有価証券報告書-第36期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/09/29 11:41
【資料】
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【項目】
135項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを網羅するものではありませんのでご留意下さい。なお、当該記載事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 経済状況・市場環境について
一般的に企業が支出するマーケティング、コミュニケーションサービスに関する費用は、景気動向によって増減する傾向にあります。従って、当社のマーケティング&コミュニケーション事業、セールスアクティベーション事業における企業からの受注件数や受注金額は、景気の影響を受ける可能性があります。
(2) 新規事業開発について
当社グループの今後の事業展開としまして、事業規模の拡大と高収益化を目指して、既存の受託型事業に留まらず新規事業開発に積極的に取り組んでいく方針でありますが、とりわけ新規事業の立ちあげについては、既存の受託型事業よりもリスクが高いことを認識しております。
入念な市場分析や事業計画設計にも関わらず、予測とは異なる状況が発生し、計画どおりに進まない場合は、投下資金を回収できず当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3) 業務提携、合弁事業、戦略的投資、M&Aについて
当社グループは、企業価値向上を目的とした飛躍的成長の実現の有効な手段のひとつとして、引き続き、業務提携、合弁事業、戦略的投資およびM&Aを検討していく方針であります。
しかしながら、業務提携・合弁事業においては協力パートナーの経営状況により、提携の維持が困難になる可能性、戦略的投資については、投資先の財務状況等により期待する成果が得られない等により、保有株式の評価減処理を行う可能性およびM&Aについては、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等の問題の発生または事業計画の著しい乖離が発生した場合には、のれんの減損処理を行う可能性がそれぞれあり、これらが生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4) 持株会社体制移行について
当社グループは、2020年1月より持株会社体制に移行しております。効率的な経営を可能にする迅速な経営判断の実現等を目的として、グループ経営体制の変更をしておりますが、初期段階においては、持株会社における管理体制強化にともなうコスト増加に加え、当社グループにおける各事業会社の自律性が強くなることに伴うグループガバナンスや各事業会社のシナジー効果の希薄化等が発生する傾向があり、その場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 特定人物への依存について
当社グループの各事業の経営方針及び事業戦略は、当社役員等に依存しております。当社グループでは、企業価値向上に向けた持続的かつ飛躍的成長を機動的に実現するため、積極的な権限委譲を進めると同時に、当社グループの各社役員等による情報の共有機会を継続的に維持することで、経営組織の強化を図っておりますが、今後何らかの理由により、当社役員等が当社グループの経営執行を継続することが困難となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6) 人財の確保・育成について
当社グループの事業を支える人財の確保・育成は、当社の競争力を維持していく上で必要不可欠なものであります。自社のブランディングを強化することで採用活動を優位に進めるとともに、グループ企業間の異動・出向を通じた活発な人的交流、さらには外部講師を招いた研修等を定期的に行うことで、人財の確保・育成に努めております。現在は、グループの基幹事業であるPRをはじめとするマーケティング、コミュニケーションサービスに留まらず、今後のグループの成長を加速させる新規事業開発、さらには、グローバルなビジネスフィールドで活躍できる人財確保・育成に注力しておりますが、必要な能力を有する十分な人財確保ができなかった場合や、人財の流出が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7) メディアとの関係及び新たなメディアの成長について
インターネット環境の整備及びスマートフォン等の新しいデバイスの普及によって若年層を中心にオンライン動画を視聴するスタイルが急速に浸透している中で、テレビ、新聞、雑誌等のメディアリレーションにおいて強みを発揮している当社グループでは、こうした新たなメディアとの良好な関係構築にも注力しております。しかしながら、現代社会における情報の氾濫の影響で、当社から不確実な情報を提供したこと等によってメディアとの信頼関係が失われた場合、また新興メディアの考査が十分に機能しなかったこと等によってレピュテ―ションリスクが発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8) 企業活動におけるレピュテ―ションリスクについて
当社グループは、広範な分野を収益機会として捉え、積極的な事業展開を行う方針でありますが、とりわけ社会貢献活動に係る支援業務につきましては、PR活動等のあり方の重要性を強く認識しております。また、各事業の企画・立案にあたりましては、当社へのレピュテーションリスク等を詳細に分析・評価することが不可欠であると考えております。しかしながら、このような適切なリスク管理体制の構築ができなかった場合には、企業に求められる説明責任を十分に果たせないことになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9) 情報管理について
当社グループは、業務の性質上、クライアントの企業情報やマーケティングに関する機密情報、また、イベントや消費者キャンペーン等において個人情報等を入手する場合があります。当社では、2008年3月にISO27001情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得し各種情報の管理体制を構築し、社員教育等により従業員のモラル向上を図るなど、情報の取扱いには細心の注意を払っておりますが、かかる措置にもかかわらず、これらの情報の漏洩や不正使用があった場合、損害賠償金や訴訟費用の支出を余儀なくされ、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。
(10) 知的財産権等について
当社グループは、各事業の推進に当たって、各種知的財産権等の権利物を扱う場合があります。こうした権利物を扱う場合には、権利関係の事前調査や顧問弁護士への相談を徹底し、第三者の知的財産権等の各種権利の侵害がないように努めておりますが、かかる措置にもかかわらず、第三者の権利を侵害してしまった場合、損害賠償金や訴訟費用の支出を余儀なくされ、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。
(11) 業界特有の取引慣行について
情報統制の必要性から一業種一社制(一業種につき一社のみをクライアントとする制度)が望まれる傾向にあり、新規クライアントの獲得が、同業種クライアントとの契約により制限される場合があります。当社グループでは、複数の事業会社及び部署において、情報管理の徹底を図ることで、同業種における複数のクライアント獲得を目指しておりますが、国内国外のクライアントを問わず一業種一社制が浸透した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが展開する各事業において、取引の機動性と柔軟性を重視する業界特有の取引慣行により、正式な契約書、発注書が発行されない場合も多く、役務提供過程において企画内容、実施時期、報酬額及びその支払時期等が変更される場合もあります。当社グループでは、契約書、発注書等が発行されない場合でも、取引先との間で受注確認票等の文書を取り交わすこととしており、取引の明確化を徹底しております。しかしながら、取引条件について取引先との認識の相違や係争が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(12) 主要アスリート等について
当社グループは、契約アスリート等のセカンドキャリアを視野に入れたブランディングとメディア露出戦略を実践していくことで、契約アスリート等との長期的な契約関係の維持を図っておりますが、マネジメント契約はその期間が定められており、毎回更新できる保証はありません。
また、当社グループでは、引退したアスリートに対しても、引退後における収入の確保のための企画・提案を行う等の長期的視野に立ったマネジメントを提供しておりますが、予期せぬ怪我・不祥事等による突然の引退・活動休止等が発生する可能性や、当社グループがマネジメント戦略上、当該人物のメディアへの出演や活動を抑制する可能性があります。さらに不祥事を起こした場合等においては、取引先との間で既に締結した広告出演契約を解除され、受領済みの契約金の一部又は全部を返金しなければならなくなる可能性があります。
(13) フードブランディング事業について
① 食品事故の発生について
フードブランディング事業においてレストランを展開する当社グループにとって、最大のリスク要因は食中毒や食品アレルギーなどの食品事故の発生と認識しており、店舗において、衛生管理に関するマニュアルに基づく衛生・品質管理を徹底しております。しかしながら万が一、不可抗力的な食品事故が発生した場合、社会的信用を失うことによる売上高の減少、損害賠償による損失の発生、一定期間の営業停止や営業許可の取り消しなどにより、当社グループの経営成績および財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
② 固定資産の減損損失について
フードブランディング事業が保有する店舗における固定資産において、資産価値の下落や将来的なキャッシュ・フローの低下等によって、減損処理を行う可能性があります。その際には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 出退店政策について
フードブランディング事業が運営する店舗は、billsブランディングへの寄与、集客性が高い等の立地条件、賃貸条件および投資回収期間等を総合的に勘案し、かつライセンスビジネスであることからライセンサーの許諾を得て、出店候補地および初期投資額を決定しているため、すべての条件に合致する物件が確保できない可能性があります。また、当社グループにおける業績をベースにした退店検討基準により、billsブランドの毀損や業績回復の見通しが立たない場合には、退店を実施することがあります。その退店に伴い、固定資産の除却損、減損損失の計上、各種契約の解除による違約金、退店時の原状回復費用等が想定以上に発生する可能性があり、これらが生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ ライセンサーまたは事業パートナー会社との関係について
フードブランディング事業は、「bills」ブランドのライセンスビジネスであるため、ライセンサーであるビルグレンジャー氏とのライセンス契約が継続されない場合、または国内bills店舗はその店舗運営を事業パートナー会社に委託しているため、その事業パートナー会社との業務委託契約が継続できない場合には、フードブランディング事業の継続が難しくなるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 海外展開と出店スケジュールの遅延について
これまでの出店ノウハウを生かし万全の準備態勢で新店舗の出店を進行するも、特に海外においては、固有のビジネス文化や出店地域当局による許認可等、コントロールできる範疇を超えた要因により、当初計画していた出店スケジュールに遅延が生じ、店舗賃料や人件費等の支出のみの発生が長引くことで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(14) セールスアクティベーション事業について
① 生産国の経済情勢や為替相場変動、輸出入関税等について
セールスアクティベーション事業において、プレミアムグッズ(販促用景品等)の制作を中国等の海外工場へ外注しております。また、これら輸入取引は原則として米ドル建て決済で行っております。急激な為替相場の変動や生産国の政治情勢及び経済情勢、輸出入関税等に著しい変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 不良品の発生及び製造物責任について
セールスアクティベーション事業において、制作するプレミアムグッズの外注先選定については、外注先の過去の取引実績や品質管理体制を確認した上で取引を開始していることに加え、生産過程においても、当社グループ従業員が現地工場にて検品を行うなど、不良品の発生防止のための措置を講じております。しかしながら、万一、不良品が発生し、それらを取引先に納品した際に当該取引先からの値引きや返品・交換等の負担が発生し、当社グループの取引先に対する信用の失墜にもつながった場合、また、制作物の欠陥が原因となり事故が発生した場合には損害賠償により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 代替工場について
セールスアクティベーション事業においては、プレミアムグッズの制作の一部を海外工場へ外注しているため、国策による急激な人件費高騰をはじめ当該地域における特有のビジネス環境の変化により、外注先工場の新規開拓に迫られる可能性があり、普段より新たな工場との良好な関係構築に努めているものの、高品質・低価格・納期遵守を実現できる工場への発注ができない場合は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(15) ストック・オプションによる株式の希薄化について
本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は684,000株であり、発行済株式総数15,191,600株の4.5%に相当します。今後も役員及び従業員等のモチベーション向上や優秀な人材確保を目的として、ストック・オプションによる新株予約権を発行することを予定しております。将来、これら新株予約権の行使が行われた場合、1株当たりの株式価値が希薄化することになります。
(16) 為替相場変動について
事業のグローバル化が進む中、現在、特にセールスアクティベーション事業においては、プレミアムグッズ(販促用景品)等の制作の一部を中国等の海外工場へ外注しており、これらの輸入取引は原則として米ドル建て決済で行っているため、連結財務諸表はドル円相場の為替変動の影響を受ける可能性があります。為替変動リスクに対応するため自社為替レートを定めて販売価格を決定しているものの、その範囲を超える下げ幅、且つ、非常に短期間での円安が進行した場合、クライアントへの価格転嫁が一部に留まらざるを得ず、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(17) 自然災害について
当社グループは、本社及び店舗等が首都圏に集中しており、首都圏において大規模な地震や台風等による自然災害その他予期せぬ事態が発生した場合、その直接的又は間接的な影響により事業活動が妨げられ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(18) 新型コロナウイルス感染症について
現在、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、国内外の経済状況を著しく下振れさせるリスクがあります。当社グループは、役職員に対する検温や消毒等に加え、政府が提案している「新しい生活様式」の実施に向けた啓蒙等による対策を行っておりますが、その直接的又は間接的な影響により事業活動が妨げられ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(19) のれんの減損リスクについて
当社は今後の事業の成長拡大に向け、必要に応じてM&Aを検討・実施しております。M&Aを実施時には、将来の収益性について十分に精査を行いますが、M&A時における将来予測や事業環境の変化によって、十分なキャッシュ・フローを生み出さずに、M&A後において「のれんの減損」が発生するリスクはあります。
2021年6月期末の連結貸借対照表においては358百万円ののれんを計上しておりますが、これは2020年3月に買収した㈱ステディスタディののれんです。
当該資産については、減損の兆候が認められた場合、減損テストを行っております。その結果、十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は減損損失を認識する必要が生じます。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を与える可能性があります。
(20) デジタルマーケティング等の進展について
インターネット、スマートフォン、IT技術等「デジタル」を活用したマーケティング手法は、日々進歩しており、この分野においては、ビッグデータやAI等の技術の進歩や消費者行動の変化において、多様な手法が生み出されることは予想されます。このようなマーケティングのデジタル化の進展に対して当社グループが対応していけない場合、デジタルマーケティング手法に対する当社グループの事業戦略や取り組みが功を奏しないもしくは十分でない場合には、当社グループのサービスの競争優位性の低下をきたし、当社グループの業績および持続的成長に悪影響を与える可能性があります。