有価証券報告書-第105期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 10:22
【資料】
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【項目】
158項目

研究開発活動

研究開発の基本方針
当社グループは、環境に配慮し広範囲で高度な機能材料の開発に取り組むことにより、顧客要求にマッチした製品を提供し社会に貢献することを開発の基本方針としております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は505,160千円であります。なお、当連結会計年度における品目別の研究成果は次のとおりであります。
(1)自動車関連資材分野
① エンジン用濾材
エンジン用濾材は、用途として主に吸気用、潤滑油用、燃料用フィルターに使用されております。
天然パルプ、コットンリンター、ポリエステルなどの合成繊維を主原料として、空気中のゴミ、他車から排出されるスス、潤滑油中のカーボン粒子、燃料中のゴミ、水分などを取り除き、エンジンに清浄な空気、燃料を供給すること及び潤滑油の性能を維持することができます。
当連結会計年度においては、国内だけでなくインドを含めた東南アジア向けの多塵地域に適した濾材が採用されました。
紙と不織布のコンポジット化につきましては、欧州フィルターメーカー等にて高評価を得られております。
② クラッチ板用摩擦材
クラッチ板用摩擦材は、主にオートマチック自動車用のクラッチ板用摩擦材として使用されております。
多種多様な原材料を当社の技術により混合、定着させてシート化し、優れた耐摩耗、耐久、耐熱、高摩擦性能を有する高品質な紙となっております。
当連結会計年度においては、既存製品の品質向上において製造工程改善の取り組みを継続して行うとともに、原材料についても品質と供給の両面の安定化を検討・提案してきました。また、原価低減活動においては、安価な原材料の検討・提案を行い、既存品の代替や他品番への水平展開を進めております。
(2)水処理関連資材分野
① 分離膜用資材
分離膜用資材は、主に世界の水処理用分離膜メーカーが製造する逆浸透膜モジュールに分離膜支持体として使用されております。
当商品は、専用の抄紙機及び加工機で製造されたポリエステル繊維100%の湿式不織布であります。耐水強度が高く、平滑性に優れることから水処理用の支持体紙として最適です。用途市場としては、海水淡水化や廃水処理などのインフラ用途をはじめ、工業用、家庭用浄水器など高度な水の需要に対応する分離膜に幅広く使用されており、高い伸び率で成長しております。
当連結会計年度においては、お客様により一層安定して使用していただくため、またコストダウン対応のために、現行製品の改良タイプを提案いたしました。また、新規顧客獲得のためにサンプルワークするとともに、各お客様の要求に合致した改良品の提案も実施しており、引続き注力してまいります。
② M-fine(エム・ファイン)
M-fine(エム・ファイン)とは、当社が提供するメンブレン(ナノレベルの微細な孔径を有する分離膜)及び水処理などのモジュール・ユニットの総称であります。
当社の事業領域の拡大の一環として、廃水処理に使用されるMBR(膜分離活性汚泥法)用浸漬膜及びユニットの事業化推進に取り組んでおり、品質のさらなる向上や高性能化に向けた開発を継続的に行っております。
また、新たに当社の小型ユニットを活かした「小型廃水処理装置」の開発にも着手し、その用途の一つとして「水も電気もなく排水も出来ない」場所でも水洗トイレや温水洗浄便座が使用できる「独立水循環型快適トイレ」の実証試験を開始するなど、事業の川下化に向けた取り組みを行っております。
(3)一般産業用資材分野
CARMIX(カルミックス)とは、当社が提供する炭素複合材の総称であります。
CARMIX熱拡散シートは、ラインナップ品とカスタマイズ品が採用されており、販売中であります。電気電子分野においては部品の高性能化に伴い放熱要求も高まっており、新たな市場創造に向けて鋭意開発をしております。
CARMIX CFRTP(炭素繊維強化熱可塑性プラスチック)マットは、ポリプロピレン・ナイロン・ポリカーボネートの3種類の樹脂でラインナップをしております。軽さと成形性の良さを生かし、輸送機器・電子機器・建材など幅広い市場へ展開中です。リサイクル炭素繊維の適用につきましても、特許を出願済みであり鋭意開発中です。また、熱伝導性CFRTPや高耐熱CFRTPも開発に着手いたしました。
これらに加え、電磁波吸収体の開発にも取り組んでおり、自動車の自動運転技術や第5世代移動体通信システムといった高度情報化社会到来に向けた電波対策商材開発も進めております。
さらに、当連結会計年度においては、東京ビッグサイトで開催された「第7回高機能プラスチック展」(2018年12月)にこれらの商材を展示し、電子機器関連のみならず自動車関連まで様々な分野での顧客要求を確認し、新たな機能を活かした放熱材(熱拡散シート)や立体成形体(CFRTP)、電磁波対策材の商品化に向けて開発を進めております。