有価証券報告書-第15期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 9:19
【資料】
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【項目】
68項目

業績等の概要

(1) 業績
当事業年度における我が国経済は、政府及び日銀における異次元の経済対策を背景に円安・株高傾向が進み、輸出を伴う大手企業を中心に業績は回復基調にありますが、国内需要頼みが多い中小企業は、消費税増税や輸入に頼る原材料の価格上昇などの影響から業績回復はいささか足踏み状態にあります。個人消費においても、一部の消費者は株高や大手企業を中心としたベースアップの恩恵を受け、消費税増税時の落込みからは脱却しつつありますが、企業業績回復の影響が広く行き渡るまでには、もう一段の景気上昇が必要な状況にあります。世界経済においては、米国経済は回復し上向き傾向にありますが、金融引締めのタイミングが難しい状況が続いております。欧州経済もギリシャの債務問題などの課題を抱えた状態であり、さらに、中東の政情不安が影を落としております。新興国では中国の成長が安定期に移行しつつあり、世界を牽引する国が見えにくい複雑で不透明な環境になっております。
当社の事業に関わる医療・医薬品分野では、高齢化により、国民1人当たりの医療費は5年連続で過去最高を更新しております。さらに、消費税増税や新年度からの社会保障費の増加から、景気に対しじわじわと影響が出ております。今後も医療費負担が財政に対してますます大きくなることから、後発医薬品の使用促進に拍車がかかり、社会保障費を少しでも抑制しようとする流れが強まってきております。このような流れを受け、医薬品業界では新たなビジネスモデルの模索が始まろうとしております。また、超党派の国会議員による「バイオシミラー使用促進議員連盟(BS促進議連)」が平成27年3月に発足されたことは、バイオ後続品に対する認知度の高まりの表れであり、バイオ後続品の普及促進や国内企業の研究開発力向上に向けた環境整備に拍車がかかることが期待されます。
このような状況の下、当社のバイオ後続品事業は、富士製薬工業㈱と持田製薬㈱による好中球減少症治療薬「G-CSF」の販売が順調であり、来期に向けて大きく販売増につながることを期待しております。当事業年度におけるバイオ後続品事業の売上高は、計画していた2ロットのG-CSF原薬の納品により売上予想を達成し、321,658千円(前年同期比6.7%増)となりました。
また、先行するG-CSFが順調に推移することで経営が安定することから、一段の成長に向けて、既に着手している
① G-CSFの価値最大化に向けた、次世代型G-CSF「PEG-G-CSF」の開発
② 伊藤忠ケミカルフロンティア㈱との共同開発案件
③ ㈱三和化学研究所とのダルベポエチンアルファの国内共同開発
について、着実に開発ステージを前進させることが重要であると考えております。
さらに、バイオ後続品の案件を拡充することが、テーマ毎のリスク低減とより一層の成長のために重要と考えております。
一方、バイオ新薬事業では、各種補助金を活用し、次世代型抗体医薬品の研究活動を中心に取組みを進めております。また、㈱ジーンデザインとの核酸共同事業により、核酸の医薬品への機会を探っていきたいと考えております。さらに、国立がん研究センターと共同特許出願したエクソソームなどの新規技術の取得にも力を入れてまいります。
また、上記のようにバイオ後続品G-CSFの販売は順調ではありますが、バイオ医薬品の開発には時間を要します。そこで、経営の柱を早期に構築するために、ヘルスケア全般を広く調査し、新たな試みも進めております。その第1弾として、人工骨のベンチャー企業であるORTHOREBIRTH㈱と平成26年11月10日付で資本業務提携契約を締結し、同社に49,995千円の出資を行いました。米国市場では510Kというカテゴリーで医療機器の承認を得たことから、今後、販売強化を図り、収益につなげていく考えでおります。本事業は、短期的には人工骨の販売でありますが、当社はこの材料を再生医療分野へ展開する入口とも位置付けております。
これらの結果、売上高は321,658千円(前年同期比6.7%増)、営業損失は824,140千円(前年同期は512,429千円の営業損失)、経常損失は790,234千円(前年同期は516,780千円の経常損失)、当期純損失は792,179千円(前年同期は519,301千円の当期純損失)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,010,773千円減少し、599,471千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少した資金は970,686千円(前年同期は729,603千円の減少)となりました。これは主に、未払金の増加42,321千円があったものの、税引前当期純損失790,279千円、売上債権の増加41,020千円及び前渡金の増加164,482千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は49,995千円(前年同期は1,666千円の減少)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は9,908千円(前年同期は1,454,086千円の増加)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入であります。
(注)用語解説については、「第1企業の概況 3事業の内容」の末尾に記載しております。