有価証券報告書-第29期(平成27年10月1日-平成28年9月30日)

【提出】
2016/12/22 15:01
【資料】
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【項目】
81項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、たな卸資産の評価、有価証券の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、貸倒引当金及び退職給付引当金の計上等の重要な会計方針並びに税効果会計等に関して見積り及び判断を行っております。過去の実績及び当該取引の状況に照らして、合理的と考える見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、文中の将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(2) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動、投資活動、財務活動による各キャッシュ・フローの合計で1億18百万円減少し、14億6百万円となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動に使用した資金は、37億80百万円(前事業年度は資金の増加18億52百万円)となりました。これは主に、増加要因としてたな卸資産の減少額83億43百万円、売上債権の減少額69億18百万円、減少要因として税引前当期純損失5億59百万円、仕入債務の減少額184億12百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果得られた資金は、53百万円(前事業年度は資金の減少13百万円)となりました。これは主に、出資金の回収による収入55百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果得られた資金は、38億19百万円(前事業年度は資金の減少25億12百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増加40億33百万円、長期借入金の返済による支出1億20百万円、配当金の支払額86百万円等によるものであります。
②財政状態
(流動資産)
流動資産は、169億38百万円(前事業年度末比160億76百万円減)となりました。これは、商品が83億43百万円、売掛金が69億18百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
固定資産は、28億11百万円(前事業年度末比1億70百万円減)となりました。これは、有形固定資産合計が80百万円、投資その他の資産が89百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
(流動負債)
流動負債は、118億11百万円(前事業年度末比154億16百万円減)となりました。これは、短期借入金が33億52百万円増加したものの、買掛金が184億12百万円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
固定負債は、14億87百万円(前事業年度末比3億32百万円減)となりました。これは、長期借入金が1億20百万円、繰延税金負債が1億88百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
(純資産)
純資産合計は、64億50百万円(前事業年度末比4億97百万円減)となりました。これは、利益剰余金が4億89百万円減少したこと等によるものであります。
(3) 経営成績の分析
①売上高
「1 業績等の概要 (1)業績」をご参照下さい。
②売上総利益
売上高の減少により、売上総利益は、4億38百万円(前期比82.3%減)となりました。
③営業損益
販売費及び一般管理費は、売上高減少に伴う経費減少により前事業年度に比べ2億17百万円減少し、営業損失は9億91百万円(前期は営業利益8億34百万円)となりました。
④経常損益
営業外損益につきましては、営業外収益は5億83百万円(前期比9.7%減)、また営業外費用は1億41百万円(前期比3.0%増)となりました。その結果、経常損失は5億49百万円(前期は経常利益13億43百万円)となりました。
⑤当期純損益
当事業年度の税引前当期純損失は5億59百万円(前期は税引前当期純利益13億32百万円)、当期純損失は、法人税、住民税及び事業税を8百万円、法人税等調整額を1億64百万円計上したため、4億3百万円(前期は当期純利益8億74百万円)となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社を取り巻く事業環境は非常に競争が激しく、数量の上で受注増となっても、単価の下落により売上高としては下落する、という傾向が頻繁に見られます。
また、当社が参入している電子部品という事業分野においては、新技術の開発競争も激化の一途を辿っており、汎用品であってもそのライフサイクルは短く、常に陳腐化する要素を含んでおります。
さらに当社においては売上高に占める海外取引の割合が高いことから、売上高の回収・仕入決済は主にドル建で行っており、円高ドル安の局面においては仕入価格の上昇を販売価格へ転嫁できず、売上総利益率を低下させる要因となる恐れがあります。
一方、他社に先行して新規及び既存取引先の新商品を取り扱うことができれば、売上高・利益の面で優位な展開を図ることが可能となります。
以上の状況から、当社においては市場動向・技術動向の迅速かつ的確な把握に努めるとともに、適切な販売管理・購買管理による商品在庫のコントロールを行うことが経営上の重要な要素となっていると考えております。
(5) 戦略的現状と見通し
当社の事業は、日本国内の電子部品メーカーから電子部品・半導体を仕入れ、それを海外の電子機器メーカーに販売することが主体となっております。当社の販売先には光学式ディスクドライブ、パネル、携帯電話、生活家電等の分野で高いシェアを保有するLGグループが含まれていることから、既存の顧客との取引においては既に一定のシェアを獲得している携帯電話・LCDパネル等の分野を中心に安定的な需要の確保に努めております。
また、半導体分野においては、海外電子機器メーカーから当社に寄せられた製品への要望・依頼等を可能な限り反映させるべく、国内電子部品メーカーと協力して販売製品の選定や、海外電子機器メーカーへのカスタム品の共同提案といったビジネスを推進しております。このような顧客のニーズを的確に捉えた活動を実践し、新規モデル・新規商品への参入についても積極的な働きかけを行うことを通してカスタム製品・ディスクリート製品の別を問わず、幅広い拡販活動を推進してまいります。
さらに市場動向・技術動向の迅速かつ的確な把握を通して、高付加価値製品の創出及び新たな取引先や新規ビジネスの獲得も図ることで、事業戦略のより一層の強化を図ってまいります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の事業環境に配慮し、入手し得る情報を可能な限り考慮した上で、最善の経営方針を立案し実行するよう努めております。わが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、緩やかな回復に向かうことが期待される一方、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気の下振れの影響など、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社が参入しております電子部品業界は、スマートフォンやタブレットPC市場は成熟し需要の拡大ペースの鈍化が予想されます。また自動車や産業用機器部品が堅調である一方でPC市場は縮小トレンドが続くなど、まだら模様の状況が続くものと予想されます。
このような中、当社におきましては、これまで重点課題として取り組んできた既存顧客へ戦略的商品を提案することによるマーケットシェアの維持・拡大に引き続き注力し、新規顧客の獲得や取扱商品の多様化について一層積極的に取り組み、企業業績の向上に努めてまいります。また、今後とも収益性の高い新たな成長分野の開拓に注力してまいります。
経営管理では、販売先の生産計画を早期に把握し、商品仕入において適時的確な判断を実践することにより棚卸在庫の圧縮に努めるなどして、為替変動のマイナス影響を最小限に抑えるとともに、さらなる企業収益の向上を図ってまいります。
また、基幹システムの運用力強化と精度の向上、コーポレート・ガバナンスの強化、リスク管理体制の強化を推進し、内部統制システムをより一層充実させるとともに、社員一人ひとりに企業行動規範を徹底させ、「法令の遵守」「人権の尊重」「地球環境の保全」を常に意識し、高い倫理観のもと、「良き企業市民」として行動させることを通して、企業の社会的責任を果たしていく所存であります。
上記の方針に基づく企業努力を重ね、事業の成長性を確保しつつ経営管理能力を高めて行くことで、ステークホルダーからのより一層の信頼が確保できるものと確信しております。