となっております。また、当社グループのフィリピン子会社においては、同国における関連法律・制度による諸規制を受けております。
当社グループは、信頼性保証室及び内部監査室を配置しており、それぞれが機能しつつ法的規制への抵触を予防する措置を取っておりますが、何らかの要因により、当社における「輸入検査場所としての指定」「輸入サル飼育施設としての指定」「特定外来生物の飼養許可」のいずれかが指定又は許可の取り消し・停止処分を受けた場合、GLP適合確認において高い評価が得られなかった場合及びその他諸規制に抵触する事態が発生した場合には、事業の進捗に支障が生じる可能性があり、これまで取引してきた企業からの受注が激減することが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 実験用カニクイザルの取得について
当社グループが行うサルを用いた試験は、ほとんどがカニクイザルを用いた試験であり、当社グループにとってカニクイザルは最も重要な実験動物であります。当社グループが使用するカニクイザルの調達は、INARPに加えて中国海南島ルートを確保しており、現時点では需要を賄う頭数の確保が可能でありますが、以下のようなリスクが内在しております。
a.今後のサルの需給動向により、取得数の減少や購入コストの高騰が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
b.サルは人と共通する感染症を持っており、エボラ出血熱やマールブルグ病に代表されるような人獣共通の感染症が発生した場合には、原産国から国外への輸出禁止措置がとられる可能性があります。今後、原産国における輸出・移動禁止の措置が取られた場合や必要頭数が確保できない場合、もしくは調達が遅延するといった事態が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ サルを用いる試験について
近年ヨーロッパなど一部の地域においては、サルを用いる試験として、カニクイザル以外のサルを用いる試験が出てきております。現在のところはこれらの需要はごく一部に限定されており、実験用サルとしては、背景データの豊富さからカニクイザルが主流となっております。しかしながら、将来、カニクイザル以外のサルが実験用途として世界のスタンダードとなった場合、当社のサル確保における有利性が失われ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 感染症等の発生について
実験動物は、当社試験施設において、外部と遮断され、気圧調整により相互の汚染が防止された試験室内で、温度・湿度等が一定に制御された環境下で飼育されております。また、実験動物を受入れる際の厳重な検疫体制やGLP基準に基づく研究施設への試験従事者等の入退出管理を含めて、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。しかしながら、施設内外のトラブルや、実験動物及び試験従事者のウィルスによる感染症の発生等、予期せぬ事態が生じた場合には、事業活動に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑤ 動物愛護について
非臨床試験は、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル等の実験での使用を目的として生産された動物を使用しております。新薬の開発過程において非臨床試験は、ヒトでの臨床試験を実施する際の科学的・倫理的妥当性を客観的に評価するため、現状では必要不可欠な試験であります。当社グループでは、実験動物の使用に当たっては、「動物の愛護及び管理に関する法律」、「実験動物の飼養及び保管等並びに苦痛の軽減に関する基準」等の適用法令及び自社で策定した「実験動物指針」を遵守し、実験動物の適正な管理を行っております。また、平成17年には実験動物の取扱い、管理及び愛護における世界的基準である、AAALAC Internationalによる認証を国内で初めて取得し、その基準に合わせた管理体制及び実験方法の選定を行っております。
しかしながら、動物愛護の観点から実験動物の利用に関して否定的な意見が多数を占めるような社会情勢に至った場合、当社のイメージに悪影響を与える可能性があります。また、実験動物利用の規制が行われるようになった場合にはその入手が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑥ ICHに基づく海外データの受け入れ
日・米・EU三極の医薬品承認審査に関する規制を一極化するためのICHにより、国内での新薬の承認申請に海外で実施された非臨床試験データを利用することが可能になり、その適用範囲も拡大してきております。現在のところ非臨床試験については、欧米と比べ日本の方が平均的に安価であり、また地理や言語面での利便性などの観点から、一部の特殊技術を要する試験を除き目立った海外への試験流出はありませんが、今後、価格面や利便性などにおいて海外の非臨床試験機関が優位となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑦ 特定の業界への依存度が高いことについて
非臨床試験事業は、製薬業界への売上依存度が高く、製薬業界全体の動向が当社グループの業績に大きな影響を与えます。近年、国内製薬企業大手は積極的に海外製薬企業の買収を進めており、今後の研究開発の軸足を国内・海外のいずれに置くことになっていくかは不透明になりつつあります。また、欧米の製薬企業は大型のM&Aにより企業規模を拡大しており、日本の製薬企業が、その創薬能力の優秀さや、日本が米国に次ぐ大きな医薬品市場を抱えていることから、海外企業の買収ターゲットとなる可能性を十分に持っています。今後、国内製薬会社の研究開発の海外移転が進んだ場合及び海外製薬企業による買収が行われ、当社グループの取引先である国内製薬企業の絶対数が減少した場合、国内における新薬開発の件数が減少し当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(2) 臨床試験における被験者の健康被害について
臨床試験実施に伴い、万一、当社グループの過失により被験者に健康被害が発生し、訴訟事件や社会問題に発展した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) INARPのカントリーリスクについて
INARPは、フィリピンにおいて実験用サル育成を行っております。同国では、地理的特性上、台風、地震、噴火等、大型の自然災害の発生により、施設・機器の破損及び従業員の就業状況に支障を来す事態、予期し得ない法的規制やその変更、政情不安及び経済変動等のカントリーリスクが存在するため、これら不測の事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 知的財産権について
当社グループにおいては、開発した「催不整脈モデル動物」についてはわが国及びカナダにおいて特許を取得し、米国においても特許を出願しております。なお、今後も研究開発活動に関わる成果を、特許権その他の知的財産権として確保することは事業戦略上極めて重要であると考えておりますが、これらの研究成果をすべて特許等として申請しても、必ずしもその権利を保全できるとは限りません。その結果、後発の第三者が同様の技術を開発した場合、市場における優位性が保てなくなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
本書提出日現在、第三者の知的財産権を侵害している事実はないと認識しておりますが、万一、第三者から訴訟を提起されるような事態が発生した場合は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(5) 情報セキュリティ管理体制について
当社グループは、医薬品開発企業等から委託された開発品の情報等(以下「秘密情報」と言います。)を得て受託試験を実施しております。秘密情報の取り扱いについては、委託先と秘密保持契約を締結し秘密情報を厳重に管理するとともに、役職員に対して在職中、退職後を問わず秘密情報の保全を義務付けております。しかしながら、万一、当社グループに起因した第三者に対する秘密情報漏洩が発生した場合等には、顧客の信頼が損なわれ当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(6) 人員の確保及び育成について
当社グループの事業推進にあたっては、薬学、獣医学及び農学等の専門的知識の保有者並びに薬剤師、獣医師、臨床検査技師等の有資格者が不可欠であります。こうした人材は、これまでのところ支障なく確保及び育成できておりますが、今後、計画した人材確保ができない場合や、現在在籍する人材の流出が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(7) 為替変動について
当社は、主力であるサル試験に用いるサルを、主に子会社を介してフィリピンから輸入しております。これらの取引については円建で対応することで為替リスクの軽減を図っておりますが、その他の外貨建の債権及び債務は為替変動の影響を受けるため、為替レートの動向は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。