有価証券報告書-第12期(平成26年11月1日-平成27年10月31日)

【提出】
2016/01/28 15:44
【資料】
PDFをみる
【項目】
90項目

事業内容

当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)は、当社及び当社の連結子会社2社(Morpho US, Inc.、Morpho Korea, Inc.)の3社で構成されております。
当社グループは、デジタル画像処理技術の研究を行ってきた東京大学出身の技術者達を中心に、平成16年5月に設立した研究開発主導型ベンチャー企業であります。コンピューターサイエンスは実学であるという信念のもと、最先端の研究を理論で終わらせるのではなく、社会のニーズにいかに適応させて、世の中に貢献させられるかを常に追究していくことが私たちの使命であります。独自技術の研究開発及び製品開発をすることにより、デジタル画像、そして映像産業の新時代を築き上げることを目指しております。
当社グループでは、スマートフォン等の組込み機器をはじめとして、様々なプラットフォームにおいて画像を認知、処理、そして表現する、これら一連のプロセスを通して、効率的且つ高品質な次世代のデジタル画像処理フレームワークを提供することにより、デファクト・スタンダードとなることを志向してまいります。
(1)ソフトウェア製品について
人間の五感の中で視覚は重要な入力インターフェースであり、近年のネットワーク及びデジタル技術の発展と、スマートフォンやネットワークカメラ等、安価で小型化されたカメラの普及によって、この視覚情報処理を取り巻く環境が急激に変化してきました。自分自身の目とは異なる第2の目として、誰もが何処でも画像を撮影し、保存し、編集し、共有することが可能となり、新たなライフスタイルとそれを現実にするための技術開発が求められていると判断しております。
当社グループは、設立以来、デジタル画像に関する高度なアルゴリズムを創出すべく研究開発を行い、最先端の画像処理技術を駆使した各種ソフトウェアを製品化してまいりました。現在の当社の技術及び製品の優位性は、機能を全てソフトウェアで実現しているため余計な容積を必要とせず壊れにくく、且つ消費電力が少ないという点であると考えております。
当社グループがこれまでに製品化したソフトウェア製品のうち、主要なソフトウェア製品及びその機能の概要は、以下のとおりであります。
[製品ソフトウェア一覧]
ソフトウェア製品名
(技術(機能))
ソフトウェア(製品)の概要
フォトソリッド
PhotoSolid
(静止画手ブレ補正)
(被写体ブレ補正)
動き検出エンジン「SOFTGYRO®(ソフトジャイロ)※」を利用したソフトウェアによる静止画手ブレ補正技術です。カメラで撮影する際の横ブレ、縦ブレ、前後のブレ、横の回転ブレ、上下方向の回転ブレ、光軸まわりの回転ブレなど6自由度※1、2に対応した手ブレ補正を行います。
ムービーソリッド
MovieSolid
(動画手ブレ補正)
独自の動き検出エンジン「SOFTGYRO®」による4自由度※3での手ブレ補正をリアルタイムに実現した動画手ブレ補正技術です。縦方向/横方向の動きに加えて、光軸まわりの回転や前後方向の手ブレ補正を行います。
モルフォエイチディーアール
Morpho HDR
(ハイダイナミック
レンジ合成技術)
明暗差の大きなシーンの撮影時においても黒つぶれや白とびを抑えた画像を生成する技術です。露出値を変えて複数枚の画像を撮影し1枚に合成することで、黒つぶれや白とびを抑え、露出調整が最適化された画像を生成します。
モルフォデノイザー
Morpho Denoiser
(ノイズ除去技術)
静止画像上のノイズを撮影後に軽減する技術です。参照する画素の範囲を広げることにより、効果的なノイズ除去を実現しながら高速に処理できます。また、色調・ディテールを極力保持しつつ、色成分と輝度成分を分けてノイズ除去を行うため、より綺麗な画像を残すことができます。
モルフォパノラマ
Morpho Panorama
(パノラマ画像合成
技術)
1回の通常撮影では写すことのできない、広い範囲の写真を合成する技術です。特別な装置を用いることなく、カメラを上下左右に自由に動かして撮影するだけで、簡単に綺麗な広角パノラマ画像を合成することができます。

※ SOFTGYRO(ソフトジャイロ)について
SOFTGYROは、多重解像度化※4を用いた画像マッチング技術に、当社独自の信頼度や相関度に係る処理を導入した動きベクトル演算プログラムです。従来の動き検出技術に比べて正確性と低計算量の面に優れ、例えば、手ブレ補正で用いられるジャイロセンサ等のハードウェア構成を省略し、各種端末機器の小容量化・低消費電力化・ローコスト化の実現を可能にするなど、多くの用途で有効性を発揮します。
[用語解説]
※1.自由度:
相互に独立した移動方向及び回転軸の数を言います。
※2.6自由度(6軸)
縦方向、横方向、前後方向の動きに加え、光軸まわり、横方向、上下方向の回転を言います。
※3.4自由度(4軸)
前後方向の動きに加え、光軸まわり、横方向、上下方向の回転を言います。
※4.多重解像度化
画像データを周波数帯によって分解し、いくつかの解像度の異なる画像を作り出すことを言います。
(2)収益構造について
当社グループは、国内外のスマートフォン市場を中心にソフトウェア・ライセンス事業を営んでおります。当社が開発・ライセンス販売・顧客サポートを行うほか、連結子会社であるMorpho US, Inc.及びMorpho Korea, Inc.が海外顧客への販売・技術面でのサポートや海外市場のマーケティング活動を行うという体制で推進しております。
当該事業が事業セグメントを区分開示する重要性が乏しいため、報告セグメントは単一でありセグメント情報の記載をしておりませんが、事業の売上高は①ロイヤリティ収入、②サポート収入、③開発収入で区分されます。当社グループの収益構成の概要は以下のとおりであります。
① ロイヤリティ収入
主に国内外の半導体・スマートフォンメーカー等に対して、当社グループが独自に開発した複数のソフトウェア製品を商用目的で頒布・利用することを許諾して、主に当社グループの製品が搭載されたスマートフォン等の出荷台数に応じたライセンス料を収受する収入であります。
当該収入は、当社グループ単独または他社と連携しながら、契約主体は当社グループと利用許諾先との間の直接取引としております。またライセンス料の収受方法は、出荷数実績に応じて収受する方式と、ライセンス期間にわたり一定の金額を収受する方式に大別されます。
② サポート収入
主に国内外の半導体・スマートフォンメーカー等に対して、当社グループソフトウェア製品の利用を許諾することを前提とした当社グループ製品のスマートフォン等への実装(ポーティング)支援等を行う開発サポート収入と、当社グループソフトウェア製品を利用許諾した後に、一定期間の技術的なサポートを提供する保守サポート収入とに区分されます。
③ 開発収入
主に国内外の半導体・スマートフォンメーカー等が試作機等へ実装し技術的な評価等を行う場合に、当社グループ技術や製品の利用範囲を限定して当社グループの標準的な画像処理エンジンを提供する収入や、新たな技術や製品・サービスを創出する際に、取引先の仕様により研究又は開発を請け負う収入であります。後者については、成果物の権利を双方で共有することができ、一定の条件を満たせば当社グループが単独でライセンスビジネスを行うことができます。その他、これまで蓄積したノウハウをもとに通信事業者及びスマートフォンメーカー等の個別要求(仕様)に応じた開発等を受託する収入があります。
[ソフトウェア・ライセンス事業の系統図]
0101010_001.png