有価証券報告書-第10期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/30 16:51
【資料】
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【項目】
57項目

事業等のリスク

当社グループの事業の運営及び展開等については、様々なリスク要因があります。当社グループは、それらの想定されるリスク要因に対し、事前に軽減する、回避する、またはヘッジする等、事実上可能な範囲での施策を検討実施しておりますが、全てのリスク要因を排除または軽減することは不可能または著しく困難であり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。以下、当社グループが重要なリスクであると判断する項目を記載いたしますが、当社グループの事業等に係るリスクをすべて網羅するものではありません。また、将来に関する事項については、当連結会計年度末時点において当社グループが判断または予想する主要なものであり、事業等のリスクはこれらに限るものではありません。
(1) 持株会社としてのリスク
当社は、当社グループにおける事業の戦略立案、経営資源配分、グループ会社の監視・監督等の役割を果たすことによって、当社グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制を強化するため、2008年7月8日に純粋持株会社として設立しました。当社は、安定的な収益を確保するため、子会社からの配当金及び適正な経営指導料を得ておりますが、子会社の収益動向によっては、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 副作用発現に関するリスク
医療関連事業において、新薬の承認取得のために実施する臨床試験は、限られた被験者を対象に実施されるものであります。このため、承認された新薬であってもすべての服用者に対して常に安全であるとまでの保証はなく、実際に新薬を投与した患者に予期し得ない副作用が発現する可能性があります。当社グループは、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入しておりますが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。したがって、当社グループの製造または販売する医薬品について、副作用の発現等の問題が発生した場合には、製品回収や販売中止等に係る多額の費用が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があるとともに、当社グループの社会的信頼及びブランド並びに事業展開にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 新薬開発の不確実性に関するリスク
医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要しますが、臨床試験などで有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止を行う可能性があります。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法規等の法的規制の適用を受けており、新薬の製造及び発売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、予定していた時期に上市ができず延期になる、または上市を断念しなければならない可能性があります。当社グループが研究開発を行った医療用医薬品の上市が中止または延期された場合、過去に計上された研究開発費に見合う収益が計上できない可能性があります。
当社グループは、アンメット・メディカル・ニーズ(いまだ有効な治療方法が確立されていない疾患)に焦点を当て、複数のパイプラインを保有することにより、上記のリスクの軽減に努めておりますが、これにより、すべてのリスクが回避されるわけではなく、このような開発の不確実性により当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 医療費抑制策に関するリスク
わが国において、厚生労働省は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでおります。
また、当社グループの重要市場である米国においても、マネジドケア、保険会社及び2010年3月に改定された米国の医療保険改革法案等による先発医薬品(ブランド品)への価格引き下げへの圧力のほか、低価格のジェネリック医薬品の使用促進も進んでおり、今後の医療費政策の動向が当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 個人消費動向に関するリスク
ニュートラシューティカルズ関連事業及び消費者関連事業において取り扱う製品(特に飲料製品)の中には、天候の影響及び経済状況等にともなう個人消費動向の影響を受けやすい製品があります。天候及び経済不況等による個人消費動向の変動は、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 食の安全性に関するリスク
当社グループは、「食の安全」をお客様に提供するため、自社製造品のみならず委託製造品を含む全ての製品の品質管理や安全性・信頼性保証等に関しては万全を期しております。しかしながら、近年、国内外の食品業界においては、有害物質の混入等の様々な問題が発生しており、当社グループの品質管理体制の範囲を超えた事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態並びに社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7) 原材料価格の高騰等に関するリスク
当社グループの製品に使用する主要な原材料の価格は、天候、自然災害、市場価格、経済情勢、燃料費、為替等によって変動し、当該価格が何らかの原因により高騰した場合には、当該製品の製造コストは上昇します。当社グループとしては原材料価格の上昇を販売価格に転嫁することにより対応する方針ですが、市場の状況または取引先との交渉等によって対応できない場合、その他調達先の問題などにより原材料の調達に何らかの問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法規制に関するリスク
当社グループの医療関連事業を営む子会社は、「薬機法」等関連法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して以下のとおり許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件及び関連法令の遵守に努めており、現時点におきましては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合等には、規制の対象となる製品を回収し、またはその販売を中止することが求められる可能性及び対象事業を継続できない可能性等があり、これらにより当社グループの運営に支障をきたし、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(許認可等の状況)
許認可等の名称所管官庁等主な許認可取消事由備考
第1種医薬品製造販売業許可東京都薬機法その他薬機に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、または役員等が欠格条項に該当したときは許可の取消(薬機法第75条第1項)大塚製薬㈱にて取得。ほか、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場等にて取得
医薬品製造業許可徳島県同上大塚製薬㈱徳島工場にて取得。ほか、同社、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場の複数の工場等にて取得
卸売販売業許可東京都同上大塚製薬㈱東京支店にて取得。ほか、同社、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場の複数の事業所等にて取得

(9) 特許権の保護期間満了に関するリスク
医療関連事業におきましては、効能追加や剤型変更等により製品ライフサイクルの延長に努めておりますが、当社グループが排他的に利用可能な特許権の保護期間が満了した後には、当社グループが製造または販売する医薬品と競合するジェネリック医薬品の出現により競争の激化が予想され、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10) 特許権の侵害に関するリスク
当社グループでは特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害のリスクに常に注意を払っておりますが、当社グループが保有しまたは当社グループが他社からライセンスを受けている知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。
また、第三者の知的財産権に対する侵害のリスクにも常に注意を払っておりますが、万一当社グループの製造または販売する製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該製品を回収し、またはその製造もしくは販売を中止することを求められる他、多額の損害賠償を請求される可能性があります。
(11) 訴訟に関するリスク
当社グループは、その事業運営に関し、製造物責任、労務問題、特許権の侵害、契約の不履行、環境汚染等に関して第三者から訴訟を提起される可能性があり、当社グループに不利益な内容の判決、決定または和解がなされる場合、当社グループの業績及び財政状態並びに事業戦略及び社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(12) 製造拠点の操業停止に関するリスク
当社グループの製造拠点は、予期せぬ災害、戦争、テロ活動、大規模なシステム障害もしくは事故等による操業停止に備えて各地域に分散しております。しかしながら、何らかの事由により当該製造拠点の全部または一部の操業が停止した場合には、一時的または長期的に全部または一部の製品の製造が不可能または著しく困難となり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13) 環境汚染に関するリスク
当社グループは、国内外において製造過程で発生する廃棄物及び大気中への排出物などについて、さまざまな環境保護に係る法的規制を受けております。当社グループとしては、事業活動の各側面において環境への影響評価を行い、環境負荷の把握と環境リスクの低減に努めております。こうした取り組みの結果、当社グループではこれまで重大な環境問題が発生したことはありませんが、将来において、環境問題が発生しないという保証はなく、土壌または大気の環境汚染などの問題が発生した場合には、関係当局に命じられる法的措置や対策費用または損害賠償責任の発生により、当社グループの業績及び財政状態並びに社会的信用性及びブランドに重要な影響を及ぼす可能性があります。
(14) 為替相場及び株価に関するリスク
当社グループの2017年12月期の連結売上高のうち、48.5%が海外売上高となっており、今後も当社グループの売上の相当程度は海外における外貨建取引となることが見込まれております。当社の想定を超える為替相場の急激な円高の進行により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は連結財務諸表を円表示で作成しているため、外貨表示で作成されている在外子会社等の財務諸表を円表示へ換算するに際して、その為替相場いかんによって、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、株式市況等が低迷した場合には、当社グループが保有する株式等の評価損の計上や年金資産の減少に伴う退職給付に係る負債の増加等、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(15) 各種業務提携及び買収に関するリスク
当社グループは、研究開発、製造、販売等の分野において、技術提携、業務提携、合弁会社設立、資本提携等、他社との提携または他社事業の買収を実施することがあります。これらの提携等にあたり、当社グループは提携等による事業効果や提携先または対象会社の業務遂行能力及び信用力の測定を十分に行っており、また資本提携及び買収につきましては、その対象企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、当該提携及び買収に伴うリスクの低減に極力努めております。しかしながら、提携等の実施以後の事業環境の変化等により、当初計画されていた提携等による成果を得られない可能性や、何らかの理由により提携等が解消される可能性があり、その場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当該提携等を行うに当たり、当社グループが一定の地域、時期または製品について競業避止義務を負う場合、当社グループの将来の事業戦略において重大な制約を受ける可能性があります。
(16) 海外展開におけるリスク
当社グループは、日本以外にも米国、欧州及びアジアを中心に、研究開発、製造及び販売活動を行っております。グローバルな事業活動を行うにあたり、各国の法的規制、経済情勢、政情不安や事業環境の不確実性などのリスクを完全に回避することができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(17) 情報管理に関するリスク
当社グループは、個人情報を含め多くの重要情報を保有しております。これらの情報管理については、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システム上のセキュリティ対策等を行うなどの努力を行っていますが、システム障害や事故を含めた様々な原因で情報の改ざん、悪用、漏えいなどが発生するリスクが考えられます。その場合、当グループの業績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。