有価証券報告書-第9期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/26 15:48
【資料】
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【項目】
117項目

事業等のリスク

当社グループの事業その他に関して、投資者の投資判断上重要であると考えられるリスクは、以下のとおりです。なお、本項においては、将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 事業に係るリスク
①ブランド価値の毀損
当社グループは、「POLA」「ORBIS」などのマルチブランド展開を図っており、各ブランドは、誠実な企業経営とお客さまの信頼に応えた製品・サービスの提供により、ブランドイメージの形成とその維持向上に十分努めております。しかしながら、当社グループの製品・サービスに関する否定的な評判や評価が世間に流布することによって信用が低下し、ブランドイメージが毀損された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②グループ内の競合
当社グループは、マルチブランド・マルチチャネル戦略を掲げ、既存の各ブランド及び新規ブランドをターゲット(購買層)別・価格帯別・販売チャネル別にカテゴライズして展開しており、競合は発生していないと認識しております。しかし、グループ戦略として既存ブランドの価値最大化及びマルチブランド化への展開を加速させていく過程において、当社グループ内での競合が発生する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③販売パートナー(営業所長、ポーラレディ)の確保
当社グループの化粧品事業の主軸となる株式会社ポーラでは、委託販売契約に基づく訪問販売による化粧品事業を展開しております。委託販売契約先となる販売パートナーの人材確保は、事業拡大に向けた重要な事業活動の一つであり、恒常的に取組んでおります。しかし、特定商取引に関する法律の規制強化や労働環境の変化があった場合、人材確保のための施策が困難となったり、ポーラレディ希望者の減少等から、十分な人材の手当が行えない可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④戦略的投資活動
当社グループは、中国を中心とした海外展開、M&A及び新規事業に対し戦略的投資を行っております。戦略的投資活動の意思決定に際しては、必要な情報収集及び検討を実施しておりますが、予期し得ない環境変化等により、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、事業用資産やM&Aに伴い計上されるのれん等の資産については、今後の業績動向や、時価の下落等によって期待されるキャッシュ・フローを生み出さない状況により、減損損失を計上する可能性があります。
⑤化粧品市場環境
国内化粧品市場は成熟期を迎えており、M&Aによる企業グループの再編、異業種からの新規参入、流通業及び小売業の提携・統合に伴う影響力の増大など、競争環境は厳しさを増しております。従って、当社グループが予期せぬ競争環境の変化に的確に対処できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥研究開発
研究開発は当社グループの競争力の源泉のひとつであり、継続的に研究開発投資を行っています。年度研究開発計画に基づき、効果的・効率的な研究開発活動を行っておりますが、新製品の開発が長期にわたる場合、成果が翌期以降に及ぶことがあります。また、予定どおりの成果が得られない場合、期間の延長や投資額の増加を強いられる場合や、結果として製品化できない場合もあります。さらに、製品化できた場合でも、様々な要因による不確実性が伴うため、必ずしもお客さまに受け容れられるとは限りません。
このように当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦製造及び品質保証
製品生産に不可欠な原材料等は、購買を担当する部署の統括管理のもと、調達先を分散するとともに、調達先と良好な関係を保ち、常に適正な価格で必要量を調達できるよう努めております。しかしながら、外的要因により不測の事態が発生した場合は、必要な原材料の調達に支障が出る可能性があります。
また、当社グループの化粧品はポーラ化成工業株式会社の袋井工場(静岡県袋井市)、Jurlique International Pty. Ltd.のマウントバーカー工場(オーストラリアサウスオーストラリア州)及びH2O PLUS,LLCのシカゴ工場(アメリカイリノイ州)の3ヶ所で、医薬品は株式会社科薬の埼玉工場(埼玉県ふじみ野市)及び所沢工場(埼玉県所沢市)の2ヶ所で製造しており、品質管理状況の確認及び品質の維持に努めておりますが、万一製品の品質について何らかの問題が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧海外での事業活動
当社グループの主たる販売拠点は国内での展開となっておりますが、緩やかにはなりつつあるもののマーケットの拡大が期待される中国をはじめとしたアジア及びBRICs地域に拡大しており、今後一層展開を拡大していく方針であります。
これらの海外での事業活動におきましては、予期し得ない経済的・政治的な政情不安、労働問題、テロ・戦争の勃発、感染症の流行による社会的混乱等のリスクが潜在するため、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨為替
当社グループでは、海外事業活動の展開により、輸出入取引等の増加に伴う外貨建て決済や、海外子会社への貸付金について、金額的重要性を考慮したうえで為替レートの変動リスクを負っております。また、在外連結子会社の現地通貨建ての報告数値についても、連結財務諸表作成時に円換算することから、為替レートの変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑩知的財産権保護の限界
当社グループでは、知的財産権を確保する措置を講じておりますが、第三者による予測を超えた手段等により知的財産が侵害され、結果として技術の不正流用や模倣品の開発により、当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性や、当社グループにおける認識の範囲外で、第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。
⑪情報セキュリティ
当社グループでは、個人情報や研究開発情報等の機密情報の取扱いについては、情報セキュリティシステムの整備、CSR推進担当部署や各種委員会による社内規程の制定・教育に加え、内部監査の実施等により管理の徹底を図っております。しかしながら、何らかの原因によりこれらの情報が流出した場合には、当社グループに対する損害賠償請求の提起、信用失墜等が生じることにより、事業に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑫重要な訴訟
当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬災害等
当社グループの主たる生産拠点は、化粧品については、ポーラ化成工業株式会社の袋井工場であります。そのため、東海地方における大規模な震災等が生じた場合、長期にわたって製品供給が不可能になる可能性があります。
同様に医薬品についても、株式会社科薬の埼玉工場及び所沢工場で生産しており、両工場は近接しているため、関東地方に大規模な震災が発生した場合、長期にわたって製品供給が不可能になる可能性があります。
さらに、両地区以外においても想定外の大規模震災や災害、事故等が発生した場合においては、原料・部品の調達、商品供給及び販売の中断等により当社グループの経営状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭感染症の流行
社会的影響の大きな感染症の拡大が発生した場合、日々の活動でお客さまや取引先と直接対面する事業の特性を踏まえ、接客活動及び営業活動を自粛、又は販売店の営業停止等により、国内外において当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑮医薬品事業に関するリスクについて
医薬品事業に関しては、新薬を上市するまでには、多額の研究開発投資が必要となりますが、新薬に対する研究開発投資について他社との共同開発等、投資そのものの効率化を図っております。今後も営業黒字の維持拡大を目指しますが、急激な事業環境の変化や新薬開発の遅延、共同開発における相手先企業の経営方針の変更といった様々な予測困難なリスクが発生する可能性があり、その結果として営業赤字に陥り、それが拡大あるいは長期化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 業界に係るリスク
①法的規制等
ビューティケア事業・その他(医薬品事業) : 薬事法、食品衛生法、栄養改善法及び
保健機能食品制度等
訪問販売・通信販売 : 特定商取引に関する法律等
全般 : 製造物責任法、特許法、消費者基本法、不当景品類及び不当表示防止法等
イ 薬事法
当社グループの主たる事業領域において、化粧品、医薬部外品及び医薬品を国内にて製造販売するためには、薬事法に基づく製造販売業・製造業の許可を必要とし、当社グループの該当事業会社各社ではその許可を取得しており、法令の定めに基づき5年毎の更新その他必要な手続きを行っております。当社グループでは、薬事法及び上記の関連法規制の遵守を徹底しておりますが、薬事法第75条(許可の取消し等)等に抵触し、業務の全部若しくは一部の停止を命ぜられ、又は化粧品事業・医薬品事業の製造・販売に関する厚生労働省からの許可を取り消された場合、あるいは、これらの法規制が変更された場合、また予測していない法規制等が新たに設けられた場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ビューティケア事業に係る主要な許可の取得状況等(平成26年12月31日時点))
取得会社許可の名称有効期限取消事由及び該当状況
株式会社ポーラ化粧品製造業許可平成29年1月23日(取消事由)
薬事法第75条(第13条第4項等)に定められる事由に該当した場合
(該当状況)
上記取消事由に該当する事項はありません。
医薬部外品製造業許可平成29年1月23日
化粧品製造販売業許可平成29年5月13日
医薬部外品製造販売業許可平成29年5月13日
オルビス株式会社化粧品製造販売業許可平成31年4月30日
医薬部外品製造販売業許可平成31年4月30日
ポーラ化成工業株式会社化粧品製造業許可平成31年10月31日
医薬部外品製造業許可平成31年10月31日
化粧品製造販売業許可平成31年10月31日
医薬部外品製造販売業許可平成31年10月31日


ロ 特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」)
当社グループでは、特定商取引の関連法令の遵守に努めておりますが、当社グループにおいて販売パートナー(営業所長、ポーラレディ)が特定商取引法を犯すような事態に至った際の社会的信用の失墜や、特定商取引法の改正により訪問販売活動が著しく制限された場合等は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②原材料価格の高騰
当社グループでは、前述のとおり、製品生産に不可欠な原材料等は、購買を担当する部署の統括管理のもと、調達先を分散するとともに、調達先と良好な関係を保ち、常に適正な価格で必要量を調達できるよう努めております。しかし、原油等素材価格の動向により、主要原材料の仕入価格が上昇した場合は、製品の製造原価も上昇し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 持株会社としてのリスク
当社は純粋持株会社であり、収入の大部分は当社が直接保有している子会社からの経営管理料及び受取配当となっております。このうち受取配当については、一定の状況下で、会社法等の規制等により、子会社が当社に支払うことのできる金額が制限される場合があります。また、子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合等には、当社は株主に対して配当を支払えなくなる可能性があります。
(4) 公益財団法人ポーラ美術振興財団との関係について
公益財団法人ポーラ美術振興財団は、平成8年5月、当社グループの元会長であった故鈴木常司が、「わが国の芸術文化の向上に寄与する」ことを目的に設立した財団法人であります。当社グループは、創業時より「美と健康に関わる事業を通じて社会に貢献すること」を企業理念としていることから、同財団に対して、設立当初よりその活動に賛同し、様々な支援(寄付の実施、美術館建設資金の借入に対する債務保証、学芸員等の人員を出向させるなどの人的支援(注)、美術品の寄託(無償)等)を行ってまいりました。なお、寄付の実施及び債務保証は既に解消されており、今後もこれらの実施予定はありませんが、人的支援及び美術品の寄託(無償)等については今後とも継続する予定であります。
また、同財団は、期末日現在、当社株式19,654千株を保有しており、これは、発行済株式数の34.31%(議決権比率35.55%)に当たります。当社代表取締役社長鈴木郷史は同財団の理事長を兼務しておりますが、当社代表取締役社長を含む当社グループ関係者の理事は、同財団の保有する当社株式に係る議決権行使については関与しない方針です。
(注)出向者の人件費相当額については、同財団が負担しております。