有価証券報告書-第8期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 15:59
【資料】
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【項目】
127項目

対処すべき課題

当社グループは、液晶ディスプレイ・パネル用にガラス基板を供給しておりますが、液晶ディスプレイ・パネルのユーザーである液晶テレビやPCの液晶モニターの普及率は日本、欧米では既に飽和し、新興国においても成長が鈍化しており、成熟市場へと移行しております。
それに伴い、液晶ディスプレイ・パネル用ガラス基板の需給バランスが緩和し、業界内での競争が促進され、価格低減、品質改善、納期厳守などへの取り組みの強化を求められているなかで、当社グループが対処すべき課題は以下のとおりと考えております。
①安定的生産の確保
当社グループの工場におけるガラス溶解炉は定期的な修繕が必要で、溶解炉毎に修繕が必要となる頻度は異なりますが、概ね3年に一度の頻度で修繕を予定しております。当社グループは、この修繕頻度の低減、修繕工事期間の短縮及び稼動期間中の突発トラブル撲滅により、不稼動期間を極小化し生産を安定化する事が重要と考えております。
生産の安定化により、製造コスト及び品質も安定化させる事が可能で、これは顧客への納期を守る上での前提でもあることから、今後も重点的に取り組んでまいります。
②顧客に対する適切なアプローチ
当社グループは、従来より、生産能力の制約から、売上について特定顧客への集中度が高く推移しておりますが、生産性の改善や薄板化による生産能力の拡大とともに、顧客層の拡大についても取り組んでまいります。
顧客層の拡大については、市場全体における当社グループの地位の向上とともに、当社グループの事業の変動リスクを小さくするためにも重要であると考えております。
③生産効率の向上による生産能力の拡大とコスト・ダウン
液晶ディスプレイ・パネル用ガラス基板への価格下落圧力が強まる環境下で収益を確保する為には、生産効率の向上によるコスト・ダウンを推進することが極めて重要であると考えております。当社グループは、この目的を達成するため、既存の溶解炉を更に大型化すること等によって、1基の溶解炉から生産する液晶ディスプレイ・パネル用ガラス基板のボリュームを拡大する事に取り組んでおります。
また今後は、液晶ディスプレイ・パネル・メーカーの要請に応えるべく、液晶ディスプレイ・パネル用ガラス基板の薄板化への取り組みについても進めてまいります。
薄板化することにより、同能力の溶解炉からのガラス基板生産面積を増加させる事が可能であります。
④品質面での優位性の確保と高精細液晶ディスプレイ・パネルに適したガラス基板の提供
パネル・サイズの大型化とともに、画像品質の高精細化が進展する液晶ディスプレイ・パネル業界の顧客に最適なソリューションを提供していくためには、液晶ディスプレイ・パネル用ガラス基板の品質において高い競争力を保持していくことが必須です。このため当社グループでは、限られた経営資源を研究開発に対して積極的に投じ、高品質の安定的な実現、薄板化などの技術の開発強化に取り組んでまいります。
特に、液晶ディスプレイ・パネルの中でも、高精細なスマートフォンに採用されている低温ポリシリコン(LTPS)など、より高精細な液晶ディスプレイ・パネルの開発に対する要請が強くなっておりますが、それを実現させるためには、高品質・低熱収縮率の液晶ディスプレイ・パネル用ガラス基板が要求されます。
これを実現する為に開発された当社の高品質・低熱収縮率なガラス組成(「LC33」)の量産化に取り組みつつ、表面品質の一層の改善に努めてまいります。
⑤マネジメント体制、企業文化等の刷新
当社グループは、MBOにより、資本的には従来に比べより自立的な経営を行うことのできる体制となりましたが、今後この経営の自由度を有効に活用していくためには、マネジメント体制の強化が必要であると考えております。特に、市場の状況を的確に判断し、細心のリスク分析を行いながらの事業運営を実行できるマネジメント体制の構築が重要な課題であると認識しております。また、その課題を実現するためには、同時に自立的な行動基準に基づく企業文化を醸成していくことも必要不可欠であると考えております。
このような観点から、今後も、それぞれの部門が自立的で責任ある運営を行うと同時に、グループの全体最適を追求していくことのできる仕組みづくり、モニタリング機能の充実に取り組んでまいります。
また、人事制度面では、処遇制度、評価制度の見直しを継続的に検討し、当社グループの成果と役職員のリターンの連動性を高める報酬制度を構築していくことにより、モチベーションの高揚を図り、チャレンジ精神を強化し、ひいては当社グループの競争力を強化することに取り組んでまいります。
⑥財務体質の改善
当社グループは、現状として多額の債務を有する状況になっており、それに対し普通社債の発行による一部返済や、より制約の少ないローンへの借り換え等を行ってまいりましたが、引き続き財務体質の改善が重要な課題であり、債務返済へ向けて営業キャッシュ・フローの拡大、投資キャッシュ・フローの効率化に取り組んでまいります。市場の動向に合わせて、適切な設備投資を行なうことは当社グループの存続にとって極めて重要な課題ではありますが、これらの実行を行うに当たっては、常に財務体質の改善という課題についても同時に考慮に入れ、適宜・適切なディシジョンを行っていくとともに、キャッシュ・フローの拡大に取り組んでまいります。