訂正有価証券報告書-第9期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/08/08 13:48
【資料】
PDFをみる
【項目】
116項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を検討し、評価性引当金を設定することにより減額しております。評価性引当金の必要性を検討するに当たり、将来の課税所得を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の検討は毎期行っており、計上されている繰延税金資産の金額と回収見込み金額との差額は、法人税等調整額に計上され、当期純利益を増減させることになります。
② 固定資産の減損
当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、当連結会計年度において帳簿価額の回収が困難と見込まれる固定資産につき減損処理を行なっております。なお、前述以外の固定資産については、将来の収益計画に基づき減損処理の必要性を判断していますが、将来の収益獲得が見込めなくなった場合には、減損損失が発生する可能性があります。
③ 退職給付債務
当社の従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と相違した場合又は前提条件を変更した場合、その影響額は数理計算上の差異として認識し、退職給付に係る制度を変更した場合、その影響額は過去勤務費用として認識します。これら数理計算上の差異及び過去勤務費用のうち、当期に費用処理されない部分については、税効果を考慮の上その他の包括利益として認識し、退職給付に係る負債に含めて計上しております。よって、前提条件と実際の差異が生じたり、制度変更を行った場合、その他の包括利益、繰延税金資産及び退職給付に係る負債に影響を及ぼします。
④ 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、破産更生債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、貸倒引当金を計上しております。なお、相手先の財政状態の悪化により支払能力が低下した場合、引当金の追加計上が必要になる場合があります。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度における我が国の経済環境は、金融緩和などの各種政策による円高の是正や株価上昇もあり、求人倍率の上昇等の雇用環境改善や企業業績の改善など景気回復の期待が高まりました。しかし、海外景気に対する不安や、輸入物価の上昇、消費増税に伴う消費低迷懸念など、景気の先行きは依然不透明な状況が続いております。
当社グループが属する半導体市場においては、PC向けやデジタル家電向け製品は低調に推移したものの、モバイル機器向けや車載向け製品は好調に推移した結果、市場全体は順調に拡大いたしました。
このような状況の中、国内のテスト受託においては主要顧客のウエハ生産数量が安定して推移したことや台湾におけるテスト受託が増加したものの、WLP・BUMP受託では、既存品の成熟化に対し、新規受託品の拡大が遅れたことなどから受託が低迷いたしました。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、21,668百万円となり、前連結会計年度と比較して362百万円の増加となりました。その主な要因は、WLP・BUMP受託は低迷したものの、メモリ事業において主要顧客のウエハ生産数量が安定して推移したことや、台湾におけるテスト受託が増加したことによるものです。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、18,732百万円となり、前連結会計年度と比較して386百万円の減少となりました。その主な要因は、一部資産の償却終了などにより減価償却費が減少したことによるものです。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、2,098百万円となり、前連結会計年度と比較して131百万円の減少となりました。その主な要因は、外注費及び人件費の減少によるものです。
(営業利益)
上記の諸要因により、当連結会計年度は、837百万円の営業利益(前連結会計年度は42百万円の損失)を計上する結果となりました。
(営業外収益)
当連結会計年度における営業外収益は、174百万円となり、前連結会計年度と比較して403百万円の減少となりました。その主な要因は、前連結会計年度においてエルピーダメモリ株式会社の更生計画が認可決定されたことに伴い、貸倒引当金戻入益を計上したことによるものです。
(営業外費用)
当連結会計年度における営業外費用は、229百万円となり、前連結会計年度と比較して205百万円の減少となりました。その主な要因は、休止固定資産減価償却費の減少152百万円と一部リース資産の契約満了による支払利息の減少52百万円によるものです。
(経常利益)
上記の諸要因により、当連結会計年度における経常利益は、783百万円となり、前連結会計年度と比較して682百万円の増加となりました。
(特別利益)
当連結会計年度における特別利益は、489百万円となり、前連結会計年度と比較して229百万円の増加となりました。その主な要因は、地方自治体からの助成金475百万円を計上したことによるものです。
(特別損失)
当連結会計年度における特別損失は、960百万円となり、前連結会計年度と比較して956百万円の増加となりました。その主な要因は、青梅事業所を中心とした固定資産に対する減損損失842百万円と青梅事業所における一部従業員の他社への転籍予定に伴う早期退職費用111百万円を計上したことによるものです。
(当期純利益)
上記の諸要因により、当連結会計年度における当期純利益は、61百万円となり、前連結会計年度と比較して438百万円の減少となりました。
(3) 財政状態に関する分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は33,514百万円となり、前連結会計年度末比2,028百万円の減少となりました。これは主に、譲渡性預金等の有価証券が5,799百万円の増加となりましたが、一方で、現金及び預金が3,460百万円、有形固定資産が4,678百万円それぞれ減少したことによるものです。
(負債)
負債は10,842百万円となり、前連結会計年度末比2,462百万円の減少となりました。これは主に、返済によりリース債務が2,527百万円減少したことによるものです。
(純資産)
純資産は22,671百万円となり、前連結会計年度末比434百万円の増加となりました。これは主に、当期純利益は61百万円に留まったものの、海外子会社の増益に伴う少数株主持分が245百万円、為替換算調整勘定が166百万円増加したことによるものです。これらの結果、自己資本比率は60.5%となり、前連結会計年度末比3.9ポイント増加いたしました。
(4) キャッシュ・フローの状況に関する分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は7,882百万円となり、前連結会計年度末比1,839百万円の増加(前年同期比30.4%増)となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、8,178百万円の純収入(前年同期比8.4%の収入増)となりました。これは主に、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上7,882百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、3,653百万円の純支出(前年同期比26.1%の支出増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,189百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,757百万円の純支出(前年同期比35.3%の支出減)となりました。これは主に、リース債務の返済による支出2,759百万円によるものです。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、半導体のテスト受託を主な事業としており、この事業は受託量の増加や受託対象製品の増加に際して、使用する測定装置等の投資が先行し、数年にわたって回収していく構造となっております。従って、所要資金の調達については、割賦等の長期安定的な調達方法を取ることに留意しております。この結果、キャッシュ・フローに関し、営業活動によるキャッシュ・フローにおいては減価償却費が、財務活動によるキャッシュ・フローにおいてはリース債務等の長期有利子負債の返済による支出が、それぞれ主な構成要素となっております。また、営業活動によるキャッシュ・フローについては損益の状況が、投資活動によるキャッシュ・フローについては新規設備投資の増減が、それぞれ主な変動要因となっております。
従いまして、手許流動性、すなわち、現金及び現金同等物の水準については、業績の変動に対応するため、連結売上高の3ヶ月分以上の確保が望ましいと考えております。当連結会計年度末においては、現金及び現金同等物の残高は7,882百万円であり、当連結会計年度売上高の約4ヶ月分を確保しております。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの売上高は、特定顧客への依存度が高いため、当該顧客の生産動向が当社業績に大きな影響を与えます。例えば、当社グループの主力受託品であるDRAMは、スマートフォンやタブレットなどに使用されるテスト時間の長い製品(モバイルDRAM)と主にPCに使用されるテスト時間の短い製品に分かれ、テスト時間の長いモバイルDRAMの生産量の増減や製品ミックスの変化によるテスト装置の稼動率の変化が当社業績に影響を与えます。
また、当社グループの主要顧客であるマイクロンメモリ ジャパン株式会社が、今後の事業を進める中で、当社グループの受託量が増減する可能性があり、当社業績に影響を与える可能性があります。
当社グループといたしましては、特定の顧客に依存することなく、より多くの顧客から、様々な種類の製品を受託するべく、営業活動を強化しております。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
経済の先行きに不透明感が続く中、半導体市場においても成長の道筋が見通しにくい状況が継続するものと考え
ております。このような状況の中で、当社グループは、既存の人的能力と設備能力を最大限に引き出し、企業価値の向上を目指してまいります。
具体的には、テストとWLPの両分野において技術提案力、開発力、治工具設計力と、高品質で効率的なオペレーションを実現する工程運営能力を有する経験豊富なエンジニアと、世界的な規模を有するメモリテスタを中心に各種のテスタを備えた日本と台湾の生産拠点を活用し、他社との差別化を図り、顧客開拓、受託製品の増加を目指すことであります。特に、当社グループが有するテスト技術と信頼性の高いWLP技術の組み合わせによるターンキーサービスの積極的な営業活動を展開してまいります。