有価証券報告書-第4期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 10:16
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【項目】
105項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における国内株式市場は、平成26年4月の消費税増税などを受けて景気の下振れリスクが意識され、日経平均株価は景気悪化への警戒感が広がるなかで幕を開けました。期初は、良好な決算発表や好調な業績予想発表などのポジティブな要因と、混沌とするウクライナ情勢、米国のイラク空爆承認など外部環境の影響によるリスク回避姿勢が強まったことによる円高進行などのネガティブな要因が重なり、14,000円台を上回る水準での鈍い値動きが続きましたが、その後は好調な米国指標を受けた米国株高などに伴い、日経平均株価も上昇傾向が続き、緩和的な金融政策を背景にした欧米株式市場の上昇、法人実効税率の引き下げなどが盛り込まれた経済政策アベノミクスの成長戦略の閣議決定、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の公的年金の運用見直しへの期待などを好感して、日経平均株価は堅調に推移しました。10月に入ると、世界経済の減速懸念やエボラ出血熱の感染拡大などへの懸念からリスクオフ姿勢が強まり、軟調な相場展開となりましたが、10月31日に日銀の追加金融緩和決定の報道がされると、円安と株高が急速に進みました。平成27年1月後半の欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和決定、2月の平成26年10月~12月の好調なGDPの公表、原油価格上昇に伴う米国株高、円安進行による企業業績拡大や賃上げによる景気回復期待の高まりなどから株価は上昇を続け、当連結会計年度末における終値は19,206円99銭で取引を終えました。
このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式売買代金は、前期と比較して9%減少しました。また、当社グループの主たる顧客層である個人投資家についても、株価の騰落により前期と比較し投資余力が低下したことから、二市場全体の個人の株式委託売買代金は、前期と比較して23%減少しました。その結果、二市場における個人の株式委託売買代金の割合は、前期の25%から22%に低下しております。
外国為替市場においては、ドル/円相場は期初に米国の景気指標の改善などを背景に104円近辺までドル高が進行したものの、それ以降は、ウクライナ情勢の緊迫化などのリスク回避の動きの高まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の超低金利政策の長期化観測、欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和観測の高まりなどから欧米金利が低下、日米金利差の縮小が意識され、100円台までドル安が進行し軟調な展開が続きました。7月末以降は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けた米国の長期金利の上昇、日本の追加金融緩和や対外証券投資活発化への思惑、10月末以降に入り、FOMCの量的緩和の終了が決定されたこと、日銀の追加金融緩和決定により円安が急速に進み、11月下旬には118円台まで円安が進行しました。その後も、米国の景気回復による米国の利上げ観測を背景に円安が進む展開となり年末年始は120円前後で推移しました。平成27年1月15日にスイス中央銀行がスイスフランの対ユーロ為替レート上限撤廃を発表すると、スイスフランの高騰を中心に多くの通貨の相場が値動きの大きい展開となりました。ドル/円相場は、2月初旬に公表された好調な米雇用統計を受けドルが119円台にまで上昇、3月に入ると米国の早期利上げへの期待の高まりから、一時122円台まで上昇しましたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明により早期利上げ観測が減退したことやイエメン空爆などを受けて、1ドル120円台で当連結会計年度末を迎えました。
このような状況の中で、当社グループの主要事業であるインターネット証券事業においては、「現物取引手数料無料キャンペーン」「信用取引手数料無料キャンペーン」を実施し、外国為替証拠金取引(以下、「FX取引」という。)事業においては、「新規口座開設キャッシュバックキャンペーン」「食品プレゼントキャンペーン」などの各種キャンペーンを実施しました。また、外国株CFDの取扱開始、テレビ番組「ビジネスクリック」の放送による金融マーケットの情報提供、並びに取引環境の継続的な改善により、取引コストを含む顧客利便性の向上を図ってまいりました。
これらの諸種の施策により、当連結会計年度末における当社グループのGMOクリック証券株式会社の証券取引口座は241,985口座(平成26年3月末204,353口座)、店頭FX口座は394,072 口座(平成26年3月末333,944口座)となり、顧客基盤は更に拡大しました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は24,958百万円(前期比16.3%増)、純営業収益は23,532百万円(同16.2%増)、営業利益は7,747百万円(同38.7%増)、経常利益は7,707百万円(同41.0%増)、当期純利益は4,855百万円(同31.6%増)となりました。
当連結会計年度における、主な収益及び費用の状況は次のとおりです。
(受入手数料)
受入手数料は主に株式取引、株価指数先物及びオプション取引、取引所FX取引などによる委託手数料、並びに店頭FX取引におけるロスカット手数料などのその他受入手数料で構成されております。
当連結会計年度においては、株価の上昇トレンドは継続したものの、前期と比較し個人投資家を中心とした株式売買代金が減少しました。これを受けた形で株式取引・株価指数先物及びオプション取引などの手数料で構成される委託手数料は2,675百万円(前期比19.5%減)となりました。また、店頭FX取引については、期初は為替相場のボラティリティが低かったものの、10月の日銀の追加緩和決定からボラティリティが上昇し取引量も増加傾向を示しましたが、ロスカット手数料は減少し、その他受入手数料は601百万円(同9.5%減)となりました。これらの結果、当連結会計年度における受入手数料は3,285百万円(同17.6%減)となりました。
(トレーディング損益)
トレーディング損益は主に外国為替、商品、株価指数に関連する店頭デリバティブ取引から発生する損益となっており、その中でも外国為替関連の店頭デリバティブ取引が大きな割合を占めております。外国為替相場は前期と比較し、期初はボラティリティの低い展開となり、店頭FX取引の取引量は減少しましたが、一方で、インターバンク市場での為替取引におけるカバーコストが減少したため収益率は向上いたしました。10月以降は日銀の追加緩和決定による円安進行によりボラティリティが大幅に上昇し取引量も増加しました。これらの結果、当連結会計年度におけるトレーディング損益は18,202百万円(前期比28.1%増)となりました。
(金融収支)
当連結会計年度は前期と比較し、株式信用取引の売買高は減少したものの、株式信用取引における建玉が増加したことを受け、金融収益は3,186百万円(前期比5.8%増)、金融費用は1,426百万円(同18.1%増)、差し引きした金融収支は1,760百万円(同2.4%減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、主に委託取引にかかる取引所への支払手数料や顧客獲得及び認知度向上のための広告宣伝費から構成される取引関係費、システムの修繕保守、器具備品購入にかかる不動産関係費などから構成されております。当連結会計年度においては、株式取引の売買高減少等により支払手数料が減少したものの、口座獲得数に連動したアフィリエイト費用や、認知度向上を含めた広告の強化により広告宣伝費が増加したことにより、取引関係費は7,487百万円(前期比13.7%増)となりました。また、不動産関係費は2,091百万円(同0.9%増)、減価償却費は891百万円(同22.0%減)となっております。これらの結果、当連結会計年度における販売費及び一般管理費は15,785百万円(同7.7%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用)
当連結会計年度における営業外収益は20百万円(前期比370.4%増)、営業外費用は59百万円(同51.7%減)となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度における特別利益は100百万円、特別損失は法令上の要請に基づく金融商品取引責任準備金繰入等により616百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による支出が3,471百万円、投資活動による収入が2,775百万円、財務活動による収入が17,090百万円となった結果、前連結会計年度末から16,532百万円増加し、36,599百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,471百万円のマイナス(前期は4,496百万円のプラス)となりました。税金等調整前当期純利益7,191百万円(前期は4,763百万円)を計上したことに加え、受入保証金の増加38,430百万円(前期は44,473百万円)等による資金の増加があった一方、預託金の増加43,755百万円(前期は41,221百万円)等により資金が減少した結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,775百万円のプラス(前期は1,350百万円のマイナス)となりました。定期預金の払戻による収入4,233百万円(前期-百万円)等による資金の増加があった一方、定期預金の預入による支出900百万円(前期は900百万円)、有形固定資産の取得による支出311百万円(前期は362百万円)、無形固定資産の取得による支出512百万円(前期は347百万円)等を計上したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、17,090百万円のプラス(前期は752百万円のプラス)となりました。短期借入金の純増加額が19,716百万円(前期は983百万円)、社債の発行による収入2,600百万円(前期は2,000百万円)、長期借入金の返済による支出569百万円(前期は568百万円)、配当金の支払いによる支出4,509百万円(前期は1,533百万円)等があったことによるものです。