有価証券報告書-第9期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 9:53
【資料】
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【項目】
106項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中に記載した将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実な内容を含んでおり、将来の実績との間に差異が生じる可能性がありますので、ご留意ください。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような重要な会計方針及び各種引当金の見積りの概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
(2) 経営成績についての分析
①売上高
売上高につきましては、23,628,459千円(前年同期比8.6%増)となりました。この増加の主な要因は、介護事業において既存施設の入居率がやや低下したものの、前期開設した施設の入居者が増加したこと、また当期において新規の施設開設を介護付有料老人ホーム3カ所、ショートステイ3事業所、デイサービスセンター1事業所行ったこと及び、新規出店をカラオケ事業で10店舗、飲食事業で国内2店舗、海外(タイ)1店舗実施したことなどであります。
②売上総利益
売上総利益につきましては、介護事業における施設の新規開設に伴う費用等の増加が生じたことや、カラオケ事業及び飲食事業の既存店が減収となり原材料並びに労務費等のコスト低減策を講じましたが、売上高減少分を補うまでには至らず、2,914,485千円(前年同期比12.9%減)となりました。
③営業利益
販売費及び一般管理費につきましては、1,481,656千円(前年同期比21.0%増)となりました。主な内容は人件費及び公租公課のほか、IR等の費用となります。この結果、営業利益は、1,432,829千円(前年同期比32.4%減)となりました。
④経常利益
営業外収益につきましては、284,264千円(前年同期比42.5%減)となりました。これは前年の介護事業において、サービス付き高齢者向け住宅等の新規施設開設時の補助金収入が206,134千円発生していたのに対し、当期には、補助金の支給対象に該当する新規施設開設がなかったことが主な要因です。営業外費用につきましては、162,978千円(前年同期比19.9%減)となりましたが、これは株式公開費用が減少したことが主な要因です。この結果、経常利益は、1,554,115千円(前年同期比35.5%減)となりました。
⑤当期純利益
特別利益につきましては、介護施設3物件のセールアンドリースバック取引を行ったことで固定資産売却益を計上するなどした結果、814,916千円(前年同期比37.5%減)となりました。特別損失につきましては、介護事業において3施設、カラオケ事業において10店舗、飲食事業において居酒屋店舗2店舗の減損損失を計上するなどした結果、313,166千円(前年同期比126.7%増)となりました。この結果、当期純利益につきましては、1,289,725千円(前年同期比41.8%減)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 戦略的現状と見通し
今後の見通しにつきましては、介護事業におきましては、福岡県外での新規施設の開設予定が複数あり、新たに進出する地域において地域社会との交流を活発に行い、認知度と信頼関係を強化するとともに、高齢者サービスへの需要に対して適時に対応することでビジネスの拡大をはかってまいりたいと考えております。
また、カラオケ事業におきましては、消費税増税の影響等から客数が減少傾向にある現状を踏まえて、アプリ会員や65歳以上のゴールドメンバーを積極的に募集し、リピート率の向上に努めてまいりたいと考えております。
飲食事業においては、国内ではサービスや商品の強化を随時行うことで、顧客の信頼や安心感を高め客数の向上をはかるとともに、海外においては、日本食の需要の高い地域での出店も検討してまいります。また、継続して、カラオケ店舗と居酒屋店舗の顧客の回流を促進することで、効率的に収益の向上をはかってまいります。
不動産事業においては、販売用不動産などの調査を行うほか、その他では、ホテル事業の業績向上をはかることで、介護事業との相乗効果を高めたいと考えております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度におきましては、主に介護施設3施設の新規開設やカラオケ店舗10店舗の出店に伴い4,479,272千円の設備投資を行いました。これらの設備投資においては、借入金及び自己資金等で賄っております。
また、介護事業におきまして3施設のセールアンドリースバック取引を行い、3,000,000千円の資金を得ております。この資金は、当該3施設を取得した際の借入金の返済に充当しております。
主にこれらの理由に伴う、当社グループのキャッシュ・フローの状況及び財政状態は以下の通りです。
(キャッシュ・フローの状況の分析)
キャッシュ・フローの概要につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(財政状態の分析)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ2,050,456千円増加し、32,693,177千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末より1,315,276千円増加し、16,201,527千円となりました。主な要因は、現金及び預金が482,810千円、その他が1,160,244千円増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末より735,180千円増加し、16,491,650千円となりました。主な要因は、建物及び構築物が173,332千円、土地が253,100千円、敷金及び保証金が140,042千円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べ973,457千円増加し、17,307,162千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より200,240千円減少し、7,080,146千円となりました。主な要因は、未払法人税等が555,266千円減少した一方で、短期借入金が26,000千円、1年内返済予定の長期借入金が94,102千円、その他が150,013千円増加したこと等によるものです。
固定負債は前連結会計年度末より1,173,697千円増加し、10,227,016千円となりました。主な要因は、長期借入金が1,023,572千円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末より1,076,998千円増加し、15,386,015千円となりました。主な要因は、当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものです。
また、資金の流動性については、当連結会計年度における流動比率は、228.8%となっており、今後、十分な流動性を確保するために、比率を高めてまいります。
(6) 介護施設に関するオフバランススキームの活用とセールアンドリースバック取引について
当社グループは、総資産圧縮による資産効率向上及び設備投資負担を軽減させることを目的とし、自社開発した介護施設において、セールアンドリースバック取引を活用しております。具体的には、介護施設のオフバランススキームにより、国内外の投資ファンド等が出資するSPCへ売却すると同時にリースバックする取引が代表的なものであり、今後も自社開発物件については、検討の上で外部への売却及び賃借方式への切り替え等の対応を図っていく方針であります。これらの取引の活用は、施設運営の効率化を可能とし、介護事業の展開速度を速めるとともに、中長期的に継続して成長する上での一つの方策として位置付けております。
(7) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、平成18年10月の設立以来、『幼・青・老の共生』をコンセプトに事業子会社である株式会社さわやか倶楽部、株式会社ボナーを通じ、高齢者介護施設の運営、カラオケ・飲食店舗の運営、不動産事業等の事業活動を展開してまいりました。現在は介護事業・カラオケ事業・飲食事業を3本柱として、地域社会に必要とされる企業となること及び顧客に安心・信頼していただけるサービスの継続的な提供を行うことを経営課題として日々事業活動に取り組んでおります。
当社グループが参画する主要3事業を取り巻く環境は、介護事業では、高齢化社会を背景に需要が拡大して行くものと認識しております。また平成22年6月には、特別養護老人ホームなど介護施設の総利用者数を一定の範囲に抑える総量規制を後押ししている参酌標準を撤廃し、第5期介護保険計画(平成24年度~平成26年度)から、各都道府県が地域の実情に応じて策定可能とすることが閣議決定されたことを受け、これまで以上に地域において、その実情に応じた基盤整備が進んでいくものと考えられます。従いまして、当社グループが中心として取り組んでいる特定施設の開設も、より市町村との繋がりを密にし、公募等の情報を適時に把握していくことが必要となると考えられます。また、平成27年度介護報酬改定において改定率が2.27%引き下げとなったことは、介護事業者だけでなく、介護保険サービスを利用する被保険者においても大きな影響があると考えられ、これまで以上に健全な運営を行う基盤の整った介護事業者が求められるものと考えられます。
カラオケ事業におきましては、カラオケボックス業界の市場規模が縮小傾向にあり、事業者間での競争が激化していると認識しております。今後におきましても、少子化の影響で主要な客層である10代から20代の利用が徐々に縮小していくと考えられますが、一方で団塊世代の定年後の余暇需要が新たなマーケットとして期待される点や、平成19年度以降のカラオケ参加人口がほぼ横ばいであることなどを踏まえると、今後も参加人口については現状とほぼ変わらずに推移するのではないかと考えられます。
飲食事業のうち、当社グループが主に参画している居酒屋業界におきましては、長引くデフレや「若者のアルコール離れ」等からの影響で、市場規模が縮小傾向にあると認識しております。今後もこの傾向は継続すると考えられるため、アルコール以外の商品の充実や食品の質・品揃えの向上、接客サービスでの差別化、コンセプトを含めた店舗の特徴などのさらなる充実をはかる必要があると考えられます。また、海外における日本食需要の高い地域での出店においても継続して検討を行ってまいります。
このような事業環境の下、当社グループは各事業分野において、課題の対処を強化し、顧客の要求に速やかに対応するとともに、地域社会との繋がりを深め、信頼関係を構築していくことで、競合他社との差別化を行ってまいります。さらに従業員の教育を徹底し、専門知識の習得とサービスの質を高めることにより、一層の企業体質の強化をはかってまいります。