有価証券報告書-第4期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 10:16
【資料】
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【項目】
105項目

事業等のリスク

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスク要因は以下のとおりです。なお、下記に記載している将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断しているものであります。
(1) 法的規制等に関する事項
① 金融商品取引法について
GMOクリック証券及びFXプライムは金融商品取引業を営むため、金融商品取引法第29条に基づき、金融商品取引業者として内閣総理大臣の登録を受けており、同法及び関係諸法令による各種規制並びに金融庁の監督を受けております。両社は、監督上の処分並びに監督命令の対象となる事由に該当した場合には、登録その他認可業務の取消、業務の全部又は一部の停止等の行政処分を受ける可能性があります。また、GMOクリック証券は金融庁の認可金融商品取引業協会である日本証券業協会及び認定金融商品取引業協会である一般社団法人金融先物取引業協会に加入するとともに、東京証券取引所、大阪取引所及び東京金融取引所の取引参加者となっており、FXプライムは、一般社団法人金融先物取引業協会に加入しているため、これらの協会又は取引所の諸規則にも服しております。
両社はこれらの法令及び諸規則に則り事業運営を行っており、現時点において法令違反等による行政処分に該当するような事実はないと認識しておりますが、これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、行政処分等により、両社並びに当社グループの風評、事業展開、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、予期しない法令、諸規則、業界の自主規制ルール等の制定又は改定等が行われることにより、両社は計画通りに事業を展開できなくなる可能性があり、規制の内容によっては、両社並びに当社グループの事業活動及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
a.自己資本規制比率について
金融商品取引業者であるGMOクリック証券及びFXプライムは、金融商品取引法第46条の6に基づき、自己資本規制比率が120%を下回ることがないよう当該比率を維持する必要があります。
平成27年3月末日現在におけるGMOクリック証券の自己資本規制比率は320.4%、FXプライムの自己資本規制比率は519.4%となっています。自己資本規制比率は、固定化されていない自己資本の額、市場リスク相当額、取引先リスク相当額又は基礎的リスク相当額の増減により変動しており、今後の自己資本の額や各リスク相当額の増減度合いによっては大きく低下する可能性があり、その場合には、資本性資金の調達を行わない限り、両社並びに当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
b.顧客預り資産の分別管理及び区分管理について
金融商品取引業者であるGMOクリック証券及びFXプライムは、顧客資産が確実に返還されるよう、顧客から預託を受けた金銭、有価証券について、金融商品取引業者の金銭、有価証券とは区別して管理することが義務付けられております。有価証券関連取引に関しては金融商品取引法第43条の2第1項及び同条第2項の規定に基づく分別管理義務、FX取引に関しては金融商品取引法第43条の3第1項の規定に基づく区分管理義務があり、両社は顧客からの預り資産について金銭信託による保全を行う等、法令に則った管理を行っておりますが、今後、これに違反する事実が発生した場合、又は、法令等の改正により、現在の管理方法が適切でなくなり、速やかに適切な管理方法を整備できなかった場合には、行政処分を受ける可能性があり、その場合は、両社並びに当社グループの風評、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
② 金融商品の販売等に関する法律(金融商品販売法)並びに消費者契約法について
金融商品販売法は、顧客の保護を図るため、金融商品販売業者等の販売商品のリスクに関する説明義務、説明義務に違反したことにより顧客に生じた損害の賠償責任、並びに金融商品販売業者が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正性確保のための措置について定めております。
また、消費者契約法は、消費者契約において、事業者に情報提供義務を定めており、消費者に誤認や困惑があった場合等、一定の条件下において、消費者が契約の取消を行うことができる旨を定めております。GMOクリック証券及びFXプライムは、金融商品販売法並びに消費者契約法を遵守した事業運営を行っているものと認識しておりますが、これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、行政処分等により両社並びに当社グループの風評、事業展開、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
③ 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)について
当社グループは、顧客情報を含む個人情報の改竄、漏洩等の未然防止は、事業運営上の重要事項の一つとして認識しており、個人情報保護法及び関係法令に則り制定された各種社内規程により個人情報保護体制を整備し、従業員並びに業務委託先の教育、監督の徹底及び万全のセキュリティ対策を講じております。しかしながら、万が一、不正アクセスや内部管理体制の瑕疵等により個人情報が漏洩した場合には、当社グループの社会的信頼が著しく損なわれる他、損害賠償請求等の責任を問われる可能性があり、当社グループの経営成績及び事業運営に重大な影響を与える可能性があります。
④ 犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)について
犯罪収益移転防止法は、犯罪収益の移転とテロリズムに対する資金供与の防止をし、国民生活の安全と経済活動の健全な発展に寄与することを目的としており、金融機関に対し顧客の本人確認及び記録の保存等を義務付けております。
GMOクリック証券及びFXプライムは、同法の定めに基づき本人確認を実施するとともに、本人確認記録及び取引記録を保存しております。しかしながら、両社の業務方法について同法に適合しない事実が発生した場合には、監督官庁による行政処分や刑事罰等を受けることがあり、その場合、両社並びに当社グループの風評、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
⑤ 商品先物取引法について
GMOクリック証券は、商品先物取引業を営んでおり、商品先物取引法第190条第1項に基づく許可を受け、商品先物取引法、関連政令、省令等の諸法令に服して事業活動を行っております。商品先物取引業については、商品先物取引法第235条第3項もしくは同法第236条第1項に許可の取消となる要件が定められており、これらに該当した場合には、許可が取消となる可能性があります。
GMOクリック証券は、社内体制の整備等を実施し、法令遵守の徹底を図っており、現時点において法令違反等に該当するような事実はないと認識しておりますが、今後これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、監督官庁による行政処分が行われることがあり、その場合には、GMOクリック証券並びに当社グループの風評、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
⑥ 暴力団排除条例について
暴力団を排除することを目的に、各自治体において暴力団排除条例が施行されております。これらの条例には、事業者が事業に関して締結する契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認められる場合等において、契約の相手方が暴力団関係者でないかを確認するよう努めること、事業者がその行う事業に係る契約を書面により締結する場合には特約条項を書面に定めるよう努めることなどが規定されております。当社グループでは、金融商品取引に係る一般顧客も含め、契約の相手方についての審査を実施し、暴力団等反社会的勢力ではないことの誓約書の提出あるいは契約書面における特約条項の整備等を行っております。
しかしながら、審査体制の不備等により意図せず暴力団等との取引が行われた場合、重要な契約の解除や補償問題等が発生することがあり、その場合には、当社グループの風評、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
(2) 事業環境に関する事項
① 株式市場及び外国為替市場等の相場変動について
当社グループでは、GMOクリック証券、FXプライム及び海外子会社において、株式の現物取引及び信用取引、FX取引、株価指数先物・オプション取引、CFD取引等の金融商品取引を行っております。株式関連の取引は、相場の下落局面において取引が減少する傾向があり、FX取引に関しては、ボラティリティの低下に伴い取引が減少する傾向がある等、当社グループの収益は、株式市場や外国為替市場等の相場環境の影響を受けております。株式市場や外国為替市場において、経済情勢、政治情勢、規制の動向、税制の改正等の投資環境が悪化し、顧客の投資意欲が減退した場合には、当社グループにおける金融商品取引の取引高が減少し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合状況について
当社グループは、一部の子会社を除き、システムを自社グループで開発することによりシステム関連コストを引き下げることに努めており、GMOクリック証券においては、業界最安値水準の手数料、業界最狭水準のスプレッドを提供しております。現在、手数料の引き下げやスプレッド縮小化の競争は落ち着きを見せているものの、今後、競合他社との競争が再燃し、同社において手数料の引き下げやスプレッドの縮小を実施した場合、その実施に伴う収益の減少を補うだけの取引量の拡大が達成出来ない場合や収益性の効率化を図れない場合には、同社並びに当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 特定の事業への依存度が高いことについて
GMOクリック証券は、株式市況や株式取引サービスに係る競合他社の手数料競争の状況に鑑み、設立当初より株価指数先物・オプション取引やFX取引等の株式取引以外のサービス提供に積極的に取り組んできた結果、特にFX取引事業においては、市場規模の拡大に加え、同社の価格戦略が多くの顧客から支持され、収益が大きく拡大し、当社グループ収益に占める比率が高くなっております。
しかしながら、今後、外国為替市場の急激な変動や競合各社のスプレッド競争の激化等、店頭FX取引業を取り巻く環境が急激に変化した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 市場リスクについて
GMOクリック証券、FXプライム及び海外子会社の提供する店頭FX取引及び店頭CFD取引においては、顧客との間で自己が取引の相手方となって取引を行うため、取引の都度、外国為替の自己ポジションが発生しますが、これらのポジションは他の顧客との売買で相殺するか、カバー先金融機関との間でカバー取引を行うことで、為替変動リスクを回避しております。しかしながら、システムトラブル等により、自己ポジションの適切な解消が行われない場合、あるいは、為替相場の急激な変動やカバー先金融機関との間でのシステムトラブルの発生等により、カバー取引が適切に行われない場合、ポジション状況によっては損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) コンピュータシステムについて
当社グループの取り扱う取引は、そのほとんどがシステムを介して行われているため、システムの安定的な稼動は重要な経営課題であると認識しております。
GMOクリック証券、FXプライム及び海外子会社では、アプリケーションの改善やハードウェア及びネットワークインフラの増強等システムの継続的なメンテナンスを実施しておりますが、不測の要因によりシステム障害が発生した場合は、顧客の売買機会の喪失による機会損失の発生や風評低下による顧客の離反、システム障害により顧客に発生した損害に係る賠償請求等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、システム障害の程度によっては、当社グループの事業継続に支障をきたす可能性があります。
(6) 対顧客信用リスク
GMOクリック証券の株式取引における信用取引及び株価指数先物・オプション取引、並びにGMOクリック証券、FXプライム及び海外子会社の提供するFX取引、GMOクリック証券及び海外子会社の提供するCFD取引では、顧客が取引額に対して一定の保証金又は証拠金(金銭又は有価証券)を差し入れることで、取引を行っております。取引開始後、相場変動により顧客の評価損失が拡大し、あるいは代用有価証券の価値が下落し、顧客の保証金又は証拠金が必要額を下回った場合には、各社は顧客に対して追加の保証金又は証拠金の差し入れを求めます。しかしながら、顧客がその支払に応じない場合、各社は顧客の取引を強制的に決済することで取引を解消します。強制決済による決済損失が保証金又は証拠金を上回る場合は、顧客へその不足額を請求しますが、顧客がその支払に応じない場合、各社はその不足額の全部又は一部に対して貸倒損失を負う可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 資金調達リスクについて
当社グループは、銀行等の融資枠を設定して資金調達手段を確保し、取引先金融機関との良好な関係性を構築、維持しており、安定的な資金の確保に万全を期しておりますが、万が一、当社グループの信用状況が悪化した場合、必要な資金の調達が困難になる可能性や当社グループの希望する条件での資金調達を適切に行うことができないリスクがあり、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、急激な相場変動等により、資金融資枠を超過する資金需要が発生し、当社グループが適切な資金調達手段を講じることができなかった場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
(8) 外部取引先との関係について
GMOクリック証券では、株式取引、株価指数先物・オプション取引のバックオフィス関連業務について、株式会社野村総合研究所及び株式会社DSB情報システムが提供するシステムを利用しております。当該外部取引先においてシステム障害が発生した場合、もしくは、何かしらの事由によりサービス提供を継続できなくなる事態が生じ、適切かつスピーディーに代替案を講ずることができない場合には、同社の顧客取引に影響を与える可能性があります。このような事態が生じた場合、顧客から同社に対して損害賠償請求がなされる可能性や同社の社会的信用の失墜による顧客離れ等により、同社並びに当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(9) 海外展開に係るリスクについて
当社グループは、中国(香港)、英国において、主に海外の投資家をターゲットとした店頭FX取引、店頭CFD取引に関するサービスを提供しております。海外での事業展開においては、現地国の法令及び諸規則を遵守し、顧客のニーズを調査した上で、マーケティング展開を図っております。しかしながら、現地国の法令及び諸規則の変更等により当社海外子会社の事業収益性に影響を与えた場合、当社のブランドが浸透せず顧客基盤及び取引規模を拡大できなかった場合、現地国の政治経済情勢の急変等が当社子会社の事業継続や収益性に影響を与えた場合などには、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(10) 親会社グループとの関係について
① GMOインターネットグループにおける当社グループの位置づけについて
当社グループは、GMOインターネットグループに属しており、親会社であるGMOインターネット株式会社は、平成27年4月1日現在、当社発行済株式の98.4%を所有しております。GMOインターネット株式会社は「すべての人にインターネット」というコーポレートキャッチのもと、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット証券事業、モバイルエンターテイメント事業を行っております。当社グループは、GMOインターネットグループの事業のうち、インターネット証券事業を担う会社として位置付けられております。
② GMOインターネットグループとの取引について
平成27年3月期における当社グループとGMOインターネットグループとの収益に係る取引総額は19百万円、費用に係る取引総額は1,443百万円であります。主要な取引内容は、連結財務諸表の関連当事者取引注記に記載されますが、平成27年3月期においては重要な取引が存在していないため記載を省略しております。
③ 当社役員の親会社等の役員兼務の状況について
a. 親会社役員の兼務状況
平成27年3月31日現在における当社取締役7名のうち、親会社であるGMOインターネット株式会社の役員を兼ねるものは1名であり、氏名、当社における役職、親会社における役職は以下のとおりです。なお、執行役に親会社の役員を兼ねるものはいません。
氏名当社における役職親会社における役職
安田 昌史社外取締役取締役副社長グループ代表補佐・グループ管理部門統括

b. 兄弟会社との役員の兼務状況
社外取締役である安田昌史氏はGMOクラウド株式会社社外取締役、GMOペイメントゲートウェイ株式会社の社外監査役その他の兼務を行っております。また、社外取締役である佐藤明夫氏はGMOクラウド株式会社社外監査役、GMOペイメントゲートウェイ株式会社社外取締役の兼務を行っております。
④ 親会社等からの独立性の確保について
当社グループは、少数株主保護の観点から、親会社等の指示や事前承認によらず、独自に経営の意思決定を行っており、事業を展開するうえで特段の制約はなく、経営の独立性は確保されております。また、当社グループの営業取引におけるGMOインターネットグループへの依存は極めて低く、殆どが当社グループと資本関係を有しない一般投資家(個人顧客及び法人顧客)との取引となっております。
当社がGMOインターネットグループとの取引を行う場合については、少数株主保護の観点から、取引条件の経済的合理性を保つために定期的に契約の見直しを行っております。新規取引につきましても、市場原理に基づき、その他第三者との取引条件との比較などからその取引の是非を慎重に検討し、判断しております。
(11) 自然災害等における事業継続について
当社グループは大規模な自然災害やパンデミック等、あらゆる有事が発生した場合においても重要業務を継続できるよう、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定しており、定期的な教育、訓練等を実施しております。また、本社とは別に、自家発電装置を備えたデータセンター内において主要業務を継続できるオフィスを用意しており不測の事態に備えております。しかしながら、万が一、想定を超える災害等が発生した場合には、当社グループのサービス提供等を継続することができない事態が生じる可能性があり、その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。