四半期報告書-第40期第3四半期(平成26年6月1日-平成27年2月28日)

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2015/04/14 15:18
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当四半期報告書は、第3四半期に係る最初に提出する四半期報告書であるため、前年同四半期との比較については参考として記載しております。
(1) 業績の状況
当第3四半期累計期間(平成26年6月1日から平成27年2月28日まで)におけるわが国の経済は、政府による継続したデフレ脱却、経済再生と財政再建の各種政策の効果等から、一部で企業収益に改善がみられ、雇用・所得環境に改善の動きがみられる一方で、国内の個人消費マインドには弱さがみられ、海外景気の下振れリスク、継続的な原材料価格の高騰や物流運賃の上昇などの懸念もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経営環境のなかで当社は、販売戦略上の管理単位である「飲食店等(プロ)向け業務用スイーツ事業(以下、業務用チャネル)」、「宅配向けスイーツ事業(以下、宅配用チャネル)」、「小売市場向けスイーツ事業(以下、小売用チャネル)」、「海外向けスイーツ事業(以下、輸出チャネル)」それぞれにおいて売上が堅調に推移した結果、売上高は1,229,472千円(前年同期は994,176千円、235,295千円の増収(対前年同期比23.7%増))となりました。
特に、最繁忙期となる12月の売上高は264,047千円(前年同月は187,350千円、対前年同月比76,696千円の増収 (対前年同月比40.9%増))となり、12月単月の売上高としては初めて200,000千円を超え、前事業年度に引き続き過去最高額を更新いたしました。
このように売上高が堅調な要因として、販売戦略上の管理単位を定義し、①顧客の要求事項を満たす商品分類とコンセプトに合致する商品開発体制を整備したこと、②国内最大の消費地である首都圏の営業体制を強化し業務用チャネルにおける大手外食チェーンからの受注が拡大したこと、③エリアごとに営業戦略を策定し、その地域の有力顧客に重点的にアプローチすることで、営業効率が改善し、営業人員当たりの売上高拡大に成功したこと、④タイ、香港において現地有力企業との販売提携、業務提携を通じた輸出の拡大、その他台湾、シンガポールでの催事出店など、輸出チャネルでの売上高が拡大したことなど、前事業年度から継続的に取組んでいる営業施策の効果が現われはじめたことが挙げられ、これが大幅な増収につながりました。
しかしながら、12月の受注量が当初計画や直前の需要予測を上回り、受注自体は好調だったものの、供給量が追い付かずに需給関係が逼迫し、結果的に受注に対し、出荷調整を行う状況となりました。この結果、機会損失が発生いたしましたが、これは継続的に取組んでいる営業施策の効果が想定を超えたためであり、販売生産の予実管理、1日当たりの生産量の拡大など、目の前にある需要を確実に成果につなげられるように当該問題の解決に取組み、更なる売上高の拡大に努めてまいります。
一方で、堅調な売上高の推移を受けて、①当第1四半期会計期間に固定オーブン、ショックフリーザー等の生産設備を一部更新したことで生産能力の底上げを推し進めたこと、②工場の稼働時間を延長して増産体制にシフトさせた結果、生産人員の習熟度向上による生産効率の改善や歩留りの改善が1日当たりの生産金額を押し上げる効果をもたらしたこと、③生産量の拡大により1単位当たりの製品に配賦する製造間接固定費(単位当たり製造間接固定費配賦額)が対前年同期に比して減少していることなどが主たる要因となり、結果として売上原価率が73.0%と前年同期74.4%に対して1.4ポイント改善いたしました。
以上の活動の結果、増収と売上原価低減の両方に成功して好調な結果を残すことができ、当第3四半期会計期間の売上高は518,339千円(前年同期は384,618千円、133,720千円の増収(対前年同期比34.8%増))、営業利益は54,934千円(前年同期は20,932千円、34,001千円の増益(対前年同期比162.4%増))、経常利益は49,415千円(前年同期は13,701千円、35,713千円の増益(対前年同期比260.6%増))、四半期純利益は47,292千円(前年同期は14,013千円、33,279千円の増収(対前年同期比237.5%増))となり、第3四半期会計期間の業績としては過去最高を更新いたしました。
また、当第3四半期累計期間の売上高は1,229,472千円(前年同期は994,176千円、235,295千円の増収(対前年同期比23.7%増))、営業利益は44,132千円(前年同期は9,761千円の営業損失、53,893千円の改善)、経常利益は26,988千円(前年同期は34,989千円の経常損失、61,978千円の改善)、四半期純利益は22,265千円(前年同期は31,829千円の四半期純損失、54,094千円の改善)となり、当第3四半期において通期業績を黒字化することに成功いたしました。
なお、当社が重要業績評価指標と位置付けているEBITDAについて、当第3四半期会計期間では70,036千円(前年同期は31,364千円、38,671千円の増加)、EBITDAマージンは13.5%(前年同期は8.2%、5.4ポイントの増加)となり、当第3四半期累計期間では86,572千円(前年同期は32,190千円、54,381千円の増加)、EBITDAマージンは7.0%(前年同期は3.2%、3.8ポイントの増加)となり、こちらも同様に好調な結果を残すことができ、増加させることに成功いたしました。
第4四半期も引き続き、売上が堅調に推移する見込みであり、工場稼働が安定し、生産効率の改善に努め、売上総利益の増加を見込んでおりますが、原材料価格の高騰や物流運賃の上昇など、外部経営環境が厳しさを増す懸念がありますことから、保守的な見地より通期の業績予想に変更はございません。
最後に、当社は販売戦略上の管理単位を定義し、顧客の要求事項を満たす商品分類とコンセプトに合致する商品開発体制の整備を継続的に注力して行っております。当第3四半期累計期間における商品開発結果は、新商品34品及びリニューアル品27品となり、これらの売上高は361,983千円となりました。
※EBITDA=営業利益+減価償却費等の非現金支出費用
※EBITDAマージン=EBITDA÷売上高
なお、当社は冷凍洋菓子事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2) 財政状態の分析
(資産)
資産合計は、前事業年度末に比べ177,249千円増加し1,391,254千円となりました。これは主に、現金及び預金が87,794千円増加、売掛金が86,476千円増加及びファイナンス・リースにより固定オーブン、ショックフリーザー等の一部の生産設備を入替えたことによりリース資産が37,452千円増加したことによるものであります。
(負債)
負債合計は、前事業年度末に比べ155,007千円増加し1,558,747千円となりました。これは主に、資本性劣後特約付ローンによる100,000千円の資金調達により長期借入金が45,232千円増加、第6回、第7回無担保普通社債の発行により社債が34,600千円増加及び既述のファイナンス・リースの実行等によりリース債務が39,227千円増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産合計は、前事業年度末に比べ22,241千円増加し、△167,492千円となりました。これは主に、当第3四半期累計期間に四半期純利益を22,265千円計上したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ87,794千円増加し、203,268千円となりました。
当第3四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は52,210千円(前年同四半期は93,525千円の獲得)となりました。これは主に、税引前四半期純利益24,756千円を計上したことのほか、売上債権の増加90,183千円、仕入債務の増加44,352千円及び減価償却費40,269千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,971千円(前年同四半期は30,848千円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,721千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は38,555千円(前年同四半期は26,186千円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額32,500千円、長期借入れによる収入100,000千円、長期借入金の返済による支出54,768千円及び社債の発行による収入34,600千円によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
研究開発活動は当社の競争優位性の源泉を支えるものであり、研究開発活動を経営戦略上の重要点であると捉えております。一方で、「安価でおいしい」、「食の安全の確保」、「安定した大量供給」及び「企画開発から納品までのリードタイムの短縮」など、お客様から当社に要求されるハードルは年々高くなっており、経営環境が一段と厳しさを増すなか、当社はより一層の経営努力を求められております。しかしながら、こうした経営環境を競合他社との差別化、売上拡大の好機と捉え、競争に勝てる研究開発活動に努めてまいりました。これらを達成するため、次の3つのポイントに重点を置き、研究開発活動を推進してまいります。
①製品に関する知的財産の蓄積
当社製品は一般のチルド製品と異なり、冷凍保存した後に解凍して食べるところに特徴があるため、解凍しても味を落とさず、そのケーキにあった食感を再現できるという、高い品質が求められます。加えて、安定かつ大量の供給を実現するために、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point(危害分析重要管理点))に対応した製造工程で一定の品質を確保しつつ、ライン製造で大量生産できることも同時に求められます。このため、原料の配合や製造工程は繊細なものであり、研究開発を通じて得られたノウハウは非常に価値の高いものでありますが、これを属人的なものとせず全社資産として有効活用するために、製品レシピ・生産工程の標準化及びレシピ・ノウハウのデータベース化に継続して取組んでおります。これにより、当第3四半期累計期間における試作アイテム数は700品に上り、通年では少なくとも800品を超える見通しであります。
②企画開発型営業スタイル
当社の強みである“企画開発型営業スタイル”を追及するため、開発部門の業務を単なる製品開発に留めず、営業に同行してお客様からニーズを汲取る方法を徹底し、製品の企画開発を行っております。これによりお客様とのコミュニケーションが図られ、的確なニーズ把握が可能となり、試作改良及びフィードバックサイクルに要する時間を短縮することができます。また、企画開発段階から、生産現場と打合せを行うことで、生産効率の向上と、品質の安定を実現しております。
こうして、営業、開発、生産が三位一体となって競争力のある製品の企画、開発、生産に取組むことで、当第3四半期累計期間も継続して高い案件成約率を維持できており、特に大手レストランチェーンに対する企画開発製品の納入実績を積上げることができました。また、実績を積重ねたことで当社の知名度は向上し、案件の引き合いが益々増加する好循環が生まれております。一方で増加傾向にある案件に対応するべく、製品開発に係る人材の採用育成が急務となっており、パティシエとしての専門的知識と豊富な実務経験を有し、製品開発の中核を担える優秀な人材を、積極的に採用し育成していく方針であり、年次を問わず、意欲が高くやる気のある担当者を積極的に案件に参画させ、今後もOJTを通じた人材育成に取組んでまいります。
なお、平成27年2月の人事異動で開発グループ担当者を営業グループ担当へ異動し、平成27年4月に開発グループ担当者の採用を予定するなど、企画開発型営業スタイルの更なる強化に取組んでおります。
③新しい分野へのチャレンジ
当第3四半期累計期間において、以下の特徴があるセミフレッドケーキ(アイスケーキ)の開発に着手いたしました。
・アイスとしても、ケーキとしても、どちらの用途としても活用できるため、夏場に限定されず、年間を通じて需要が見込める商材である
・食べる人が自己の好みにあわせて食べごろを判断し召し上がるので、冷凍庫から取り出してすぐに提供できるため、配食に手間がかからない利便性の良いアイテムである
・フリーカット用途に向いており、ムダや廃棄ロスが少ない効率的な使い方ができる
・皿盛り用途でそのまま商品として提供することも、例えばパフェのベースのように半製品として活用することもでき、用途に応じた柔軟な使い方ができる
このような特徴から、当社は特に業務用用途として潜在的な需要が大きいと考え、業務用用途向けの商品を開発するにあたり、スポンジではなく、ムース状にすることで生産を効率化し原価を低減したうえで、切りやすさ、甘味度の感じ方、冷凍庫から取り出してすぐの冷凍状態での食べやすさ、これらの要素を重視して原材料の配合率を変えながら試行錯誤し製品を完成いたしました。そして製品化したアイテムを展示会などに出品したところ、居酒屋、バイキング、カラオケ産業などから多くの引き合いをいただき、PB商品の受託開発を行うまでにいたりました。
この取組みにより、当第3四半期累計期間において、1品を発売し、これらの売上高は1,160千円となり、第4四半期以降の売上に寄与するものと見込んでおります。
また、以上の研究活動の結果、当第3四半期累計期間の研究開発費の総額は7,713千円となりました。
(6) 継続企業の前提に関する重要事象等の対応策
「第2 事業の状況1 事業等のリスク (2) 継続企業の前提に関する重要事象等について」に記載のとおり、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりますが、当社といたしましては以下の対応策を実施することにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しており、継続企業の前提に関する注記は記載しておりません。
なお、当第3四半期会計期間末現在において以下の項目が存在しており、当該重要事象等を改善すべくその対応策を以下のとおり推し進めております。
債務超過の状態に対する対応
取引金融機関からは、これまでと変わらず継続的にご支援いただけるようになっておりますが、第一に、自社の経営改善により利益体質への転換を推し進め、債務超過の自力解消を目指してまいります。
具体的には前事業年度から経営改善策の一環として「中期経営計画 “GO!YO!-Innovation Action Plan 2015”(注)」を策定し改善に取組んでおり、当第3四半期会計期間においても、経営の意思決定の迅速化と業務執行の効率化を図り、さらなる強固な組織運営を目指すことを目的として人事異動を行いました。
また、より一層の販路拡大に向けた取組みの一環として、業務用チャネルにおけるブランディング並びにOEM、ODMによる受注拡大、地域イベントでの出展、本社工場での直売会の開催及び大手コンビニエンスストアでの販売などにより当社製品の知名度向上に努めてまいりましたが、こうした活動が実を結び当第3四半期会計期間の好調な業績と、当第3四半期累計期間での黒字化の成功につながっております。今後もこれらの取組みに加え、業務用チャネルにおける大型開発案件の獲得、アジア諸国に向けた輸出の拡大、自社小売市場向けブランドの確立と小売用チャネルの拡大を推し進めることで業績を拡大し、もって債務超過の解消に邁進してまいります。
一方で、資金調達は当社にとって重要な経営課題であります。当社は事業の特性上、売上の季節変動が大きく、12月の最需要期での安定供給を実現するためには夏場から増産をはじめて十分な製品在庫を確保しておかなければならず、この生産のための季節性運転資金を調達しておく必要がありますが、第1四半期会計期間に行った取引金融機関からの30,000千円の新規借入、第6回・第7回無担保普通社債「スイーツストック債」の発行による34,600千円の資金調達のほか、100,000千円の資本性劣後特約付きローン(注)の借入により十分な運転資金を確保し、工場の安定稼働、増産体制へのシフトを行いました。
さらに継続的な業績の改善が実績となり、以前に比べて柔軟に金融機関からの借入れを実行できるようになったことに加え、後発事象に記載のとおり、地元糸島地区を中心とした一般投資家向け自社公募社債(愛称「スイーツストック債」)により、平成27年3月31日に総額64,500千円満額の調達を行い、今後1年間に必要な季節性運転資金の確保に目途がついております。
また、ファイナンス・リース48,250千円の調達により、固定オーブン、ショックフリーザー等の一部生産設備更新も行い、生産能力の増加、生産効率改善の効果もあらわれ、売上原価の低減が図られております。
上記のように、各販売チャネルで業容の拡大に取組むことによる売上の拡大と売上原価の低減を図り、売上総利益率の向上を推進するとともに、効率的な販売費及び一般管理費の活用と管理の強化を行うことでより一層の利益体質への転換に努めてまいります。
以上のような経営改善計画と多種多様な資金調達手段により、必要十分な資金を確保し、また、これらの施策を取引金融機関へ十分に説明し、定期的に進捗報告を行うことで相互理解を深め、より一層の支援と協力を得られるように努め、資金繰りの安定化と財務基盤の改善・強化を図ってまいります。
このような債務超過の自力解消を目指す一方で、新株発行による増資やCB(転換社債型新株予約権付社債)発行などのエクイティファイナンスにより自己資本を増強し、債務超過を早期に解消できるように努めてまいります。
以上の対応策は実現性が十分あるため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
(注)「中期経営計画 “GO!YO!-Innovation Action Plan 2015”」は次の6つの改善骨子からなり、前事業年度から継続的な改善を進めております。①組織体制の大幅改編 ②経費の大幅削減 ③生産体制の整備・強化 ④販売チャネルの明確化と商品戦略の見直し ⑤部門別成果の見える化 ⑥経営体制の強化
(注)資本性劣後特約付ローンによる借入金は金融検査マニュアル(預金等受入金融機関に係る検査マニュアル)(金融庁 平成26年6月)における「十分な資本的性質が認められる借入金」に該当し(「金融検査マニュアルに関するよくある質問(FAQ)」(金融庁検査局 平成25年4月10日)9-24参照)、金融検査上は自己資本とみなすことができます。当社の当該借入の残高は合計200,000千円であり、金融検査上の取扱いにより当第3四半期会計期間末現在において自己資本とみなすことができる金額は200,000千円となることから、資本性劣後特約付ローン考慮後の純資産の金額は32,507千円となります。