有価証券報告書-第56期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 12:53
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139項目

事業等のリスク

当社グループでは、企業目標の達成を脅かす不確実性があり、結果的に当社グループ及びステークホルダーが不利益を被るものを「リスク」、このリスクの顕在化によりその状態を放置した場合、業務が著しく遅延また長期にわたり中断する場合や大きく信用を失墜し、企業の存続が危ぶまれる事態に陥る可能性が高まることを「危機」と定義しております。代表取締役の諮問機関である「リスクマネジメント委員会」において、リスクの識別・評価・管理・モニタリングを行い、必要に応じて取締役会等に報告・諮問を行っております。また、危機発生時には、業務全般の運営を継続しながら、通常機能に回復させることを確保するために必要な体制を整備し、損失を最小限に食い止めるべく危機事態に対処いたします。
以下には、当社グループのリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項のうち、顕在化の可能性が高く、取り組みを強化している重要な項目を記載しております。なお、記載されたリスクは全てを網羅したわけではなく、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。
ハザードリスク
主要なリスク項目リスクの内容/対応策
感染症社会的影響の大きい感染症が発生した場合、直営店舗にてお客様と対面による販売及びサービス提供する事業の特性により、店舗の臨時休業や営業時間短縮等に伴う、来店者数の減少等により、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響が今後も続く場合には、社会や消費行動が大きく変化し、お客様のニーズのさらなる多様化やデジタルシフトが進み、私たちのような店舗における対面販売を主力とする企業にとっては、ビジネスモデルの変革をせまられるレベルでの市場環境の急速な変化が起こる可能性もあります。
[新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応状況]
お客様とスタッフの健康と安全を第一に考え、直営店舗内の感染予防対策を徹底して行っております。
新規集客活動を、従来行っておりましたダイレクトアプローチから製品の価値やサービスの魅力を伝えるコンテンツを新たな集客チャネルとし、情報発信を強化することで、新規顧客獲得を推進してまいります。
また、ECをはじめとした新たな販路獲得に向け、ECメインの化粧品や健康食品等の開発を進め、新たな顧客層の開拓にも注力してまいります。
自然災害等気候変動の影響による台風・豪雨・洪水や地震等の自然災害について、頻度や損害規模がここ数年増大しております。被害状況の大きさによっては、店舗の臨時休業等事業活動の停止、店舗への製商品供給に支障をきたすだけでなく、設備等の復旧に巨額の費用を要する等、当社グループの事業活動全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
当社グループでは、自然災害や火災・事故等の発生に備え、平時より老朽化した設備の改修や施設の定期点検、防災教育を行っております。また、緊急時に備え、具体的な行動フローにまで落とし込んだ「危機管理ガイドライン」を作成し、年1回以上の訓練を行うとともに、災害備蓄品の整備等を進めております。

営業活動におけるリスク
主要なリスク項目リスクの内容/対応策
集客活動当社は、新規のお客様を開拓するために、イベントプロモーション※やWeb広告・デジタルメディアの活用等による集客活動を通じて、サロンでのトライアルプランへ誘致を行っております。新規来店者の7割がイベントプロモーションを来店動機としており、イベントプロモーションの集客力低下は、経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
※新規顧客獲得のために、サロンにおけるトライアルプランにご予約いただけるように、イベントブース等で簡易の肌チェックを通じてシーボンをご紹介するプロモーション活動
[対応策]
集客活動の主軸であるイベントプロモーションによる集客が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響もあり厳しい状況となっていることから、美容サービス検索・予約サイトからの集客誘導をはじめとしたWebマーケティングを集客活動の新たな軸の一つとなるよう育成を試みておりますが、集客力低下に対する改善が想定どおりに進まない場合、新規来店者数が大きく減少し、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
こうした状況を打破するため、これまでのように“イベントからサロン”“Web広告からサロン”といった一方通行の集客活動ではなく、当社グループが従来から構築してきたチャネル・メディアの垣根を越えて、異業種との連携も含めた全方位型の集客への取り組みにより、お客様にシーボンと出会っていただくための環境と機会の創出を図ってまいります。
販売チャネル当社グループの販売チャネルは、直営店舗(92.1%)・通信販売(4.2%)・国内代理店(1.3%)・海外代理店(0.2%)・その他(2.2%)※で構成され、直営店舗での販売が売上の大半を占めます。デジタル化による消費者のライフスタイルや消費行動の多様化が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響により加速する可能性もあり、お客様ニーズに対応したチャネルの整備が遅延した場合には、経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
※括弧内は、2021年3月期の連結売上高に占める割合
[対応策]
既存の直営店展開を中心としたビジネスモデルに満足することなく、店舗ならではの「満足を超える感動体験」を追求するとともに、当社の製品価値・サービス価値に関する情報発信を強化してまいります。
併せて、新しい販売チャネルの拡充を図り、そのチャネルに合った製品開発を推進し、新たなお客様層の獲得を図ってまいります。
アフターサービス当社グループの主力チャネルである「シーボン.フェイシャリストサロン」では、「会員アフターサービス規約」に基づき、購入金額に応じたポイント(正式名称「ビューティアップ・ポイント」)を付与し、ポイントに応じて、肌チェックや東洋式フェイシャルケア等をアフターサービスとして提供しております。アフターサービスの提供が、お客様の定期的な来店・リピート購入等へ結びつくとともに、顧客ロイヤルティの向上につながっており、サービスの質の低下等により顧客離れが起こる事態となった場合には、経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
他社サービスとの差別化のため、美容法のエビデンスの収集やお客様に効果を実感していただくカウンセリングシステムを導入しております。製品やサービスの価値を客観的に示すことで、お客様が継続的にサロンに通っていただける動機づけを図っております。
東洋式フェイシャルケアの効果検証
外部機関との共同研究により、アフターサービスの一環として提供している「東洋式フェイシャルケア」の心身に与える効果の科学的検証を進め、日本統合医療学学会にて発表を行うなど、さらなる顧客ロイヤルティの向上に取り組んでおります。
肌カウンセリングシステムの開発
肌撮影機で撮影した肌の状態を解析・数値化して示す肌カウンセリングシステムを全店にて導入しております。さらなる画像解析の精度向上と効率化を図るAI技術を外部機関と共同で開発し、今後の実装を目指してまいります。

システム開発当社は、自社開発の基幹システムを基礎に、直営店舗・製造部門・本社部門の様々な情報を一元管理しており、システムの安定的な稼働が業務遂行上重要な事項となっております。そのため、基幹システムに障害の兆候が見られる場合には、担当スタッフに対し自動的に通知が送信されるなど、システム障害を未然に防ぐよう努めております。しかし、基幹システムの構造の肥大化・複雑化といったレガシー化が進んだ場合には、業務効率の低下による営業機会の損失や維持管理コストの増大等、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
ITシステムの強化・合理化におきましては、引き続き、基幹システム刷新に向けて取り組んでまいりますが、併せて、インフラ基盤・情報セキュリティの強化と社内における業務プロセスの見直しを推進してまいります。進捗状況について、取締役会やリスクマネジメント委員会において定期的な報告を行い、適切なプロセスと意思決定のもと、実施してまいります。
個人情報の漏洩当社では、お客様の個人情報のほか、適切なカウンセリングを行うために必要な範囲で生活状況や健康状態を確認させていただくことがあるとともに、化粧品の購入履歴や肌情報等お客様のプライベートな情報を入手する立場にあります。こうしたお客様の情報は、基幹システム内で共有化を図り、お客様が全国のサロンをご利用し、データに基づいたカウンセリング等のアフターサービスを受けられることを可能としております。外部からの不正アクセスを含む意図的な行為や過失により、個人情報が外部に流出した場合には、社会的信用の低下や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
「個人情報保護の基本方針」にてお客様の個人情報の取り扱いに関して、厳格に定めるとともに、少なくとも年に1度社員教育を実施し、個人情報漏洩の事故防止を図っております。また、個人情報を格納するサーバーには厳格なアクセス制限をかけた上で、社内ネットワークと物理的に隔離しているほか、情報システムの強化等により、情報セキュリティマネジメントの向上を図っております。
海外事業当社グループの主たる販売拠点は国内ですが、マーケットの拡大が期待される国・地域において事業展開をしており、今後一層の拡大を目指しております。
これらの海外での事業活動におきましては、経済的・政治的な政情不安、労働問題、人権問題、テロ、クーデター、内戦、戦争の勃発、感染症の流行による都市封鎖等による経済停滞や社会的混乱等のリスクが潜在しております。
[対応策]
これらの海外での事業におきましては、当社グループにおいては、当社コンプライアンス課及び海外事業担当部門が該当国・地域の現地法令に知見のある弁護士事務所と契約し、海外情報をいち早く収集し、予防法務、戦略法務について適切な助言を得られる体制を構築しております。また、中国現地法人につきましては、現地弁護士事務所と契約し、より現地から早期の情報収集を図っております。
グループ管理体制当社グループには、国内2社、海外1社のグループ会社があり、当社とのシナジー効果により、より多くの収益を上げられる見込みがあります。グループ子会社が想定した業績・成果が上げられない場合、不正や社会のルールを逸脱した経営が行われるなどの不祥事が発覚した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
当社との人的・物的連携を強固にすることで、更なるシナジー効果が期待できると見込んでおり、積極的な交流を図っていく一方、当社のガバナンスやコンプライアンスに関してはグループ子会社にも及ぶものであり、実効性のある管理体制を敷き、運用してまいります。

生産活動におけるリスク
主要なリスク項目リスクの内容/対応策
製品開発当社グループの連結売上全体の89.5%を占めるスキンケア製品市場において、エイジングケア意識の浸透により、高機能化粧品のニーズが高まっているほか、女性のライフスタイルの変化に合わせ、スキンケア製品に対するお客様のニーズも多様化しております。今後の業績拡大に向け、計画に基づいてお客様ニーズに対応した製品開発に注力してまいりますが、想定した成果が得られない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
当社グループでは、お客様に長くご愛顧いただける製品づくりを目指しており、市場動向も踏まえながら、お客様から寄せられるメールアンケートの回答を検証し、既存製品の処方改良によるレベルアップを図っております。市場競争力のある製品開発強化に向けて、フェイシャリストの知見を取り入れたお客様ニーズの還流の仕組みによる製品開発プロセスの改善とともに、外部機関との連携・共同研究を強化し、新たな技術シーズの創出、独自素材の開発に取り組んでまいります。
品質保証お客様にとって安心・安全な製商品の提供は、化粧品会社として事業を行ううえで最重要価値の一つです。そのため、万が一重大な製品事故や安全性に対する懸念が生じた場合、当社グループ全体の信用低下につながる可能性があります。また、結果的に当社グループの製商品に問題なかった場合でも、風評被害等により同様の影響を受ける可能性があります。
[対応策]
当社グループでは、製品関連法規の遵守及び自主的に設定した独自の品質評価基準を設定し、製品の設計、開発、原材料の管理、製造、出荷等それぞれの段階でこれら基準を遵守徹底しております。特にお客様に安心してご使用頂けることを最重要事項とし、処方設計段階での安全性リスクに応じた各種試験や実使用テストの実施は当然のこと、使用する原材料の肌への負担、有害な不純物などを文献や試験結果から徹底して検証し、より安全性を確保するための強化を図っております。発売後においても、お客様総合窓口やメールアンケート等を通じて製品へのお申し出やご意見、ご要望を収集し、即時に関連部署へフィードバックできる体制を構築しており、さらなる品質向上に努めております。
また、当社工場で製造された製品には、「管理バーコード」を貼付し、原材料や生産工程等の情報を読み取ることができるようになっており、この情報にお客様の購入データを加え、万が一製品の安全性に問題が生じた場合でも追跡可能な情報管理をしております。

コンプライアンスリスク
主要なリスク項目リスクの内容/対応策
販売コンプライアンス当社グループは、「特定商取引に関する法律」「消費者契約法」等様々な法規制のもと、集客・販売活動を行っております。消費者保護の観点から、将来的に法規制が強化される可能性が高く、万が一これらに抵触することとなった場合、あるいはこれら法令等の改正又は新たな法令等の制定に対し適切な対応ができない場合には、行政機関による指導又は業務停止命令の対象となり、社会的信用の低下等により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
「販売ガイドライン」等各種ルールを定め、接客時の心構えとともに繰り返し社員教育を実施し、お客様の期待を超える接客サービスの提供を目指しております。
また、日々の接客や販売活動が適切に行われているかを確認するため、お客様・スタッフ・組織という3つの視点でモニタリングを行っております。特にお客様からについては、メールによるアンケート調査によりダイレクトな意見を吸い上げ、日々の接客の改善に活用しています。
お客様視点
お客様総合窓口やメールアンケート等で寄せられるお客様の声をチェックするとともに、「QQホットライン」を設置し、クーリングオフ制度等販売・契約に関するあらゆるお申し出やご相談に対応しております。
スタッフ視点
内部通報窓口を設置し、スタッフが安心して相談・通報できる体制を整備しております。
組織視点
店舗業務に関して、内部監査課が作成したチェックリストを基に店舗所属の監査員が他店舗監査を実施し、業務が法令や社内規程等に準拠し、適正かつ合理的に行われているかを検証することで、管理業務のレベルアップを図っております。他店舗監査の結果は、内部監査課が最終確認するとともに、監査員の在籍店舗については、内部監査課が監査を行うことで牽制機能をとっております。また、リスクマネジメント委員会において、各取り組みのモニタリングを行い、必要に応じて取締役会等に提言を行っております。
2020年4月からは、お客様の満足度評価を取り入れた新たな人事評価制度の運用を開始し、法令を遵守した販売体制の強化に取り組んでおります。
広告コンプライアンス当社グループは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)、医薬品等適正広告基準、不当景品類及び不当表示防止法並びに化粧品の表示に関する公正競争規約等法規制のもと、広告活動を行っております。消費者保護の観点から、将来的に法規制が強化される可能性が高く、万が一これらに抵触することとなった場合、あるいはこれら法令等の改正又は新たな法令等の制定に対し適切な対応ができない場合には、行政機関による指導又は課徴金、刑事罰等の罰則対象となり、社会的信用の低下等により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
当グループは日本化粧品工業連合会(以下「粧工連」という。)が遵守すべき指針として定めた「化粧品等の適正広告ガイドライン」に沿った広告をおこなっております。
当社におきましては、コンプライアンス課広告法規支援担当を設置し、自社により制作される広告について広告審査を行うこととしており、厳正に対処しております。