有価証券報告書-第63期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 15:32
【資料】
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【項目】
116項目

研究開発活動

当社グループは、各種消火防災設備の設計・施工・保守点検、消火器及び消防自動車の製造・販売、防災用品の仕入・販売等の防災事業を行っており、単一セグメントであるため、研究開発活動について営業種目別に記載しております。
当社グループでは、消防法等関連法規の改正、社会の構造的変換、市場の要請、技術環境の変化等に適応できる新技術を研究、開発し、また基盤保有技術を深耕することを目的として研究開発活動しております。
消火設備・消火器等の機器は、消防法等関連法規により主要な仕様・規格あるいは性能・機能が定められており、研究開発活動はそれらをいかに効率的に実現するかのエンジニアリング開発もしくは商品化開発が主体であります。
さらに最近の地球環境保護への考えの広がり、資源のリサイクル活用、建築・構造物の大規模・複合化や新しい使用形態の施設の発現、バイオ燃料や燃料電池をはじめとする代替エネルギーや新素材の開発等による化学物質の多様化、少子高齢化に伴う省力化等の社会環境変化により、消火設備・消火器等の機器の機能・性能並びに物性や使用材料に対するレベルアップが要求されており、それら社会環境変化による市場潮流を先取りした商品の拡充・技術開発が不可欠であり、法規制にとどまらない消火設備・消火器等の開発等にも積極的にビジネスチャンスを捉えるべく、機動的な運営に取り組んでおります。
また、既存技術・製品においてもその深耕戦略として生産技術の改善や品質及び生産性の向上に努め、それらの競争力強化を図ることも重要で、営業部門と開発部門との緊密な連携にも注力しております。
当連結会計年度における主な研究開発活動を営業種目別に示すと、以下のとおりであります。
(1)防災設備事業
一般火災用の泡消火薬剤では、人体への安全性及び環境負荷の低減を考慮し、労働安全衛生法等の規制対象物質を含まない薬剤の特例国家検定型式を取得する開発を継続して行っております。また、当該泡消火薬剤技術を応用した、より環境負荷の低い特殊消火設備やスプリンクラー設備の研究を行っております。
平成28年4月より、避難のために患者の介助が必要な有床診療所・病院には原則としてスプリンクラー設備の設置が義務付けられました。当該設置基準に対応するため、従来のスプリンクラー設備より安価な簡易型パッケージタイプの開発を行っております。
近年、需要が高まってきている二次電池について、その安全対策の研究を行っております。従来の消火の概念にとらわれず更に一歩踏み込み、火災になる前に異常を捉えて未然防止するシステム等、安全の本質を追求しております。
(2)商品事業
軽量かつリサイクル性が高く環境にやさしいアルミ製容器について、液体系消火薬剤に対する耐食性の長期検証試験を行うなど、アルミ製強化液消火器のメンテナンスフリー化に向けた研究を継続して行っております。
強力な磁場を生じる産業設備や、MRIなどの医療設備の現場では、鉄などの磁性材料が使われている通常の消火器は、強力な磁力で引き寄せられる為、二次災害を危惧して設置できないという問題があります。これを解決するため、非磁性材料であるアルミ製容器の特長を生かした非磁性消火器を開発し、国家検定型式を取得しました。
(3)車輌事業
消防車両は、総重量が関係法令で規制されており、車両そのものの重量が軽くなる分、消防資機材をより多く搭載できることになります。このような背景から、樹脂系材料を導入するなどの軽量化に関連した開発を行っています。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、189百万円であります。