有価証券報告書-第47期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/06/19 16:00
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事業等のリスク

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に重要な影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクには、以下のようなものがあります。ただし、下記事項は当社グループに係る全ての事業等のリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外のリスクも存在するものと考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、リスクと不確実性を内包しているため、将来生じうる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
(1) 一般的な海洋掘削市況の変動によるリスク
当社グループは、リグと呼ばれる海洋掘削装置を複数保有・運用し、国内外において顧客となる国営あるいは民間の石油開発会社と締結する掘削契約に基づき、海洋掘削サービスを提供しております。
当社グループが属する国際的海洋掘削業界には、大小の掘削会社が多数存在し、本質的に受注競争が激しく、景気の変動が大きい市況産業とされております。
一般的に、客先となる石油・ガス開発会社では、原油・天然ガス価格の上昇局面では、探鉱開発活動に対する投資意欲が高まることで、海洋での試掘井、探掘・評価井及び生産井の掘削に必要とされるリグ需要が増加する傾向が見られます。逆に原油・天然ガス価格の下降局面では、新たな探鉱開発活動は手控えられ、リグ需要は低下する傾向が表れます。
今後、世界の政治、経済などの情勢が著しく変化し、また原油・天然ガス価格が長期的に下落する傾向が生まれますと、石油・ガス開発会社の投資意欲が減退し、開発投資を縮小する可能性があるほか、建造中のリグが多数市場に参入することで、リグの供給過剰が発生して当社グループの業績もその影響を受ける可能性があります。
当社グループは、このような一般的な海洋掘削市況の変動に左右されない安定的な営業収益の確保に努めておりますが、需要減退、競争激化、リグ需給バランスの変動などの影響により、リグの不稼働期間が発生し、あるいは稼働しても作業料率が抑制されることで、作業収入、貸船料収入などが大きく減少する可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(2) 顧客との契約に関するリスク
当社グループは、顧客との間で、工事実施期間、作業料金、責任分担、保険付保、設備・機器・資材など各々の提供品目ほかを取り決め、掘削契約を締結した上で、顧客の工事計画及び指示に従って、掘削、仕上げ(注1)、改修(注2)などの各作業を実施します。
顧客との契約に関するリスクとしては、以下が挙げられます。
なお、業界の成り立ちの大前提として、坑井を掘削した結果責任、すなわち原油・天然ガスの有無あるいは出油・ガス量に関するリスクは、顧客である石油開発会社が負うものとされ、掘削会社の収入である作業料金は、このような結果の良し悪しによって左右されることはありません。
(注1) 仕上げ
掘削が完了した坑井に原油・天然ガスを生産するための機器・装置を設置し、生産が可能な坑井を完成させる作業をいいます。
(注2) 改修
坑井内の機器腐食、砂など異物詰まりなどにより生産性の低下した生産井の内部を改善あるいは補修して生産性を回復させる作業をいいます。
① 工事発注のキャンセル、早期解約ほかのリスク
当社グループは、リグを継続的に稼働させるため、複数の石油・ガス開発会社による先々の工事案件に併行して応札し、受注活動を進めております。応札後、客先によるリグ・掘削業者選定プロセスを経て、選定された掘削会社に発注が内示され、契約条項に関する交渉へと進みますが、市況の悪化などを背景とした顧客の都合により、発注内示が取り消され、あるいは契約交渉の過程で計画された掘削工事が中止されることがあります。
掘削契約に基づく工事開始後も、掘削会社が一定の事由に該当する場合には、顧客に解約する権利が与えられておりますが、その中には、掘削会社側の要員による作業遂行パフォーマンスが業界水準より劣り、その改善がなされない場合も含まれます。
また、掘削契約では、工事期間は、掘削する坑井数又は年数・月数・日数により定められますが、顧客との契約交渉の中で、早期解約条項を受け入れ、当該工事期間の途中であっても、一定の違約金を掘削会社に支払うことにより契約を早期に終了する権利を顧客に与える場合があります。このほか、市況悪化などの事情により、作業料金引き下げや工事期間短縮など契約条件の見直しを顧客から求められることもあります。
したがって、契約締結により一定期間の工事量が確保されていても、顧客による早期解約の権利行使によりリグの不稼働期間が発生し、あるいは作業料金が引き下げられることで、作業収入等が大きく減少する可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
② 日割作業料率方式によるリスク
リグの作業料金建てとしては、石油・天然ガス井掘削に特有のダウンホールリスク(注3)は、地質構造に関する情報を有する顧客が負うべきとの観点から、一般船舶の傭船料方式に近い1日当たりの定額による日割作業料率方式が最も一般的に採用されております。本方式の下で、日割作業料率としては、
(a) 作業が進行する間に適用される料率
(b) リグが移動する間に適用される料率
(c) 顧客の指示待ち・顧客提供資機材待ち・天候待機などにより作業が中断する間に適用される料率
(d) 掘削会社が提供するリグ設備・機器の故障・修復などにより作業が中断する間に適用される料率
ほかが設定されます。
したがって、契約工事期間中であっても、(a)よりも低い(b)~(d)の料率適用により、作業収入、貸船料収入などが減少する可能性があります。
また、上記(d)の場合には、故障・修復による作業中断が一定期間を経過すると、日割作業料率はゼロとなり、さらに一定期間を経過すると、顧客は契約を終了できるものとすることが一般的であり、当社グループの業績に直接的な影響を与える場合があります。
(注3) ダウンホールリスク
坑井掘削中のパイプが坑井の崩壊などにより抑留されて回収できなくなったり、高圧流体が坑内に浸入したりするなどの坑内トラブルに遭遇するリスクをいいます。
③ その他の作業料率方式によるリスク
日割作業料率以外の方式として、ターンキー方式(注4)や掘削深度に応じた出来高方式(注5)があり、当社においてもかつてこれらの方式を採用した工事実績があります。これらの方式による場合においては、日割作業料率方式の場合に顧客が負担するリスクの全部ないし一部を掘削会社が負担することとなり、一方作業収入は1坑当たりの総額あるいは掘進長1メートルなり1フィート当たりの定額で固定されるため、作業上のトラブルが発生した場合、操業コストが大幅に増加する可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(注4) ターンキー方式
1坑当たりの工事請負高を予め決めておく一括請負の契約方式をいいます。
(注5) 出来高方式
1メートル/フィート掘削当たりの定額を予め決めておく部分的一括請負の契約方式をいいます。この方式においても、掘削作業以外の付随作業期間については日割作業料率方式になる場合もあります。
④ 不可抗力に関するリスク
掘削契約には、一般的に不可抗力条項が設けられており、天災地変、異常気象・海象、戦争、暴動、テロ、ストライキなど両当事者が制御できない事態により、作業の中断を余儀なくされ、その状況が長期化する場合は、契約を終了することができるものとされております。そのような事態が発生した場合、当社グループの業績が直接的な影響を受ける可能性があります。
⑤ 競合他社との競争に関するリスク
当社グループは、海洋掘削事業を営む世界中の競合他社と競争関係にあり、海洋掘削業界の受注競争は激しさを増しています。当社グループが海洋掘削事業において競争優位性を維持できなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
⑥ 各連結会計年度単位での顧客数が少数であるリスク
当社グループが保有又は運用するリグの数は限られているため、当社の連結会計年度ごとの業績は少数の顧客との掘削契約に依存しております。従って、一顧客との契約において各リスクが顕在化した場合や債権回収遅延・不能等の事態が発生した場合、当社グループの連結業績に与える影響は、多数のリグを保有している同業他社に比べて大きくなる可能性があります。
(3) 海洋掘削工事に固有のリスク
当社グループでは、海洋における原油・天然ガスのための坑井掘削という事業の性格から、安全操業の徹底と海洋・地球環境の保全を企業理念の一つに掲げ、HSQEマネージメントシステム(注6)に基づく安全操業・環境保護体制の整備、運用に努めております。
しかしながら、石油鉱業あるいは洋上での作業という事業の特性から、操業上の事故及び災害の発生によって人的・物的損害が発生するリスクが常に存在しております。このような事故や災害が発生した場合、その損害の全てが保険によりカバーされるわけではありません。また、直接的な損害だけでなく、作業の中断による減収、関係当事者に対する損害賠償、行政処分、社会的信用の低下といった副次的な損害をもたらす可能性があります。
(注6)HSQEマネージメントシステム
当社海洋掘削事業における健康、安全、品質及び環境(Health、Safety、Quality、Environment)に関する事柄を組織的、体系的に管理するために採用されたものであり、国際的規格であるISM Code、OHSAS18001、ISO9001、ISO14001の各要求を満たしていくための統合型管理システムです。
当社グループによる海洋掘削工事に固有のリスクとしては、以下が挙げられます。
① 掘削作業上のリスク
顧客側の計画及び指示に従って掘削作業を進める上で、一般的な事故や災害のほかに、最悪の場合には、地下の高圧流体を制御しきれず、暴噴や火災が発生することにより、重大な物損事故や人身災害が発生する可能性があります。また、坑井の暴噴や火災に起因して海洋を汚染し、あるいはリグ上の資機材、廃水等が落下、流出することで海洋汚染が発生する可能性もあります。
このような事態を想定し、顧客との契約上の原則として、顧客側の人員、顧客が提供する設備・機器・資材、地層、坑井、坑井からの海洋汚染に関する損害等については、顧客が責任を負い、一方掘削会社側の人員、掘削会社が提供するリグ設備・機器・資材に関する損害等については、掘削会社が責任を負うものとし、それぞれが当該リスクをカバーする保険を付保することが業界標準とされております。
しかしながら、その損害の全てが保険によりカバーされるものではなく、また作業収入などに係わる逸失利益は、顧客からも補償されないケースが大半であるので、当社グループの業績に直接的な影響を与える場合があります。
② 自然災害リスク
リグは、洋上でアンカーによる係留、DPSによる定点保持又は脚による自立のいずれかで、その位置を保持しており、陸上基地からリグまでの人員と資機材の輸送は、ヘリコプターや専用ボートによって行われます。
また、リグが移動する場合は、自力航行、曳船に曳かれるウェットトウ、台船に搭載して運ぶドライトウのいずれかの方法を採ります。
当社グループは、所定の計画及び手順に従って各作業を進めますが、このように様々な作業が洋上で行われるため、予期しない気象・海象条件さらには海底土質条件によって、リグ上の作業中断・遅延や移動の遅延が発生する場合があります。また、台風、暴風雨、異常潮流、高波、地震、津波、不十分な海底地盤強度などにより、最悪の場合には、重大な物損事故や人身災害につながる可能性があり、当社グループの業績に直接的な影響を与える場合があります。
③ リグ設備の保全・増強工事等に関するリスク
当社グループは、リグに係わる法定検査あるいは船級協会の基準による検査を受検するため、新規顧客の求める仕様に合わせるため、リグの競争力を維持、強化するため、経年リグの延命を図るためなどの理由により、リグを造船所に回航し、本体及び搭載機器に係わる保守・整備、修繕、改造、アップグレードなどの工事を実施しております。また、リグの建造を造船所に発注し、新規に建造する場合もあります。このような造船所工事期間中は、リグが不稼働となるため、基本的には作業収入等は発生いたしません。
これらの造船所工事は、予め計画を策定し、工期、費用などを予算に織り込みますが、客先の都合などにより実施時期を変更して翌期以降に延期する場合や前倒しする場合も生じます。また、造船所の工事遂行能力による制約、発見工事(注7)の増加、機器の納期の遅れ、調達額の増加などにより、工期が延びることで作業収入等が減少したり、工事費用が増加したりする場合があり、その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(注7) 発見工事
工事箇所が開放されることにより、初めて追加の不具合が発見され、その対策工事が必要となる場合に行う工事をいいます。
(4) 海外事業に関するリスク
当社グループの活動の範囲は、日本、東南アジア、中東その他の地域に及んでおり、各々の地域における経済状況等により影響を受ける可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しております。これらのリスクについては、グループ内での情報収集、外部コンサルタント起用等を通じ、その予防・回避に努めておりますが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
① カントリーリスク
当社グループの事業は、資源開発の一端を担うという事業の特性上、事業を展開する各国において、事業・投資の許認可、法的規制等を受けておりますが、資源開発の一般的な傾向として、カントリーリスクの相対的に高い地域で実施されることがあり、これらの国々における次の要因により、当社グループの海外事業が、代金回収、資機材の調達、保険の付保等の面で悪影響を受け、さらには事業遂行の遅延、中止等に至る可能性があります。
a. 政治的又は経済的要因
b. 事業・投資許認可、租税、為替規制、輸出入規制など公的規制の影響
c. 戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、その他の要因による社会的混乱
② 合弁事業に関するリスク
当社グループは、一部の国及び地域においては、各国・地域の法律上あるいはその他の理由により、現地有力企業との合弁ないし提携により事業を展開しております。しかしながら、契約条件の見直し・変更等により、当社グループが出資先の経営、事業、資産に対して、十分なコントロールができなくなる可能性、あるいは合弁・提携先企業の事情等によって当該事業運営に影響を受ける可能性があります。このような場合、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
③ 売掛債権の回収に関するリスク
当社グループは、債権の貸倒れに備えるため、貸倒懸念債権等特定の債権に対しては個別に回収可能性を検討し、回収不能となった場合の損失に対し貸倒引当金を計上しております。
しかしながら実際の貸倒れが当該前提等を上回り、貸倒引当金が不十分となることがあり得ます。
また、政治・経済状況の悪化や規制の強化等により、設定した前提等を変更せざるを得なくなり、貸倒引当金の積み増しを実施する可能性があります。その場合、当社グループの財務状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 為替市場及び金融市場変動によるリスク
当社グループは、海外での事業展開の比重が高いことから外貨建て取引が多く、為替レートの変動が損益に影響を与える可能性があります。また、設備投資需要や事業活動に係る運転資金需要に対し、内部資金を充当するほか、外部から資金を調達しており、金利の変動によっては、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
これらの為替・金利変動によるリスクとしては、以下が挙げられます。
① 為替変動リスク
当社の連結売上高の大部分が外貨建て決済であるため、為替変動の影響を受けております。このため、外貨建て支出の比率を高めるとともに、外貨建て借入れや為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、これらにより当該リスクのすべてが回避されるわけではなく、為替相場の変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社の海外事業に対する投資については、為替の変動により、為替換算調整勘定を通じて株主資本が増減するリスク、期間損益の円貨換算額が増減するリスクが存在します。これらの為替変動リスクは、将来の当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 金利変動リスク
当社グループの事業では、新リグの建造や、既存リグの整備・改造、搭載設備等の新設・更新のために、継続的な設備投資を行っております。
当社グループは、資金需要に対してその使途や財務状況及び金融環境を考慮し、調達の通貨・金額・期間・方法等を決定しております。
今後の金利の変動に備え、固定金利及び変動金利を適宜組み合わせて調達を行っておりますが、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 資金調達リスク
当社グループは、国内外の金融機関等からの借入、私募債の発行により、事業に必要な資金を調達しております。しかしながら、当社に対する格付の大幅な引下げなどにより金融市場での信用力が低下した場合、あるいは、金融市場における金融システムの混乱が発生した場合などには、当社グループが必要な時期に希望する条件で資金調達ができなくなる可能性や資金調達コストが増大する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(6) 資機材調達に関するリスク
当社グループは、操業上必要となる多数の資機材を直接あるいは専門業者経由で調達しております。それらの資機材の中には、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の切替が困難なものがあり、これら原材料、部品等に関しまして、何らかの理由で品質上の問題が発生したり、供給不足・納入遅延や調達困難な状況等が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。また、需給環境の変化による資機材等の供給価格の高騰は、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(7) 人材確保に関するリスク
当社グループは、グローバルな事業活動を進める中で優秀な人材を継続確保するため、国内及び海外で積極的な採用活動を行っておりますが、専門性の高い優秀な人材は限られております。特に、多数の新造リグが操業を開始する時期には、リグ要員の採用及び確保の競争が激化し、高賃金条件を提示しても、充分な熟練リグ要員を確保できなくなる可能性があります。その結果、上記(2)①に記載した作業遂行パフォーマンスが低下するなどの障害が生じ、顧客によって工事契約を解約され、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
また、熟練した掘削技術・技能者ほかのリグ要員は世界的に高齢化し、引退などにより減少しつつある現況においては、各海域での探鉱開発活動が大幅に減退しない限りはリグの稼働率も上昇し要員も不足するため、熟練人材を中心に業界全体の賃金水準が上昇する可能性があります。
今後、さらに人件費の大幅な増加が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(8) 公的規制、訴訟等に関するリスク
グローバルに操業を展開する海洋掘削コントラクターは、海外における事業・投資許認可、租税、為替規制などの公的規制のほかにも、リグ設備の安全性や船舶としての安全運航を確保するために設けられた国際機関及び各国政府の法令、船級協会の規則等様々な公的規制を受けております。これらの規制が改定、変更された場合、規制を遵守するために当社グループの事業が制約を受け、また大幅な追加費用が発生する可能性があります。
当社グループは健全かつ透明なビジネス活動を行うべく、継続的なコンプライアンスの実践に努めていますが、法令違反等の有無に関わらず、万が一当社及び当社グループ各社に対して訴訟や法的手続きが行われた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
(9) 水平孔掘削事業に関するリスク
当社グループでは、海洋掘削事業以外に、その専門的知見・経験を活用、応用し、水平孔掘削事業を実施しております。
陸上で掘削を実施する本事業につきましては、陸上建設・土木分野において、当社が元請又は下請となり、直径10-100cm程度、到達距離1,000-2,000mの水平方向に延びる孔を、泥水を循環させて掘削し、その中に目的物となるパイプ、ケーブル等を敷設する工事を施工するものであり、リードドリル工法(弧状推進工法)と称します。
本邦において、中~大型掘削機によるリードドリル工法は施工技術面で優位に立っておりますが、以下の複合的要因により損失が発生するリスクがあり、当社の業績に直接的な影響を与える場合があります。
① 工事受注に当たっては、目的物の完成が絶対条件となる「請負契約」によることが土木業界の慣行となっており、工事収入は原則として定額とされること。
② 掘削作業を進める過程で予期せぬ破砕帯、軟岩及び硬岩等の地質状況の変化によりトラブルが発生し、工期が延長されること等によって工事費用が増加する可能性があること。
(10) 退職給付債務に関するリスク
当社は、社員を対象とする退職金制度として、退職一時金制度及び規約型確定給付企業年金制度を設けております。退職給付債務の算定方法としては簡便法を採用しており、当連結会計年度末における退職給付債務(退職一時金制度に基づく期末自己都合要支給額に昇給率係数及び割引率係数を乗じたもの)から確定給付企業年金制度による年金資産の期末における時価評価額を控除した金額を退職給付に係る負債として計上しております。退職給付債務算定の前提条件には、割引率及び昇給率が含まれ、当社は毎年これらの前提条件を見直し、必要に応じて改定しております。
このため、これらの実績が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、あるいは年金資産の運用環境が変動した場合などにおいては、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(11) 情報システム及び情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、高い情報セキュリティレベルを確保することを会社の重要事項と認識し、すべての役員及び従業員に対し、情報の取扱に関する行動規範を定めております。
当社グループは、情報共有や業務の効率化のため情報システムを構築しており、情報システム運営上の安全性確保の徹底に取り組んでおります。しかしながら、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピューターウィルス侵入等による企業機密情報、個人情報の漏洩、さらには自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブル等により情報システムが不稼働となる可能性を完全に排除することはできません。
このような場合、業務効率の低下を招くほか、被害の規模によっては当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(12) 個人情報その他情報流出に関するリスク
当社グループは、顧客、取引先、従業員などの個人情報やその他秘密情報を有しています。これら情報の保護には細心の注意を払っており、全社管理体制のもと、従業員教育及び内部監査の実施などの施策を推進しておりますが、万一、情報の流出が発生した場合、当社グループの信用低下や多額の費用発生(流出防止対策、損害賠償など)により当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。