有価証券報告書-第16期(平成26年7月1日-平成27年6月30日)

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2015/09/30 13:05
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事業等のリスク

以下に、当社グループの事業展開上、リスク要因となり得る主な事項を記載しております。また、当社グループは、当社グループでコントロールできない外部要因や事業上のリスクとして具体化する可能性が必ずしも高くないとみられる事項を含め、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については積極的に開示することとしております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生時の対応に努力する方針ですが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成27年6月30日)において当社グループが判断したものであります。
(1) インターネットを取り巻く環境について
当社グループは、インターネット上における美容系総合ポータルサイト「@cosme」の運営を事業基盤としており、インターネット及び関連サービス等の更なる発展が、当社グループが今後成長を図る上で重要であると考えております。
これまで、インターネット利用者は増加を続けており、総務省の平成26年通信利用動向調査(平成27年6月公表)によれば、日本国内のインターネット利用者数は1億18万人となり、人口に対する普及率は前年のインターネット利用者の割合と同じ82.8%と推計されております。また、インターネット業界では、新たなビジネスモデルの開発や技術の革新が活発に行われております。
しかしながら、インターネットの普及に伴う個人情報の漏洩、改ざん、不正使用等や、社会道徳又は公序良俗に反する行為等への対応としての新たな法的規制導入や、その他予期せぬ要因によって、インターネット及び関連サービス等の発展が阻害される可能性があり、これらの動向等により当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 化粧品関連市場に係るリスクについて
当社グループは、化粧品関連市場を主たる事業領域として事業を展開しております。化粧品関連市場は、その広告宣伝活動や消費動向等について、比較的景気変動等の影響を受けにくい特徴があるものと認識しておりますが、今後において、当該市場の動向に大きな変化が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 美容系総合ポータルサイト「@cosme」について
① 「@cosme」への依存について
当社グループは、美容系総合ポータルサイト「@cosme」の運営を事業の中核として、化粧品関連市場に特化した各種サービスを展開しており、当社グループが提供する各種サービスは「@cosme」のページビュー(PV)数、総会員数、累計クチコミ件数等を背景としたものとなっております。したがって、新たな法的規制の導入等の予期せぬ事象の発生によりサイトの利便性が低下し、又はユーザーの嗜好に応じきれず、PV数、総会員数、累計クチコミ件数等の各種指標が著しく減少することにより、「@cosme」の広告媒体としての魅力及び価値が低下した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② ソーシャルメディアの動向について
「@cosme」のサイト規模の拡大については、他社が運営するサイトや個人が運営するブログやクチコミサイトを含めたソーシャルメディアの利用拡大を前提としております。
足元の状況では、「Facebook」や「Twitter」などのソーシャルメディアの利用拡大に伴い、企業がソーシャルメディアを活用したマーケティング・プロモーションを促進していること等から、当社グループでは、ソーシャルメディアの利用拡大が今後においても加速するものと想定しております。
しかしながら、ソーシャルメディアの利用拡大が、当社グループの想定通りに推移する保証はなく、新たなメディア市場の登場等によりソーシャルメディア市場が縮小した場合やソーシャルメディアを参考にした購買・消費という行動様式に変化が生じた場合等には、ソーシャルメディアの利用が低迷する可能性があり、これらソーシャルメディアの動向等によっては、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合について
現在、インターネット上において化粧品等を対象としたクチコミを特徴とする女性向けサイトは、会員登録数、クチコミ件数、サイト閲覧件数及び認知度等の状況から、国内において「@cosme」と同規模以上の化粧品クチコミサイトは存在しないものと当社グループは認識しております。
当社グループは、今後においても「@cosme」のサイト規模拡大と質的な充実を図ることにより、当該サイトの一層の強化を推進していく方針でありますが、当該分野における大手企業の新規参入や既存の他社サイトの規模拡大等によりユーザーの獲得競争が激化した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、化粧品分野及びそれ以外の大手の女性向けサイトも複数存在していることから、これらサイトとの競合が発生した場合にも同様のリスクが発生する可能性があります。
④ サイト運営の健全性等について
「@cosme」では、登録会員が化粧品等の使用感や商品の評価(クチコミ)を自由に投稿することが可能ですが、当社グループでは、サイト運営に関して、利用規約、ガイドラインを策定し、サイト上に明示することによって登録会員の適切な利用を促すよう努めております。また、クチコミは、システム上、同一登録会員による1商品に対する投稿が1度に限られる等の仕様とするほか、外部委託を含む投稿内容の全件監視体制を構築しており、登録会員の実際の商品評価に基づかない恣意的な投稿や、当社グループとしてサイト運営上容認できない、誹謗中傷、いやがらせ、知的財産権の侵害及び社会道徳・公序良俗に反する内容等の不適切な投稿等を発見した場合には、当該投稿を削除するなど、一定の規制を実施することにより、健全なサイト運営を維持しております。
「@cosme」におけるクチコミ以外の情報の投稿(コミュニティ機能における投稿等)においても、ガイドラインの策定、監視体制の構築等の一定の規制を実施することにより、健全なサイト運営を維持しております。
しかしながら、サイト内の不適切な投稿について、当社グループが十分に対応できず、又は対応が遅れる場合には、法的責任が問われる可能性があり、また、サイトの健全性を維持できなかった場合には、サイトに対するユーザーの支持低下等が生じる可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが行う投稿内容の削除や修正等の規制がユーザーに受け入れられなかった場合にも同様のリスクがあるものと考えられます。
⑤ サイトにおける新サービス(機能)導入について
近年、インターネット業界においては、SNSやブログ等の新たなコミュニケーションサービスが拡大しつつあり、今後もインターネット上において新たなサービスの導入やその手法等の多様化が進むものと想定されます。
当社グループでは、ユーザーのニーズにあわせて継続的に新たな機能の追加を行っており、サイトの活性化及びユーザビリティーの強化を図っておりますが、それらの施策が当社グループの想定どおりに進捗しない、又は想定どおりの効果が発揮されない場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後においても、既存サービスの強化と新規サービスの導入を図るとともに、そのために必要なシステムの拡充を継続的に行う方針でありますが、適切な対応ができずにサービスの陳腐化が生じた場合又は新サービスがユーザーに受け入れられなかった場合等においては、「@cosme」のユーザーの流出を促し、サイト規模拡大の阻害及び各サービスにおける競争力低下が生じ、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) マーケティング事業に関するリスク
① インターネット広告市場について
株式会社電通発表の「2014年 日本の広告費」(平成27年2月公表)によれば、平成26年のインターネット広告市場は、1兆519億円と前年比112.1%で伸長していると推計されており、インターネット広告はテレビに次ぐ広告媒体となっております。
しかしながら、広告市場は企業の景気動向に敏感であるため、今後急激な景気の変化等により広告需要及びインターネット広告需要に影響が及ぶ可能性があります。そのような事態が生じた場合や、クライアント企業における広告媒体別の予算配分方針に変更が生じた場合には、インターネット広告への広告出稿量の減少や単価の低下等を要因として、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、インターネット広告市場の拡大に伴い、インターネット広告媒体間の広告獲得競争は激化しており、広告媒体としての魅力及び価値の低下により「@cosme」の集客力及び競争力が低下した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② マーケティング事業に関する収入への依存について
当社グループの主たる収入は、マーケティング事業に関する収入によるものであり、当連結会計年度の連結売上高(9,663,761千円)に占めるマーケティング事業の売上高(4,551,907千円)の割合は47.1%と、その依存度は高い状況にあります。したがって、マーケティング事業における競争激化によるクライアント企業の広告出稿量の減少等を通じて、マーケティング事業の収入が減少する事態が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、更なる事業成長を図るため、小売事業(EC事業、店舗事業)、美容事業支援事業、投資育成事業等の拡大によりマーケティング事業への依存を低減させていく方針でありますが、今後におけるそれら各事業に関わる事業計画が当社グループの想定どおりに推移しない場合は、マーケティング事業の収入の変動が当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 広告代理店への依存について
当社グループのマーケティング事業においては、インターネット広告の販売につき複数の広告代理店を活用しております。現状においては、主要な広告代理店に対しての依存度が特に高く、総販売実績に対する販売代理店上位3社への販売実績は、当連結会計年度において連結売上高の13.6%と高い水準となっております。
これら特定の広告代理店に対する依存度が高い状況においては、当該各広告代理店における営業戦略の変化や取引条件の変更等により、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 化粧品関連市場における季節変動について
化粧品関連市場においては、一般に新製品は季節変化に応じて夏期及び冬期向けに発売されるため、これら発売時期に合わせたマーケティング活動が行われております。よって、発売前のプロモーション時期に、化粧品メーカー等において、広告宣伝等に多くの予算が投入されるという特性があります。したがって、当社グループにおけるマーケティング事業の売上高についても、3月~5月及び9月~11月に集中する傾向があります。このため、当該時期の販売動向によっては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 小売事業(EC事業)に関するリスク
① EC市場について
経済産業省の「平成26年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(平成27年5月公表)によれば、平成26年の国内のBtoC-EC市場規模は、対前年比14.6%増の12兆7,970億円に達していると推計されており、その中でも当社グループの小売事業(EC事業)と最も関連性が高い「化粧品、医薬品」のBtoC-EC市場は対前年比8.0%増と推計されており、商取引の電子化が伸展していることが窺えます。
しかしながら、今後においてECサイトの利用者が増加せず、EC市場が当社グループの期待通りに拡大しない場合等には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 取扱い商品の差別化について
当社グループは、小売事業(EC事業)において、卸業者又は化粧品メーカー等の仕入先と、販売する商品の品揃えや独自商品の企画を共同で行っており、「cosme.com」において他社が運営するECサイトに先行した販売や限定商品の販売を行うこと等により、他社が運営するECサイトとの差別化を図っております。
しかしながら、商品の品揃え及び独自商品企画に関して、卸業者又は化粧品メーカー等の仕入先からの協力が得られない等の事象が発生し、「cosme.com」で販売する商品の特色がなくなった場合、又は他社が運営するECサイトとの差別化が図れない場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 物流関連業務の外部委託について
当社グループは、小売事業(EC事業)において、卸業者又は化粧品メーカー等の仕入先から納品される商品の在庫管理業務、商品の梱包、発送等に関する業務、顧客への商品受け渡し、商品代金回収業務等の物流関連業務を外部業者に委託しております。
このため、外部業者のサービスの遅延及び障害等が発生した場合には、外部委託先との契約に基づき、直接的な損害は外部委託業者に賠償請求できるものの、当社に対する顧客の信用低下が発生した場合等においては、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 小売事業(店舗事業)に関するリスク
① 出店政策について
当社グループでは、当社の子会社である株式会社コスメネクストにおいて、「@cosme」の情報を活用した化粧品等の小売業態である「@cosme store」を運営しております。当社グループでは、当連結会計年度末現在において、東京都内に5店舗、大阪市内に1店舗を有しております。当社グループでは、当社グループの定める出店基準に基づき、店舗の出店については、商業集積地区等で高い集客が見込める物件を選択しております。
しかしながら、賃料等の出店条件に見合う物件や販売員の確保ができないこと等により、出店政策が当社グループの想定どおりに推移しない場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 減損損失の発生について
当社グループは、経済環境の著しい変化等により、店舗の収益性が低下し、事業計画における店舗の収益計画に対して大きな乖離が発生した場合等には、店舗において使用する固定資産に関して減損損失を計上する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 小売事業(海外卸売事業)に関するリスク
① 海外経済の大きな変動について
当社グループでは、中国等を中心とした海外への卸販売を行っており、各地域の政治、経済、社会情勢の変化及び各種規制の動向等により、卸販売が予定通りに出来ないリスクがあります。また、為替相場の大幅な変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
② 在庫リスクについて
当社グループでは、適切な在庫管理と販売予測により、品切れによる販売機会ロス削減と過剰在庫の防止を行っておりますが、販売予測を誤った場合は在庫不足または過剰在庫となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
③ 物流関連業務の外部委託について
当社グループの海外卸売事業は、顧客への配送業務を伴うため、燃料価格や委託会社の人件費高騰による物流委託会社への急激な支払いコスト増により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 美容事業支援事業に関するリスク
① サイト運営について
「ispot」では、サロン(エステティックサロン、ネイルサロン等)・ヘアサロン・クリニックの店舗情報(営業時間、所在地、サービスメニュー、診療内容等)や株式会社アイスタイルビューティソリューションズのスタッフが店舗に取材して作成したレポート、ユーザーからの評価情報(クチコミ)を掲載しております。
当社グループでは、サイトの健全性を維持するため、店舗情報及びレポートの作成にあたっては、当社グループにおいて一定の基準を設定し、店舗情報の確認等を行うとともに、サイト等における表示についても関係法令に照らして不適切な表現等の防止に留意しております。また、クチコミは、投稿内容の全件監視体制を構築し、登録会員の実際の利用評価に基づかない恣意的なクチコミや、当社グループとしてサイト運営上容認できない、誹謗中傷、いやがらせ、知的財産権の侵害及び社会道徳・公序良俗に反する内容等の不適切なクチコミを発見した場合には、当該情報を削除するなど、一定の規制を実施することにより、著しく信憑性の低いクチコミや他者の権利を侵害するようなクチコミがサイトに掲載されることがないよう、健全なサイト運営を維持しております。
しかしながら、サイト内の不適正、不適法な掲載情報について、当社グループが十分に対応できず、又は対応が遅れる場合には、法的責任が問われる可能性があり、また、サイトの健全性を維持できなかった場合には、サイトに対するユーザーの支持低下等が生じる可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 脱毛施術を提供するエステティックサロンの掲載基準について
当社グループが運営している、サロン(エステティックサロン、ネイルサロン等)・ヘアサロン・クリニックを紹介する情報サイト「ispot」では、エステティックサロンに関する店舗情報等を掲載しております。「ispot」で掲載しているエステティックサロンが提供する脱毛施術については、厚生労働省医政局医事課長から都道府県衛生主管部(局)長宛の通知文である「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて(厚生労働省医政医発第105号 平成13年11月8日)」において、「用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為は、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反する」との見解が記載されております。その一方で、日本エステティック振興協議会が平成24年5月25日に公表した「光脱毛行為による医師法違反容疑者逮捕の報道について」においては、当該協議会の定めた自主規制に沿った光脱毛を医療の光脱毛と明確に区別するために「美容ライト脱毛」と呼び、エステティックサロンで行う「美容ライト脱毛を医療行為である光脱毛と明確に区別している」との見解を公表しております。
当社グループでは、上記の通知文及び公表文等を参考にし、法令に違反するレーザー脱毛施術及び光脱毛施術を提供していると判明したエステティックサロンは掲載対象としない方針を取っております。
しかしながら、今後、関係法令の改正、解釈の変更等の理由により、エステティックサロンが提供できる脱毛施術の範囲が変更され、「美容ライト脱毛」が違法と判断された場合には、「ispot」に掲載しているエステティックサロンのうち、「美容ライト脱毛」を提供するエステティックサロンとの契約を解消せざるを得なくなるため、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 投資育成事業に関するリスクについて
当社グループは、当社グループの企業戦略に則り、日本国内外における美容関連及びインターネット関連の企業に対して投資を実施しております。
投資先企業は非上場企業が中心であることから、その将来性において不確定要素を多数抱えており、技術革新、市場環境等の外部要因だけでなく、経営管理体制等の内部要因により業績が悪化し、投資先企業の今後の業績の如何によっては、当社グループ保有の営業投資有価証券等の減損損失の計上等により、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) システム等に関連するリスクについて
① システム障害及びセキュリティ対策について
当社グループが営む事業は、インターネット環境におけるサービス提供が主体であり、サーバー等の各種機器及び通信回線等を利用しております。当社グループは、サービスの安定供給を図るために、地震に対応可能な耐震構造を備えたデータセンターを利用し、また、システムの構造について、ファイアーウォールソフトの導入により当社サーバーへの外部からの不正アクセスを遮断するとともに、サーバー上で稼動するOSレベルでのセキュリティを設定する等の二重の防護策を実施した上で、定期的に脆弱性の点検を行い、不正アクセスやウィルスの感染の対策を実施しております。また、サーバー上で保存しているデータについては、毎日バックアップを取得し、定期的に複製しており、データ保全に努める等のセキュリティ対策を講じております。
しかしながら、アクセス集中による一時的な過負荷や電力供給の停止、通信回線の遮断、ソフトウエア又はハードウエアの不具合、自然災害、人為的なミス、事故及び外部からの不正な進入等の犯罪行為など、当社グループの想定しないシステム障害等が生じた場合には、当社グループの事業活動に支障をきたす可能性があります。
また、サーバー等の作動不能や欠陥等に起因して、重要なデータが消失又はサービスが利用できなくなった場合や、予定通りに広告を掲載することができなくなった場合には、信用低下や損害賠償等により、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新への対応について
インターネット関連分野においては活発な技術革新が行われており、当社グループとしても、技術革新に応じたシステム拡充及び事業戦略の修正等を迅速に行う必要があるものと考えており、業界の動向を注視しつつ、専任のシステム部門を中心として迅速にシステム開発を行う体制を敷いております。
しかしながら、予期しない技術革新等があった場合、その対応に係る追加のシステム開発費用が発生する可能性があります。また、システム開発等の適切な対応に支障が生じた場合には、各事業における競争力低下及びユーザーの流出等を招く可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ システム投資等について
当社グループは、新たなインターネット技術を活用したサービスの台頭やコミュニケーション手法の多様化に対応すべく既存サービスの強化及び新規サービスの導入を図るとともに、今後の会員数及びサイト閲覧件数の増加に備え、システムプラットフォーム等への継続的なシステム投資を計画しております。
しかしながら、インターネットにおける技術・サービス等の急激な変化や当社グループの計画を上回る急激な会員数及びサイト閲覧件数の増加があった場合、システム投資の時期、内容、規模について変更せざるを得なくなる可能性があります。このような事態が生じた場合には、システム投資、減価償却費負担の増加や減損損失の計上が想定され、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 組織体制について
① 特定人物への依存について
当社の代表取締役社長である吉松徹郎は創業者であり、当社設立以来、最高経営責任者として代表取締役を務めております。同氏は、インターネット業界を中心とする人的ネットワーク等を通じて現在の事業基盤を構築してきた経緯から、インターネット関連業界に精通しており、同業界に事業基盤を有する当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行に重要な役割を果たしております。
当社グループにおいては、取締役会や経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人員の獲得及び育成について
当社グループは、今後想定される事業拡大や新規事業の展開に伴い、継続した人材の確保が必要であると考えております。特に、事業基盤を拡大・成長させていくための高度なマネジメント能力やシステム技術分野のスキルを有する人材確保に努めるとともに、教育体制の整備を進め人材の定着を図るよう努めていく方針であります。
しかしながら、当社グループの求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材の流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じる可能性があり、そのような事態が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制について
当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。
当社グループでは、役職員等の内部関係者の不正行為等が発生しないよう、コンプライアンス規程を制定し、当社グループの役職員が遵守すべき法令、ルールを定めており、内部監査等により遵守状況の確認を行っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生するといった事態が生じた場合、事業の急速な拡大により内部管理体制の構築が追いつかないという事態が生じる場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 法的規制について
① インターネットにおける法的規制について
当社グループは、インターネット上の事業展開において各種法的規制等を受けており、その主な内容及び当社グループの対応状況は以下のとおりであります。
ア)電気通信事業法
電気通信事業者に対して、通信の秘密の保護等の義務が課せられております。当社は同法に基づき、電気通信事業者として届出を行っております。
イ)特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)
同法における特定電気通信役務提供者として、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信による情報の流通において他人の権利の侵害があった場合には、権利を侵害された者に対して損害賠償義務及び権利を侵害した情報を発信した者に関する情報の開示義務を課されております。
ウ)不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)
同法におけるアクセス管理者として、努力義務ながら不正アクセス行為からの一定の防御措置を講ずる義務が課されております。
エ)特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)
営利団体等が、個人(送信に同意した者等を除く。)に対し、広告・宣伝の手段として電子メールを送信する場合に、一定の事項を表示する義務等が課されております。当社グループは、会員向けメールマガジン等の配信においては、その送信につき事前に同意した会員等に対してのみ配信する方針をとっております。
近年、インターネット上のトラブル等への対応として、インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されている状況にあり、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の規制や既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業が制約を受ける可能性があり、その場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② マーケティング事業における法的規制について
当社グループのマーケティング事業における広告掲載に関しては、サイトの特性上、主たる広告主として化粧品メーカーからの広告出稿がその多くを占めております。
当社グループでは、サイトへの広告掲載について以下の法令に抵触しないよう、法令に準じて基準を定め、運用を徹底しております。
ア)薬機法
医薬品、医薬部外品、化粧品等についての取扱い、広告等に関する規制等が定められており、虚偽・誇大広告の禁止、効能効果等に関する表現の規制等の遵守が求められております。
イ)食品衛生法
食品についての取扱い、広告等に関する規制等が定められており、虚偽・誇大な広告等の禁止等の遵守が求められております。
ウ)健康増進法
食品についての取扱い、広告等に関する規制等が定められており、健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示の禁止等の遵守が求められております。
エ)不当景品類及び不当表示防止法
過度に高額な景品等の不当な景品類の禁止、優良誤認、有利誤認等不当な表示の禁止等の遵守が求められております。
当社グループでは、広告掲載前に広告内容の審査を行い、広告の内容が法令に抵触する恐れがある場合や公序良俗に反する内容である場合には、速やかに掲載停止等の措置を講じる体制を敷いております。
しかしながら、予期せぬ人的ミスの発生等により、法令に抵触する恐れのある広告等の誤った情報を掲載してしまう可能性は否定できず、ユーザーからのクレームや行政当局からの指導・勧告を受ける可能性があり、これらに起因してユーザーや取引先の信頼の低下等が生じた場合や化粧品及び健康食品等に係る広告に関する規制が強化される等の不測の事態が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③小売事業における法的規制について
当社グループが運営しているECサイト「cosme.com」及び小売販売店「@cosme store」においては、化粧品、医薬部外品及び食品(健康食品)等の販売を行っており、これら商品の販売者として、主に以下に掲げる法律等の規制を受けております。
ア)薬機法
医薬品、医薬部外品、化粧品等についての取扱い、広告等に関する規制等が定められており、無許可無認可医薬品の販売等の禁止、原料や表示等に関して法令の要件を満たさない商品の販売等の禁止、虚偽・誇大広告の禁止、効能効果等に関する表現の規制等の遵守が求められております。なお、食品等についても、医薬品的効能効果等を標榜して販売等を行った場合には、無許可無認可医薬品の販売等にあたる恐れがあるものとされております。
イ)食品衛生法
食品についての取扱い、広告等に関する規制等が定められており、原料や表示等に関して法令の要件を満たさない商品の販売等の禁止、虚偽・誇大な広告等の禁止等の遵守が求められております。
ウ)健康増進法
食品についての取扱い、広告等に関する規制等が定められており、健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示の禁止等の遵守が求められております。
エ)不当景品類及び不当表示防止法
過度に高額な景品等の不当な景品類の禁止、優良誤認、有利誤認等不当な表示の禁止等の遵守が求められております。
オ)特定商取引に関する法律
「cosme.com」においては、通信販売を行う事業者として、広告における一定事項の表示、誇大広告の禁止等の遵守が求められております。
当社グループは、商品の取り扱いやサイト上の表示方法、販売方法等について各種法規制を遵守すべく、適宜行政当局に相談するとともに、法務の体制強化を推進しております。
具体的には、当社グループが取り扱う商品については、必ずしも大手製造業者の商品とは限らず、中小製造業者の商品や輸入商品等も取り扱っていること等から、当社グループにおいては、一定の基準及びマニュアルを策定し、取扱商品の選別、確認等を行うとともに、サイト等における表示についても法規制に照らして不適切な表現等の防止に留意しております。
当社グループにおきましては、このように適切な事業運営に努めており、現時点において重大な法的問題は生じていないものと認識しております。しかしながら、薬機法等の法規制に関しては個別事象にかかる明確な判断が困難な場合があることに加えて、今後法規制が変更された場合には、当社グループの人員体制の限界等から、当該法規制が求める対応等が十分に実施できない可能性があることから、行政機関からの指摘又は処分や購入者からのクレーム又は損害賠償等が生じる可能性があり、その場合には当社グループの信用低下等が生じ、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、将来において薬機法、食品衛生法、健康増進法その他の法規制における解釈、運用の変化や規制の強化、新たな規制の制定等により、より厳格な対応を求められる可能性は否定できず、当該規制の動向により当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 美容事業支援事業における法的規制について
当社グループが運営している、サロン(エステティックサロン、ネイルサロン等)・ヘアサロン・クリニックを紹介する情報サイト「ispot」においては、エステティックサロンやクリニックに関する店舗情報等を掲載しており、主に以下に掲げる法律等の規制を受けております。
ア)不当景品類及び不当表示防止法
過度に高額な景品等の不当な景品類の禁止、優良誤認、有利誤認等不当な表示の禁止等の遵守が求められております。
イ)特定商取引に関する法律
広告における一定事項の表示、誇大広告の禁止等の遵守が求められております。
ウ)医療法
病院・診療所・助産所等の医療施設についての開設・管理、広告等に関する規制等が定められており、虚偽・誇大・比較広告の禁止、効能効果等に関する表現の規制等の遵守が求められております。
エ)薬機法
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等についての取扱い、広告等に関する規制等が定められており、虚偽・誇大広告の禁止、効能効果等に関する表現の規制等の遵守が求められております。
当社グループでは、店舗情報を掲載する前に店舗情報の内容の審査を行い、店舗情報の内容が法令に抵触する恐れがある場合や公序良俗に反する内容である場合には、速やかに掲載停止等の措置を講じる体制を敷いております。
しかしながら、予期せぬ人的ミスの発生等により、法令に抵触する恐れのある情報を掲載してしまう可能性は否定できず、ユーザーからのクレームや行政当局からの指導・勧告を受ける可能性があり、これらに起因してユーザーや取引先の信頼の低下等が生じた場合や上記の法的規制が強化される等の不測の事態が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 個人情報の保護について
当社グループは、サービスの提供に際して、登録会員の個人情報(名前、メールアドレス、性別、住所、職業、生年月日、肌質、髪質、クチコミ履歴、化粧品購入履歴等)を取得していることから、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。
当社グループでは、個人情報の保護の徹底を図るべく、平成18年3月にはプライバシーマークを取得し、このプライバシーマークの運用規程に従い、個人情報の保護の方針を定め、当方針の遵守を徹底するよう努めるとともに、社内情報のアクセス権を制限・管理し、かつ個人情報の取扱いに関する社内教育を行うなど、管理運用面についても、慎重を期しております。
しかしながら、当社グループが保有する個人情報等について、漏洩、改ざん、不正使用、外部からの不正アクセス、その他想定外の事態が発生する可能性が完全に排除されているとはいえず、これらの事態が発生した場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社グループへの損害賠償請求、当社グループの信用の低下等によって、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 知的財産権について
当社グループは、第三者の特許権、商標権等の知的財産権に関して、外部の弁護士等を通じて調査する等、その権利を侵害しないよう留意するとともに、必要に応じて当社グループの知的財産権の登録等について申請することで、当該リスクの回避を検討しております。しかしながら、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性や当社グループの事業分野で第三者による知的財産権が成立する可能性があること等から、当社グループによる第三者の知的財産権の侵害が生じる可能性は否定できず、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より、損害賠償請求、使用差止請求、ロイヤルティの支払い要求等が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、会員が投稿したクチコミを、広告又は販促物等に使用することを目的として有償で提供する場合があります。この場合において、当社グループでは、当該クチコミについて弁護士その他の専門家の意見をふまえて、会員登録時に、投稿したクチコミを当社が利用することを定めた利用規約への同意を得ておりますが、当該クチコミの利用において、権利処理に関連した投稿者本人からのクレーム等に起因する風評問題等が発生した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 新規事業の展開について
当社グループは、マーケティング事業におけるスマートフォンやタブレット端末等の新しいデバイスへの対応、プレミアム会員サービスの拡大等、新規事業の展開を推進することを計画しておりますが、新規事業の展開に当っては、当社グループにおいて大規模な事業開発及びシステム開発を行う必要があり、当該開発が人員不足等の原因により対応が遅れた場合や、マルチデバイス展開やプレミアム会員サービスにおける会員数の獲得が想定どおりに進捗しなかった場合等には、当社グループの利益を減少させる可能性があります。また、事業開発及びシステム開発等が想定どおりに進捗した場合であっても、安定して収益を生み出すにはある程度の期間を要する可能性もあり、結果的に当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 業務提携・M&Aにかかるリスクについて
当社グループでは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、当社グループのサービスと親和性の高い企業との業務・資本提携やM&Aを通じた事業の拡大に取り組んでおります。しかしながら、被買収企業との融合又は提携先との関係構築・強化が予定通り進捗しない場合、統合又は提携により当初想定した事業のシナジー効果等が得られない場合、何らかの理由により当該業務提携が解消された場合など、投資に要した資金、時間その他の負担に見合った利益を回収できない可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは、会計基準に従ってかかるのれんを今後一定の期間にわたり償却いたしますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断される場合には、当該のれんについて減損損失を計上する必要があり、これにより、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 訴訟発生リスクについて
当社グループでは、コンプライアンス規程を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させることで、法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、ユーザーや取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。また、特許権等の知的財産権による訴訟についても前述のとおり訴訟発生リスクがあるものと考えております。提起された訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や企業ブランドイメージの悪化等により、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。
(16) ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について
当社グループでは、取締役、従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権等に加え、今後付与される新株予約権等について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。