有価証券報告書-第18期(平成30年10月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/12/23 15:59
【資料】
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【項目】
148項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)リースアレンジメント事業のリスクについて
オペレーティング・リース事業案件について
当社グループの売上高の大半は、リースアレンジメント事業におけるオペレーティング・リース事業案件の組成及び管理並びに投資家への匿名組合出資持分・信託受益権の販売を行うことによって計上する手数料等の収益であります。
当社が提供するオペレーティング・リース事業案件は、主に匿名組合方式又は金銭の信託方式であり、匿名組合方式においては匿名組合の営業者となる当社子会社(SPC)が、また金銭の信託方式の場合は信託の受託者である株式会社FPG信託が、それぞれリース物件を取得し、オペレーティング・リース事業を行います。当該オペレーティング・リース事業の事業収支・損益は、投資家に匿名組合出資持分又は信託受益権を譲渡することで投資家に帰属することになります。投資家に帰属する当該事業収支・損益が、当初想定したものよりも悪化し、損失が発生する場合、投資家の投資意欲が減退し、今後の出資金販売額が減少する等して、当社の手数料等の収益が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
オペレーティング・リース事業の事業収支・損益が、当初想定したものよりも悪化する主な要因として、①為替リスク、②リース物件賃借人のリース料支払の不履行リスク、③将来のリース物件売却価額の変動リスクがあげられます。①について、将来のリース物件の売却や投資家への出資金等の償還が外貨で行われる場合で、リース組成時点よりも為替レートが円高傾向にある場合、円換算後のオペレーティング・リース事業の事業収支・損益が悪化し、投資家が損失を被る可能性があります。②について、賃借人が法的倒産手続の開始を含む何らかの理由で当社子会社(SPC)又は受託者に対して契約条件どおりにリース料を支払わない場合、オペレーティング・リース事業の事業収支・損益が悪化して、投資家が損失を被る可能性があります。③について、リース期間終了時に賃借人がリース物件を購入しない場合には、当社子会社(SPC)又は受託者は市場を通じて第三者にリース物件を売却又は再リースを行うことになりますが、当初想定したリース物件の売却価額より低い価額で売却する場合又は再リースの条件によっては、オペレーティング・リース事業の事業収支・損益が悪化し、投資家が損失を被る可能性があります。
当社グループは、オペレーティング・リース事業のリスクを投資家に十分に説明するとともに、賃借人のリース料支払の不履行リスクを減少させるため、賃借人には、信用力の高い世界的に大手の海運会社、航空会社及び航空機リース会社を選定し、またリース物件価格の変動リスク等に対処するため、当社グループのリース物件のリマーケティング能力を向上させるとともに、案件によっては、リース物件の売却価額について、残価保証会社による残価保証を利用することにより一定額以上でのリース物件の換価を確保するなどの対策を行っております。もっとも、これらの対処にもかかわらず、オペレーティング・リース事業の事業収支・損益が悪化し、投資家に損失が発生する可能性はあり、この場合、投資家の投資意欲が減退し、今後の出資金販売額が減少する等して、当社の手数料等の収益が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社が一時的に取得する匿名組合出資持分又は信託受益権について
当社は、オペレーティング・リース事業の組成時に、投資家に譲渡することを前提に匿名組合出資持分を一時的に取得する場合があり、当該匿名組合出資持分を(連結)貸借対照表に「商品出資金」として計上いたします。また、金銭の信託方式の場合、信託受益権の未販売相当額を、(連結)貸借対照表に「金銭の信託(組成用航空機)」として計上いたします。
当該匿名組合出資持分又は信託受益権を投資家へ譲渡するまでに、リース物件の価値の下落、賃借人の信用の悪化、為替相場が円高になる等の事由により当該匿名組合出資持分又は信託受益権の価値が低下し、実質的に損失が発生する場合には、当社は当該匿名組合出資持分又は信託受益権の価額を切り下げたうえ、損失を計上する可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社は匿名組合出資持分を投資家に円建で譲渡する場合、譲渡価格をオペレーティング・リース事業案件の組成時点の為替レートの水準を基礎として決定しております。このため、当該匿名組合出資案件の組成後に急激に為替相場が円高傾向になった場合には、譲渡価格が、譲渡時点における為替レートの水準で算定される匿名組合出資持分の価格に比して割高になり、投資家の投資意欲が減退し、当該匿名組合出資持分を購入する投資家が減少するなどの事由により、当初の販売計画に遅れが生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また匿名組合出資持分又は信託受益権を外貨建で投資家に譲渡する場合は、当社が為替リスクを負います。
譲渡する投資家を最終的に見つけることができなかった場合には、当社が投資家として、オペレーティング・リース事業案件に関与することになるため、リース物件の価額の下落等の事情が生じる場合等において、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
案件組成用資産について
当社グループは、オペレーティング・リース事業の案件組成を行うため、組成用の航空機を取得する場合があり、この場合(連結)貸借対照表上に計上いたします。これらの資産は、取得後、短期間のうちに投資家等へ譲渡することを想定しておりますが、経済環境の急激な変化が生じた場合や、当初想定どおりに譲渡できない場合等、資産の価値が変動し、場合によっては、評価損を計上すること等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
特定業種への依存について
リースアレンジメント事業におけるオペレーティング・リース事業案件のリース物件は、航空機、海上輸送用コンテナ及び船舶であり、航空業界及び海運業界の設備投資動向にオペレーティング・リース事業案件の組成動向が影響を受ける可能性があり、結果として当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また海運業界や航空業界の業績次第では、投資家の賃借人に対する信頼度の低下や、リース期間終了時の物件売却価額の低下が生じる可能性があるため、投資家の投資意欲が減退し、出資金販売額が減少する等して、当社の収益が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)リースアレンジメント事業以外の事業のリスクについて
当社グループでは、不動産事業において、不動産小口化商品を投資家に提供するため、不動産を取得し、「組成用不動産」として(連結)貸借対照表上に計上いたします。当該不動産は、取得後短期間のうちに投資家へ譲渡することを想定しておりますが、経済環境の急激な変化が生じた場合や、当初想定どおりに譲渡できない場合等、資産の価値が変動し、場合によっては、評価損を計上すること等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループでは、証券事業において、通貨オプション等といった店頭デリバティブ取引を利用した通貨関連店頭デリバティブ商品を提供しております。本商品で、利用する店頭デリバティブ取引には、市場リスク、取引相手先の信用リスクなど、各種リスクが存在します。
当社グループでは、市場リスクにつきましては、顧客とデリバティブ取引契約を締結するとともに、同様のデリバティブ取引契約を、カバー取引先と締結することで、そのリスクの負担を回避しております。また、取引相手先の信用リスクにつきましては、与信管理に努めるとともに、必要に応じて、担保金を収受することなどで、そのリスクの負担の回避に努めております。かかる対処にもかかわらず、不測の事態が発生した場合など、当社グループが、デリバティブのリスクを負担することになった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)法的規制について
事業遂行に関連する法令
当社の取り扱う匿名組合出資持分及び信託受益権は、金融商品取引法第2条第2項の有価証券に該当し、私募の取扱いや売買により投資家に譲渡するためには、金融商品取引法及び金融商品販売法その他法的規制を遵守するとともに、金融商品取引法第29条に基づく第二種金融商品取引業の登録が必要となります。金融商品取引法では、第52条にて、登録の取消、業務の停止等となる要件を定めており、これに該当した場合、当社に対して登録の取消、業務の停止が命じられることがあります。
また当社及び当社子会社は、保険仲立人事業、不動産事業、証券事業、信託事業、保険代理店事業等を遂行しておりますが、これらの事業を遂行するために、保険業法に基づく保険仲立人及び保険代理店の登録、宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業者の免許取得、不動産特定共同事業法に基づく許可取得、金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業の登録、信託業法に基づく信託業の免許取得を行っており、保険業法、宅地建物取引業法、不動産特定共同事業法、金融商品取引法、信託業法その他関連する法令等を遵守する必要があります。
当社グループは、事業を遂行するにあたり各法令等の遵守を徹底しており、本書提出日現在において、かかる登録・許可・免許の取消事由に該当する事実はないと認識しておりますが、今後、何らかの事由により当社グループが業務停止命令や登録・許可・免許の取消等の行政処分等を受けた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
なお、連結子会社である株式会社FPG証券は、第一種金融商品取引業者として、金融商品取引法に基づき、同法に定める自己資本規制比率を120%以上に維持する必要があります。本書提出日現在において、自己資本規制比率を120%以上に維持していると認識しておりますが、今後、何らかの事由により、維持できない場合には、業務停止命令や登録の取消等の行政処分等を受けること等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
税務その他関連する法令
リースアレンジメント事業におけるオペレーティング・リース事業案件を含む当社グループが提供する商品・サービスは、現行の税務、会計その他当該商品・サービスに関連する法令等に基づきその設計を行っております。当社は、必要に応じて、個別に税理士、弁護士等から意見書を取得することなどにより、関連する法令等の内容及びその法解釈について必要な検証を行っております。しかしながら、将来、当該法令等が改正され又は新たに制定されることにより課税の取扱いに変更が生じる場合等、当社グループが提供する商品・サービスに対する投資家の投資・購入意欲が減退して、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
過去においては、2005年度税制改正における「租税特別措置法第67条の12(組合事業に係わる損失がある場合の課税の特例)」により、匿名組合の営業者から投資家へ分配される損失及び利益のうち、投資家が損金として計上できる額は出資額を上限とするなど、税当局による規制強化が図られております。
(4)個人情報・機密情報の取扱いについて
当社グループは、各事業の遂行にあたり、顧客・紹介者の個人情報・機密情報を取得・保有しております。
当社グループは、外部からの不正アクセス及びウイルス感染の防御、内部管理体制の強化等の対策を行っておりますが、万一、当社グループが扱う個人情報・機密情報が外部に漏洩した場合は、行政処分、損害賠償、当社グループの信用力の低下等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5)金融資本市場及び経済状況の混乱による影響について
過去、リーマンショックが発生した際には、世界的な金融システムの混乱が生じ、金融業界の事業環境に深刻な信用収縮、金融システムへの信頼性の低下、またそれを原因とした世界経済の悪化等、様々な影響が生じました。今後、世界経済の悪化や金融システムが不安定となる状況が発生した場合、オペレーティング・リース事業案件の組成・出資金販売が困難になる可能性がある等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)資金調達に関するリスク
当社グループは、リースアレンジメント事業及び不動産事業における案件組成資金その他運転資金の一部を金融機関からの借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーによって調達しております。
また主に案件組成資金を機動的に調達するため、金融機関と、コミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。これら契約の大半は、その契約期間が概ね1年です。
世界経済の悪化等何らかの理由により、個別の借入れができなくなる場合、またコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結できなくなる場合、適時に資金調達ができなくなる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
またコミットメントライン契約及び当座貸越契約には、財務制限条項が付されているものがあり当社グループの業績が悪化した場合には、財務制限条項に抵触し、借入について期限の利益を喪失する可能性があります。期限の利益を喪失し、一括返済が求められた場合、当社グループの事業運営に重大な影響を生じる可能性があります。
なお、当連結会計年度末における資金調達枠の総額及び財務制限条項の内容については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」をご参照下さい。
(7)連結の範囲決定に関する事項
特別目的会社(SPC)の連結会計上の取扱について
当社は、リースアレンジメント事業におけるオペレーティング・リース事業の匿名組合営業者として利用する子会社について、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第5条第1項第2号に基づき、連結の範囲に含めることで利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがある子会社と判断し、連結の範囲から除いております。
また、不動産事業のうち不動産特定共同事業で利用する任意組合は、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)第7-2項に基づき、連結の範囲から除いております。
当社は、上記会計基準に照らし、匿名組合営業者として利用する子会社及び任意組合の運営についての当社グループの関与状況を検討したうえで、連結の範囲から除外しておりますが、今後、新たな基準の設定や、実務指針等の公表により、特別目的会社(SPC)に関する連結範囲の決定について、当社が採用している方針と大きく異なる会計方針が確立された場合や、当社グループの関与状況に変更が生じた場合には、当社グループの連結範囲決定方針においても大きな変更が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)重要な訴訟事件等に関わるリスク
当社グループは、オペレーティング・リースを利用したリースアレンジメント事業及びその他事業を展開していますが、これらに関連して、投資家・紹介先を含めた取引先等より法的手続等を受ける可能性があります。当社グループが今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の発生や結果を予測することは困難ではありますが、当社グループに不利な結果が生じた場合は、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(9)代表取締役社長への依存及び当社の事業推進体制について
当社の代表取締役社長である谷村尚永は、当社の創業者であるとともに、設立時より最高経営責任者であり、また、本書提出日現在、当社の発行済株式総数の2.47%(HTホールディングス株式会社(同氏が代表取締役を務める資産管理会社)の保有割合27.28%と合計した保有割合は29.75%)を保有する大株主であります。同氏は、オペレーティング・リース事業案件の組成・販売に関する豊富な経験と知識や、取引先、投資家等各分野にわたる人脈を有しており、また、経営方針や事業戦略等の立案及び決定を始め、当社グループの事業推進の中心的役割を担っていることから、当社グループにおける同氏への依存度は高いものとなっております。
このため当社グループでは、取締役会や社内会議において、役職員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかし、現時点においては、何らかの理由により同氏が当社グループの経営者として業務執行が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。