有価証券報告書-第10期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/30 16:51
【資料】
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【項目】
57項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載されているとおりであります。
(2) 財政状態の分析
① 資産
当連結会計年度末の資産合計は2,480,256百万円(前連結会計年度末は2,478,290百万円)となり、1,966百万円増加しました。その内訳は、流動資産が102,912百万円減少、非流動資産が104,879百万円増加であります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,010,942百万円(前連結会計年度末は1,113,855百万円)となり、102,912百万円減少しました。その主たる内訳は、売上債権及びその他の債権が10,727百万円、棚卸資産が10,779百万円増加したものの、現金及び現金同等物が33,262百万円、その他の金融資産が92,906百万円減少したこと等によるものであります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産は1,469,313百万円(前連結会計年度末は1,364,434百万円)となり、104,879百万円増加しました。その主たる内訳は、有形固定資産が23,699百万円、のれんが17,623百万円、持分法で会計処理されている投資が21,633百万円、その他の金融資産が32,826百万円増加したこと等によるものであります。
② 負債
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は386,465百万円(前連結会計年度末は436,613百万円)となり、50,147百万円減少しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が14,791百万円、未払法人所得税が13,446百万円、その他の流動負債が17,373百万円減少したこと等によるものであります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債は271,840百万円(前連結会計年度末は303,235百万円)となり、31,394百万円減少しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が17,010百万円、繰延税金負債が25,578百万円減少したことによるものであります。
③ 資本
当連結会計年度末における資本は1,821,950百万円(前連結会計年度末は1,738,441百万円)となり、83,508百万円増加しました。その主たる内訳は、配当金の支払54,184百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益112,492百万円の計上等により利益剰余金が57,260百万円増加したこと、株式相場及び為替相場等の影響によりその他の資本の構成要素が23,847百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(4) 経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は1,239,952百万円(前期比3.7%増)となり、営業利益は104,181百万円(前期比3.0%増)、当期利益は114,387百万円(前期比22.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は112,492百万円(前期比21.5%増)となりました。
医療関連事業の売上高は774,762百万円(前期2.9%増)となりました。主なものは、臨床栄養、抗精神病薬「エビリファイ」、「エビリファイ」の持続性注射剤(月1回製剤)「Abilify Maintena」、抗精神病薬「REXULTI」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」、バソプレシンV2受容体拮抗剤「サムスカ/JINARC」などの売上によるものです。
ニュートラシューティカルズ関連事業の売上高は326,221百万円(前期比4.7%増)となりました。主なものは、「ポカリスエット」のペットボトル(エコボトル)、「オロナミンC」、バータイプの大豆栄養食品「SOYJOY」、サプリメントである「ネイチャーメイド」、欧州における機能性食品・栄養食品などの売上によるものです。
消費者関連事業の売上高は35,595百万円(前期比0.4%増)となりました。主なものは、「クリスタルガイザー」、「マッチ」、「ボンカレー」などの売上によるものです。
その他の事業の売上高は151,133百万円(前期比7.0%増)となりました。主なものは、機能化学品事業、ファインケミカル事業及び倉庫業などの売上によるものです。
販売費及び一般管理費は△558,677百万円(前期比4.3%増)となり、研究開発費△175,558百万円、持分法による投資利益19,307百万円などを計上した結果、営業利益は104,181百万円(前期比3.0%増)となりました。販売費及び一般管理費の主なものは、人件費△166,306百万円、販売促進費△102,689百万円、減損損失△27,275百万円(主として、医療関連事業における急性片頭痛の治療薬「ONZETRA Xsail」(一般名:スマトリプタン)に係る減損損失△23,104百万円)であります。
営業外損益については、金融収益4,268百万円、金融費用△5,068百万円、その他の営業外損益331百万円を計上し、米国を中心とした税制改正の影響29,657百万円(利益)を受け、法人税所得税費用10,674百万円(利益)を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は112,492百万円(前期比21.5%増)となりました。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
① 医療費抑制策の動向
わが国において、厚生労働省は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費抑制策を強化していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでおります。また、当社グループの重要市場である米国においても、低価格のジェネリック医薬品の使用促進や、連邦・州政府及びマネジドケアの強い要請に伴うブランド品への価格引き下げ圧力が一層高まっており、今後の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人消費の動向
ニュートラシューティカルズ関連事業及び消費者関連事業において取り扱う製品(特に飲料製品)の中には、天候の影響及び経済状況等にともなう個人消費動向の影響を受けやすい製品があります。悪天候及び経済不況による個人消費動向の変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替相場及び株価の動向
当社グループの2017年12月期の連結売上高のうち、48.5%が海外売上高となっており、外貨建取引での予期し得ない為替相場の急激な変動により業績への悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は連結財務諸表を円表示で作成しているため、外貨表示で作成されている在外子会社等の財務諸表を円表示へ換算するに際して、その為替相場によって、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、株式市況が低迷した場合には、株式等の評価損の計上や年金資産の減少に伴う退職給付に係る負債の増加等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、企業理念を軸としたトータルヘルスケアを実践するため、オーガニック成長を基本とした、人・技術・製品などの有機的融合による事業機会の拡大に取り組み、世界の人々の健康に貢献する“なくてはならない”企業を目指します。また、多様性を尊重する企業風土を推進するとともに、コンプライアンスの推進、内部統制システムの強化、環境に配慮した事業活動の展開等、企業の社会的責任の遂行にも積極的に取り組んでまいります。