有価証券報告書-第4期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 14:28
【資料】
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【項目】
79項目

事業等のリスク

当行の事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当行は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)日本国政府の政策等について
当行は、当行法により、政府が当行の発行済株式の総数を常時保有する旨が定められているほか、前述(第1企業の概況 3事業の内容)のとおり、政府の監督や財務面の関与を受ける旨等が定められております。また、当行の業務運営は国の政策に基づき行われており、民間金融機関では対応が困難な分野を補完し、政策金融を機動的に実施する役割を有しております。今後においても、当行の業務運営、経営成績及び財政状態は、日本国政府の政策に影響を受けることとなります。
なお、以下の点についても留意が必要となります。
①経済対策等への対応による影響について
当行は、平成25年4月より、円高対応緊急ファシリティを発展的に改編した海外展開支援融資ファシリティを実施しております。このほか、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(平成25年1月11日閣議決定)を踏まえて平成25年2月26日に創設した海外展開支援出資ファシリティを実施しております。
こうした経済対策等の実施に伴う予算措置等により、日本国政府による出資の受入や政府借入、政府保証債等の発行による多額の資金調達等を行うことがあり、当行の財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
②法的規制等について
当行は、会社法及び当行法に基づく特殊会社であり、その運営においては当該法律及び関連法令等の規制を受けております。また、当行を当事者とする合併、会社分割、事業譲渡、解散等については、会社法の規定にかかわらず、当行が独自に決定することはできず、別に法律において定めることになっております。したがって、将来において、当該法的規制等に変化が生じた場合には当行の運営その他に影響を及ぼす可能性があります。
③独立行政法人国際協力機構及び株式会社日本政策金融公庫との連帯債務について
平成24年4月1日以降、株式会社日本政策金融公庫発足前の旧国際協力銀行が発行した債券については、当行及び独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)が連帯して債務を負い、当該債券の保有者は、当行及びJICAの財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有することになります。また、当行の成立時までに株式会社日本政策金融公庫が発行した社債については、分離後の当行及び同公庫が連帯して債務を負い、当該社債の保有者は、当行及び同公庫の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有することになります。
(2)業務におけるリスクについて
当行の各業務においては、信用リスク、市場リスク及び流動性リスクを含む業務ごとの特性を考慮したリスク管理方針及び手続を策定し、これを円滑に実施する体制を構築しております。
しかしながら、リスク管理においてすべての予期せぬリスクを管理することは困難であり、当行の各業務において何らかの想定外の事象が生じた場合には、当行の業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、業務において主たるリスクと認識している事項は、以下のとおりであります。
ア 信用リスク
出融資保証等の業務を行っている当行においては、与信先の信用状態の悪化等により、債権の回収が不可能又は困難になり、損失を被る可能性があります。
当行の信用リスクとしては、ソヴリンリスク、カントリーリスク、コーポレートリスク及びプロジェクトリスクが挙げられます。当行が行っている対外経済取引の支援等のための金融はその性格上、外国政府・政府機関や外国企業向けのものも多く、したがって与信に伴う信用リスクとしてソヴリンリスクあるいはカントリーリスクの占める割合が比較的大きいことが特徴となっております。
したがって、与信先である各国・各地域の政治・経済等の動向や、それらに伴う個別与信先の財務状況等につき大幅に悪化した場合には、当行の不良債権や与信関係費用が増加する可能性があります。
(注)ソヴリンリスクとは外国政府等向け与信に伴うリスク、カントリーリスクとは外国企業及び外国に所在するプロジェクト向け与信に伴うリスク(コーポレートリスク及びプロジェクトリスクに付加される企業所在国及びプロジェクト所在国に起因するリスク)、コーポレートリスクとは企業向け与信に伴うリスク、プロジェクトリスクとは与信対象プロジェクトが生むキャッシュ・フローを主たる返済原資とするプロジェクトファイナンス等の場合において対象プロジェクトが計画されたキャッシュ・フローを生まないリスクを指しております。
イ 市場リスク
当行が負う市場リスクは、主に為替リスクと金利リスクで構成されております。
市場の混乱等、市場が変動した場合には、当該リスクに起因した損失を被る可能性があります。当行においては、以下の対応を推進することにより、当該リスクが顕在化した場合の影響を極小化しております。
(為替リスク)
当行では、外貨貸付・調達に当たり通貨スワップ等を利用し、為替レートの変動により損失を被るリスクを原則としてフルヘッジする方針をとっております。
(金利リスク)
市場金利の変動により損失を被る金利リスクについて、円貨貸付業務、外貨貸付業務それぞれ以下のとおりとなっております。
(ⅰ)円貨貸付業務においては、主として固定金利での資金管理を行っております。ただし、金利変動リスクの影響が大きいと考えられる部分では、スワップ等により金利リスクヘッジを行っており、金利リスクは限定的です。
(ⅱ)外貨貸付業務においては、原則として、貸付・調達ともに金利スワップを利用して変動金利での資金管理を行うことにより金利リスクヘッジを行っております。
ウ 流動性リスク
当行では、預金受入を行っておらず、財政融資資金、外国為替資金、政府保証外債及び財投機関債などの長期・安定的な資金調達を実施しており、流動性リスクは限定的と考えます。また、資金繰り状況を把握し、日々の資金繰りに備えて複数の民間金融機関との間で短期借入枠を設定するなど、適切なリスク管理に努めていますが、市場の混乱又は不測の事態等において資金調達費用が増加する等の可能性があります。
エ オペレーショナル・リスク
(事務リスク)
当行は、役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより損失を被るリスクを負っております。
当行では、マニュアルの整備、事務手続におけるチェックの徹底、システム化推進などを通じ、適正な事務処理の確保に努めておりますが、不測の事態等においてそれに応じた損失が発生する可能性があります。
(システムリスク)
当行は、コンピュータシステムのダウン又は誤作動等のシステムの不備等に伴い損失を被るリスク及びコンピュータが不正に使用されることにより損失を被るリスクを負っております。
当行では、①システム障害及び顧客情報の漏えい等の未然防止に努めるとともに、②緊急的なシステム停止への対応策としてコンティンジェンシープランを策定の上、訓練を実施するなど、緊急時対応の実効性向上にも努め、システムリスクの極小化を図っておりますが、不測の事態等においてそれに応じた損失が発生する可能性があります。