有価証券報告書-第9期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 15:44
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【項目】
146項目

業績等の概要

(1)業績
(当連結会計年度の概況)
当連結会計年度の世界経済は、米国経済は雇用回復を背景に企業収益、個人消費が緩やかに拡大しましたが、新政権発足にともなう各種政策の実現性に不透明感が見られます。欧州経済は、英国のEU離脱問題などによる金融市場の一時的混乱はあったものの、欧州中央銀行の金融緩和政策の影響で個人消費が増加し、景気は拡大基調にあります。また、北朝鮮、シリアなどにおける緊迫した国際情勢は、世界経済の不透明感を強めています。国内経済は、上期は急激な円高進行により消費マインドには足踏み感があり、個人消費は伸び悩みましたが、第3四半期以降円安へ転換したことから、景気に緩やかな回復基調が見られました。
こうした状況の下、当社グループにおける当連結会計年度の全社売上高は、オートモーティブ分野及びメディアサービス分野が増収となったことから、為替変動の影響があったものの、前期比で増収となりました。一方、全社損益についても、オートモーティブ分野及びメディアサービス分野が増益となったことから、為替変動や退職給付費用増など期初想定内の要因による影響がありましたが、営業利益は前期比で増益となりました。また、経常利益は、営業利益の増益に加えて営業外損益が改善したことから、前期比で大幅に増益となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度に特別損失を計上した影響などから、損失となりました。
なお、当連結会計年度の決算に使用した損益為替レートは以下のとおりです。
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
損益為替レート米ドル約108円約102円約109円約114円
ユーロ約122円約114円約118円約121円
前期(参考)米ドル約121円約122円約121円約115円
ユーロ約134円約136円約133円約127円

*売上高
当連結会計年度における売上高は、前期比で約71億円増(2.4%増収)となる2,992億78百万円となり、為替変動の影響があったものの、増収となりました。
オートモーティブ分野は、用品(ディーラーオプション)の販売増によりOEM事業が増収となったことなどから、増収となりました。一方、無線システム事業及びJKPIを中心に展開する業務用システム事業が減収となったことなどから、パブリックサービス分野は減収となりました。また、コンテンツの販売が好調に推移したエンタテインメント事業が増収となったことから、メディアサービス分野は増収となりました。
なお、為替影響を除いた売上高は、前期比で約9%増となりました。
*営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前期比で約13億円増(28.6%増益)となる57億81百万円となりました。
オートモーティブ分野は、市販事業において、国内市場でAV一体型カーナビゲーションシステム「彩速ナビ」やドライブレコーダーの販売が好調に推移したことに加え、海外市場でオーディオ、マルチメディア商品の販売が好調に推移したこと、また、OEM事業の用品(ディーラーオプション)の販売増の影響などから大幅な増益となりました。また、パブリックサービス分野は、無線システム事業が増益となりましたが、業務用システム事業が減益となったことなどから、分野全体では減益となりました。一方、メディアサービス分野は、エンタテインメント事業が大幅な増益となったことから、分野全体では増益となりました。
*経常利益
当連結会計年度における経常利益は、営業利益の増加に加え、金融収支の改善などにより営業外損益が改善したことから、前期比で約23億円(180.0%増益)改善し、36億16百万円となりました。
*親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が増益となったものの、当連結会計年度中に特別損失を計上したことなどから、前期比で約101億円減となる67億27百万円の損失となりました。
(セグメントごとの売上高及び損益)
セグメントごとの売上高及び営業利益は以下のとおりです。
なお、セグメントごとの営業利益の合計額は、連結損益計算書と一致しています。
セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しています。
(百万円)
セグメントの名称平成29年3月期平成28年3月期前連結会計年度比
オートモーティブ分野売上高150,864138,540+12,324
営業利益2,230400+1,830
パブリックサービス分野売上高72,99380,898△7,905
営業利益1,1271,894△767
メディアサービス分野売上高70,54767,233+3,314
営業利益2,2701,825+445
その他売上高4,9285,542△614
営業利益154374△220
セグメント間消去売上高△54△19△35
合計売上高299,278292,195+7,083
営業利益5,7814,494+1,287
経常利益3,6161,291+2,325
親会社株主に帰属する当期純利益△6,7273,401△10,128

*オートモーティブ分野
当連結会計年度におけるオートモーティブ分野の売上高は、前期比で約123億円増(8.9%増収)の1,508億64百万円、営業利益は同約18億円増(457.4%増益)となる22億30百万円となりました。
(売上高)
市販事業は、国内市場では「彩速ナビ」やドライブレコーダーの販売が好調に推移したものの、海外市場で為替変動の影響を受けたことなどから、減収となりました。
OEM事業は、用品(ディーラーオプション)の販売が大きく拡大したことなどから、増収となりました。
(営業利益)
市販事業は、国内市場で「彩速ナビ」やドライブレコーダーの販売が堅調に推移したことなどによりプロダクトミックスが改善し、海外市場で為替変動の影響を受けたものの、増益となりました。
OEM事業は、i-ADAS※関連で営業損失を計上しましたが、用品(ディーラーオプション)の大幅な増収効果によって、損失が大幅に減少しました。
※…当社の商標であり、“革新的先進運転支援システム(innovative Advanced Driver Assistance System)”の意。
*パブリックサービス分野
当連結会計年度におけるパブリックサービス分野の売上高は、前期比で約79億円減(9.8%減収)の729億93百万円、営業利益は同約8億円減(40.5%減益)となる11億27百万円となりました。
(売上高)
無線システム事業は、業務用無線端末の販売が堅調に推移したものの、為替変動の影響により減収となりました。
JKPIを中心に展開する業務用システム事業は、一部市場での需要減の影響などから減収となりました。
(営業利益)
無線システム事業は、減収となったものの、主に米国無線システム子会社の固定費圧縮効果などにより、増益となりました。
業務用システム事業は、上記の減収の影響などにより減益となりました。
*メディアサービス分野
当連結会計年度におけるメディアサービス分野の売上高は、前期比で約33億円増(4.9%増収)の705億47百万円、営業利益は同約4億円増(24.4%増益)となる22億70百万円となりました。
(売上高)
メディア事業は、為替変動の影響などにより業務用ビデオカメラの販売が減少したことや、平成28年4月14日以降に相次いで発生した熊本地震により部品の調達に影響が生じ、国内の民生用ビデオカメラの販売が減少したことなどから、減収となりました。
エンタテインメント事業は、当社の子会社でCDやDVD、ブルーレイといったパッケージメディアの製造受託を手掛ける株式会社JVCケンウッド・クリエイティブメディア(以下「JKCM」)の移転にともなう販売減の影響がありましたが、コンテンツの販売が好調に推移したことから、事業全体では増収となりました。
(営業利益)
メディア事業は、上記の減収の影響などから、減益となりました。
エンタテインメント事業は、コンテンツの販売が好調に推移したことなどから、大幅な増益となりました。
(2)キャッシュ・フロー
*営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において営業活動により増加した資金は153億69百万円となり、前期比で約31億円収入が増加しました。主な要因は、税金等調整前当期純損失を計上したものの、減損損失や減価償却費の増加などに加え、利息の支払額が減少したことなどによるものです。
*投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において投資活動により減少した資金は143億90百万円となり、前期比で約60億円支出が増加しました。主な要因は、有形固定資産の売却による収入が減少したことや有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。
*財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において財務活動により減少した資金は10億83百万円となり、前期比で約139億円支出が減少しました。主な要因は、前期実施した社債の償還による支出や、Shinwa International Holdings Limited(以下「シンワ」)株式の追加取得による支出がなかったことなどによるものです。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前年末比で約9億円減少し、406億81百万円となりました。