有価証券報告書-第12期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/26 15:50
【資料】
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【項目】
105項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による景気対策の継続や日本銀行による追加金融緩和を背景に、株高・円安が進むとともに、一定の企業収益や雇用情勢の改善等が見られるなど、景気回復の兆しが見られました。一方で、消費税率の引き上げに伴う消費マインドの低下や、海外景気の下振れ懸念等の不安要素もあり、先行きは依然として不透明な状況が継続しております。
当社グループの主要事業の業績に影響を与える海外出国者数につきましては、円安の影響等により5月を除いて対前年同月比で減少し、2014年全体では16,903千人で前年比3.3%減となりました。10月以降は海外出国者の減少幅は大きく、10月は1,417千人(前年同月比5.2%減)、11月は1,355千人(前年同月比3.2%減)、12月は1,397千人(前年同月比5.4%減)となっております(日本政府観光局(JNTO)調べ、11,12月はJNTO推計値)。
一方、海外からの訪日外客数は、東南アジア諸国の査証緩和・消費税免税制度拡充・円安による訪日旅行の割安感の浸透等により、前年比29.4%増で過去最高の13,414千人となりました。
このように当社グループ事業にとって好悪入り混じった外部環境の中、当連結会計年度の売上高に関しては2,199百万円となり前年同期と比べ10.9%増収となりました。
費用に関しては、損害保険ジャパン日本興亜株式会社からの業務受注増加に対応するため、グローバルな能力を持つ社員の増員と教育、医療機関とのネットワークの拡大、アシスタンスインフラ強化のためのIT投資等を実施したことにより、オペレーション費用が増加しました。そして、9月からの急速な円安により当社の海外センターへの支払額は大幅に増加しました
これらの要因から、売上原価は1,782百万円(前年同期比15.0%増)、販売費及び一般管理費が442百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業損失は24百万円(前年同期 営業利益35百万円)、経常損失は26百万円(前年同期 経常利益25百万円)、当期純損失は35百万円(前年同期 当期純利益14百万円)となりました。
セグメントの状況は次のとおりであります。
(医療アシスタンス事業)
海外旅行保険付帯サービスにつきましては、アシスタンスサービス提供数は前年同期より減少傾向にあります。当社は9月1日に誕生した損害保険ジャパン日本興亜株式会社から医療アシスタンス業務を受注し、アシスタンスサービス提供数の増加を見込んでおりましたが、現状では急激な円安やテロ等への不安から海外出国者数が減少する影響を受けているものと推測されます。
しかし、今後は徐々に業務量が増加すると予想されるため、引き続き体制整備を進めております。具体的には、基幹業務システムの改修、高機能電話システムの導入等を進め、効率の良い要員配置を推進するとともに、海外医療機関とのネットワークの強化を進めて、全世界すみずみまで行きわたるサービス体制とサービス品質の向上を図りつつあります。そのため、オペレーション費用が増加するとともに、急速な円安により当社の海外センターへの支払額は大幅に増加しました。
国際医療事業につきましては、海外からの外国人患者受入事業を着実に実施するとともに、官公庁や一般社団法人Medical Excellence JAPAN(MEJ)とも連携しつつ、日本の医療の国際展開事業に力を入れて参りました。円安に伴い外国人患者の受入数は増加しており、2015年1月18日にはアブダビ国営石油会社と医療協力についての覚書を締結するなど海外との顧客・ネットワーク作りに尽力しております。
法人・大学向け営業につきましては、インフルエンザの流行、エボラ出血熱の拡大など医療に関する危機管理体制整備に関する関心が高まっており、当社サービスへの問合せも増加傾向にあります。
さらに、ISISの活動が活発化するなどテロや内乱等に遭遇するセキュリティリスクが高まっており、世界各国の1,260千人にのぼる在留邦人や年間約17百万人の海外出国者にとって医療やセキュリティリスクへの対策を取ることは必須となってきました。
このような社会のニーズに対し、当社は企業や学校法人等の危機管理体制づくりを支援する企業として、積極的な営業活動を実施してきた結果、企業や学校法人等との新規契約は順調に増加しております。
これらの結果、医療アシスタンス事業の売上高は1,777百万円(前年同期比9.3%増)、セグメント利益は191百万円(前年同期比25.0%減)となりました。
(ライフアシスタンス事業)
既存顧客へのコンシェルジュサービスの着実な提供で、売上高は順調に推移しており、高品質の業務実績を積み重ねることで当社のコンシェルジュサービスに対する評価と認知度が高まっております。また、当社のサービスノウハウを生かした新規顧客へのサービス提供も開始いたしました。
この結果、ライフアシスタンス事業の売上高は422百万円(前年同期比18.3%増)、セグメント利益は119百万円(前年同期比29.4%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ183百万円増加し、641百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・インフローは、20百万円(前連結会計年度は370百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純損失の27百万円の計上、前受金の47百万円の減少、立替案件数の増加により立替金残高が32百万円増加したことに加え、減価償却費を54百万円計上したこと、海外センター等に対する未払金25百万円の増加、社会保険等の預り金18百万円の増加、国際医療事業に関する仕掛品17百万円の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・アウトフローは、216百万円(前連結会計年度は76百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。この主な要因は、海外センターにおける高性能電話システムの設置等に係る有形固定資産の取得による支出65百万円、高性能電話システムの機能強化・基幹業務システムの改修に係る無形固定資産の取得による支出124百万円、業務拡大のためのオフィス増床に伴う敷金及び保証金の差入による支出8百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・インフローは、352百万円(前連結会計年度は456百万円のキャッシュ・インフロー)となりました。この主な要因は、短期借入金の増加額が190百万円、長期借入による収入が250百万円、長期借入金の返済による支出80百万円、配当金の支払による支出が11百万円あったことによるものであります。