有価証券報告書-第5期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 14:59
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【項目】
106項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における我が国の経済は、一部に弱さも見られるものの、個人消費は総じてみれば底堅く、雇用環境も改善傾向にあり、緩やかな回復基調が続きました。また、当社グループ海外事業の主要市場であるアジアの経済は、ASEAN諸国の成長ペースが鈍化し、総じて景気は減速傾向にありました。
医薬品業界におきましては、OTC医薬品市場は、ドリンク剤、水虫治療薬などの一部のカテゴリーで前年を下回ったものの、殆どのカテゴリーで消費税増税前の駆け込み需要反動減の影響を受けた前年に比較してプラスとなり、総体的に堅調に推移しました。
医薬事業につきましては、新薬の創出が困難になりつつあるなかで、承認審査の厳格化や医療費適正化諸施策が浸透しつつあり、厳しい事業環境が続いております。
こうした事業環境の中で、当社グループのセルフメディケーション事業部門は、「健康で美しく老いたい」という生活者のニーズに対応すべく、製品開発面では生活者の健康意識の高まりや変化に対応した新しい領域・新しいコンセプトの商品開発にも積極的に取り組んでいます。また、販売面ではマーケティングと営業活動の連動性を高め、需要を創造する活動を強化するとともに、通信販売等の新しいチャネルの拡充による生活者との直接のコミュニケーションにも注力しています。海外市場におきましては、アジアを中心にOTC医薬品事業とドリンク剤事業を積極的に展開しております。
医薬事業部門では、情報提供活動を中心とする営業力の強化を図るとともに、自社オリジナル開発物質の継続的な創出と国内外の企業からの有望候補物質の導入を進め、開発パイプラインの充実に努めております。
当連結会計年度のグループ全体売上高は、2,901億3千5百万円(前連結会計年度比△3億6千2百万円、0.1%減-以下括弧内文言「前連結会計年度比」省略)となりました。
セグメント別の売上高は次のとおりであります。
セルフメディケーション事業1,807億円(+ 44億円 2.5%増)
内訳
国内1,481億円(+ 25億円 1.7%増)
海外299(+ 19 〃 6.9%増)
その他27(△ 0 〃 0.7%減)

医薬事業1,094億円(△ 48億円 4.2%減)
内訳
医療用医薬品1,072億円(△ 44億円 3.9%減)
中間製品等14(△ 6 〃 30.3%減)
工業所有権等使用料収益8(+ 2 〃 34.0%増)

主要製品の売り上げ状況は次のとおりであります。
<セルフメディケーション事業>当連結会計年度の売上高は、1,807億円(+44億円、2.5%増)となりました。
主力ブランドでは、ドリンク剤の「リポビタンシリーズ」は、主力の「リポビタンD」が前年を下回り(3.5%減)、シリーズ全体では605億円(2.5%減)となりました。「パブロンシリーズ」は、主力の総合かぜ薬や鼻炎治療剤がともに前年比マイナスとなり、シリーズ全体では248億円(1.5%減)となりました。発毛剤「リアップシリーズ」は、堅調に推移し、シリーズ全体で165億円(10.9%増)となりました。
一方、アジアを中心に展開中の海外OTC医薬品事業は184億円(4.8%増)となりました。
<医薬事業>当連結会計年度の売上高は、1,094億円(△48億円、4.2%減)となりました。
主な増収品目は、β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系抗菌薬「ゾシン」273億円(1.4%増)、骨粗鬆症治療剤「エディロール」198億円(15.7%増)、骨粗鬆症治療剤「ボンビバ」49億円(36.5%増)でした。一方、マクロライド系抗菌薬「クラリス」は120億円(10.9%減)、末梢循環改善薬「パルクス」は62億円(11.9%減)と、後発医薬品の影響等もあり前年比マイナスとなりました。なお、2型糖尿病治療剤「ルセフィ」は9億円(63.0%減)となりました。
利益面につきましては、広告宣伝費、研究開発費の増加などで販売費及び一般管理費が増加したことなどにより、営業利益は288億7千8百万円(9.7%減)、経常利益は367億7千5百万円(7.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は224億7千3百万円(8.4%減)となりました。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ112億円増加し、1,543億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、431億円(前連結会計年度比93億円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が358億円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、117億円(前連結会計年度比65億円の減少)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出111億円があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、195億円(前連結会計年度比101億円の増加)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出101億円があったことなどによるものです。
キャッシュ・フロー指標のトレンド
平成27年3月期平成28年3月期
自己資本比率(%)83.382.9
時価ベースの自己資本比率(%)94.493.9
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)1.90.9
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)11,959.719,256.7

(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
*各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
*株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
*キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。
*有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。