有価証券報告書-第11期(平成26年4月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/30 15:49
【資料】
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【項目】
108項目

業績等の概要

本書において使用される専門用語につきましては、(*)印を付けて「第2 事業の状況 7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の末尾に用語解説を設け説明しております。
当連結会計年度は決算期変更により、平成26年4月1日から平成26年12月31日までの9ヶ月を連結対象期間としております。そのため、前連結会計年度との比較については記載しておりません。
(1)業績
当社グループの当連結会計年度における事業開発活動の状況としましては、主に中外製薬株式会社及び同社の海外子会社であるChugai Pharmabody Research Pte. Ltd.(以下、「中外製薬グループ」といいます)との契約に基づく研究開発活動を中心に、順調に事業を推進してまいりました。診断薬分野の大手企業である富士レビオが、ADLib®システムから取得した抗体を使用した診断薬キットを販売しており、当社は売上高に応じたロイヤルティ収益を計上しております。また、連結子会社のリブテックでは株式会社ヤクルト本社(以下、「ヤクルト本社」といいます)との共同研究においてマイルストーンを達成し、マイルストーン料を受領致しました。
当社の独自技術であるADLib®システムの研究開発の状況としましては、完全ヒトADLib®システムの多様性の向上や、感染症領域でのウイルスに対する抗体作製プロジェクトを含むリード抗体作製に関する研究開発活動を継続しました。また、平成26年12月には公募増資及び第三者割当増資による資金調達により、主に感染症領域での研究開発費や事業資金として2,023,218千円の資金を確保し、今後は同領域での研究開発活動を加速する予定であります。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は277,759千円、営業損失は865,583千円、経常損失は883,352千円(公募増資ならびに第三者割当増資等に係る株式交付費用18,628千円を含む)、当期純損失は863,269千円となりました。
当連結会計年度の報告セグメント別の業績は次のとおりです。
各セグメント事業の基盤となる技術プラットフォームの研究開発活動の状況につきましては、完全ヒトADLib®システムを構築し、多様化レベルの向上によるライブラリの拡充を進めております。当連結会計年度におきましては、従来のライブラリを用いた困難抗原に対する特異的抗体(*)の作製を進め、インフルエンザウイルスやエボラウイルス各々の部分タンパクに対する抗体作製に成功いたしました。この成果はADLib®システムを用いたウイルスに対する迅速な抗体作製の実績を示すものであり、今後のビジョンの実現につながるものと考えております。また、エボラウイルス病を始めとする人類にとって脅威となる感染症に対する抗体については、今後も研究開発活動を継続していく予定であります。当社では未充足な希少疾患や感染症領域を中心にパイプラインの拡充や戦略抗体の創出活動を継続しております。
① 創薬アライアンス事業
中外製薬グループとの契約に基づく研究開発活動を継続しており、平成26年12月には委託研究及び共同研究の契約を延長いたしました。また、複数の企業やアカデミアと既存及び新規のプロジェクトを進めております。当期は、従来のADLib®システムに加えて、来年度の検証的契約締結に向けた完全ヒトADLib®システムの営業活動を国内外の複数の製薬企業に対して開始しております。
リブテックは、ヤクルト本社との契約に基づき各種非臨床試験(*)を行っておりますが、マイルストーン達成によりマイルストーン料を受領しております。
以上の結果、当該事業における売上高は253,818千円、セグメント利益(売上総利益)は164,972千円となりました。
② リード抗体ライセンスアウト事業
当連結会計年度においては、横浜市立大学五嶋研、東京大学高橋研との共同研究契約を更新し、新規治療用抗体のステージアップ・導出に向けた研究活動を継続しております。また、新たに名古屋市立大学植村研及び横浜市立大学竹居研との共同研究を開始いたしました。
横浜市立大学五嶋研と共同研究中の抗セマフォリン3A抗体については、導出パッケージ構築のための疾患モデル動物(*)での薬効試験を実施しております。動物を用いた薬効試験についてはリブテックを含め、当社グループ内での試験の内製化を行い、経営資源の有効活用を行っております。また、東京大学高橋研との膜タンパク質を標的とした創薬の共同研究では標的抗原に対する抗体を作製しておりますが、今後は得られた抗体の機能性の確認及び疾患モデルを用いた薬効評価を行っていく予定です。英国のBiotecnol社との共同研究では、お互いのユニークな技術を活かして順調に研究開発活動が進捗しており、今後、革新的なリード候補抗体を取得していく予定です。
当該事業につきましては、売上高および利益(又は損失)は発生しておりません。
③ 基盤技術ライセンス事業
オリジナルADLib®システムの技術導出先である富士レビオでは、臨床検査・診断に用いる試薬の研究開発を行い、その成果として、欧州での“ビタミンD測定用の抗体を含む診断キット(Lumipulse® G25-OH Vitamin D Immunoreaction Cartridges)”を販売いたしております。これに伴い当社は売上高に応じたロイヤルティを継続して受領しております。また、富士レビオでは、現在もADLib®システムを用いた新たな診断キット創出に向けた研究開発活動が行われております。この他、ADLib®システムに興味を持つ国内外の複数企業との間で技術評価試験の実施及び技術ライセンススキームの交渉を行っております。完全ヒトADLib®システムにつきましては、国内外の複数の製薬企業への営業活動を開始しております。
以上の結果、当該事業における売上高は23,941千円、セグメント利益(売上総利益)は23,761千円となりました。
また、当連結会計年度における研究開発費は574,529千円となりました。なお、当社は創薬基盤技術であるADLib®システムを核として事業を展開しており、全ての保有資産が一体となってキャッシュ・フローを生成していることから、研究開発費を各報告セグメントへ配分しておりません。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は5,075,925千円となり、前連結会計年度末と比較して726,191千円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により使用した資金は789,326千円となりました。主な内訳として、税金等調整前当期純損失885,525千円に対し、資金の支出を伴わない減価償却費62,502千円を調整した資金の増加、また、支出要因として前受金22,572千円の減少やたな卸資産18,547千円の増加等があります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は618,833千円となりました。これは、定期預金500,000千円の預入や、研究機器の取得及びシステム導入等に伴う固定資産の取得による支出118,947千円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により取得した資金は2,130,818千円となりました。これは、公募増資及び第三者割当増資等による株式の発行による収入2,151,630千円、長期借入金の返済による支出20,812千円であります。