有価証券報告書-第18期(平成26年5月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/27 16:50
【資料】
PDFをみる
【項目】
110項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
1.事業環境に関するリスクについて
(1) インターネット事業に関する一般的なリスク
当社グループは、インターネット関連事業を主たる事業対象としているため、インターネットの活用シーンの多様化、利用可能な端末の増加等のインターネットの更なる普及が当社グループの成長のための基本的な条件と考えています。インターネットの普及は引き続き進んでいるものの、今後どのように進展していくかについては不透明な部分もあります。インターネットの普及に関する何らかの弊害の発生や利用等に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、今後の普及に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2) 技術革新について
当社グループが事業を展開するインターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新技術の導入が相次いで行われています。当社グループは、これらの変化に対応するため、技術者の確保や必要な研修活動を行っていますが、これらが想定通りに進まない場合等、変化に対する適切な対応に支障が生じた場合、当社グループの業界における競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(3) システム障害について
サービスへのアクセスの急増等の一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウェアの不具合、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社の予測不可能な様々な要因によってコンピューターシステムがダウンした場合、当社グループの事業活動に支障を生ずる可能性があります。また、サーバの作動不能や欠陥に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や当社に対する損害賠償請求が発生する場合も想定され、このような場合には当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4) 個人情報保護について
当社グループは、有料ID登録利用者の登録情報等の個人情報を取得利用しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されています。
当社グループは、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、保護管理体制の確立に努めており、当社において個人情報保護基本規程等を制定し、個人情報の取り扱いに関する業務フローを定めて厳格に管理するとともに、当社グループの役職員を対象として社内教育を徹底する等、同法及び関連法令並びに当社に適用される関連ガイドラインの遵守に努め、個人情報の保護に積極的に取り組んでいます。
しかし、当社が保有する個人情報等につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえません。したがって、これらの事態が起こった場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社への損害賠償請求、当社の信用の低下等によって、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(5) その他の法的規制等について
当社グループの事業を規制する主な法規制として、(ア)「電気通信事業法」、(イ)「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下、「プロバイダ責任制限法」という。)及び(ウ)「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下、「不正アクセス禁止法」という。)があります。
電気通信事業法については、通信の秘密の保護等の義務が課されています。また、当社は、プロバイダ責任制限法における「特定電気通信役務提供者」に該当し、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信による情報の流通において他人の権利の侵害があった場合に、権利を侵害された者に対して、権利を侵害した情報を発信した者に関する情報の開示義務を課されています。また、権利を侵害した情報を当社が媒介したことを理由として、民法の不法行為に基づく損害賠償請求を受ける可能性もあり、これらの点に関し訴訟等の紛争が発生する可能性もあります。さらに、当社には、不正アクセス禁止法における「アクセス管理者」として、努力義務ながら不正アクセス行為からの一定の防御措置を講ずる義務が課されています。
その他、インターネット上の情報流通や電子商取引のあり方等については、現在も様々な議論がなされており、インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されてきている状況にあり、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象として、新たな法令等の制定や既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(6) 知的財産権に係る方針等について
当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性については、調査可能な範囲で対応を行っていますが、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性又は新たに当社グループの事業分野で第三者により著作権等が成立する可能性があります。かかる場合においては、当社グループが第三者の知的財産権等を侵害することによる損害賠償請求や差止請求等又は当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(7) サービスの健全性の維持について
「クックパッド」では、不特定多数の利用者同士が独自にコミュニケーションを図っており、こうしたコミュニケーションにおいて、他人の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等の侵害が生じる危険性が存在しています。
このため、禁止事項を利用規約に明記するとともに、利用規約に基づいた利用がされていることを確認するためにユーザーサポート体制を整備し、利用規約に違反した利用者に対しては、ユーザーサポートから改善要請等を行っているため、一定の健全性は維持されているものと認識しています。
しかし、急速な利用者数の増加による規模拡大に対して、サービス内における不適切行為の有無等を完全に把握することは困難であり、サービス内においてトラブルが発生した場合には、規約の内容に関わらず、当社が法的責任を問われる可能性があります。また、当社の法的責任が問われない場合においても、トラブルの発生自体がサービスのブランドイメージ悪化を招き、当該事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、今後想定される事業規模拡大への対応も含めて、監視機能強化のためユーザーサポートにかかる人員増強等、サービスの健全性の維持のために必要な対策を実施していく方針ですが、これに伴うシステム対応や体制強化の遅延等が生じた場合や対応のために想定以上に費用が増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(8)「クックパッド」利用者の投稿コンテンツの利用について
当社グループでは、「クックパッド」利用者が投稿したコンテンツを顧客の販促物等に提供する場合があります。この場合において、投稿コンテンツの法的保護については、様々な議論がなされているものの、弁護士その他の専門家の意見をふまえて、利用者に対し、投稿コンテンツのオリジナル性を確認しています。投稿コンテンツが第三者の権利を侵害する内容となっていないこと、投稿コンテンツを顧客が利用することについて、投稿者からの個別の意思確認を行う等、法的には十分と考えられる権利処理手続きを行っており、また、法改正等に備えて十分な法的対応を取る体制を整えていますが、当該コンテンツの利用における権利処理に関連した風評問題が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(9) 広告掲載について
当社グループの運営する「クックパッド」及び当社グループが配信するメールマガジンに掲載される広告は、広告代理店等が内容を精査していることに加え、独自の広告掲載基準による確認を実施し、法令や公序良俗に反するインターネット広告の排除に努めています。しかし、人為的な過失等の要因により、掲載したインターネット広告に瑕疵があった場合、状況によっては広告掲載申込者や利用者等からのクレームや損害賠償請求がなされる可能性は完全には否定できず、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、サービスのシステム障害等を理由として広告掲載が行われなかった場合には、広告掲載申込者からのクレームや損害賠償請求がなされる可能性は完全には否定できず、これらの場合にも、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(10) 国際事業展開について
当社グループは、世界中の人々に利用されるレシピサービスの提供を目指し、グローバルな事業展開を行っています。しかし、各国の法令、制度・規制、政治・社会情勢、文化、宗教、ユーザー嗜好、商慣習の違い、為替等をはじめとする潜在的リスクに対処出来ないこと等により事業を推進していくことが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
2.経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスク要因について
(1)「クックパッド」への依存について
当社グループは、レシピの投稿及び検索に特化した「クックパッド」を運営しています。当社グループの事業は、「クックパッド」を基盤としているため、新たな法令の導入等、予期せぬ事象によりサービスの利便性が低下し、競合サービスに対する競争力を喪失して利用者数が減少した場合やサービス運営が不能となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2) サービス機能及び新規事業の充実について
当社グループは、利用者の様々なニーズに対応するため、「クックパッド」の機能拡充及び新規事業の開発を進めています。
しかし、新規事業の性質上、計画通りに事業展開が見込めない事態の発生や、有力コンテンツの導入や利用者のニーズの適確な把握が困難となり、十分な機能の拡充に支障が生じた場合、利用者に対する訴求力の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(3) 競合について
「クックパッド」は、料理レシピの投稿及び検索に特化したサービスとして利用者の獲得において先行しているものと認識しています。しかし、今後、資本力、マーケティング力、幅広い顧客基盤、高い知名度や専門性を有する企業等の参入及びその拡大が生じ、競争の激化による顧客の流出やコストの増加等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような環境において、今後も優位性を発揮し、企業価値の維持向上が図れるか否かについては不確実な面があるため、競合他社や競合サービスの影響により、当社グループの競争優位性が低下した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4) 広告市場について
広告事業が対象とするインターネット広告市場は拡大傾向にあり、インターネット広告は新聞広告を抜き、テレビに次ぐ広告媒体へと成長しており、今後も当該市場は拡大していくものと想定されます。
しかしながら、企業の広告宣伝活動は景気動向の影響を受け易いものです。また、インターネット広告は今後も他の広告媒体との競合が継続していくと考えられることから、今後においてこれらの状況に変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(5) 買収(M&A)等について
当社グループは、海外においてはレシピサービスの世界展開、国内においては「クックパッド」を「食を中心とした生活インフラ」へと進化させるべく、新規事業の拡大に注力しており、事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、M&Aを活用する方針です。M&Aに当たっては、被買収企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスクを吟味した上で決定していますが、被買収企業に偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、また、事業の展開等が計画通りに進まない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
3.当社の事業運営体制に係わるリスクについて
(1) 小規模組織であること
当社グループは小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっています。当社グループは今後の急速な事業拡大に応じて、従業員の育成、人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針ですが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2) 人材の確保及び育成について
当社グループは、現時点においては、上記の通り小規模組織ですが、今後想定される事業拡大に伴い、継続した人材の確保が必要であると考えています。特に利用者向けサービスの構築及び運用面においては高度な技術スキルを有する人材が要求されることから、サービス構築のために必要な人材を適切に確保するとともに、育成を行っていく必要があります。また、今後の事業拡大により受注の獲得機会が増加した場合、受注規模に応じた人員の確保が必要となります。当社グループは今後の事業拡大に応じて必要な人材の確保と育成に努めていく方針ですが、必要な人材の確保が計画通り進まなかった場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、この場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
4.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権(以下「ストック・オプション」といいます。)を付与しています。これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。2015年2月末現在、これらのストック・オプションによる潜在株式数は、964,500株であり、発行済株式総数の35,597,400株の2.71%に相当しています。