有価証券報告書-第12期(平成25年6月1日-平成26年5月31日)

【提出】
2014/08/26 15:19
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事業内容


当社グループは、当社及び連結子会社2社(株式会社M.R.L、沖縄モバイルクリエイト株式会社)で構成されております。当社は、携帯通信のインフラを活用した移動体通信網及びGPSを活用した移動体管理システムを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者(注1))であり、主にトラック運送事業者の物流業者、タクシー事業者やバス事業者の道路旅客運送業者等(以下、「取引事業者」という。)に対して、パケット通信網を利用した音声通話システムや動態・運行管理システム、タクシー配車システム等を提供しております。
移動体管理システムの開発・販売及びこれらに付随する通信・クラウドサービスの運用及び保守に関する業務等をワンストップで提供することを強みとしており、販売時における収入であるフロービジネスだけでなく、継続的なサービスの提供による利用料等の収入が得られるストックビジネスを事業の柱として安定的な収益獲得を目指しております。
当社グループは、移動体通信事業の単一セグメントであります。売上区分につきましては、システムの販売収入である「アプライアンス」、販売したシステムを利用するにあたり発生する通信インフラやサービスの利用料等の収入である「モバイルネットワーク」、販売したシステムの機器保守やソフトウェアの変更等の収入である「カスタマサービス」に区分しております。
フロービジネス :「アプライアンス」
ストックビジネス:「モバイルネットワーク」、「カスタマサービス」
(1) 売上区分について
①アプライアンス
当社グループにおいては、自社開発システムを取引事業者に対して販売したもの及び受託開発をアプライアンスとして区分しております。
販売については、自社販売だけでなく代理店網を活用して販売しており、連結子会社である株式会社M.R.Lにおいては、取引事業者に対してシステムのレンタル・リースを行っております。また、生産においては、自社に生産機能を持たず、機器の生産・組立は外注とすることで、販売状況に応じた生産に対応しております。
アプライアンスについての概要図は、次のとおりであります。

②モバイルネットワーク
当社グループが提供する移動体通信網や移動体管理システムに係る月額利用料収入をモバイルネットワークとして区分しております。
当社が提供するシステムの多くはインフラ媒体として、3Gネットワーク(注2)によるパケット通信を利用するため、利用する通信キャリア(MNOやMVNE)(注3)に対して通信料等が発生します。当社は、サービス提供に係るサーバやインフラ設備機器等の投資コストの分散化を図るため、システム販売時に主に5年から7年の利用契約を取引事業者と締結し、定額制により月額利用料を収受しております。
月額利用料の収受についての概要図は、次のとおりであります。

なお、「電子決済システム」利用時の概要図は、次のとおりであります。

③カスタマサービス
当社グループが提供するシステムは、継続的に保守管理を必要とすることから、端末1台当たりの保守料を毎月定額で収受するほか、機器の修理やソフトウェアの設定変更等の有償サービスを行っており、カスタマサービスとして区分しております。
なお、代理店や取引事業者からの問合せに対応するために、24時間体制のコールセンターを設置しております。
(2) 当社グループ主要製品について
①ボイスパケットトランシーバー
株式会社NTTドコモのFOMAパケット通信網を利用した音声通話システムであります。従来の業務用無線と比べて基地局用無線設備やアンテナ等の基地局設備が不要となり導入時の費用が抑えられ、免許等の許認可が不要となることから導入計画から運用開始までの期間が短縮できます。携帯通信網を利用することで、サービス提供エリアは日本全国人口カバー率100%であり、従来の業務用無線の圏外やビルの谷間などの不感知帯の問題を解消し、無線のメリットである即時通話と一斉同報通話の機能を有しております。
また、通話機能と合わせてGPS受信機能を内蔵していることから、タクシー配車システム、動態管理システム及び運行管理システムの端末として活用されております。
②新視令
GPSとCTI(注4)の連携により、住宅地図から利用者の位置と車両を的確に把握し、ワンクリックで自動配車を可能にしたタクシー配車システムであります。タクシー利用者から配車センターへ電話がかかると、瞬時に電子住宅地図の画面上に当該利用者の位置や氏名、住所等の情報が表示され、同時に当該利用者に対し一番近い車両に自動で配車指示がなされる仕組みとなっております。配車センターの作業簡素化により、配車効率の大幅なアップに貢献しております。
また、タクシー利用者向けにタクシー配車アプリを開発し、提供しております。
③モバロケ
クラウドサービスにより、車両の位置や動態情報をパソコンやモバイル端末の地図上に表示できる動態管理システムであります。一定時間経過時等に、車両情報が3Gネットワークによるパケット通信を利用してクラウド上に設置されたサーバに集められ、インターネット経由で取引事業者のパソコン等の地図上に車両位置や動態が表示される仕組みとなっております。主に運送業界において輸送の効率化によるコスト削減や安全管理の目的等に利用いただいております。
④バスロケーションシステム
車両位置や動態の監視等の運行管理を行うバス事業者向けの運行管理システムであります。当システムにて収集した車両位置や動態等は、モバロケ同様に当該事業者のパソコン等に表示されると同時に、バス停留所に設置された表示盤にバス車両の接近情報として表示されます。また、バス利用者においては、スマホアプリ対応のポータブルサイトを提供することで、バス路線の検索、現在いる場所からの最寄りのバス停検索等、バスの運行に関する情報を得ることが可能となっております。
⑤電子決済システム
複数種類の電子マネー又はクレジットカードでバスやタクシーの乗車料金の支払いが可能なマルチ決済端末であります。電子マネーには非接触型ICカード技術方式FeliCa(注5)を利用しており、カードリーダやレシート発行機が一体となった、車両にも搭載が可能な決済端末となっております。
なお、この電子決済端末を使ったシステムの運用においては、当社が電子マネー発行会社との代表加盟店契約やクレジット会社との加盟店契約等を締結しております。
用語の解説
用 語解説・定義
(注1)
MVNO
(仮想移動体通信事業者)
Mobile Virtual Network Operatorの略。携帯電話などの物理的な移動体回線網を自社では持たず、実際に保有する他の事業者から借りて、自社ブランドで通信サービスを行う事業者のこと。
(注2)
3Gネットワーク
第3世代(3G)携帯電話の通信ネットワークのこと。特に、3Gの高速データ通信を利用したインターネットへのアクセス手段としての携帯電話網を指す。
(注3)
MNOやMVNE
MNOとは移動体通信事業者(Mobile Network Operator)の略で、携帯電話などの物理的な移動体回線網を自社で保有し、通信サービスを提供する事業者のこと。
MVNEとは仮想移動体通信サービス提供者(Mobile Virtual Network Enabler)の略で、MVNOとの契約に基づき、当該MVNO事業の構築を支援する事業を営む事業者のこと。
(注4)
CTI
CTIとは、電話をコンピュータシステムに統合する技術。顧客の電話番号から顧客情報をデータベースに照会し、顧客情報をパソコン画面に表示する。
(注5)
FeliCa
ソニー株式会社が開発した非接触型ICカードの技術方式で、ソニー株式会社の登録商標。非接触型ICカード内のID情報等を、電磁界や電波等を用いた近距離の無線通信によって情報をやりとりする技術によりリーダ・ライタとカード間で通信を行う。