有価証券報告書-第77期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 16:18
【資料】
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【項目】
122項目

事業内容

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社16社及び関連会社3社により構成され、コラーゲン素材事業、フォーミュラソリューション事業をグローバルに営んでおり、当社及び関係会社が製造・販売を分担し、相互に協力して事業活動を展開しています。
セグメントの主要な製品内容、販売先及びグループ内における位置付けは次のとおりです。
(1)コラーゲン素材事業
コラーゲン素材事業は、動物の骨や皮、魚の鱗や皮などから、ゼラチンやコラーゲンペプチド、コラーゲンケーシング、コラーゲンなどを製造・販売しています。
コラーゲンは、動物の体に最も多く含まれるタンパク質で、生体の全タンパク質の約30%を占め、特に皮膚や骨、軟骨、腱など結合組織の主要な構成成分です。生体内では、コラーゲン分子は、規則正しい三重らせん構造をとり、水に溶けませんが、これを長時間加熱すると、ある温度で三本鎖の構造がほどけ、温水中に溶け出してきます。このように、熱で変性し、温水に溶けだしたコラーゲンを「ゼラチン」と呼びます。
ゼラチンは、ゼリーとして固まる力、すなわちゲル化能が最大の特性です。ゼラチンを、タンパク質分解酵素などを用いて、より小さなペプチド鎖まで断片化したものが、コラーゲンペプチドで、逆にゲル化能を持たないことが特徴です。ゲル化する、しないの違いがあるものの、ゼラチン、コラーゲンペプチドとも、組成的には、親物質であるコラーゲンとほぼ同一です。
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① ゼラチン事業
ゼラチンは、ゼリーとして固まる性質のみならず、保水性や起泡性、結着性、皮膜性、食感改良、コク出し、ツヤ出しなど、さまざまな機能をあわせ持つため、食用・医薬用から写真用まで、ゼラチンの用途は広範囲に及びます。ゼラチン事業では、各種産業分野の用途に応えるゼラチンを製造・販売しています。
ゼラチンの製造については、当社大阪工場を中心に、子会社である彦根ゼラチン㈱、ニッタゼラチンカナダInc.、ニッタゼラチンユーエスエーInc.及びニッタゼラチンインディアLtd.で行っています。販売については、日本及びアジア地域においては、主に当社が、北・中・南米、欧州においては、主にニッタゼラチンエヌエーInc.が行っています。
② ペプチド事業
ペプチド事業は、ゼラチンをタンパク質分解酵素で加水分解し、低分子に加工したコラーゲンペプチドを販売しています。コラーゲンペプチドには、生理活性や生体調節機能が認められており、皮膚や骨・関節への機能性を訴求する栄養補助食品やサプリメントなどの食料品分野で活用されています。
コラーゲンペプチドの製造は、日本では協力会社で行い、海外では広東百維生物科技有限公司、ニッタゼラチンユーエスエーInc.、ニッタゼラチンインディアLtd.で行っています。販売については、日本及びアジア地域では主に当社が、中国では上海新田明膠有限公司が、北米ではニッタゼラチンエヌエーInc.が行っています。
また、化粧品用コラーゲンは、当社で製造・販売しています。
③ ケーシング事業
ケーシング事業は、可食性のコラーゲンケーシングを販売しています。コラーゲンケーシングとは、ソーセージ製造において、食肉を充填するためのチューブ状の材料で、天然の羊腸・豚腸の代替品として、畜産加工品に使用されています。
コラーゲンケーシングの製造・販売は、子会社のニッタケーシングズInc.及びニッタケーシングズ(カナダ)Inc.で行っています。また、中国では北京秋実膠原腸衣有限公司で二次加工し販売を行っています。
④ ライフサイエンス事業
コラーゲンは、細胞との親和性が高いため、細胞培養用の研究試薬(Cellmatrix®)の他、組織の自己再生、修復を促す人工皮膚や人工骨に用いられる生体材料として使用されています。また、再生組織工学における人の組織の自己再生、修復を促す生体材料として、精製度の高い医療用ゼラチン(beMatrix®ゼラチン)を開発しました。いずれも当社で製造し、医療機器メーカーや大学などの研究機関に販売しています。
(2)フォーミュラソリューション事業
フォーミュラソリューション事業は、さまざまな素材の配合技術により、付加価値の高い製剤を製造・販売し、顧客の要求する商品企画、アプリケーションや課題解決を実現しています。
① 食品材料事業
食品材料事業は、食用ゲル化剤やハム用品質安定剤などの食品用製剤を販売しています。食用ゲル化剤は、ゼラチン、コラーゲンペプチドのほか、カラギーナンや寒天、ペクチン、ガム質などの植物系多糖類で構成され、ゼリーやデザート、乳製品、冷凍食品などに使用されています。ハム用品質安定剤は、カラギーナン、ガム質などの植物系多糖類やコラーゲン由来タンパクなどの動物系素材で構成され、畜肉加工品に使用されています。
食品用製剤は、日本では協力会社で製造し、当社及び子会社の㈱アルマコーポレーションで販売しています。ベトナムではニッタゼラチンベトナムCo., Ltd.が製造・販売を行っています。
また、コラーゲン飲料・食品などのコンシューマ商品を製造・販売しています。コンシューマ商品は、当社で企画し、協力会社で製造したものを、子会社の㈱ニッタバイオラボで販売しています。
② 接着剤事業
接着剤事業は、ホットメルト形接着剤やにかわ系接着剤などを販売しています。ホットメルト形接着剤は、加熱溶融して塗布し、冷却固化して接着するため、接着速度が速いことが特徴で、包装用途の他、衛生材料、製本、建築・木工、電気、住宅など、幅広い分野で活用されています。にかわ系接着剤は、紙の接着性に優れるため、製本や紙器、紙工などに使用されています。また、接着剤技術を活かした紫外線硬化型の高機能樹脂(G-zain®)は、電子機器や家電製品などのシーリング材として活用されています。
接着剤の製造は当社で行い、販売については、当社及び関連会社のボスティック・ニッタ㈱が行っています。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
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