訂正有価証券報告書-第35期(平成30年7月1日-令和1年6月30日)

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2019/11/20 16:21
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120項目

事業等のリスク

当社の経営成績、財政状態および株価等に影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 介護保険制度について
当社の事業の中心となる介護付有料老人ホーム事業は、介護保険法に定める居宅サービスのうち「特定施設入居者生活介護」において、都道府県知事等より「指定居宅サービス事業者」の指定を受け、介護報酬の給付を受けております。「指定居宅サービス事業者」の指定を受けるには、「指定居宅サービス等の事業の人員、設置及び運営に関する基準」(介護保険法に基づく厚生労働省令)を満たしている必要があり、その基準に達しないことで、監督官庁より行政処分を受けた場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が運営する住宅型有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅の場合においても、介護サービスの提供にあたり、介護保険法に定める居宅サービスのなかで必要に応じて「訪問介護」「訪問看護」「通所介護」「居宅支援事業」のそれぞれの指定が必要であり、各指定基準において監督官庁より行政処分を受けた場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社のホームは現在それらの基準をすべて満たしておりますが、今後万が一、上記基準が満たせなくなった場合には、定められた介護報酬よりも減額される可能性があり、また、そうした期間が長期間にわたる場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
2000年4月1日に施行された介護保険法は、3年毎に各都道府県・各市町村において保険事業計画の見直し、さらには介護保険法附則第2条において、施行後5年目を目途として制度全般に関して検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直し等の措置が講ぜられるべきものとされております。2006年4月1日に施行された改正介護保険法では施設開設における総量規制が取り入れられ、介護報酬については、2009年、2012年、2014年(消費税増税分を補てんする意味合いからの臨時改定)、2015年及び2017年(介護職員の処遇改善のための臨時改定)に改定が行われました。
2015年4月の改定では介護報酬改定率は全体で2.27%の引下げと9年ぶりのマイナス改定となりました。内訳としては、介護職員の賃上げにつながる処遇改善及び手厚い介護に取り組む事業者には加算を拡充する一方、増大する介護費用を抑制するために事業者向け介護報酬単価は平均4.48%の引下げとなりました。
また、2017年4月の臨時改定では、介護職員の処遇改善を実施するため1.14%の引上げとなりました。なお、この引上げ額はすべて処遇改善のために反映させることとなっております。
2018年4月の介護報酬改定は、2015年4月の介護報酬引下げに伴う介護事業者の厳しい経営状況及び介護職員の処遇改善等の必要性を踏まえ、小幅ながらも6年ぶりのプラス改定となりました。
今後も、介護報酬の引下げ等の介護事業者に不利な改正がなされた場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
今後のさらなる高齢化に伴い介護サービスニーズの高まりが推測され、異業種からの新規参入や同業他社の事業拡大のスピードが加速されるものと考えられます。よって、当社が事業展開している地域において品質向上のためのコスト増加や価格競争のさらなる激化等が生じる場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、2006年4月1日の介護保険法改正より続いている特定施設の総量規制が緩和された場合、当社においては新規開設による拡大スピードの加速化といった利点がある反面、競合が激化し新規ホームの入居ペースの鈍化のみならず、既存ホームにおいても入居率の低下につながることも懸念されます。このため、制度改正に伴い、新規参入業者が増加した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定事業への依存に関するリスク
当社の事業領域は介護業界のなかでも、介護付有料老人ホームを中心とした施設介護事業に集中しております。施設介護事業を含む介護業界は高齢化に伴う市場ニーズの増大により、今後もさらなる需要拡大が見込まれておりますが、今後の業界動向は介護保険法改正等の様々な外部の影響を受けることとなります。このため、在宅介護を中心とする介護保険制度への転換を意図した介護保険法や老人福祉法の改正等によって、施設介護事業を中心とした事業戦略からの転換を強いられた場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 従業員の確保について
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた介護付有料老人ホームには、人員に関する基準(資格要件、配置基準)が定められております。また、介護業界の成長に伴い、介護サービスの需要の増大や競争激化による労働力不足が懸念されている状況であります。当社では、事業規模の拡大に伴い、人材の確保・育成に向けて、新卒採用及び中途採用を積極化するとともに、定着率向上のためのキャリアパス制度の再構築をはじめ、処遇改善、人事制度の見直し、教育研修制度の充実などの取り組みを行っております。しかしながら、このような施策の効果が充分に得られず、従業員の確保や配置が進まない場合、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 新規ホームの開設について
当社は事業拡大にあたり、今後も計画的な新規ホームの開設を進めていく所存ですが、「①介護保険制度について」で記載のとおり、2006年4月1日の介護保険法改正に伴って施設開設に対する総量規制が行われていることから、特定施設の新規開設に当たっては、各都道府県・各市町村の事業計画にしたがった公募に対して、介護事業者が応募し選定を受ける必要があります。当社は各都道府県・各市町村の動向やニーズを適宜把握する等の対応をしておりますが、計画通りに選定を受けることができなかった場合、当社の事業計画遂行に影響を及ぼす可能性があります。さらに、選定を受け、新規ホームが開設できたとしてもご入居者様の入居が円滑に進まなかった場合、あるいは従業員の募集が円滑に進まずサービスが提供できない状態が長期間続いた場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 有料老人ホームにおける土地・建物に関する契約について
当社が運営する有料老人ホームは、土地の定期借地契約及び建物の賃貸借契約において20年以上の契約期間を定めております。なお、原則としてその期間は解約ができないことから、当社にとっては安定かつ継続的に土地・建物を賃借し運営できる反面、入居率の低下等に伴い利用料金の見直しが必要になった場合、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす場合があります。
⑦ 差入保証金について
当社は介護付有料老人ホームの新規開設における賃借時に保証金を差し入れております。差入保証金の残高は2019年6月30日現在3,406,578千円となっており、総資産に占める比率は18.1%であります。
当社は、新規開設の際の与信管理を徹底していますが、賃借先のその後の財政状態の悪化等によって、差入保証金の全部又は一部が回収できなくなった場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 有利子負債について
当社は今まで新規ホームの開設に伴う設備投資資金を主として金融機関からの借入により調達してまいりましたので、総資産に対する有利子負債残高の割合が次表のとおり高い水準で推移しております。
今後の新規ホームの開設は、土地所有者に建物を建築していただき、一括賃借する方法などにより有利子負債増加の抑制を図っているものの、これまでの影響から当分の間は有利子負債依存度が相対的に高い水準で推移していくことが予想されます。
このような状況の中、金融情勢の変化などにより計画どおりに資金調達ができず計画的なホーム開設が困難となる場合や市場金利の上昇により資金調達コストが増大した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
前事業年度末当事業年度末
(2018年6月30日)(2019年6月30日)
有利子負債残高(千円)7,259,9396,945,040
総資産残高(千円)17,213,82218,805,136
有利子負債依存率(%)42.236.9

(注)1.有利子負債残高は、借入金及びリース債務の合計であります。
2.有利子負債依存率は、有利子負債残高を総資産残高で除した数値を記載しております。なお、下表に記載の借入契約につきましては、財務制限条項が付されております。これに抵触した場合には当該借入金の返済もしくは新たな担保権の設定を求められ、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
金融機関名契約締結日前事業年度末
借入残高
当事業年度末
借入残高
借入種別
株式会社
三菱UFJ銀行
2009年3月13日90,000千円30,000千円金銭消費貸借契約
2015年7月13日842,400千円795,600千円金銭消費貸借契約
株式会社
りそな銀行
2013年9月26日548,368千円501,712千円金銭消費貸借契約
2015年10月28日572,400千円540,600千円金銭消費貸借契約

⑨ リース会計基準変更の可能性について
当社では現在、一部の土地及び建物をオペレーティング・リースにより調達しており、財務諸表上はオフバランスとなっておりますが、リース会計基準等の変更によりオペレーティング・リース対象資産・負債をオンバランス処理することとなった場合には、購入額相当分が計上されることとなるため、当社の自己資本比率が現状より低下する可能性があります(なお、2019年6月30日現在における土地及び建物に係るリース契約残高の総額は95,135,647千円であります)。
⑩ 固定資産の減損リスクについて
当社は、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」を適用しております。今後資産の利用状況及び資産から得られるキャッシュ・フローの状況等が悪化し、減損処理が必要となった場合、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 自然災害について
当社は、2019年6月末現在、首都圏(東京都)及び近畿圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県)において事業を展開しておりますが、これらの地域において予測不能な地震、風水害等の自然災害が発生し、ホームに影響が生じ業務を停止せざるを得ない状況や、建物や設備が損傷しその修復に多大な費用が必要となった場合、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 高齢者向けの事業であることについて
当社の事業は高齢者を対象としているため、ご入居者様がホームで生活をしていく上で移動中の転倒事故等の危険性があると考えております。また、ホーム内では食事や入浴等の介護サービスの提供を行っていることから、ご入居者様の集団感染あるいは食中毒が発生する可能性もあります。
当社は過去の運営実績をもとにした事故防止対策や、うがい・手洗い・アルコール消毒剤等での手指消毒の徹底による感染症の集団発生の予防をはじめとした安全管理や健康管理、あるいはご入居者様への食事の外注先である給食業者への衛生管理の徹底に万全を期するよう取り組んでおりますが、万が一ホーム内での事故や感染症の流行、食中毒等が発生した場合には、当社の信用が低下するとともに訴訟等で損害賠償請求を受ける恐れがあり、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、ご入居者様が事故や病気等の理由により入院治療が必要となるなど、何らかの理由により一時的に退去者数が増加した場合にも稼働率が低下し、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 情報管理について
当社の事業を運営するにあたり、ご入居者様あるいはそのご家族様の重要な個人情報を取り扱っております。システム上の情報管理については漏洩防止のため、ファイアーウォールによる外部ネットワークからのアクセス遮断、ウィルス対策ソフトによるマルウェアなどからの保護を実施するほか、原則ノートパソコンなどの電子機器の持ち出しを禁止しております。また、ノートパソコンには、起動時のパスワード管理を実施しており、第三者が容易に起動させることができない設定となっております。以上の対策を厳重に講じておりますが、万が一システム等からの情報が流出し、当社の信用が低下した場合、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 風評等の影響について
当社の事業は、ご入居者様やそのご家族様のみならず地域住民や介護にかかわる方々からの信頼のもとに成り立つものと認識しており、従業員には経営理念を浸透させ、安定的かつ質の高いサービスを提供するよう指導、教育を行っております。しかしながら従業員の不祥事等何らかの理由で、社内、社外を問わず当社に対して不利益な情報や風評が流れた場合、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。